【  ○○買います  】
                              かぱちゃぱ


「実はな。・・・・・付き合って欲しいんだ。」
「―――なんと!?(眉間にシワ)」

  ある日の夕方、桑古木から駅前の喫茶店に来てくれと
 の電話を受け、指定の場所にやってきた武。
  そして、席に着くや早々、思わず耳を疑う告白を聞かさ
 れてしまった。

         ガタンッ!

  店内の誰かが席を鳴らした音がした。

     ――――― シーン ―――――

  嫌な緊張感で、店内の空気が一瞬、凍りつく。
  気まずい顔のお客たちがそのままのポーズで固まる。

           ・
           ・
           ・
     ―――ザワッッ

  そして数瞬の後、何事も無かったかの様に、いや何も
 聞かなかった事にして店内の時間が流れ始めた。

『ねえ。お母さん。あの人たち・・・・・・・』
『駄目!見ちゃ駄目でしょ。(汗)』
  などと妙な会話が飛び交っていたり・・・・

  さて、そんなお客たちが汗を滲ませ事の成り行きをや
 り過ごそうと他の事に集中している中、衝撃の告白をさ
 れた本人である所の武は藪を睨んだ表情で問う。

「・・・・・・・・・え〜とな。で、誰と?(汗)」
「俺と・・・・だけど。嫌・・・・なのか?(不安そうな目)」

     ガタガタッッ!
  またもや何人かの客が一斉に席を鳴らす。


  見目麗しい若い男二人で繰り広げられる怪しげな会話
 に店内に気まずい雰囲気が濃厚に立ち込める。

  そんな中で、若いウェイトレス一人が期待に潤んだ目
 で事の成り行きを見守っていた。 
『ステキ・・・・・・・・・(はーと)』
  彼女の目には二人の間に漂う『薔薇のえっせんす』が
 見えているのかも知れない。(なんじゃそりゃ?)

     ごくんっ!ごくんっ!

  武はお冷を一気に飲み干すし心を落ち着かせる。
  そして、なるべく笑顔で済まなそうに言った。

「ふ〜〜。なあ涼権。お前はイイ奴だし、気持ちは嬉しいん
だが、俺にはそういう趣味は―――――(汗)」

  その言葉に今度は桑古木の目が点になった。

「はあ?ちょ、ちょっとマテイ!俺はこれから飲みに付き合
わないかってイミで言ったんだよっっ!!(涙)」
  慌てて勘違いを否定する桑古木。

           ・
           ・
     しばし白い時が流れ――――――
           ・
           ・

「――――あ!なんだよ〜。そういう事かい。あっはっは♪」
「そうだよ〜。全く武は相変わらずボケがキツイぜ。」
  と、何事もなかったかの如く、和やかに笑いあう二人。

『な〜〜んだ。(ホッ)』
  店内のお客たちも勘違いだと分り、安心してくつろぎ始
 めた。

『な〜〜んだ。(ガックリ)』
  ・・・・・・心底残念そうに仕事に戻るウェイトレスを除いて。



          島刀@     島


  さて、何だかんだで男同士の楽しい時間を過ごした武。
  やはり気の合う友人と飲む酒は格別でズルズルと閉店間
 際まで飲み明かし・・・・・

「ほんじゃあ、またな〜〜。」
「おう。又近い内に飲みに行こうぜ。」

  気が付けば既に零時をまわって午前2時となり、帰宅した
 武は寝室前の廊下で立ち尽くしつつ困り果てていた。

「・・・・・イカン。こりゃあマズイな〜〜。せめて連絡くらいはし
とくべきだったわい。(汗)」
  と、頭を掻きながら苦笑いする。

  武がつぐみの待つ寝室に入れない理由・・・・
  
  ホクトも沙羅も知らないであろうが、つぐみは夜、寝室に
 入ってからは従順で甘えん坊になってしまうのだ。
  武に身を任せ、そして安心して寝られる事がどれほど彼
 女にとって至福の時間か・・・・・・

