沈黙。
倉成家は長い沈黙に包まれていた。『三人』の箸も進まない。
「・・・・・」
ホクトがからん、と箸を落とす。ホクトは箸を取ろうとしない。
魂が抜けたようにホクト・・・・三人は虚ろな眼をしていた。


沙羅が失踪して三日目。
警察は数日前から捜査している失踪事件の一部と判断した。
立て続けに少年少女が失踪。集団家出などの間抜けな事件ではない。
一部の住民などは『呪い』やら『童歌』などの噂話が流行っているらしいが相手にしなかった。
現実的なものを捜査する警察は幻想などは相手にしない――――。
失踪した沙羅たちの消息は未だ不明。
完璧な失踪。
警察の捜査も足踏み状態だった。

「どうして・・・・沙羅が・・・」


















かごめ、かごめ
                              七桃 りお

後編

授業はマトモに聞くことができない。
教師は事情を知ってか注意などはしない。
食事もほとんど取っていない。
友人の言葉も耳に入らない。
「・・・・・」
彼はたった三日で死人のようになってしまった・・・・。
しかし二人だけ、積極的にホクトと話そうとする生徒がいた。
「・・・ねえ、ホクト君」
「・・・・・」
さくら。
「ホクト・・・・」
「・・・・・」
響。
懸命に会話をしようとする二人。
それでもホクトは返答しない。
「・・・・ら・・・・」
「「?」」
聞こえない。本当に小さな声だった・・。
「・・・さ・・ら・・・」
「「!!」」
二人はホクトを異常だと思った。尋常じゃない。
しかし、ホクトと沙羅は学校内では切っても切り離せないような仲のよさだった。
それを無理やり引き裂かれたのだから――――――
「・・・・」
響とさくらはそっとその場を去っていった・・・・。


屋上

「あんなの・・・・ホクト君じゃない」
さくらは言う。豹変してしまったのだ、友人が。
「・・・・うん」
響には返す言葉も無い。
「さくら・・・・」
難しいことを考えているような表情を響はしていた。
何か思いつめたような・・・・。
「・・・ん?」
響は一つの言葉を紡いだ。

「これは・・・・『奴等の仕業』だと思う」

ふう、とため息をつく二人。
「・・・・やっぱり、そう思う?」
さくらはさっきまでと違う雰囲気を纏う。
「調べる?」
響はニヤリと笑った。
「もちろんだ・・・・」
響、さくらの二人は次の授業から出席しなくなった・・・・。


真夜中

ホクトは自分の部屋にいた。眠れない、眠ってなどいられない。
「ちく・・・しょう・・・」
かすれた声で彼は言う。
警察は当てにならない。どうにかして沙羅を取り戻したい、謎を解明したい。
だったら―――――――
「自分で、調べればいいんじゃないか・・・」
いつまでも人に頼っているホクトではなかった。
ホクトは動き出した。この日にホクトは活気を取り戻すことができたのだった・・。。


田中家

ホクトは朝から活動を開始した。
「優!!」
「な、何!?」
先日まで死人同然だったホクトがいきなり訪ねてきたのできたので優秋もびっくりしたようだ。
ちなみに今日の優は自宅待機。なにをやらかしたのだろうか・・。
「ホクト、学校は!?」
「そんなことより、協力して欲しい」
ホクトは優秋の肩を掴んだ。優秋を真剣に、まっすぐに見るために。
「調べ物なんだけど・・・」
「私は今日自宅待機―――」
わざと威圧的な物言いでホクトは言った。
「沙羅の事件」


