【  わたしのANDROIDくん  】
                              KPCP


「いいかね、茜ヶ崎君。言うなれば・・・そう、恋愛とはプロレスに似
て非なるモノなのだよ。」

  また今日も恋愛講義と称して与太話を始める倉成先生。
  (・・・・・しかし、何故に恋愛に猪木イズム!?)

「まぁ・・・・そうなんですか?」
  それを素直に、疑いもなく真に受ける受講生の空。
  ちょっと目には2人とも冗談でフザケ合ってる様に見えるだろう
 が、やってる本人達は大真面目だったりする。



  ちなみに空は”天然≠ナある。それも事、恋愛が絡むと特に。
  そして、本人だけが”天然≠フ自覚が無い。

      『自分は”ヒト”じゃないから恋というモノが分らない』

  と、思い悩んでいる時点でズレているのだが、そこがまた可愛
 いと皆が思っていたり・・・・・(うんうんっ) 



  そしてなおも倉成先生の講義は続く。
「そう、例えば相手が仕掛けてくる場合にだ。あえて熱い思いと共
にダメージごと、その総てを受けきる!これが俺の恋愛理論さ。」
  ググっ!と、拳を握り締め熱弁を振るう。
  (・・・・ダメージって何?)
「―――――相手の総てを・・・・素敵です、倉成先生。(ポっ)」
  ここはツッコミ所なのだが、空はそんな事すら思いつかずに頬
 を紅潮させて武の恋愛論に聞き入っていた。
   
  果たして猪木イズムと恋愛の両立は成るのか!!?
  その答えは武が見をもって知る事となるのであった。(合掌)


           §        §



  そして次の日。
  倉成家を訪れた空は切なげな顔でこう言った。

「倉成さん・・・・私にさせてください。・・・・・お願いします。」

  そう、昨日の武の恋愛講座を早速実践に来たのだ。

「―――――なんと!?(汗)」
  果たして何を仕掛けてくるか?
  そう、猪木イズムに逃げる事は許されない。
  相手の攻撃は総て受けきるのだ。

  切なげに目を伏せ、流れる様な動作で、ファサッ、と武の目の
 前でコートを脱ぐ。
  その下から現れたのは、馴染みのチャイナだ。
  深いスリットから大胆に覗くスラっとした白い足が色っぽくも眩
 しかった。
  空にとってこの服は戦闘、いや勝負服。
  さらに言うなら、この服装は空の決意の表れであった。


  身も心も準備万端、いつでもOKとの意気込みの空。
  そして懐からスッ、と武を”悦ばせるモノ≠取り出す。
  それを見て、武はようやくいつもと一味も二味も違う空の覚悟
 と、受ける側の自分が圧倒的不利な立場にいる事を知った。

「(くぅっ・・・・イキナリのこの展開! どうする、俺。)」

  
  唐突にガチ、もとい想いを込めた無償の奉仕を迫られ、流石
 の武も答えに困った。
  いや、むしろ男なら空ほどの美人からの嬉しいお誘い!
  嬉しくない訳が無い・・・のだが、今の武の表情は重い。


「あ〜〜〜、なぁ、空? 例えば、その・・今までに・・ほら・・・・自分
で・・・自分にした事とかって・・・・・あるか?」
  何とな〜く答えは分るのだが、とりあえず聞かずにはおられな
 い武。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ふるふる)」
  武の問いに、はにかみながら俯いて微かに首を横に振る空。
  ようするに、というよりやっぱり未経験だった訳だ。

「あ、あの・・・実は私・・・・・こういう事するの初めてなんです。」
「は、はは・・いやまあ、そうだろうな〜。そうなんじゃないかとは
分ってたけどな。は、はははは・・・・・」

  どこをどう試行錯誤したかは分らないけど、空はよほど思い
 詰めて ”ここ≠ノ辿り着いたのであろう。
  憂いを浮かばせる潤んだ目で見詰められては、その先に待
 つのが破滅だろうがなんだろうが、どんな結果が待ち受けてい
 ようが、武は断る選択肢を選べなかった。


