真・女神転生SEVENTEENU 大根メロン |
「それで、熾天使であるお前がどうして魔界に? 唯一神に反逆して、天から堕とされたのか?」 「何処かの誰かと一緒にしないでください」 武・ケルベロス・ガブリエルは、宿屋で朝食を摂りながら話していた。 「突然、光に包まれて… 気が付いたら魔界に。きっと、これも神の御意志でしょう」 「…………」 武はその光の正体に心当たりがあったが、口には出さないでおいた。 「それより、お前はこの後どうするのだ?」 ケルベロスが肉をかじりながら、ガブリエルに言う。 「『旧友』に会ってみようと思います。彼なら、天界へと戻る方法を知っているかも知れませんから」 「『旧友』……?」 「ええ。数千年前、友だった者です。もっとも、今は敵同士ですが」 武の言葉に、ガブリエルが答える。 「…なら、しばらくは一緒だな」 「そうですね。助けていただいた恩もありますし、このガブリエルが城下町まで貴方達を守護いたしましょう」 ケルベロスとガブリエルの間で、何か話が決まったらしい。 「……えっと?」 武は、完全に置いて行かれていた。 「よし、じゃあ出発するか」 「ああ」 「はい」 武達は荷物をまとめ、宿を発つ。 だが、その時。 「…………」 宿の前で1人の少年が、じ〜っと武を見詰めていた。 「――? 何だ、俺の顔に何か付いてるのか?」 「あ、いえ――」 その少年は笑って頭を掻くと、 「僕、人間の方を久し振りに見たので、つい……」 「ああ、そうか」 なんだかんだ言っても、やはり人間は珍しいらしい。 「ごめんなさい。気を悪くされましたか?」 「いや、そんな事はない。気にするな」 「ああ、よかった」 少年は武に歩み寄り、 「僕、テトラっていいます」 「テトラ……」 「それで、貴方は?」 「俺は倉成武。一応、サマナーだよ」 「サマナー!? 凄いですっ!!」 テトラは本当に嬉しそうに、まぶしいほどの笑顔を浮かべる。 「それで、武さん達はこれからどちらに?」 「トロメアを通って、城下町に行くんだ」 「――えっ!?」 テトラは大きく眼を見開いて、 「凄い、奇遇ですね! ルートは違いますが、僕達も城下町に行くんですよ!!」 「お? なら、向こうでまた会えるかもな」 「ええ、会えるといいですね。楽しみにしてますよ」 「ああ、俺も楽しみにしてるよ。じゃあな」 「はい、お気を付けて」 お互いに手を振り合いながら、別れる武とテトラ。 テトラの姿が見えなくなってから、武はケルベロスとガブリエルに話し掛けた。 「何か、面白い奴だったな」 「…………」 だが、ふたりは答えない。 ただ、小さな声でふたり同時に、 「『4』……?」 と、呟いただけだった。 「そう言えば、ガブリエル」 「はい、何でしょう?」 武はケルベロスの背に揺られながら、ガブリエルに声をかける。 「お前、サリエルっていう大天使を知ってるか?」 「ええ、もちろん。武さんこそ、彼の事を知っているのですか?」 「ああ、前に俺の仲魔だった事があるんだ」 「――! そのような事が……」 「そこで、お前に訊きたい。あいつを『A』〜『E』で評価するとしたら、どれだ?」 「…………」 ガブリエルは少し考えた後、 「…評価不可能、ですね」 「うんうん。やっぱりあいつは、同じ天使から見ても変な奴なんだな?」 武は無駄に爽やかな笑顔で、ガブリエルを見る。 「はい。この前も、泰山父君に『ルシファーは娘に手を出している』などというウソを教え込んで遊んでいましたから」 「あいつの事だ。バレる前に逃げたんだろ?」 「ええ。1週間ほど、行方不明になっていました。