真・女神転生SEVENTEENU 大根メロン |
「はァ――!」 「RYYYYYYYYY!?」 つぐみの拳が、外道オールド・ワンを吹き飛ばす。 さらにつぐみは蹴りを打ち込み、 「SYAHHHHHHHHHHHH!!?」 オールド・ワンを、絶命させる。 「ふぅ……」 つぐみはオールド・ワンが持っていた魔貨を拾うと、先にある街に向け歩き出した。 つぐみはその街――カイーナの飲食店で、もぐもぐ食事を摂っていた。 まずつぐみは、ここで悪魔や魔界人に聞き込みをした。結果、つぐみはここが魔界である事を知ったのである。 そして、帰り方が分からない事や人を捜している事を告げると、優しい者達はつぐみにある場所へと行くよう教えてくれた。 「…万魔殿の城下町、か」 武も、人の多い場所に向かうに違いない。つぐみはそう確信した。 「――よし」 つぐみは目的地を決めると、店から出て行く。 その少し後に、銀の巨犬を連れた男がその店に入っていった。 「その悪魔を捕まえてくださ〜いッ!!!」 つぐみが街中を歩いていると、突然そんな大声が響いた。 つぐみや周囲の者達が何事かと眼を向けると、 「ぼ、僕のサイフ〜!!!!」 そこには、サイフを持った屍鬼首なしライダーを追い駆ける、1人の少年の姿。 (――ひったくり?) 『魔界にもひったくりはあるのね』とか『まぁ、それはそうか』とか一通り考えた後、 「はっ」 「――ぐはぁ!?」 つぐみは自分の方に走ってきた首なしライダーにラリアットをかまし、バイクから叩き落とす。 そして、サイフを奪い取った。 「お、おいテメェ!」 首なしライダーがつぐみに食って掛かるが、 「――何?」 「ヒッ!!?」 つぐみの一睨みで、黙り込んだ。 「な、何でもございません!」 首なしライダーはバイクを残したまま、逃げ去って行った。 「…あいつ、首がないのにどこから声を出してるのかしら?」 つぐみがそんなどうでもいい事を考えていると、 「あ、あの、ありがとうございます!」 さっきの少年が、つぐみに頭を下げた。 「このサイフはあなたの物ね?」 「はい」 つぐみが、少年にサイフを渡す。 「あぁ、あなた。1つ訊きたい事があるんだけど――」 「はい? 何ですか?」 「私、これから万魔殿の城下町に行きたいんだけど、道がよく分からないの。地図か何か持ってたら、見せて欲しいんだけど……」 少年は眼をパチクリさせた後、 「地図は持っていませんが… 僕はこれからそこに行くんです」 「――え?」 「宜しければ、今の御礼もかねて僕が案内しましょうか?」 「…………」 つぐみは少し考えて、 「そうね、お願いするわ」 そう答えた。 「それで… あなたの名前は?」 「あっ、そういえばまだ名乗っていませんでしたね」 少年は無邪気な笑顔で、名を名乗った。 「――僕は、テトラっていいます」 つぐみは首なしライダーが置いて行ったバイクを売って魔貨に変えると、その金で宿をとった。 その宿屋の一室で、テトラは今後の予定をつぐみに説明する。 「それで、テトラ。どういうルートで城下町に向かうの?」 「カイーナから、アンテノーラという街を経由して行くんです。もう1つ、トロメアという街を通るルートもあるんですが… 僕はこっちの方が通り慣れてるので」 「街を1つ通るだけ? なら、そんなに遠くないの?」 「ええ、まあ。道中はかなり危険ですが」 「それなら、問題ないわ」 「――え?」 つぐみは笑いながら、テトラに言った。 「全て、私が叩き潰すから」 翌日。 つぐみとテトラはカイーナを後にし、荒れ果てた道を歩いていた。 「そういえば… テトラはどうして城下町に行くの?」 テトラは笑いながら、 「そこに、僕の『旧友』が住んでるんですよ」 「じゃあ、その『旧友』に会いに行くのね」 「いえ、違うんです」 「……え?」 