ほのぼの後日談シリーズ(コントじゃないSSのことです)は1話完結ストーリーですが、時間的に全てが繋がっています。
なので、ここで1作目『Beginning of the year』から5作目『兄と妹の絆』までの設定(一部裏設定有り)を簡単にまとめて置きます。

 1、時間は西暦2036年(事件の2年後)。
 2、倉成一家は4人で一軒家(つぐみが幼少期を過ごした家)に住んでいる。
 3、ココは両親と死別し、涼権・空と共に3人で田中家に居候。
 4、武・つぐみ・空は3角関係(つぐみと空の中はあまり良くない)。
 5、涼権・優春・ココも3角関係(3人の中は良い)。
 6、ホクト・沙羅は共に鳩鳴館大学に進学(共に考古学専攻予定)。
 7、涼権と優春は鳩鳴館大学の講師。
 8、つぐみはある薬を服用したため紫外線を受けても平気。
 9、空の体はアンドロイド。
10、その他設定はほぼココ編通り。ドラマCDとは異なります。

以下、Never7とのセッション
11、優春は優夏・沙紀と中学の頃の友人。
12、優夏は鳩鳴館女子大の講師で、優秋とは先生と生徒の関係。
13、優夏は誠と結婚。子供は3人。
14、億彦と遙は結婚。飯田財閥の社長と社長秘書。E17の面々とは知り合い。
15、優春は守野茂蔵・くるみ経由で億彦らと知り合う。事情を知った飯田財閥は34年の事件の資金援助を行った。
16、くるみは遺伝子工学界の権威。上記8の薬の製作者。優春、つぐみと知り合い。
17、沙紀やいづみさんも健在です。

太陽の季節
                              時羽


「えー、では時間がきましたので、今日の講義はここまでです」
 先生のその言葉で授業は終わりを告げた。
 教科書やノートを閉じる音と共に教室中が騒がしくなる。
「ふー、終わったぁ」
「沙羅は今日はこれで終わりだっけ?」
 まだノートを取り終わってないお兄ちゃんが、黒板に目を向けたままでそう聞いてきた。
「うん。お兄ちゃんはまだあるんだよね?」
「ああ、4限まであるんだ」
「そっか。じゃあ頑張ってね」
 私はお兄ちゃんにそう言うと一足早く教室を後にした。

 さっきの授業が午前最後の授業だったから、学内は学食へ向かう学生でいっぱいだった。
 多分、この中にお兄ちゃんも紛れているんだろう。
 本音を言えば私も一緒にお昼を食べたいところなんだけど、私もずっとお兄ちゃんに甘えているわけにはいかないし……。
 だから自立する(というのもちょっと違う気もするけど)という意味でも、お兄ちゃん離れをする決意をしたのだった。
 ……といっても家ではまだまだベタベタさせてもらっているんだけどね。

「あれ?沙羅じゃない」
「あ、田中先生」
 校舎を出たところで田中先生と出会った。
「今帰りなの?」
「はい。田中先生もですか?」
「そうなのよ。今日は講義1限だけで、職員会議もなかったからね」
 田中先生はそう答えながら、キョロキョロと辺りを見回した。
「どうしたんですか?」
「いや、ホクトは一緒じゃないんだなって思って」
 やっぱりそれか……。私は苦笑しながら答えた。
「やだな〜。いつもべったりと一緒にいるわけじゃないですよ」
「ふ〜ん……」
 田中先生は複雑な表情を浮かべ、そう呟いた。
「な、なんですか?」
「別に……。それより一緒に帰らない?お昼まだでしょ?おごるわよ」
「どこまでもついて行きますよ、先生」
 今月のおこずかいが残り少ない私はそう即答した。
「調子いいわね♪」
「えへへ……」

