春よ、来い。 キラ |
《桑古木視点》 ピリリー、ピリリー、やかましい電子音が俺を眠りから呼び覚ます。 「ったく。誰だよ、こんな朝から。」そう言ってる間にもPDAは鳴り続けている。 「しゃあないな〜。」ピッ! 「もしもし?」 「あっ桑古木?おはよう。」 「なんだ、優か。」「なんだとは何よ!なんだとは!」 「すまん、すまん。」電話の相手は優―田中優美清春香菜―だった。彼女は俺の働いている研究所の上司。というよりは研究所の最高権力者である。容姿のほうは申し分ない。そこらへんのアイドルでは太刀打ちできないほどだ。性格の方は豪快、痛快、愉快の3拍子揃っている。こっちとしてはたまったもんじゃないが…。 「ちょっと!ちゃんと聞いてる?」 「あっすまん、すまん!で何だ?」 「はぁ〜、今日の予定を聞いてるの。」 「予定?」 「そう、予定。今日昼から空いてない?」 「特に予定は無いけど…。なんだ?」 「もしよかったらちょっとお茶でもしない?」 正直少し返答に困った。こういう時にはろくな事がない! しかし…。 「だめ…かな?」 「イ、イヤ、別にいいぞ!」 「そう?じゃあ12時に駅前の喫茶店でどう?」 「ああ、問題無い。」 「じゃあまたあとでね。」 「分かった。」 ピッ!プープー。 「……。はぁ〜、せっかくの休みがだいなしかよ!」 それならOKしなきゃいいんだが…後が怖いし!!しかもあんなかわいい声で言われてみろ!どんな男でも一発だよ!きっとまたとんでもないこと言われるんだろうな〜。 「はぁ〜。」 俺はもう一度大きな溜め息をついた。 《春香菜視点》 「ふぅ〜。」 彼に電話するのはいつもの事だった。電話は大抵仕事の事だ。しかし今回はいつもとは違う。プライベートな事だ。 「あっ、おかあさん。おはよう。」 「あら、ユウ。おはよう。早いじゃない。」 「うん、今日はちょっとでかけるから。」 「ホクト君とデート?」 「ち、違うわよ!」「またまた〜そんなこと言って〜。」 「そ、それより、お母さんは?」 「今日は休みよ。」「違うよ〜。誰に電話してたの?」 「べ、別に電話なんてしてないわよ!」 「お母さん。」と言ってユウは私の手を指した。私の手にはしっかりとPDAが握られている。 「誰に電話してたの?」 「べ、、別に誰でもいいでしょ!」 「分かった、たぶん桑古木ね?」 「ち、違うわよ!」「じゃあそれ貸して。」ユウはまたしてもPDAを指していた。 「違うのなら見せれるわよね〜?」 流石は遺伝子まで完全に同じの娘。私の考えていることはお見通しらしい。 「…。そうよ、桑古木よ。ちょっと仕事の事でね。」 動揺を隠してさらりと答えた…が。 「あれ〜おかしいな〜。昨日桑古木久々の休みだ〜!とか言ってたはずだけど?そういえばお母さんも休みよね?偶然ね〜。二人でどっか行くの〜?」 ユウは含み笑いをしながら聞いてくる。流石に自分に嘘をつくのは無理らしい。「そんなことするわけないじゃない!それじゃあまるで恋人よ!」 自分の顔は真っ赤に燃えている。 「そうよね〜桑古木なんかとね〜。」 「そ、そうよ!」 これでなんとか誤魔化せたと思っていると…。 「そうよね〜。あんな変態ロリコン野郎なんかありえないわよね!」 ピキッ!私のなかで何かが弾けた音が聞こえた気がする…。「彼は変態なんかじゃないわ!誠実で優しい人よ!それは17年間一緒にいた私がよく知ってるわ!!」 いっきにそこまで言って初めてユウの作戦だということに気付いた。 「やっぱりね。今日桑古木とデートなんでしょ?」 まんまと作戦にひっかかってしまった。「はぁ〜。ばれちゃったか。」 溜め息一つ。 「お母さん桑古木の事好きなの?」 「…。たぶん…。」「それは武さんに似ているから?」 「それは違うわ!」これは本当だ。確かに桑古木と倉成に似ている。17年間続けていたせいか仕草なんかは本当にそっくりだ。だが…。 「倉成と桑古木は全然違うわ。」 そう…。仕草などは同じでもその本質はまったく異なっている。だから私が桑古木に倉成の影を感じることはない。 「お母さんも素直じゃないよね。もっと素直になりなよ。」「…。」 ユウの言っていることはもっともだ。いつもは割と冷静な方なのに…。こういうことになると急に恥ずかしくなってしまう。 「お母さん…。大丈夫!きっと桑古木もお母さんの事好きだよ。」 「そうかしら…。」「だから今日は頑張らないと!」 「…。そうね。頑張ってみるわ。でも…ユウはいいの?」 「??何が?」 「もし桑古木が父親でも…。」 「えっ!?もうそんな話になってるの!?」 「ち、違うわよ!もしよ、もし!」 ユウにはいろいろと迷惑をかけている。ユウを生んだこと事態が罪なのではないか?と思っていた時もある…。でも…。「ん〜、私はお母さんが幸せならそれでいいかな。」 ユウは…娘はこんなにも私の幸せも願ってくれている。そして私もユウの幸せを心から願っている。 「ありがとう、ユウ。」 今ではあなたを生んで本当によかったと思う。そう思えるのは全部彼とあなたのおかげ。「えへへ、なんか照れるな。あっ、じゃあ私もう行くから!頑張ってね、お母さん。」 そう言ってユウは慌ただしく家をでていった。 「ふぅ、じゃあ私も頑張ろうかな。」 私は彼に会うため歩き始めた。 あとがきは後編にまとめます。 |
あとがき ……訳分かんない文章でしたね、スミマセン…(汗) えーと、SSを書くのは久しぶりで、自分のスタイルというかそういうものが 完全に無くなってしまいました。それが文章のまとまりの無さや話の強引さとして 表に出てきてしまった感があります。特にEVER17は元のストーリーが しっかりしているので、自分の文章として書くのは大変でした。まぁ、ギャグ の要素が元のゲームにも入っているので、そっちの話は書きやすいかもしれませんが。 甘口辛口どっちでも、感想あればお願いします! |
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