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                              クロロ


 もし武がつぐみと関係を持つ前に私が武に思いをぶつけていたらどうなっていただ
ろうか?心臓の病で一年足らずしか生きられないことや自分のクローンの娘がいると
知っても私を受け入れただろうか?
 きっと武は受け入れてくれただろう。いや、そうであると信じたい。
 もし武が受け入れてくれたとしたら今どうなっているのだろう。
 秋香菜とうまくやれているだろうか?
 きっとうまくいっている。なぜなら秋香菜は私自身でもあるのだから。うまくいき
すぎて私がヤキモチをやいて暴れてそれを武は必死に押さえようとするかもしれな
い。
 私の性格も少しはおしとやかになっていたかもしれない・・・いや、それはない
な。きっと昔の性格のまま暮らしているだろう。
 思えばいつからだったのだろう?武の事を想うようになったのは。武に私のすべて
を打ち明けた時?いや違う。ココとひよこごっこをしている武を見た時?いや違う・
・・もしかしたら警備室で初めて会った時にすでに私自身のどこかで武を想っていた
かもしれない。
 IBFで武が言った、「お前達とならすべてを受け入れてやる。」という言葉は今
でも私の中で輝いている。
 あの一言でどれだけ勇気づけられ、17年もの間それを言った人を助ける為に生き
てきた。
 今思えばあっという間だった気もする。
 私に振り向いてくれないことは分かっていた。それでも私は・・・

 「お母さん、お母さん。」
 「ん?なあに?優。」
 「『なあに?』じゃないわよ。早く支度しないと約束の時間に間に合わないわ
よ。」
 「あ、そうだったわね。倉成の家に夕御飯食べに行くんだっけ?」
 「そうよ。ほら早く着替えて、先に行ってタクシー捕まえておくからね。」
 「ええ、分かったわ。ねぇ、優?」
 「え、何?」
 「ううん、ごめん。タクシーよろしくね。」
 「??、うん。」
 「さてそれじゃあ支度しようかしら。」
 私は立上がった。


 あとがき
 読んでくださりありがとうございます。
 最後があいまいになってしまいましたが自分なりにはこんな終わり方もありかなと
思うのでこのままにしました。
 田中先生にはハッピーになってほしかったんですが・・・


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