 大学前の並木道を私達は並んで歩いた。
 季節は梅雨の真っ最中の6月中旬。
 ここ1週間以上ずっと雨の日が続いている。
 もちろん今日も朝までは降り続けていた。
 けど運良く今は止んでいた。
 でも空は相変わらずどんよりとした分厚く暗い雲に覆われているから、すぐにまた降り出すだろう。
「今にも降り出しそうな天気ですね」
「そうね」
「はぁ〜。雨の日って憂鬱になりません?」
「んー、たまの雨ならいいけどこう連日連夜続くとさすがにね……」
「ですよねー……?」
 ふと横に目を向けると、並んで歩いていたはずの先生の姿が無かった。
「あれ!?」
 今までずっと隣にいたのにいったい何処へ……?
 まさか……か、神隠し!?!?
 ……なんてわけは無く、先生は私の3歩程後ろで佇んでいた。
 俯いたその顔には躊躇いの様な表情が浮かんでいる。
「どうしたんですか?」
「うん……。雨といえば……沙羅?あなたとホクトとの関係って、今どうなっているの?」
「え……?」
 あまりに唐突な質問に私は言葉を失った。
 田中先生は声のトーンを落として話を続けた。
「……失礼な質問だとは思うんだけど、はっきりと確かめておきたくてね」
 こほん、と咳払いを1つして、田中先生はさらに続けた。
「……あなた達はなんていうか、非常に特別な出会い方をしてしまった。だから、普通の兄妹以上の愛情か何かを抱いてしまっているんじゃないかって思うのよ。もしそうだとしたら……これは残酷な言い方かもしれないけど……なるべく早いうちに一線を引いておいた方がいいんじゃないかって思うの。あなたにとっても、ホクトにとっても……」
 ああ、やっぱりその話か……。
 話を聞き終わった私はそう思った。
 というのも、大学での田中先生の表情を見て、私は先生がいずれこういう話をするんじゃないかと予想していたからだ。
 もっとも、こうもすぐに聞かれるとは思ってなかったけど……。
 でも、私自身この件については既に区切りをつけていたから、この事はきちんと先生に話しておいたほうがいいだろう。
「ああ、お兄ちゃんのことならもう諦めましたから!」
 私はこの場の空気が悪くならないよう、努めて明るくそう言った。
 それに田中先生はキョトンとした瞳を返してきた。
「何と言っても、もう2年間一緒に暮らしてますからね。最近はやっぱり私達兄妹なんだな〜って実感が沸きっぱなしで!だから心配ご無用ですよ」
 私はそう付け加えた。
「沙羅……」
「やだな〜!そんな哀れみこもった目で見ないで下さいよ!私は大丈夫ですから」
「そ、そうね。ごめんなさい……」
 田中先生は少し気まずそうに顔を逸らし、再び歩き始めた。
 私も黙ってその後をついていく。
 何も喋らず歩いていると、ふと脳裏に浮かぶ1つの影……。
 その影の正体は……初恋の人――。
 つまり――お兄ちゃんだった。
 そう……。
 いくら諦めようとしても、やっぱり心のどこかで捨てきれない想いがある。
 区切りを付けたつもりでも、湧き上がっていく想い……。
 自分でもどうしようもない、残酷な想いが間違いなく私の中に……。

 駄目っ――!
 黙っていると、嫌な想いでいっぱいになっちゃう!
 何でもいいから喋って気を紛らわしたい!
 何か、何か……あ、そうだ!
 さっきから疑問に思っていたことがあったんだった。
「……ところで田中先生?」
「ん?」
「なんで雨の話から私とお兄ちゃんの話になったんですか?」
 私が疑問を口にすると、田中先生は昔を思い出すような遠い目をしてこう答えた。
「知り合いに、進展しない恋をやまない雨に例えて言った人がいてね……。確か『雨はいつ上がる?』だったかしら」
 『雨はいつ上がる?』かぁ……。
 それはまた上手い言い回しを考えた人がいたものだ。
 確かに私の雨は……まだ…………。
 おっと、いけないいけない!
 これ以上考えると自己嫌悪に陥っちゃうよ。
「『雨はいつ上がる?』だなんて、ずいぶんと詩的な人ですね〜」
 私が感想を言葉にして述べてみると……。
「普段の行動を見ている限りは、そんな事を言う人だなんてとても想像できないんだけどね〜?」
 との答えが返ってきた。
 ……一体普段どんな人がそんな事言ったのかな?

「ここよ。味が良くておすすめなの」
 田中先生に連れられるままやって来たのは、鳩鳴館大学とは駅を挟んで反対側にある、『蒼き森の泉』という名前のイタリアンレストランだった。
 この辺りは閑静な住宅街なので、その中にひっそりと建っている隠れた名店のような雰囲気をかもし出している。
 実際、昼時だというのにお客が入っていないところを見ると、私の第一印象もあながちはずれでは無いかも知れない。
 私は田中先生に続いて店内に足を踏み入れた。