天界も魔界も全力で捜索しましたが――結局、サリエルが自分から出て来るまで見付からなかったのです」 「…その能力、もっと別の所で生かせればなぁ……」 「まったくです」 「……はぁ〜」 武とガブリエルだけでなく、ケルベロスの口からも溜息が漏れる。 「――何か、面白い話をしてるね?」 「ああ。あいつ、どう考えても神の慈愛を説くなんて柄じゃないよなぁ」 「それは仕方ないよ。ボクの仕事は、神から離れた同族を狩る事なんだから」 一行の動きが、止まる。 そしてその背後には、鋭い眼光を向けるサリエルの姿。 「え〜と… サリエル」 「何だい、元マスター」 「じっと睨むのは止めてくれないか? 少しも動けないんだが」 「いやいや、元マスター達の勇姿をこの眼に焼き付けなきゃいけないから」 「…………」 武は少しの無言の後、 「すみません、サリエル様。調子に乗り過ぎました」 謝った。 「よろしい」 邪視が解除され、武達の拘束が解ける。 「…ちなみに、どこから聞いてた?」 「う〜ん… 『それで、熾天使であるお前がどうして魔界に? 唯一神に反逆して、天から堕とされたのか?』の辺りからかな」 「――そんな所からッ!!?」 サリエルは武から視線を移し、 「まったく、ガブリエルもガブリエルだよ。ボクの尊厳を傷付けるような事を言わないでよ」 「…傷付く傷付かない以前に、貴方に尊厳があるのですか?」 「そりゃあ、ボクも一応天使だから」 サリエルは、さらに視線を移す。 「それに、ケルベロスも久し振り」 「…結局何をしに来たのだ、お前は」 「元マスターがピンチみたいだから、天使の御心で助けてあげようと思って。まぁ、君と同じだね」 再び武にその眼を向け、 「という訳で、元マスター。またボクと契約を結ばないかい? ボクは、元マスターからお金と実体化のためのマグネタイトを頂く。その替わり、ボクは全ての敵を滅ぼしてみせるよ」 と、堂々と宣言した。 「…ま、お前が強いのはあの戦いでよく分かったからな。拒否する理由もない」 「じゃあ、決まりだね」 サリエルは自身の名をPDAのディスプレイに刻む。それにより、システムに仲魔として登録された。 「今後ともヨロシク、マイ・マスター」 「なるほどね… 今の目的は、つぐみちゃんと魔界からの脱出法を見付ける事、か」 「ああ、そうだ。サリエル、お前何か心当たりはないか?」 サリエルは、首を横に振った。 「残念ながら」 「そっか。ま、元々お前には期待してない」 「…あっそう……」 そんな話をしながら進んで行くと、前方に街が見えてくる。 「お、目的地が見えてきたぞ。ケルベロス、急げ!」 「急ぎたいのなら、我の背から降りて自分の足で走れ」 街へ向け、進んで行く一行。 そんな武達の様子を、虚空に浮かぶ眼――天使ウォッチャーが監視している事に、誰も気付かなかった。 |
あとがきだと伝わるもの・3 …何か、今回は全体的に1話1話が短いなぁ。まぁ、いいって事にしましょう(え?) こんにちは、大根メロンです。 さて、サリエルがパーティ入りです。ヴァルキリィの出番は次の次くらい。 あと、サリエルは武と契約しているので仲魔ですが、ガブリエルは一緒に行動しているだけなので、仲魔ではありません。一応、補足。 そして、たけぴょんサイドでもテトラ出現。あれは、つぐみと宿を発つ直前ですね。タイミングが悪い(笑) しかも、ルート分岐。お互いを捜せば捜すほど遠くなる2人。ああ、無常(?) 最後にウォッチャーが出てきましたが、あれって元ネタがよく分からないんですよねぇ……。堕天前のグリゴリかとも思いましたが、違うようですし。 …まぁ、気にしない事にしましょう(オイ) 次回は再びつぐみんサイド。ようやく、話が進む予定。やっと長くなると思います。 ではまた。 |
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