私立日向図書館

地上三階の大きな図書館が日向市にはあった。資料や本の数は膨大で、土日も開いている便利な所である。
日向高からは少し遠いが歩きでも難なく行ける場所にあった。
「過去の似たような事件を調べて欲しい」
図書館には過去の新聞や、内容は薄いが警察から提供された事件のファイルもある。
「ホクトは?」
優秋はもう恐ろしい程のスピードで探している。大切な後輩、もとい義妹がかかっているのだ。
・・・・・・義妹?
「聞き込み!」
ふと、手を止めるともう図書館から出ようとしているホクトを優秋は見た。
「今回はよしとするか・・・。貸し一回♪」
優秋の貸しは高い。
「何しても貰おっかな〜」
機嫌を良くしたのか優秋はスピードUPした。


日向高

図書館を出てから数時間後聞き込み終了。
生徒はよく知っていた、『呪いの童歌』の事を。
朝の挨拶代わりに情報が飛び交うほど流行っているものなので意外と簡単だった。

○呪いの童歌を聴くと連れ去られてしまう
○呪いの童歌とは『かごめかごめ』のことである
○数日間幽霊に付きまとわれる
○見えないものが『視え』てくる
そこまでが沙羅に聞いたもの。それ以外はこうだった。
○近辺に出没している
○一度でも会ってしまうと取り付かれる

それとはべつに『同じ事が過去にあった』というのが気にかかるぐらいであった。
「ふう・・・」
ホクトはため息をついた。ほとんどが曖昧なものばかりであるからだ。
「ホクトー!!」
優秋が図書館から帰ってきた。
「ど、どうだった?」
しょぼんとした顔で首を横に振った。
「だめ。たしかに似たような事件はあるけど今回のようなものは無かった」
「・・・そう」
振り出しに戻ってしまった。
「ただ、数年前に日向市のとあるトンネルで子供が何人か行方不明になってて・・・」
「・・・・そのまま、帰ってこなかった・・・」
ホクトが言うと優秋はコクリとうなずいた。
日向市郊外のトンネルで交通事故があり、車はバスで、数人の大人と十数人の子供が乗っていた。
運転手の証言では急にハンドルが動かなくなりトンネル中心部あたりで衝突。
大人は自力で脱出したが子供が見当たらなく、そのまま失踪。
事故が起こった時間は、18時20分ごろ。
「何か、関係が・・・・・かごめ かごめ、子供・・・・・?」

ホクトの調査はそこで止まってしまった。


帰り道

「もう夕方になっちゃったな・・・」
ホクトは優秋と途中で分かれた。ホクトは心配だったが優秋は、
「ふっ、何が出ようともこの黄金の右足をぶち込んでやるからしんぱいしないで〜」
気楽なもんだ。そうホクトは思い、今日仕入れた情報を整理してみた。
「今回と、数年前のことは・・・・同じ?」
確かに同じである。しかし、そうとなると疑問がいくつも浮かぶ。
「何故、もう一度失踪事件を起こさなければならないのか、かごめ かごめの意味は・・・・」
ふと、ホクトは足を止めた。
「沙羅は最後にかごめ かごめを歌った・・・・」
ホクトの中で、
「籠の中の鳥、夜明けの晩・・・」
推理のパズルが、
「後ろの正面―――――――だあれ?」
組みあがろうとしていた・・・。
空を見た。昼から夜に変わる薄暗い夕暮れ。
「以外だな・・・。ボクが出るなんて・・・・」
彼は駆け出した。真相に向かって。


優秋は薄暗い夕暮れを走っていた。
「うそ・・・・・でしょ」
前だけを見て走っていた。やみくもに家の方向へと向かって。
「っつ!!」
突然足を止めて後ろを見る。もう、何も聞こえない。
「ふぅ・・・・冗談じゃないわ」
優秋はひどい脱力感に見舞われた。
それもそのはず、全速力で走っていたのだから。
タッ、タッ、タッ、タッ――――
「!!」
足音。優秋の背筋が凍る。優秋は先ほどから追いかけられている。
「さっきはふざけたけど、ホクトにも付いてきてもらうんだったな・・・・・」
後悔した。しかし今後悔しても、もう遅い。
「どうする?どうする私!」
優秋は身構える。塀を背にして足音の方向へと向き直った。
タッ、タッ、タッ、タッ――――
足音は路地を曲がり優秋の前へと、現れた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「ぐっはっぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

