あなざー・らいふ お手軽版
                              かぱちゃぱ


  今日は武とのデートの日。
  約束の時間が迫る中、優春は下着姿のままベッドの上
 に並べた洋服と睨めっこを続けていた。
「う〜〜〜ん。どれにしようかな。倉成って結構大人っぽいの
が好きなのよね〜。」
  その影響からか、優春は武と付き合い始めてからはレー
 スの入った下着を好んで着ていた。
  (見せる相手が出来ると自然に気合が入るのよ♪)
 と言って、母親のゆきえを感心(?)させたとか。
「おかあさん〜。 まだ〜?」
  痺れを切らしたらしい、優秋が口を尖らせて文句を言う。
「あ、ごめんね、ゆう。でも迷っちゃうのよ。」
「む〜〜〜〜〜。 はやく遊園地いこうよ〜。」
  ベッドに腰掛けた優秋は、小さな足をパタパタさせた。
「う〜〜〜ん。あ、そうだ!ねえ、ゆうはどの服をお母さんに
着て欲しい?」
「え〜〜〜とね。これ。この色がすきなの。」
  優秋が見立てたのは暖色のカジュアルだった。
  選んだ理由は、母親と離れても見つけやすいと言う実に
 自分本位な事だったりするのを優春は知らない。
「へ〜、意外とセンスいいのね。流石は私の娘♪ よし!じ
ゃあ、今日はこれを着て行こうかな。」
  ちっちゃな愛娘が見立ててくれた服を、ようやく身につけ
 る優春だった。


           §        §


  2027年5月に起こった海洋テーマパークLeMUの事故。
  それに巻き込まれたのは、田中優美清春香菜にとっては
 幸運であったと言えるかも知れない。
  LeMU圧壊の危機の中、更に恐怖の殺人ウイルスTBに感
 染した優たちは、キュレイキャリアであるつぐみから作った
 強力なワクチンによって命を取り留めた。
  そして、このキュレイ感染は治癒不可能の心臓病を抱えた
 余命1年の優春に命の継続をもたらしたのだ。
  ――――― 最愛の人と共に。


           §        §


  優が指定した今日のデート場所である遊園地。
  LeMU内にある医務室で結ばれた武と優春は、あの時の約
 束通り、恋人として付き合っていた。

  当初、脱出出来たら余命1年を二人でデートしまくりで、遊び
 倒そうと言う事が、いつの間にか無期延長になったのは言うま
 でもない。

「おっせえな〜。 待ち合わせの時間、間違えたかな?」
  今日は何か大事な話があるとか合わせたい人がいるとかで
 柄にも無く武は緊張して来ていたのだ。
「でも、優が親に紹介するって言うには、待ち合わせ場所が遊
園地ってのは無いよな。」
  などと、考えていると
「倉成〜、お待たせ。ゴメンネ、遅くなっちゃって。」
  優の明るい声が武を呼んだ。
  一応、恋人同士だし、もう他人でもないのに苗字で呼ぶのは
 多分、照れくささもあるのだろう。
「やっと来たかい。さて、今日も遊び倒すとしますか。」
  声の方を振り返ると、春物のカジュアルにミニスカートの優が
 居た。
「―――― ん?」
  そして、その腕には2歳くらいの可愛らしい女の子が抱かれ
 ていた。

  幼子を抱いたアイドル顔負けの美少女と言うミスマッチが周
 りの視線を集める。
  もっとも大半は、一緒にいる武への嫉妬なのだが。

「(ジー―)」
  武をじっと見るその目の形、鼻や口の造り。そして優と同じ
 髪の色は二人が血縁である事を物語っていた。

「今日、・・・逢わせたいって言ったのはね。―――この子なの。」
  何でもはっきり言う優にしては今日は歯切れが悪い。

「――― じゃあさ、早速紹介してもらおうかな?」  
  察した武は、勤めて明るく言った。
「うん・・・ この子は名前は優美清秋香菜。私の・・・娘・・よ。」
  不安げな顔を無理に笑顔で隠そうとする優春。
  腕の中の優秋も何かを感じ取って、そんな母親を心配そう
 に見ていた。

「そうか。俺は倉成武だ。よろしくな、優美清秋香菜。」
  しかし、そんな優春の心配を余所にいつもの調子の武。

「おかあさん・・・・ このひとだあれ? 」
  物怖じしない優秋が自分を優しく見つめる武を母親に問う。
「え?  ええっとね・・・・・」
「あ!? もしかして〜。ゆうのおとうさん?」
  優秋のその一言にハッと武の顔を見る優春。
  不安げな色を浮かべた表情で、優秋を抱える手に無意識
 に力がこもってしまう。