「いらっしゃいませ〜。あら、田中先生。今日はお早いですね?」
 そう声を掛けてきたのはカウンターの中にいる女性だった。
 長い髪の毛を1つに結わいた物腰穏やかそうな女性で、店内にはその人以外の人影は無かった。
 名前を憶えられているという事は、田中先生はこのお店の常連さんなんだろう。
「ええ、今日は珍しく雑務が無くって」
「そうでしたか」
 それから2人の立ち話が始まってしまったので、私は店の中を見回してみた。
 カウンター席6つ、4人掛けと2人掛けテーブルが3つずつで席と席の間は広めに空けてある配置になっている。
 内壁には童話の世界にあるような青色の葉をつけた木々の絵が幻想的なタッチで描かれていて、お店の端には静かに水を湧き出している小さな噴水が置かれていた。
 まさに店名の『蒼き森の泉』をイメージしたものなんだと思う。
「そういえばそちらは田中先生のお知り合いの方ですか?」
 その言葉に振り向くと、カウンターの女性が私の方を見ていた。
「ああ、この子は倉成沙羅。娘の後輩で、来年からは私の教え子になる予定。沙羅、こちらは守野いづみさん。一人でこのお店を切り盛りしているのよ」
「あ、どうも初めまして、倉成沙羅です」
「守野いづみです。よろしくね」
 お互いに挨拶を交わし終えると、いづみさんは何かを思い出したかのように、あっと声をあげた。
「でもさっきの田中先生の紹介だけど、ちょっと間違いがあるのよね」
「あれ?何か変なこと言いました?」
 田中先生が首をひねりながらそう尋ねると、いづみさんはふふっと嬉しそうに微笑んで答えた。
「実はね?今日からアルバイトを頼んだのよ」
「あ、そうだったんですか」
「ええ。やっぱり1人で仕入れ・料理・配膳・掃除・経営と全部をこなすのは大変だったからね。彼には配膳や掃除はその子に任せるつもりなのよ。今スタッフルームで着替えていると思うんだけど……」
 いづみさんがそう言ってスタッフルームに目を向けると、まるで計ったかのようにそのドアが開き、1人の男の子が姿を現した。
 歳は私よりも少し低そうに見えるから高校生くらいだろうか。
 体格はどちらかと言えば細い方であまり頼りなさそうだけど、どことなく優しそうな印象を受ける男の子だった。
 そういえばお兄ちゃんに雰囲気が似ている気がする……。
 彼を見ていると何だか心が落ち着くのは、それが理由なのかな?
「ちょうどよかったわ。彼が今話していたバイトの『石原尚人(いしはら なおと)』君。実は私の知り合いの息子さんだったりするんだけどね。尚人君、こちらはうちの常連さんの田中先生よ。顔を覚えておいてね?」
「はい。初めまして、石原です。よろしくお願いします」
 彼は今時の青年には珍しく、礼儀正しく深々と頭を下げた。
「石原……尚人君……?」
 その一方、田中先生は驚きで目を丸くして彼を見つめた。
「どうしたんですか?」
 私がそう尋ねると、田中先生は彼に向かっておそるおそる尋ねた。
「あ、あなた……ひょっとして、優夏のお子さん?」
「え!?」
「……母を知ってるんですか?」
 その言葉に今度は尚人君といづみさんが驚く番となった。

「へぇ〜!田中先生が優夏ちゃんのお友達だったなんてね〜」
「私も驚きですよ。いづみさんと優夏がお知り合いだなんて」
 なんと尚人君のお母さんというのは、田中先生の中学時代の友達のあの石原優夏さんだったのだ。
 『あの』と付けたのは当然私が優夏さんの事を知っているからで、何故知っているのかと言われれば、前に1度会ったことがあるからなんだけど……。
 私は優夏さんが家に来た時のことを思い出し苦笑してしまった。
 苦笑……と言うは、その時にママや田中先生、なっきゅ先輩と4人で真っ昼間っから日本酒一升瓶を3本飲み干し、最終的には床に大の字になって爆睡してしまった優夏さんの姿が浮かんできてしまったからだ。
 あそこまで豪快な女性に出会うのは、後のも先にも多分彼女1人だろう。
「あっ!ごめんなさいね、長話しちゃって。2人とも食事しに来たのにね」
 しばらく続いた優夏さんの話にキリがついたところで、ようやく気づいたようにいづみさんがそう言った。
「ささ、好きなお席にどうぞ」
「じゃあ窓側の席にしようかな。沙羅、そこでいい?」
「はい。私はどこでも構いませんよ」
「じゃあ、そこで」
 私達は横に小窓のある2人掛けの席に座った。
 それにしてもこのお店に来てから席に着くまで24分間も立ち話をしていたのに、私達の他に誰1人としてお客さんが見えていないんだけど……。
 昼時なのにこんながら空きで経営成り立っているのかな?
 他人事ながら心配になる私だった。
 そう思った矢先……。
 カランカラーン!カラーン!カララーン!
 それは全くの杞憂だと言わんばかりに、立て続けにお客さんが入ってきたのだった。

 ムードのある落ち着いた店内とは裏腹に、メニューはサンドウィッチやピザ、パスタ等の軽食系が多く、お値段もリーズナブルな設定だ。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
 尚人君が注文を取りに来た。
 彼にとっては私達が最初のお客さんだからなんだろう、少し緊張している様子だった。
 それがなんだか微笑ましい。
「そうねぇ……私はシーフードピザにするわ」
「私はキャベツとベーコンのトマトスパゲッティで」
「シーフードピザとキャベツとベーコンのトマトスパゲッティですね。かしこまりました」
 オーダーを受けた尚人君はそそくさとキッチンに入っていった。
 