テトラは喜んでいるような、悲しんでいるような表情で、 「彼が今どうしているか、確かめたいだけです。会うつもりはありません」 「……そう」 つぐみはそれ以上は聞けず、言葉を止めた。 テトラは小さな声で、 「彼はともかく、彼の部下達は僕の事を――」 と、何か呟く。 「……え? 何か言った?」 「あ、いえ、何でもありません」 テトラが笑って誤魔化した、瞬間。 「――っ!」 つぐみはテトラを抱え、思い切り駆け出した。 「な、何ですかっ!!?」 「賊よ!」 テトラが後方を見ると、巨大な鬼が迫って来ている。 「――シュ、酒呑童子っ!!?」 「確か、大江山に棲んでいた鬼よね……」 酒呑童子はつぐみ達の頭上を軽々と跳び越えて先廻りし、 「オオオオオオオオ!」 雄叫びと共に、その鋼鉄のような腕を振り下ろした。 つぐみはそれを、僅かに身体をずらし躱す。腕はテトラの鼻先を掠めた後、地に叩き込まれた。 だが。 「シャアアアッ!」 「――っ!?」 突如、背後にもう1体悪魔が現れ、その手に握った剣を横に振る。 つぐみはしゃがんでそれを避けると、その悪魔の脇を抜け、2体の悪魔から距離をとった。 「テトラ、あいつは何?」 「…邪鬼ラクシャーサ――人を喰う鬼の一族です」 つぐみはその言葉を聞きながら、一瞬にして間合いを詰めて来たラクシャーサの剣撃を回避する。 「つ、つぐみさん!? どうするんですっ!!?」 「そうね、こうするわ」 ドシュ……ッ! 「ガァァアアア!?」 つぐみの貫手がラクシャーサの胸に穴を開け、その心臓を裂く。 そのまま、つぐみはラクシャーサが持っていた剣を取ると、それをナイフのように投じた。 ――ドスッ!! その剣は、寸分の狂いなく酒呑童子の額に突き刺さる。 「グァアア……ッ!!?」 呻き声と共に酒呑童子は倒れ、2度と動かなくなった。 「……えっ!? 勝ったん、ですか?」 「ええ」 つぐみはテトラを降ろすと、マグネタイトと化した2体の悪魔が残していった物品を回収する。 「す、凄いですっ! 人間であるつぐみさんが、こんなにあっさり悪魔を斃してしまうなんてっ!!」 「人間の世界にも、いろいろあるのよ」 つぐみはそう言うと、歩き出す。結局、とったのは魔貨だけのようだ。 「そう言えば… つぐみさんは、どうして城下町へ?」 「私? 私はね、人を捜してるの」 「人…ですか?」 「ええ、私と一緒にこの魔界に送られて来てると思うんだけど… どこにいるか分からないの。だから、とりあえず人の多い所に行こうと思って」 「へぇ… そうだったんですか」 「あなたは見てない? この辺りで、人間を」 テトラは少し考えた後、こう答えた。 「――いえ、見てないです」 |
あとがきだと伝わるもの・2 …何か短いなぁ。まぁ、その分あとがきを長くしますか(オイ) という訳で、第二話です。たけぴょんはまだウェンディゴ1体しか斃してないのに、つぐみんはすでにオールドワン、酒呑童子、ラクシャーサを斃しちゃってます。しかも素手で。 ちなみに、ウェンディゴのレヴェルは20前後くらい。オールドワン、酒呑童子、ラクシャーサのレヴェルは50前後。何だ、この差は。 それと、前から気になってたんですけど、このシリーズに出て来る悪魔って、オリキャラに分類されるんでしょうかね。『オリジナル』ではないと思うんですけど… 微妙。 …まぁ、そんな事はどうでもいいや(は?) そして、謎の少年テトラ。この名前だけで彼の正体が分かった人がいたら、大根メロン賞を差し上げます。そして、今後は真っ当な人生を歩んでください。 さて、今回もアリスやゴーストQは出せなさそう。せめて、リトル・ラマでも出しますか(もっと無理) ではまた。 |
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