ミニコント裏シリーズ 怪盗ホクたん編 制作者 美綾 |
【怪盗ホクたん登場】 ?:ねえねえ。あの噂、知ってる? ?:怪盗ホクたんでしょ? どんな強固な警備も軽々と突破する闇の怪盗。悪人しか相手 にしないっていうのが、お約束だけどカッコイイよね〜。 ホ:……(照)。 ?:……にしても……。 ホ:……? ?:名前が『ホクたん』って……可愛すぎ。 ?:『ね〜』 ホ:……。 【女の美学】 沙:……? お兄ちゃん、何、ヘコんでるの? ホ:……いや……人間、中々思うがままの名声って得られないんだなぁ……って……。 沙:……? まあ、いいや。これ、次の仕事だよ。 ホ:……ねえ、沙羅……。 沙:仕事の時はマヨと呼ぶでござるよ。 ホ:……マヨ。いつも思うんだけど、何で特殊なコードを、専門の変換ソフトで読み込 まなきゃなんないの? 口頭で問題ないんじゃない? 沙:怪盗たるもの、こういう物々しい演出が不可欠なのでござるよ。 ホ:……何か間違ってる気がするんだけど……。 【謎の存在】 ホ:……よし、これで準備完了……と。にしても、何で怪盗って言えば黒マントなの かなぁ……。 沙:師匠がそう言ってたのでござるよ。 ホ:……師匠って誰……? 【構造欠陥】 ホ:あ、それといつも思うんだけど……。 沙:何でござるか? ホ:……金髪って、怪盗に不向きじゃない? 沙:……。 【結局はイロモノ系】 桑:俺の名は桑古木涼権! 警視庁捜査三課所属、つまりは泥棒が専門の刑事だ! まあ、怪盗を相手にする刑事と言えばやる気だけが空回りするヘッポコ刑事か、クー ルに怪盗を追いつめるキャリア組と相場は決まっているが、俺は違う!! 昔ながらの努力と足で敵を追いつめ、過去の歴史を塗り変えるべく獅子奮迅の活躍 を――。 春:仕事しなさい、三流刑事。 桑:……。 【適材適所】 ホ:……ふう……ここが今日の現場か……。 沙:政治的権力を悪用して、数々の美術品を秘蔵する男……その中の「蛍花(ほたるば な)」っていう石英像が今日の標的よ。やっぱり美しい物は、みんなの共有財産として美術 館にでも寄贈しないとね。 桑:ぐわははは。待ってたぞ、小童共。 沙:あ、やられ役。 桑:第一声がそれかい! 【ごめんなさい】 桑:とにかく、だ! この俺がここにいる限り、敷地内への侵入は許さねえぞ! 沙:ふふふ〜、拙者にそんな口をきいていいのでござるか〜、クワコギリョウケン。 桑:カブラキリョウゴだ!! 大体何で、そっちが強気なんだよ!! 沙:御主が職場のパソコンで行っているサイトや、行き付けのいかがわしいお店のことを 上司や好きな娘にバラすでござるよ〜。 桑:……ささ。どうぞお通り下さい。 ホ:……。 【超常体験】 ホ:……でさあ。桑古木はいいとして、本命刑事の……何だっけ、あの名前の長い人。 沙:田中優美清春香奈警視? いつも相棒の茜ヶ崎警部と一緒に居て、その趣味がある とか言われてるけど、キャリア組の中でも敏腕と称される凄腕だよ。 でも若作りしてるけど、実際の年齢はたしか――。 (一方、監視モニター室) 春:……何だか、ツインテールの小娘に殺意が沸いてきたわ……。 空:はぁ? 【妥当な判断】 沙:(物々しい扉の前で)ふっふっふ〜。こんななまっちょろい電子キーで拙者を阻むこ とができると思ってるのでござるか〜? パスワード、指紋、声紋、角膜の四重チェック をだまくらかすくらい、何てこと無いのでござるよ〜。 ホ:(……沙羅。お兄ちゃんは警察より、君の方が怖いよ……) 沙:……? 