 田中先生が『おすすめ』というだけはあり、味はとても良かった。
 いや……とても良いという表現じゃちょっと物足りない。
 まさに絶品と言った方がいいだろう。
 パスタのゆで加減はベストと言われるアルデンテで、シャキッとした食感の残るキャベツと柔らかなベーコンを包み込んだフレッシュなトマトソースと絶妙な具合に絡み合っている。
 正直、この味にはかなり感動した……。
 きっといづみさんみたいな人を10年に1人の天才料理人って言うんだろうなぁ……。

 食後に追加でコーヒーを注文し、それを待っている時だった。
「ねぇ、沙羅?」
 窓の外を眺めていた田中先生が急に私を見据えて声を掛けてきた。
「何ですか?」
「沙羅さぁ……ひょっとして尚人君に気がある?」
「え?」
「さっきから尚人君の方を度々見ているみたいだから」
「そ、そうですか?」
「うん。間違いないわ」
 ……特に意識していなかったのは本当だけど、先生が言うんだからきっと無意識の内に彼を見ていたんだろう。
 つい彼に目が行ってしまうのはきっと……。
「彼……ホクトに似ているもんね」
「!!」
 私の心を読んだような田中先生の言葉に、私は思わず目を見開いて先生を見た。
「やっぱり、『諦めた』って言うのは嘘だったのね?」
「うっ…………」
 あちゃあ……ばれちゃったか……。
 何となく気まずくて先生から目を逸らす。
「あ、別に責めているわけじゃないんだから……そんな恐縮しないでよ」
「……はい」
「さっきも言ったけど、沙羅がホクトに恋愛感情を抱いてしまうのは、ある意味仕方の無いことだと思うわ。色々とあったわけだし」
「……でも……」
「うん。兄妹は恋人になることは出来ない、そういう決まりがある。だから諦めざるをえない」
 私は頷いた。
「でも、心のどこかにホクトへの想いが残っている」
 もう一度頷く。
「辛いわねぇ……」
 先生は私をいたわるようにやんわりとそう洩らした。
「……どうしたらいいでしょう?」
 私が尋ねると……。
「う〜ん……そうね……」
 田中先生は少しの間『う〜ん』と唸ってから
「その『想い』が『想い出』にかわってしまえばいいんじゃないかしら」
 そんな答えを返してきた。
「???」
 どういう意味?
「要するに……『沙羅は今、兄であるホクトが好き』だから困っているわけでしょ?」
「ええ」
「だからそれが『沙羅は昔、兄であるホクトが好きだった』ということになれば問題は無くなる、というわけよ」
 なるほど、お兄ちゃんとの恋を過去のものにするってことか。
 確かにそれはいい考えかもしれない。
 いい考えなんだけど……でもそれって……。
「つまり私にお兄ちゃん以外の人に恋してみろって事ですよね?」
「一言で言ってしまえば、ね」
 
「う〜ん……簡単に言いますけど、他に好きな人なんて……」
「尚人君は?」
「いっ!?」
 何で尚人君が出てくるわけ!?
 いや、確かにさっきから無意識のうちに彼を見ていたからかもしれないけど……。
 でも、だからって……ねぇ。
「そんな、今日会ったばっかりで急に好きになるわけないじゃないですか!」
「あら、一目惚れって可能性だってあるでしょ?さっきから彼の方を見てたってことは、少なくとも気になってはいるんじゃない?」
「それは……まあ、そうかもしれませんけど……」
 私が言い返す言葉を探している間にも先生は次々と言葉を続けていく。
「それに会ったばかりでっていうのが嫌なのなら、これからもここに足を運んでみればいいじゃない。この位の値段なら沙羅のお小遣いでも来れないことはないでしょ?」
「ええ……まあ、お金に関しては問題ないですけど」
「何度も何度も顔を合わせる若き2人の男女。次第に2人はお互いの事が気になりだし惹かれあっていく……」
「…………」
 ……なんか芝居がかった口調になってきた……?
「最初は店員と客でしかなかった2人も、話友達から普通の友達へ……そして友達以上の関係へと発展してゆく」
「…………」
「そしてやがては2人の間に愛という名の感情が芽生えるのであった……!」
「…………」
 私の恋のサクセスストーリーを勝手に作って語らないでくれるかなぁ……。
 周りのお客さんの奇異の眼差しが痛いよ……。
 まあ、尚人君やいづみさんがキッチンに引っ込んでいてくれているのがせめてもの救いだけど。
「あ、そうだ!沙羅もここで働いてみればいいんじゃない♪」
「…………は?」
 なんで急にそんな流れに!?
「ほら、客として足を運ぶのは結構限度があるでしょ?会えるのもほんのちょっとだし。でもバイトとなればそれなりの時間、一緒にいられるじゃない?」
「ちょ、ちょっと!そんな勝手なこと言わないで下さいよ。それに働いてみるって、ここのお店、求人の広告なんて出していないじゃないですか」
 そこで私はそう反論してみた。
 ……が、しかし。
「あら、ここで働いてくれると言うのなら大歓迎よ」
 注文したコーヒ−を運んできてくれたいづみさんにそう返されてしまった。
「盗み聞きしたようでごめんなさいね。でも、ちょうどバイトを探していたところだから」
 いづみさんはそう続けてくれたけど、でもバイトは尚人君を雇った訳だからもう充分なはず。
 多分私のことを気遣っていってくれた言葉なんだろう。
「ふふっ。ありがとうございます、いづみさん」
 私は愛想笑いを返した。
 しかし、いづみさんは真面目な顔でこう言い加えた。
「冗談ではなくてね。沙羅ちゃんさえ良ければここでバイトしてくれないかな?この前、このお店が『Hamako』っていう雑誌に紹介されてね?それからというものお客さんが一気に増えちゃって……あと数人位人手が欲しいなって思っていたのよ。お給料はそんなに出せないけど、社会勉強にはなると思うし……どうかな?」
「……本当ですか?」
「ええ、もちろん。尚人君もこんな可愛い女の子が一緒のバイトだったら嬉しいわよね?」
 いづみさんはフロアに出てきた尚人君にそう声をかけた。
「え?ま、まあ……そうですね……」
 そう答える尚人君の顔が少しだけ赤くなった……気がした。
「ふふふ。照れちゃって」
「か、からかわないで下さいよ……」
 照れ隠しでかキッチンへ引っ込んでいく尚人君。
 そんな彼を柔らかい微笑みで見送ったいづみさんはもう一度私に振り向いた。
「まあ、さすがに今すぐには決められないわよね。ちゃんとご両親や自分の気持ちと相談して、その気になったら来てくれればいいから」
「はい!ありがとうございます」
 私がそう応えると、いづみさんはにっこりと微笑を返してからキッチンへと戻っていった。
 