「そうだよ。俺はね、ゆうのお父さんなんだ。」
「――――――!? え?」
  口ごもる優春が何かを言う前に、武はそう名乗った。
  驚く優春の顔を何時もの笑顔で見詰め返す武。
「ほんとに? ゆうのおとうさんなの?」
  にぱっ、と明るい笑顔を母親に向ける。
「 ぐすっ。 ええ・・・・そうよ。 」
  そして優春は込み上げる嬉しさに涙ぐんでいた。

「よしっ。今日は3人で遊ぶとするかね。」
  優秋を受け取り、抱き抱えた武が、涙ぐむ優春を促す。
「でも・・・・いいの? それに・・・その、この子の事で聞きた
い事もあるんでしょ?」
「―――― ?いや・・・別に。」
「そ・・・・そう?(汗)」
  ややこしい話な為、ここで聞かれても困るが、聞かれずに
 いられるのもちょっと困る。
  子供が居ると言うことは、普通だったら相手が居る事にな
 るのだ。

(本当に倉成が初めてだったんだもん。勘違いされたままな
のも嫌だよ〜(汗))

  実際、優秋は優春が自分の細胞核で自分の卵子を受精
 させ胎内に宿らせたクローン。
  つまり、優春は出産はしたが、あのLeMUで武と結ばれる
 まで処女であったし、間違いなく未経験だった。
 (それに・・・・痛かったし。)とは、その時の優春の談。

  しかし、優春の思いとはうらはらに、そんな事は気にした
 風もない武。
「 ま、聞きたい事は無い事も無いけどさ。後でいいよ。それ
より今は遊ぶ事だろ?な、ゆう?」
「うん♪」
  既に気の合った感のある武と優秋。
  武の性格は知っていたけど、予想を上回る展開は優春も
 戸惑うほどの嬉しい誤算だった。
「何よりも、断る理由が全然見つかんないんだからしょうがな
いだろうが?優。」
「うん・・・・うん。 ありがとう、倉成。」
  そっと寄り添う優春。
  ちょっと若すぎるが、幸せな家族がそこにはあった。


           §        §


「と、まあこんな未来・・・と言うか世界は無いかなって・・ね?」
「は・・・はあ。それを僕に探せと?」
  珍しく、優春に喫茶店に呼び出されたホクト。
  席に着くと、何やら妄想話を聞かせられたのだ。
「別にどうこうしようって事じゃないのよ。ただ、そんなささやか
なかつ、幸せな私がいるのかが知りたいの。」
「僕や沙羅がいない世界なんですね.。はあ・・・わかりました。」
  溜息ひとつつき、承諾する少年。
  行動パターンが優秋と同じ以上、何を言っても自分が折れ
 るしかない事をホクトは骨身に染みて知っていた。
「ふっふっふっ。 じゃあ、お願いね。」
  優春の期待を一身に受け、目を閉じ精神を集中する。

   --------  5分経過   --------

(ドキドキ・・・・・・・・・・)

   --------  15分経過   --------

(ドキドキ・・・・・・イライラ)

   --------  30分経過   --------

(イライライライラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・プチッ!)

「ちょっと!! どう言う事よ! まさか・・・ないっていうの!?」
  焦りと苛立ちからバンッと、テーブルを叩くキレた優春。
  普段は落ち着いて見えても、やっぱりと言うか、親娘揃っ
 て同じリアクションだ。
  そこで、ホクトが一言。
「ご・・ごめんなさい。一週間・・・いや3日待って下さい。それま
でには何とか―――――。」    
「・・・・・・私は借金の取りたてか?(汗)」
  意外と武のお笑いの血を受け継いでるホクトだった。



  その後、懲りずに今度はココの所へ行く優春。
「----- と言う世界なんだけど。どう?」
  そこで、ココが一言。
「それって、なっきゅのコメッチョ?」
「違うわよ〜〜〜。(涙)」



    【 あとがき 】

 優春グッドえんどを書いていたら、それはもう、えちぃ話にな
ってしまいまして・・・・
 なにしろ、話の半分以上が優の初○験シーンでしたし。(汗)
 しかも、首にリボンと蒼いストッキングと言うスタイルで!
 完全版は日の目を見る事が出来るのかな?(オイオイ)

 でも、武が二人の優と家族になっていく展開が私のお気に入
りな展開だったので、削りに削ってオチまでつけて一本デッチ
あげました。(笑)


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