『究極超人R権(仮名)』
                              KPCP


  圧壊を間近に控えたLeMU。その極限状態の中、遂にモリノ
 博士による世界制服が開始された。

『ワシは学会に復讐してやるんだ〜〜〜っっ!』

  そう宣言したモリノ博士の周りを無数の小型機動みゅみゅ〜
 んが取り囲みつつ世界制服の旗印となるLeMUを修復し、なお
 かつ、妖しげな基地へと改造していく。

                 ・
                 ・
                 ・
                 ・


「さ〜〜〜て。 んで、どうするよ。アレ。」
「フン。どうもこうもないわよ。あんな馬鹿馬鹿しいのにこれ以上
付き合ってられないわ。」
  闘う気満々で粉砕バットを構える武と、非常識な光景に苛立つ
 つぐみ。

「待って!二人とも。」
  そんな二人の前に、悲痛な表情の優が両手を広げて立ちふさ
 がった。
「そうか、いつかお前とはこうなる事になるんじゃないかと。(ニヤ)」
  その優に向けて粉砕バットを構える武。
「―――バカっ!武は黙っててっ!(怒)」
  ゴンっ!と武の顔面に炸裂するつぐみの一撃。
「――――ぐわっ?! ・・・・・・い、イシャは何処だ?(涙)」
  あくまでボケつつも、よろめく武を押しのけ、つぐみは優に聞く。
「まったく・・・・。で、どういうこと?」
「・・・・・・学会に復讐するって言ってたでしょ?それって、もしかした
ら・・・・モリノ博士は私の所為で・・・・」
  悔しそうにギュっと、握る指に力を込める優。 
「優・・・・あなた? じゃあ、あの人が優の話の?」
「いてて・・すると何か? お前が原因で――おっと、すまん。(汗)」


  数年前、間近な死を受け入れられず絶望の淵にいた自分に、新
 しい自分と、掛け替えの無い宝を与えてくれた父親にも等しい存在
 の人。
  しかし、無垢な身体の少女に自らを受胎させ、この世に生み出す
 という、その所業はあまりにも罪深くて・・・・・・・

  そのことが原因で、博士だけ罰を受け、その結果あんな暴挙に出
 たのだとしたら・・・
  そう考えると、優は見過ごす事が出来なかった。


「モっっ、 モリノ博士――――っっっっ!!」
  駆け寄り、みゅみゅ〜んがせっせと組み上げている奇妙な建造
 物の上に立つモリノ博士に向けて叫ぶ優。

「―――むむっ?! おおっ、なんじゃ嬢ちゃんか?こんな所で奇遇
じゃな〜?あの子は元気にしとるかね?」
「うん・・・ユウは大きくなったわ。この前ママって呼んでくれたのよ。」
  みゅみゅ〜んが作り上げた岡本太郎風味の前衛オブジェの前で
 始まる感動的な場面。
  明らかに場違いな、しかししんみりとした雰囲気が辺りをつつむ。

「そうかそうか〜。そりゃあよかったのう。じゃあワシは忙しいからこ
れでな。あ〜〜、ワシは学会にぃ〜〜〜〜〜〜っっ!!」
  暖かい目で頷くと、すぐさまモリノ博士はメガホンを持ち直し叫び
 続けた。  
  あっけなくスルーされた優が慌ててモリノ博士をこっちの世界に
 呼び戻す。
「ちょっとちょっとぉ〜〜!!ねぇ、モリノ博士。教えて!博士がこん
な事をしたのって。私の・・・あの手術の所為なの!?」

  真剣な眼差しの優の目を見つめ返しながら、モリノ博士は暫らく
 考え込む。

                 ・
                 ・
                 ・
                 ・

  突然、ポンっと、拍手を叩く。、
「 おおっ!? 確かにあるといえば無い様な・・・気もせんでもない
なぁ。がはははっっ♪」

  どーにも噛み合わない何かを感じる武たちギャラリー。
「・・・・・・・何なのよ、今の妙な間は?」
「な、なんか面白そうだから、このまま見てようぜ。」

  優もなんとな〜く、自分との空気の温度差に気付きつつも、それ
 でもなお博士を問い詰める。
「・・・・・・・と、とにかく、どうしてなの? 教えてよ博士!!」
「――――ワシは学会にっっっ・・・・・・・・・・・。むむ・・・・・・・・。」
  演説がピタリと止まる。すっとメガホンが下に降ろされ、モリノ博
 士は遠い目をし、言葉を紡ぎ始めた。

「む〜ん・・・そう、あれはお嬢ちゃんがあの小さな嬢ちゃんを産んで
から、少し経っての事じゃった・・・・」

 モリノ博士の独白が始まり、みんな固唾を飲んで聞き入っている。


「あの事を何処から聞きつけたのか知り合いの学者連中がな。

   ”何故自分も手術によんでくれなかった(大激怒)”だの
   ”あんな可愛い、しかも○○の子にそんな羨ましい事しやがって”
   ”16歳の○○の女の子を○○○○したあげく○○○だと〜!?
   ”お前なんか仲間でも友達でもねぇや!(大涙)”