 芦鹿島電鉄芦鹿島線――通称シカ電。
 大学から家に帰るには藍ヶ丘(あいがおか)駅からシカ電に乗り、途中で織田急線に乗り換えて新御桜ヶ丘(しんみさくらがおか)駅で降りることになる。
 このルートで帰るのは田中先生も同じ。
 だからなりゆきで新御桜ヶ丘まで一緒に帰ることになった。

 シカ電の車内はガラガラだった。
 それもそのはず、今は平日の午後の2時。
 この時間帯はシカ電沿線の中学・高校はまだ学校が終わっていないし、大学も授業時間中だから学生は全くと言って良いほどいない。
 さらに会社員は社内で仕事中だし、主婦が繁華街へ夕飯の買い物をしに行くにも早すぎる時刻にあたるからだ。
 私達は人が全く座っていないシートに腰をおろした。
 それからしばらくの間、私達はお互いに会話の無いまま電車に揺られていた。

「ひょっとして迷惑だった?」
 藍ヶ丘から5駅目となるの千羽谷(ちはや)を出たあたりで、突然田中先生がそう言ってきた。
「何がですか?」
「尚人君のこととか……バイトの話とかね……。私、途中からつい強引に話を進めちゃったでしょ?やっぱり迷惑だったかな?」
 私は首を横に振った。
「そんな事無いですよ。大学生活も慣れてきたし、そろそろアルバイトしてみようかなと思っていたところなんで」
 しかし先生の表情はまだ晴れない。
「それにほら、沙羅が尚人君のことずっと見ているって私言ったでしょ?でも、あれも私の思い過ごしだったんじゃない?沙羅にしてみれば思ってもいない事を勝手に言われて気分悪かったとか……?」
 私は再び、今度はさっきより多めに首を振った。
「そんな事も無いですって!私も自分では無意識のうちに彼を見ていたと思うんです」
「……そうなの?」
「はい。最初に尚人君を見たときに、お兄ちゃんに似ていて見てて、何だかほっとする人だなって思ったんです。心が穏やかになったっていうか……」
「それって……好きとか、そういった感情が湧いてきたって事よね?」
「う〜ん……どうなんでしょうね?ひょっとしたら、そう、好き……なのかもしれません」
 お兄ちゃんを除いて私は今まで誰かに恋したことが無かった。
 しかも唯一の前例となるお兄ちゃんとの恋愛は、LeMUの事故の中という、いわば『つり橋上の恋愛』的な状況で芽生えたもので、こういった日常的な至って普通の恋愛をした事は全く無かった。
 だから自分でもまだ良くわからないんだけど……。
 それに、もしこの感情が尚人君への恋愛感情であるのなら、1つだけ気がかりなことがあった。
「でも、お兄ちゃんに似ているからって好きになるっていうのは、尚人君に失礼なんじゃないかな?って思うんです……」
 田中先生は少し考える素振りを見せてから、言葉を選ぶようにゆっくりとこう答えてくれた。
「そりゃあ……彼をホクトの代わりとして見るのは失礼だと思うけど……そういうタイプが好みだっていうのは失礼なことでも何でもないんじゃない?」
「……そっか、そうですよね」
「うん。それに私も、彼どことなくホクトに似てるなって思ったけど、それはあくまで雰囲気の話。彼のオリジナリティはちょっと顔をあわせたくらいじゃあ全然わからないわ。そして彼のそれは絶対にホクトのそれとは違うはず。全くもって同じ人なんてこの世には存在しないんだからね。それは私が保証する!」
 『全くもって同じ人なんてこの世には存在しないんだからね』――。
 『それは私が保証する!』――。
 それはおそらく、田中先生となっきゅ先輩のことを言っているんだろう。
 2人は遺伝子的に見れば全く同じ人間だ。
 そして確かに2人の性格は凄く似ている。
 けど、こうして一緒にいるとこの2人が全く同じ人間だなんてとても思えない。
 田中先生は田中先生で、なっきゅ先輩はなっきゅ先輩。
 ――つまりはそういうこと。
 尚人君とお兄ちゃんは雰囲気というか、たたずまいというか……そういうのがよく似ている。
 でももちろん、顔も声も違う人間だ。
 尚人君は尚人君で、お兄ちゃんとは別の人。
 私が今好きだと思い始めたのは、お兄ちゃんではなく尚人君の方。
 まあ、好き……というのはまだ早いかもしれないけど。
「沙羅、彼のこと気になるんでしょ?」
「……はい」
「だったら、あそこでバイトしてみるのもいいんじゃない?彼と一緒にバイトをしてみて、彼のことを良く知った上で……それでも彼のことを好きになれるんだったら、あなたの恋は本物よ」
「うん……。ありがとうございます。色々気を使っていただいて」
「あはは。やめてよ、そんな他人行儀な……」
 そんな言葉と共に田中先生は少し恥ずかしそうにパタパタと手を振った。
「ただの私のお節介なんだから……」
「それでも……ありがとうございます」
「うん……」
 田中先生は照れているのか、そう頷いて私から目線を逸らしたのだった。