【手痛いミス】 (再び監視モニター室) 春:ふふ……四重チェックは囮……実は裏コードとしてDNA照合をしないと、その扉の 周囲が完全に隔離されてしまうなんて、予想もしてないでしょうね……。 完璧すぎて、自分に惚れ惚れしてしまうわ……。 (スピーカーより) ホ:あれ……鍵、開いてるよ……? 沙:……何だ。折角腕の見せ所だったのに……。 春:……。 空:……。 春:……。 空:……ポン。そう言えば先程退室する時、鍵を掛け忘れたかもしれません♪ 春:(空の首を絞めながら)人の綿密な計画をあんたって娘は〜!! 空:グゲゲ。 【二重のミス】 春:こうなったら人海戦よ!! 作戦A-17、退路に数名を配置する以外は全員、ホクたん の居る部屋に突入なさい!! 空:……あの……宜しいのですか……? 春:何がよ? 空:裏コードのことは、私達上層部以外は知らない、最高機密では無かったのですか? 春:……。 空:……。 春:……あ゛あ゛ぁ!? 【もはや大義無し】 ホ:……あれ? 何かあっち側が騒がしいけど。 沙:何処かの年増な警視が間抜けなミスしたんじゃない? 正義は勝つのでござるよ。 (再度モニター室) 春:……あんの、小娘ぇ〜〜!! 空:……かなり怖いので、コーヒーカップを握り潰すのは如何なものかと……。 【黒キャラ候補生】 沙:目的物確保でござる! 退路はこちら! お兄ちゃん、しんがりは任せたでござる! ホ:……要するに、「盾」になれってことだよね……。 【あと三つあるのに】 沙:……ふ〜……ここまで逃げれば安全でござろう……。 ホ:うん……蛍花も手に入れたし……でも、見た感じ、結構普通の石英像だよね? 何で あんなに値が張るのかな……? (ホクト、蛍花を月にかざす) ホ:……え? 沙:……わぁ……。 (像が満月の光を乱反射し、周囲を無数の淡い光で満たす。 その様はまるで、蛍で出来た花畑の如く――) ホ:……これが……蛍花……。 沙:……うっとりでござる……。 桑:何、綺麗に締めようとしてんだ、コラ。 【悲しすぎる】 沙:あぁ! さっきので出番、終わりじゃなかったのでござるかぁ!? 桑:じゃっかましぃ! てめえら、二人とも窃盗の現行犯で逮捕しちゃる!! 沙:だからそんな口聞いていいのでござるかぁ? 御主の秘密を――。 桑:ふっ……そんな脅しはもう効かねえ!! 冷静に考えてみたら、俺に失う物なんてはなから何も無かったんだ!! 沙:……。 ホ:……。 【大人の事情】 桑:つうわけで逃がしゃしねえぞ!! (ピカッ、と懐中電灯を二人に向ける)。 桑:……ん? な、何だ!? 沙:……どうしたのでござるか? 桑:て、てめえら、何で無数に増殖してやがんだ!? 沙:……。 ホ:……。 沙:……おぉ! この蛍花、光を屈折させて、虚像を産み出す効果もあるのでござるか。 ホ:……御都合主義過ぎない……? 【完全逃亡終了後】 沙:ふふふ〜♪ これ売ったら、PDAのバージョンアップ、どれだけ出来るかな〜♪ ホ:……寄贈するんじゃなかったの……? |
後書き 冒頭でも書きましたが、本作はかなり前に掲示板で書いた小ネタが元になっています。 恐らく憶えておられる方は少ないとは思うのですが、別に、『ミニコントなら、頑張れば二日で書ける』から、蔵出しした訳ではありません(ぇ)。 まあ、今回も実質三日くらいしか費やしてはいないのですが(オイ)。 沙羅が次期黒キャラ候補になっている気がしなくも無いですが……ま、流れに身を任せるとしますか(マテ)。 最後に設定協力(?)の大根メロンさんにこの場を借りて謝辞を述べて――。 美綾でした。 |
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