「あの・・・・・倉成さん。・・・・・・駄目・・・・ですか?(ウルウル)」
  潤んだ瞳で武を見詰める空。 
「(逃げる訳には・・・・・逃げるなんて俺には出来ん!)」

  決意を固めた武は、優しく目の前の女性に微笑む。
「・・・・・・・・・・・分った。俺も覚悟を決めたぜ、空。」

  自分の想いを受け入れてもらえた嬉しさに空の顔がパッとほこ
 ろぶ。
「は、はい・・・・有難うございます。・・・・私、一生懸命がんばります
から。」
「は、ははは・・・・まあ、なんだ。その・・・・・お手柔らかにな?」

            ・
            ・
            ・
            ・
            ・
  部屋に通された空は早速、膝を折り、武に微笑みかける。
「じゃあ・・・倉成さん、どうぞこちらに。」
  朱に染まった頬が空の美貌を艶かしく彩る。

「お、おう。」
  言われるままに空の暖かな太股に顔を埋めた武はフと、思い
 ついたように顔を上げる。
「あのな・・・空。・・・・イクときはイクって言ってくれよな?」
  けっこう真剣な口調の武。
  ガラにもなくかなり緊張しているようだ。
「えっと・・・普通は・・・その時はそう言うものなのでしょうか?」
  可愛らしく小首を傾げる空。
「まぁ・・な。俺としてはそうしてくれた方が・・その、助かると言うか
・・・嬉しいんだが。ていうか頼む!」
  と、懇願する武。
「まあ。――――クスっ。はい・・その時には必ず。ですからもっと
身体の力を抜いてリラックスしてください。ね?」
  天使の笑みを浮かべ、優しく甘い悪魔の言葉をかける空。

  空の”ご奉仕≠ェ始まるのを武は目をつぶって待った。
「(ううっ・・・すまん、つぐみ、ホクト、沙羅。俺は・・・・もう駄目かも
しれん。(涙))」
  緊張から、武の額に汗が滲む。

  子供の様に大人しく自分に身を任せる武を見て、空が優しく
 微笑む。
「ふふっ。倉成さんのって、とっても可愛いですね。悪戯したくなっち
ゃいます。」
  そっと空の指触れた時、ゾクっとしたものが武の背中を走る。
「わっ!? おいおい、そこ!?そこは止めてくれいっ。」
「だって、本当に可愛いんですもの。」
  情けない声を漏らす武の照れたような表情に笑みをこぼす空。

  しかし、その余裕が仇となったようだ。

「――――うっ!?・・・・・・・・・・・」
  その突然の痛みを訴えた・・・うめいた様な声に空は慌てて武
 の顔を覗きこむ。
「えっ?あっ?・・・んっっ・・ごめんなさい。あの・・・・・痛かった・・で
すか?」
「ま、まあ、空は初めてなんだし・・・しょうがないって。だから今日は
もう――――。」
  気にするなと笑ってみせながら、事の中止を願い出た武。
「――――倉成さん。私、頑張ります。(キッ)」
  その申し出は却下されたようだ。
  しかもさっきまでとは空の口調が違う。
  その瞬間、武は空の雰囲気が変わった事を感じた。
  明らかに空の”スイッチ”が入ったのを確信した。
「へ? おい空? あ、あのな?」
  真剣そのものの表情で再挑戦に挑む空。
「・・・・・・・・・イキます。」
「――――くぅっっ!?・・・・・・・あっ・・・あっ・・・あっ!?」  
  今、武と空との死線を綱渡りする戦いが始まった。
  ちなみに境界線を跨いでるのは武だけなのだが。


           §        §


  そして、そんな二人の”秘密のコウイ≠コッソリとドアの隙
 間から覗く目が4つ。
  微かに身悶えする武と上に被さる形の空が見えた。
「わっ!わわっ!!す・・・凄い。パパ・・・気持ちいいのかな?」
「・・・・・・・・お父さん。(涙)」
  時折漏れ聞こえる声にも耳をすませ、そのショッキングな光景
 を見守る興味深げな娘と、対照的に悲痛な面持ちの息子。
「うそ・・・・あんなに深く入っちゃってるの?」
「あ、あああ? お、お父さん・・・・・・・・・・・(大涙)」