「それじゃ、私は買い物していくからここで」
 地元駅・新御桜ヶ丘の改札を出たところで田中先生がそう言った。
「あ、そうですか。今日はご馳走様でした」
「どういたしまして。……頑張ってね」
「はい。ありがとうございます」
 田中先生と別れた私はそのまま家への路についたのだった。


 沙羅と別れてから駅ビルでウィンドウショッピングをして時間を潰した。
 正直なところ、私がしようとしていることは余計なお世話なんだと思う。
 沙羅は『ありがとう』って言ってくれたけど、ひょっとしたら彼女にとっては全くの迷惑で、ただの私の自己満足にしかならない事なのかもしれない。
 そんな不安もあるものの、それでも私の中では、彼女に何かをしてあげたいという思いが大きくなっていた。
 彼女がライプリヒに捕まっている間、私は彼女が酷い目にあっているというのに何の手助けも出来なかった。
 部屋の隅で縮こまって泣いている時も、やさしい言葉1つかけてあげる事が出来なかった。
 勿論、こっちもやつらに目を付けられるとまずかったから、仕方の無い事だったんだけど。
 でもそんなのは理由にはならない。
 以前ユウに言われたけど、私にあと少しの勇気があれば、沙羅の苦しみをもう少しは和らげてあげられたはずなんだから。
 だから……これは彼女へのせめてもの償い。
 彼女が幸せになれることを信じて、私はあいつを待った。
 あいつが駅に現れたのは、夕日がビルの谷間に消えかかった頃だった。


