chaotic mind キラ |
《桑古木視点》 ピーッ!『アクセスエラー、名前またはパスワードが違います。』 「くそっ!」 そういって俺はパソコンの画面を叩いた。もちろん手加減はしてあるが…。 今は2030年、あの事故から13年たった。事故のあと優の計画…つまり第三視点発現計画…を行おうとしている…。それにより事故によって死んでしまった武とココを救おうというのだ。最初は信じられなかった。今でも成功するかは不安だ。 それでも2人を助けたくて、俺と優、そして空の3人で計画を実行に移すのだ。しかしそれと同時に、憎きライプリヒ製薬を叩き潰すための証拠を握らなければいけない。奴等の行ってきた非人道的行為を野放しにしておくことはできない。 しかし…状況証拠ばかりで物的証拠は何一つ無い。これではいくら状況証拠が揃っていても裁判で勝つのは難しいだろう。だからなんとかして物的証拠を手に入れようとしているのだが…。 ピーッ!『アクセスエラー、名前またはパスワードが違います。』 この調子だ…。このままでは証拠の掴めない。それではもし2人を助けてもみんなが幸せな生活を送れるか定かでは無い。 「くそっ、時間が無いっていうのに!…武…ココ…俺は…俺はどうすればいいだ…?」 そう言って俺は椅子にもたれかかり天を仰いだ…。そして俺の意識はまどろみの中に消え… 「桑古木〜!!」 なかった…。 「なんだ、優か。」「なんだじゃない。いるんだったら返事ぐらいしてよ。」 「へいへい、すいませんでした。」 俺はささやかな反抗をしてみた。 「なんかむかつくわね。まあいいわ。それよりそっちの成果は上がってる?」 「見ての通りさ。」 そう言って俺はさっきの画面をゆびさした。 「全然だめだよ。沙羅の力を借りたいくらいだ。」 俺は大袈裟におどけてみせた。 「しょうがないわね…。もう時間も無いし。」 「なんかいい方法でもあるのか!?」 俺は椅子を倒さんばかりの勢いで立ち上がる。 「そのことで少し話があるの。空を待たせているから早く行きましょう。」 「了解。」 俺と優は部屋を出た。 目的の部屋に着くとそこには真剣な表情の空が立っていた。「お二人とも、お待ちしておりました。」 「待たせたわね、空」 優は大きなテーブルの横にある椅子に腰掛けた。俺をその隣りに座った。向かい側には空が座っている。 「さぁ、始めましょうか。」 「何をだよ?」 ぶっきらぼうに尋ねる。 「まぁ見てなさいって。空、地図をお願い。」 「はい。」 そして俺の目の前に大きな地図が開かれた。 「…!?優、この地図は?」 そう。この地図には見覚えがあった。確か…。 「ええ、これはホクトと沙羅が以前囚われていて、私たちが潰した研究所よ。」 「やっぱりか…。それでここがどうかしたのか?」 以前沙羅とホクトを助けるためにこの研究所を潰した。まあホクトはすでにいなかったのでとりあえず沙羅をこの研究所から脱出させたのだ。その後の事は気にもしなかったが…。 「おそらくだけど…。ここには私たちの探しているものがあるわ。」 「マジかよ。でもなんであそこんだ?あそこは俺らが潰したはずだろ?それに他にも奴等の研究所なら腐るほどあるはずだ。」 俺は素直に疑問を投げ掛けた。 「だからこそですよ。」 「空の言う通りよ。あそこなら人々の目を誤魔化せるでしょ?それに一度見に行ったんだけど入口の前に見張りがいたわ。どう?」 「確かに…。使われていない研究所に見張りがいるのは怪しいな…。」 「そう言う事。じゃあ作戦を立てましょうか。」 こうして俺たち3人は侵入するための作戦を決めることにした。 「じゃあ、私と桑古木が地下から潜入、空は非常出口で待機していて。」 「わかりました。」 空は素直に従った。だが…。 「ちょっと待った。」 俺は不満があった。 「何よ?何かいけないところでもあった?」 「ああ、かなり不満だ。」 「どうしたのですか?桑古木さん?」 「俺はともかく優まで侵入するのか?」 「ええ、そうよ。」 「ダメだ。」 「なんでよ?」 「ダメと言ったらダメだ。」 武ならきっとこう言うだろう。 「あなた一人じゃ心配でしょ?」 「俺はお前と一緒の方が不安だ。」 と言うのは嘘だ…。ただ単に優を危険なめにあわせたくないだけだ…。 「ダメよ。絶対私も行くわ。」 「ダメだ。」 「行く。」 「絶対ダメだ。」 「絶対行く。」 「…。」 「…。」 これじゃあらちがあかないな…。 「わかった。もういいわ。」 そう言って優は部屋を出ていった。部屋には俺と空が残された…。気まずい沈黙が訪れる…。 「桑古木さん…。」 沈黙を破ったのは空だった。 「先生はあなたの事が心配なんですよ…。」 空はとても心配そうな顔をして言った。 「分かってるさ…。でも…俺も優の事が心配なんだ…。だから…。」 そう、いくら優がキュレイキャリアと言っても女の子であることに変わりはない。だから優の事が心配なのだ…。 「こんな時にあいつがいればな…。」 「リオンさん…ですか?」 「ああ、あいつどうしてるかな…。」 「そうですね…。もう3年になりますしね。」 「今ごろはお偉いさんかね〜。」 「天才少年科学者ですしね。」 空の声は少し寂しそうだった。 「でもあいつ3年前までおねしょしてたんだぜ。」 「ほ、本当ですか!?」 空は耳に響かんばかりに言った。 「ふっ、ははは!冗談だよ、ジョーダン。」 「そんな〜。ひどいですよ。桑古木さん。」 そう言いながらも空は笑っていた。 「やっと笑ったな。」 「えっ?何か言いました?」 「いや、なんでもない。さあ、どうすっかなぁ。」 ため息混じりの声で言う。 「やはり先生と話し合ったほうがいいかと…。」 「そうだな…。わりぃな、空。気を使わせちゃって。」 「それはお互いさまですよ。早く行ってあげてください。きっと待ってますよ。」 空は微笑みながら言う。しかしその笑顔は少し寂しそうだった。 「…?空、どうかしたのか?」 「な、なんでもありませんよ。さっ、早く行ってください。」 空は俺の背中を押した。そんな空の態度によそよそしさを感じた。 「分かった。じゃあな、空。」 「いってらっしゃい。」 そして俺は部屋を出て優のもとにむかった。 空が泣いていることをしらないまま…。 続く。 |
あとがき お久しぶりです。初めてシリアスっぽい物を書こうと思いまして・・・。 やっぱり難しいですね〜。ところどころ日本語おかしいし! この話はちょっと長くなる予定ですが・・・まあ長い目で見てやってください。 ではまた2話目で! |
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