  だからこそ、一人で淋しく布団に入ったであろうつぐみが
 拗ねて怒って、ふて寝したのは、武には想像に難くなかった。

「う〜〜ん。かといって居間のソファーで寝るのも何だしな〜。」
  となると、残る手立ては子供たちの寝室に乱入する事に
 なる訳で・・・・・・

「まあ、もちろん沙羅は除外と。(ウンウン)」
  強かに酔ってるとは言え、適切な判断だ。
  もし仮に武が夜中に乱入してきたとしても沙羅は嫌がった
 りはしないだろう。
  むしろ望む所と喜んで迎え入れる辺りが問題と・・・・


  結果、当然の如く、ホクトの部屋に向う事になった次第で。


「てな訳で、ホクト〜。邪魔するぜい。」
  一応、聞こえないくらい小さくノックと断りの言葉をかけて
 入る武。
「く〜〜〜〜〜。す〜〜〜〜〜〜。す〜〜〜〜〜。」
  当然、返事は無く当のホクトは安らかに寝息を立てていた。
  150cmを少し越えた位の小柄な少年の寝顔はまだ幼く、あ
 どけさなを残している・・・・が、武にはどうでもいい事だった。

    ポイっ。ポイポイっっ。

  武は酔いの周った身体をフル稼働させ、汗ばんだ衣服を
 脱ぎ捨た。
  そしてパンツ一丁になると、ホクトの寝ているベッドに潜り
 込んだ。

「ふぁぁ〜〜。オヤスミな。ホクト・・・・・・ぐ〜〜、ぐ〜〜〜。」
「ん〜〜〜?んん〜〜〜。むにゃむにゃ・・・・・・」
  速攻で寝息を立てる武。ホクトも何か違和感を感じつつも
 父親の温もりを感じ、安心したのかそのまま寝入ってしまった。

  そのまま仲良く身を寄せ合い眠りに付く親子だった。
 



     次の日の朝・・・・・・・・

「おっはよ〜〜、マヨ♪ 今日も良い天気ね〜。」
「・・・・・・おはようございます、なっきゅ先輩。」
  ハイテンションの優秋が朝食前の倉成家を訪れた。
  いつもながらヒマワリみたいなサ○エさん的元気のよさだ。

「・・・・・・今日は朝から何の用事でござるか?(ボー)」
  眠い目を擦って何事かと問う沙羅。
「ほら今日はスッゴイいい気分だからさ〜。ホクトとデート兼ドラ
イブでも行こうかなって思ったのよう♪」
「ふぁ〜〜〜。さようでござるか。(ネムネム)」
  思いついたら止まらない性格の優秋。
  どっちかと言えばドライブに付き合わされるという意味の方
 に比重が高いのは間違いない。

「で、ホクトはまで寝てるの?」
「そりゃまあ・・・・今日は日曜日でござるから皆、まだ寝てます
よ。拙者も先輩からの携帯が来なければ・・・・・ふぁぁ〜〜。」
  とりあえず自分に御呼びがないので、優秋がいなくなったら
 もう一回寝ちゃおうと考えている沙羅。

「二人とも若いのにしょうがないわね〜。いいわ。私が叩き起こ
してくるから。」
「なっきゅ先輩。おてやわらかに〜〜〜。」
  なにしろホクトが起きない場合は寝巻きのまま引きずって車
 に積み込み連れて行きかねないのだから妹は心配だった。
  そんな後輩に見送られホクトの部屋に向って行く優秋。

  部屋の前につくと、ノックもせずに勢い良くドアを開け放った。

     バタンッッッ!