「バイトがしたいですって!?」
 沙羅がバイトの話を持ち出してきたのは、夕食の後片付けが終わり家族4人でテレビを見ている時だった。
「一体どうしたのよ!?」
 急な発言だったからか、つぐみは両手で沙羅の肩をわしっと掴み、そう問いただした。
「どうしたって……」
 沙羅は困惑したようにつぐみを見ている。
 まあ確かに『バイトする』って言ったくらいでああまで言い寄られちゃあ戸惑うよな。
 全く……つぐみは心配性なんだから……。
 俺はホクトと顔を見合わせて苦笑した。
「そんなにお金に困っているの?」
「いや、そこまで困っている訳では……」
「じゃあ、どうしてバイトなんてするって言い出したの!?」
「い、いや……その、どうしてって言われても……」
「何の理由もなしにあんな事やるわけないでしょう?」
「ま、まあそうなんだけど……」
「……何?まさか、私達にも言えない様な大変事になっているわけ?」
「ええ!?な、何のこと??」
 ――???
 ここにきて、俺やホクトも様子がおかしい事に気がついた。
 どうも2人の会話が噛み合っていないような気がする。
 つぐみのやつ、何か勘違いしているんじゃないか?。
 そう思った俺は口を挟むことにした。
「ちょっと待て、つぐみ。お前何の話をしているんだ?」
 俺のその問いにつぐみは、さも当然といった顔つきで答えた。
「沙羅のアルバイトの話でしょう?」
 うむ……そこは間違っていないようだ。
「じゃあ、何でお前は沙羅のバイトに否定的なんだよ?」
「何でって……あんな辛い思いを子供にさせたくないって思うのは、親なら当然でしょう!?」
 あんな辛い思い……?
 そりゃまあ楽なバイトなんてそうそう無いが、そんな辛い思いをするバイトだってそんなにあるもんでも無いだろう。
 ……待てよ。ひょっとしたら俺の寝ていた17年間のうちにバイト界はそんな過酷なものになったというのか!?
 でも、見た感じそんなに変わっているとも思えんのだがな……。
「あのさ……」
 それまで黙っていたホクトが躊躇いがちに口を開いた。
「お母さんがバイトをやっていたのって、いつの話?」
「いつって、ライプリヒから逃げていた頃だけど……」
 それがどうしたの?という視線を送るつぐみに、ホクトは苦笑いを浮かべてさらに尋ねた。
「その頃って、当然戸籍は抹消させられていたんだよね?それに保険証とかの身分証明なんかも無かったよね?」
「ええ、もちろん」
「身分のハッキリしない人は、まともな所じゃ雇ってくれないと思うんだけど」
「…………」
「…………」
「…………」

「そういうことかっ!」
「そういうことね!」
 俺と沙羅の声が見事なまでにハモった。
 おそらく身元不明のつぐみは過酷なアルバイトしかやらせてもらえなかったのだろう。
 そしてそんな中には、それこそ人として扱われないようなものもあったに違いない。
 だからつぐみはあんなに反対していたわけだ。
「どういうこと?」
「あのな、つぐみ。お前がやっていたバイトっていうのは、普通のバイトじゃないんだよ。沙羅がやろうとしているのは普通のバイトで、つぐみが味わったほど苦しいもんじゃないんだ」
「私がやっていたのは変わったバイトだったってこと?」
「うむ。そういうことだ」
 詳しく説明することもできるが、つぐみに昔のことを思い出させたく無いしな……それは止めておこう。
 俺が頑張ればつぐみもそんな苦しいバイトを2度とする必要無いわけだし。
 それより今は沙羅の話だ。
「で、沙羅?どんなところでアルバイトするつもりなんだ?」
「大学の近くにあるレストランでやりたいなって思っているんだけど」
「ほー。何ていう店なんだ?」
「『蒼き森の泉』っていうイタリアンレストラン」
 ……やっぱりあいつの言っていたとこか。
「……ああ!あそこか!あそこはいい店だよなぁ!」
 俺がそういうと沙羅は驚きで目を丸くした。
「え!?パパ、あの店に行った事があるの?」
「うむ。……前に1度、涼権と一緒に行った事があってな」
「へぇ〜、そうだったんだ〜」
「あそこなら安心してバイトできると思うぞ」
「だよね〜。ね?いいでしょ、ママ?」
「心配するなよ、つぐみ。そんな危険なことは無いからさ」
 つぐみは何かを言いたそうにしばらく俺を睨んでいたが……。
「…………わかったわよ。武がそういうなら信じるわ」
 やがて観念したように溜息と共にそう言った。
「ただし、やるからにはしっかりやるんだぞ!」
 俺がそう激励してやると
「うん!ありがとう、パパ、ママ」
 陰りの無い太陽のような笑みで沙羅は頷いたのだった。


