夏休みレポート〜前編〜
                              クロロ



 8月も終わろうとしているある日、図書館への廊下を沙羅はレポート用紙と筆記用
具を抱えて歩いていた。
 「はぁ〜せっかくの夏休みなのにレポートを書かなきゃならないなんてな〜。」
 沙羅の高校では夏休みの宿題としてレポートがあるのだが沙羅はそれをすっかりと
忘れてしまったので夏休みにも関わらず図書館に来ていた。
 「それにしても、パパもママもお兄ちゃんも少しは手伝ってくれると思ったのに・
・・薄情でござる。」
 沙羅は忘れていた事を武、つぐみ、ホクトに話し手伝ってもらうとしたが、武とつ
ぐみには、
 「さて、つぐみ買い物いくんだろ?早く行くぞ。」
 「ええ、そうね。」
 と逃げられ、ホクトは、
 「宿題は自分でやらないと駄目だよ、沙羅。じゃあ、僕も出掛けてくるから。」
 と言ってさっさと出ていってしまった。
 怒った沙羅だったが怒っても時間がなくなるだけなのでしかたなく沙羅は図書館で
レポートをすることにした。
 図書館のドアを開けると10数人の生徒が机に座って黙々と作業していた。
 「同士でござるな。」
 沙羅は少し辺りを見回してから窓際の席に腰掛けた。
 「さてさて、始めるでござるか。」
 沙羅はペンケースからシャーペンを取り出し器用に数回回してからレポートに取り
掛かった。
 同じ頃、ホクトは学校の図書館に向かっていた。
 「まだ怒ってるかな?沙羅。」
 沙羅が怒って家から出ていった後、自然に3人は家に戻り、武はホクトに、
 「ふ〜、あんなにあいつが怒るなんてな、ホクト悪いけど沙羅の様子見ていってく
れないか?制服着ていったから多分学校だろうし。」
 「うん、分かったよ。」
 さすがに悪いことをしたと思ったのかホクトも頷き、そして今に至っていた。
 「いるかな?沙羅・・・あっ、いたいた。真剣にやってるみたいだから今は話しか
けないほうがいいな。」ホクトは沙羅に気付かれないように図書館に入り、沙羅に見
つかりにくく尚かつすぐ様子が見えるように2階から1階の様子が見れる吹き抜けの
席に暇潰しの為の本を手にとって座り読み出した。
 その時沙羅はレポートを書く為の資料を読んでいた。
 「ん〜これだけじゃ足りないでござるな、もうちょっと探してみるござる。」
 沙羅は図書館に設置してあるパソコンから目的の書物を検索し、それが置かれてい
る区域へと向かった。
 「え〜と、『黒魔術入門』『THE黒魔術』・・・う〜なんで『黒魔術の効力集〜
改〜』がないのよ、貸出中ってなかったのに、しょうがない先に他のを読むとします
か。」
 沙羅はそこに並べられていた黒魔術系の本をまとめて取り出し席に戻った。
 その頃ホクトは、「へ〜『特定の異性を虜にする魔術』か〜黒魔術ってこんなこと
もできるんだ。でもなんで『黒魔術の効力集〜改〜』なんて本があるんだろ?・・・
まぁいいか。」
 ホクトは再び読み出した。
 数10分後『黒魔術の効力集〜改〜』を半分程読み終えたホクトが沙羅の様子を見
てみると、沙羅は机につっぷしていた。
 近付いてみると穏やかな寝息をたてて沙羅は寝ていた。
 ホクトは風邪を引かないようにと上着を沙羅にかけ、横の席に座りまた読み出し
た。
 それからしばらくして目を覚ました沙羅は自分に服が掛けられていること横にホク
トがいることに驚いた。
 「お、お兄ちゃん?なんでここに?」
 ホクトは照れて、
 「さっき沙羅に悪いことしちゃったから、そのお詫びにね。」
 「お兄ちゃん。」
 沙羅自体そんなに気にはしておらず、ただホクトわざわざ来てくれたが嬉しかっ
た。
 「ありがとう、お兄ちゃん。もう少しかかるんだけど待っててくれる?」
 上目遣いでホクトを見る沙羅。
 「いいよ。ところでレポートのテーマなんなの?」
 「よくぞ聞いてくれたでござる。実は拙者、黒魔術について調べているでござる
よ。」
 沙羅はホクトにレポートの束を渡した。
 「へ〜黒魔術か〜、色々あるみたいだね、黒魔術にも。」
 「詳しいでござるなって、お兄ちゃん、その本。」
 ホクトのもっている本を指差す沙羅。
 「えっ、ああ、これ?あっちにあったから暇潰しにって、どうしたの?沙羅。」
 沙羅はうつむいてフルフル震えていた、心配になってホクトが顔を覗き込もうとす
ると万遍の笑みで、
 「うれしいでござる、お兄ちゃんも黒魔術に興味があったでござるね。はは〜さて
はなっきゅ先輩にかけようとしているでござるな、そしてあんなことやこんなことを
・・・いや〜沙羅は恥ずかしいでござる〜。」
 「さ、沙羅?」
 「お兄ちゃん、あせっちゃ駄目でござる。時の流れに身を任せるでござるよ。」
 沙羅の余りの勢いにホクトはただ呆然とするだけだった。
 なんとか沙羅を治めて作業を続けさせホクトは再び『黒魔術の効力集〜改〜』を読
み始めた。
 しばらくして、
 「ねぇ、お兄ちゃん。」
 「ん?何、沙羅?」
 「実は困った事が・・・。」
 「困った事?どうしたの?」
 「うん、レポートはほとんど書き終えたんだけどやっぱり実際にやってみて結果を
書かないといけないの。」
 甘えるような声と顔でホクトにせまる沙羅。
 「それで?」
 ホクトはなんとなく嫌な予感がした
「だから・・・。」

 後編に続く。







 〜あとがき〜
 あきらかにありえない「黒魔術をやる沙羅」というのが浮かんだので書いてみました。
 沙羅ファンの方、ごめんなさい。







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