「ホクト〜〜。起っきなさいっっ!・・・・・・・・・・・・・へ?(呆然)」
  その瞬間、優秋の目が点になった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?(唖然)」
  少女が見た者は、裸の若い男の胸に顔を埋めて気持ち良
 さそうに眠る少年の姿だった。(ビシ)

「く〜〜〜。す〜〜〜。す〜〜〜。」
「ぐ〜〜〜〜〜。ぐ〜〜〜〜〜〜。ぐ〜〜〜〜〜。」

  その光景に大いにパニクる優秋。
「・・・・・・・・・・・・え?ええええ?これは一体??」

  ベッドの上で仲睦まじく絡み合う美青年と美少年。
  しかも二人は正真正銘の血の繋がった父子だ。

「あは・・あははは・・・・そうよね。きっとこれは何か止むにや
まれない上にどうしようもない訳が・・・」
  と、何とか気を持たせようとした途端、
「う〜〜〜ん。・・・・・・おとうさぁ・・・ん・・・・・・(はーと)」
  と、トドメの追い討ちを掛けるが如く、甘えた口調の寝言が
 ホクトの口から放たれたのだった。

  そう!まるで二人の仲を見せ付けるが如く!(オイ)

    ビクッッッ!!

  思わず足元がふらつく優秋。
『ま・・まさか?!そんな?だってホクトは私に告白して付き合
ってくれって。ああ!?あれは何だったのよう?(呆然)』

  一瞬、あれはホクトが自分の嗜好を隠す為に仕組まれた
  偽装工作だったのではと不穏な事が頭をよぎる。(マテイ)


  優秋は呆然とした表情のままポケットから携帯を取り出し、
    カシャッ!  
  と、携帯に付いているカメラでその光景を一枚撮った。


  そしてゆっくりと後ずさり――――

    バタンッッ。

  未知の世界のドアを閉めたのだった。

「先輩?なっきゅ先輩?何かあったでござるか?」 
  心配そうに覗き込む後輩の肩を掴み、血走った目で激し
 く揺する優秋。
「ない・・ないわよ。そう、何も私は見てないわよっ!なのよ!」
「さ、ささ、さささ、さささ左様でござるかかかかか・・・・・(汗)」
  優秋の動揺が伝わったかのように声がブレる沙羅。 

  そんなこんなしていると、
「ふあぁぁ〜〜〜。ねみ〜〜〜。おう、おはようさん〜〜〜。」
  寝不足と二日酔いでダルそうな顔をした武が二人にあいさ
 つしながらシャワーを浴びる為バスルームに入っていった。

「あ、パパおはよ〜♪ あんっ、そんな格好で〜〜。もうパパっ
たらぁ。えっちぃ。(はーと)」
  パンツ一丁で歩き回る父親を嬉しそうに見詰る少女がホク
 トの双子の妹である事実が更に優秋の疑惑を強くした。

『ああ・・・・兄妹そろってこんなんなのね?(ガックリ)』

  そして思い浮かぶ言葉。それは『双子の魂、百までも』。
  ・・・・・・・意味違うし、双子じゃなくて三つ子だし。

「・・・・・私、帰る。」
  そして、優秋はふらつく足取りで帰路に着くのだった。


           島刀@   島


「お母さん!これ見て!!ねえ・・・・どう?どう思う?」
  速攻で帰宅した優秋は母親である所の優春に携帯に写っ
 た例の写真を見せ相談をもち掛けた。

  そしてこれは何かの間違いだといって欲しかった。
  ホクトから事情を聞く勇気を与えて欲しかった。

  しかし、それを見た優春の言葉は――――

「・・・・・・・・いくら?(ギロリ)」
「―――はい?(汗)」
「いくらなの?いくらで売ってくれるの?言い値で買うわよ!!」
  若い頃、ボー○ズラブにハマっていた血が目覚めてしまった
 ようだ。
  たとえその被写体が自分の恋人(?)とその息子であっても
 萌えてしまうあたりが・・・・・・なんとも業の深い。(チーン)


  結果、問題は解決してないし、むしろ優春の趣味も巻き込ん
 で、ややこしくなったとか。(オイオイ)

  後日、見に覚えの無い誤解を解くのに相当苦労したホクトだ
 った。

  とりあえず優秋の懐は潤い、優春は素敵なお宝が手に入れ
 たという事で・・・・・はっぴーえんど?(ええっ?)


  


      【 あとがき  】

 ああ、又やってしまいました。_| ̄|○
 何故か、思い出したようにボー○ズラブねた・・・・・・

 感想おまちしております〜。


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