 3人が寝静まった深夜0時。
 俺は寝室を抜け出し、真っ暗なリビングのソファに腰を下ろした。
 そして誰も……特に沙羅が起きて来ないのを確認してからPDA端末を取り出し、優にダイアルした。
「……よう、優か。夜遅くにすまんな」
『んー別に。今日は仕事少なかったから疲れていないし。あ、でも明日も朝から講義あるから用件は手短にお願いしま〜す』
 電話越しの優は明るい口調でそう答えてくれたが、やはりどこかに暗さが入り混じっているように俺は感じた。
 ふむ……ここは1つ、景気良く笑わせてやるか。
「おいおい、その歳で『お願いしま〜す♪』はないだろ」
 俺は大げさに優の口調を真似てみた。
『ぷっ!何それ?私の真似??変なの〜!!あはははははっ』
 どうやらマジで受けてくれた様だ。
 それでこそこっちも芸人根性見せた甲斐があるってものだ。
『あはははは……』
「…………」
『あははははははははは……』
「わ、笑いすぎだぞ!」
『いや、だって、だって……あははは!』
 ……ツボに入っちまったか……。
 俺はそれから1分間、電話越しの優の笑い声に付き合う羽目になった。
『……はあ〜。ひっさしぶりに大笑いしたわ』
「……そりゃーよかったなー」
『こらこら、ふてくされないの。……それで?用があったんじゃないの?』
 おお。そうだった、そうだった。
 優があまりにも笑いまくるからうっかり忘れるところだった。
「沙羅な、優が言ってたレストランでバイトするって言っていたぞ」
『……そう』
「一応伝えておこうと思ってな」
『わざわざありがとね、武』
「いや、礼を言うのはこっちの方だ。沙羅のこと気にかけてくれてサンキューな」
『うん。……用件はそれだけ?』
「ああ……あともう1つ」
『何?』
「沙羅はバイトをやるの本当に嬉しそうだったぜ。あいつ、お前にも絶対感謝している。……だから優、お前ももう昔の事を気にかけるのは終わりにしていいんじゃないか?」
 電話の向こうで優が小さく息を呑んだのがわかった。
 10秒程の間を置いて優が口を開いた。
『……何であんたはそう気づくかな〜』
 昔の事は武には伏せたはずなのに……。という独り言が小さく届く。
「だってお前、変なところで律儀だからさ。ライプリヒでの沙羅との事、今でもまだ気に留め続けているんじゃないかって思うのも当然だろ?」
『変なところでっていうのは余計よ!……全く、武には勝てないわ』
「別に勝ちとか負けとかじゃないだろ?俺達は仲間なんだから。仲間の事を知っているのは当然だ」
 そう言い放ってやると、優は穏やかな笑い声を立てた。
『全く……武のそういうところに、昔は惚れてたのよね〜』
「ほう……と言う事は、今は?」
『扱いやすい男といた方が楽しく生きられるかなって思っているわ』
「ははは、お前にはそれがあっている気がするな」
『ふふふ、でしょ?』
 優の尻に敷かれている涼権の構図を思い浮かべて俺は苦笑する。
 優の方もくすくすと笑っているところをみると、おそらく同じ事を考えているんだろう。
『じゃ、明日もあるし、もう切るわね』
 お互いに笑いが収まったところで優はそう言った。
「ああ、本当にありがとな」
『こっちもありがとう。それじゃあ……』
「おやすみ、優」
『おやすみなさい、武』
 向こうが切ったのを確認してから俺はPDAをしまった。
 それから俺はベランダに出ようとして……。
「…………」
 やっぱりやめた。雨が降っているから。
「これじゃあタバコも吸えんな」
 つぐみが嫌がるから室内では喫煙禁止令が出ている。
 仕方なく俺はポケットのタバコケースに伸ばした手を引っ込めた。
「しかし、沙羅ももうそんな年齢なんだな……」
 溜息混じりにそんな言葉が自然と出てきた。
 もう沙羅も大学生なわけだし、恋愛について真剣に考えるのも当然のことだ。
 親としては子供の成長を素直に喜んでやるべきだろう。
 しかし……そうは思っても少しばかり寂しさが込み上げてくる。
 これが年頃の娘を持つ父親の心境ってやつなのか?
 だとしたら、俺も父親としての自覚が多少は出てきたってことなのか……?
 嬉しくもあり、悲しくもある……。
 そんな複雑な感情を抱えたまま、今日は眠りにつくことになった。
 


次に沙羅ちゃんがこの店に来たのは、彼女が田中先生と一緒にやって来た日の3日後の午前中だった。
「こんにちは、いづみさん」
 沙羅ちゃんは礼儀正しくお辞儀をしてからカウンター席に腰を下ろした。
 それから彼女は私の目を真っ直ぐに見つめてから、こう言った。
「私をアルバイトとして雇っていただけませんか?」

 この時、私がなんて答えたのか……敢えて言う必要もないでしょうね。



「いらっしゃいませ〜♪」
「いらっしゃいませ!」
 その翌週から、私のこの小さなイタリアンレストランに沙羅ちゃんと尚人君の2人の明るい声が響き渡るようになった。
 この日最初のお客さんはまだ何を注文しようか悩んでいるようで、なかなかオーダーが入ってこない。
 そこで私は退屈しのぎに厨房の勝手口から体を半歩ほど外に出して空を見上げてみた。
 天気予報で梅雨ももう明けたと言っただけはあり、真っ白な太陽が真昼の空に我が物顔で浮かんでいる。
 気の早い蝉もいたようで、店の前の木でじ〜じ〜と鳴き続けている。

 長雨の季節は終わりを告げ、太陽の季節が始まろうとしている……。




あとがき
 ほのぼの後日談6『太陽の季節』、いかがでしたでしょうか?
 前回は沙羅にとってちょっと悲しい物語だったので、その分今回は彼女にとって明るい話にしてみました。
 そんな彼女のお相手となる石原尚人君ですが、前作・Never7をプレイなさった方ならばお分かりのとおり、N7主人公石原誠&ヒロイン川島優夏の息子という設定です。
 書いた後でなんですが、このカップルは反則かもしれませんね……(汗


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