  不意にトントン、とホクトの肩を叩く沙羅。
  隙間から目を離し、どうしたのかと妹に向き直ると、沙羅は興
 味深々と瞳を輝かせてこう言った。
「ねえ、・・・・私も・・・・お兄ちゃんにやってあげようか?」
「・・・・・・・・・・絶対に嫌だ。(超涙)」
  そんなのはご免だと即、断るホクトだった。



           §        §



  ホクトと沙羅が目を離した間に全てが終わったようだった。

「ふふっ。いっぱい出ましたよ。ほら、こんなに。」
  事の名残をティッシュに乗せ、感慨深げに見る空。
「あ・・・ああ・・・ほんとだな。こりゃすごい・・・。」
  本来出ないものまで絞り採られた様な虚脱感漂う武。

「倉成さん・・・・・如何でしたでしょうか?」
  真剣な顔で武の判定の言葉を待つ空。
  しばしの間の後、疲れ気味の色が浮かぶ武は、空の方に顔を
 向け、フッ、と笑顔を浮かべ、
「・・・・・・・・・頑張ったな、空。よくやったぜ。」
  武が力無くサムズアップで称え、そう言うと、空は嬉しそうに微
 笑んだ。
「はい・・・・私、倉成さんにそう言って頂けて本当に嬉しいです。」
「・・・・・そ、そうか。あはは・・・・それはよかったな。ははは・・・・」
  なんかもう本当に幽鬼の如く疲れきって消耗した感じの武。

「は・・・・・・・・・・・疲れ・・・た。・・・・・・・・・・・・・く〜、く〜。」 

  そして、武は柔らかな空の太股を枕に安らかな寝息を立てた。  
「おやすみなさい・・・・倉成さん。」
  空は自分の膝で眠る武の頭を優しく撫でる。
  開け放っていて窓から心地好い風が吹き、ふたりをゆったりと
 包み込んだ。

  空は、事、恋愛が絡むと総てが天然に作用するのである。
  それが只の”ミミカキ”であろうとも。



           §        §



「――――で?これは一体どういう事なのかしら?(ギロリ)」
  買い物から帰宅したつぐみが見たのは、まったりと仲睦まじい
 二人。
  眠る武に色っぽいチャイナ服膝枕し、つぐみが買い置きしてお
 いたお気に入りのバタわさび味のポテチを口に加えて、くつろぐ
 空だった。

  そして、武の顔は妙に安らかで、空の顔も満ち足りたモノがある。
  これはどう見ても何かあったと勘繰るのが普通だろう。

「あ、あら・・・小町さん。あの・・・・ご馳走様です。」
  と、食べていたポテチのお礼を言う、実にイイ笑顔の空。
「・・・・・・・私が聞きたいのはそっちじゃないわよ!(眉間にシワ)」


       やはり天然は最強である。(合掌)






       『  あとがき   』

  何故か空=天然のイメージが頭から離れないんですよね。
  やはり笠原さん=”あ〜る≠フ固定観念の所為?
  あと、R権少年の「白いゴハンが食べたいよ〜」も要因かと。(汗)

   (BGM) わたしのANDROIDくん 『笠原弘子』
  
 ♪またみんなが騒いでるわ 噂話 あいつの事
   ちょっぴりタイプと違うのね だけれど気になるのよ
    女の子 ミステリアス大好きなの 瞳は何処を見ているの
     心配よハラハラさせないでね 内緒で一度デートをしましょう
      ANDROIDくん いつでもフワフワ 私だけそっと包んで欲しい
       ANDROIDくん 初めての気持ち LIKEとLOVEの間ね♪
        
   空さんといったらこの歌でしょう、ハイ! 

   タイトルと本文が全然まったく関係ない事をここで御詫びいたし
  ます。(マテ)

   (このSSは勇栄さんの挿絵と共にお楽しみくださいませ。)







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