 とか勝手に大騒ぎしてワシを学会から追放したんじゃっ!(悔し涙)」



  博士の心の叫びが終わるとともに、静まり返る館内。
  ただ、みゅみゅ〜んの作業する音だけが空しく耳に響いている。

                 ・
                 ・
                 ・
                 ・

「――――なっ!? な、な、な、ななな・・・・・(超赤面)」
  恥ずかしさに優の顔がみるみる真っ赤に染まっていく。

  みんなの視線が一斉に博士から優にうつった。
「○○・・・・か。言われてみれば、確かにそうなんだよな。(汗)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・16歳じゃ○○○○も当然よね。(ボソっ)」
「あの・・・・○○○って・・その・・・・・そうなんですか?(ポッ)」
  いつの間にか空までが参加してコソコソと言っている。

  そして、いや〜〜な空気が周りを取り囲む。

「その時、ワシは決心した。必ずあの学会のアホ共を見返してやるん
じゃとな・・・・・。」
  悔しげに拳を握り締め、一人、独白を続ける博士
  その目には、キラリと涙が浮かんでいた。

                 ・
                 ・
                 ・
                 ・

「・・・・・・まあ、倫理とか非人道はともかく、これが優が言ってたバチ
ってやつかね?(汗)」
  武が俯く優を覗き込むと、何やら小刻みに震えていた。
  そして、カッと、目を見開くと武にこう言った。
「―――――倉成。それ貸して。」
「へ? お、おい?」
  おもむろに慌てる武から粉砕バットを奪い取る。
「ふ、ふふ、ふふふ・・・・ 倉成、つぐみ。あのじいさん殺るわよ!!」
  完全に優はキレていた。まあ、みんなの前で”あんな事”を暴露さ
 れたら当然だろう。
「ゆ、優・・・・おまえ目が怖いぜ。(汗)」
「これが罪でバチなら上等よ! このフザケタ計画もろともあの爺さん
を海の藻屑にして水底に沈めてやるっっ!!」

  流石に見かねて、つぐみが優を嗜めようとするが、もはや聞く耳を
 もたなかった。
「・・・・・・ちょっと。落ち着きなさいよ。あなたがここで――――」
「うるさ〜〜いっっ!!このままじゃあ、私はもうすぐ死ぬってのに安
らかに永眠する事ができないじゃないのよっっっ!(涙)」  
  確かに”あんな事=A宣伝されたら死んでも死にきれないだろう。
「―――そりゃそうだ。」
  思わず納得の武。

「そ、そんな田中さん、落ち着いてください――――っ。」
  触れられないまでも何とか暴走する優を止めようとする空。 
「空!あんたもアノ非常識な爺さんに何か言ってやんなさいよっ!」
「え、ええ? 何かと・・・・申されましても・・・・・・(汗)」

  突然ふられて、何をしていいのか空は分らない。
『ワシは学会に復讐してやるんじゃ〜〜っっ!! ワシは学会に――』
「ほら!ビシっっ、と!ほらほら〜〜〜!!」
  館内に響くモリノの声。そして自分を追い立てる優の言葉。
  困ってしまい、空はチラチラと、モリノ博士と優を交互に見る。
「えっと・・・・えっと・・・・・・・・・・・・・・(オロオロ)」
  迷った末、空は大きく息をすい、RSDで構成したメガホンを口元に
 持って行くとこう叫んだ。

『――――っ私は学会に復讐して〜〜〜〜〜〜〜っっ』

「お馬鹿〜〜〜〜〜っっ!!!!!(怒)」
  見事に空はボケた。
  スコーンっっと、空の後頭部に優の粉砕バットが炸裂する。
「きゃっっ?!痛いですぅ・・・ あら? 田中さん・・・いま、そのバットで
私を叩きませんでしたか?(涙)」
「何いってんのよ。痛いような気がしただけでホントは痛くないの!」
「は・・はあ・・・・そんなものなのですか?」
  確かに優の言う事は正論であるが、何か納得出来ない律儀な空。  



  その頃、物陰から事の成り行きを見守っていた少年とココ。
「・・・・・・なんかすごい事になっちゃったね。どうしようか?」
「ねぇねぇ、少ちゃん。この人、だ〜れだっっ?」
  何時の間にか、病気中か病み上がりかといった感じに、ヘロヘロ
気味な男の人がココの横に立っていた。
「え?この人どこから連れてきたの? え〜と、あの・・・・どなたです
か?」
  そう、この男性こそ十数年の間、ライプリヒ製薬に囚われていた
 優の父だった。
  そして、時間に任せてライプリヒへの反撃を狙い小型機動みゅみ
 ゅ〜んとアトラクション施設に似せてLeMUを戦闘基地に作り変えた
 張本人である。
「やぁ。R・田中陽一だよ。優美清春香菜のお父さんだよ。」
  ちなみに陽一さん。現在ティーフ・ブラウに感染中。(オイ)

  今、光も届かぬ深海で新たなドラマが始まろうとしていた。




            『 あとがき 』

    モリノ博士=青野武。
    R・田中陽一=塩沢兼人

    <BGM> 光画部ユンタ   
    この話も勇栄さんの所で振ったネタが元となりました。(^^)
    元ネタが分らなかった人、本当にすみません。(オイオイ)

   (このSSは勇栄さんの挿絵と共にお楽しみくださいませ。)






/ TOP  / BBS /  








SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送