優秋は現れたものを・・・・・・・・思いっきり蹴飛ばした。
現れたのは・・・・・ホクトだった。
「ってホクト!!」
「・・・・・・・・・(死」
お約束だなぁ・・・・。

「優、よかった・・・」
ホクトは即座に回復。優秋が心配で追いかけたら蹴られたのだった。
この現状では当然と言えば当然である。
「どうしたの?」
さっきまでのヘタレ顔を捨てたホクトは用件を言った。
「優、沙羅が失踪した予想時間は知ってるよね」
「うん。16時から19時の間って警察から聞いた」
優秋だって一応関係者なので知らされていた。
沙羅は学校を出た後、まっすぐ家に帰る、と言っていたと沙羅の友達は沙羅に証言した。
その友達と別れたのが16時。倉成家が沙羅を探し始め、警察に通報したのが19時。
最初は相手にされなかったのをホクトは覚えている。
「その夕暮れ時をほかになんていうか知ってる?」
「えっと・・・『黄昏時』かな?」
ホクトは落ち着いた雰囲気で淡々と話す。
「そう、黄昏。ちょうど今みたいな・・・・。でもそれには本当の意味があるんだ」
ホクトはニヤリと笑う。いつものホクトとは少し違う笑みだった。
「黄昏というのはただの当て字で本当は『誰そ彼」』って書くんだ。
 昔は薄暗い夕暮れには魔物が行き来すると言われていて、通りすがる人の顔が見えないときはそう言って確認していたんだ。
 ―――――彼は誰だってね」
優秋は下を向いている。
「そして、かごめ かごめの歌詞の夜明けの晩は夜か朝だかわからないよね。
 だけどそれは『この世には無い時間』を指すこともあるんだ。
 その中で後ろの正面だあれ。『誰そ彼』と被らない?」
優秋は下を向いている。
「数年前の事件は・・・・・・って聞いてる?」
優秋は下を向いたまま微動だにしない。
「ゆう?ゆう!!」
ホクトが少し揺さぶる。
「・・・た」
優秋は青くなった唇で何かを言った。
「?」
「し・・・たぁ」
言われた通り、ホクトは下を見る。そして驚愕した。
「うわぁ!!」
急いで飛びのき塀の上に乗る。しかし優秋は動こうとしない。
「優!早く!!」
ホクトが手を精一杯伸ばす。あと少し・・・・。
「だめ・・・・」
優秋は足元を指差した。ホクトが眼を凝らすとそこには――――
「捕まれちゃってるよぉ・・・」
暗がりの中で蠢いている『真っ黒な手』が優秋の足を掴んでいた。それは足を這いずりながら上へ上へとあがってくる。
「くっそぉ!!」
ホクトは渦巻く黒塗りの手の中に飛び込んだ。しかしホクトにも手が絡みついていく。
「こんなのって・・・」
手に掴まれた所がぎしりと悲鳴を上げる。強烈な強さで握られている。
必死で剥がそうとするホクト。しかし異常に絡みついた手はまったくとれなかった。
手は優秋の腰まで巻きついて彼女を引きずり込みそうだった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
錯乱するホクト。必死で手を取り払う。しかし、もうすでに優秋はすっぽりと手に飲み込まれていた。
「ホク・・・・・トぉ」

ひゅん

ホクトの頬を『何か』が切り裂いた。鋭い痛み。『何か』は飲み込まれようとしていた優秋を直撃した・・・。
「なっ!!!」
正確には優秋を飲み込もうとしていた手に直撃したらしい。
すると黒塗りの手がずるずると地面に飲み込まれていき、消えた。
ホクトがその『何か』がきた方向へと向くと、影が飛びのいていくのが見えた・・・・。
「なんだったんだ・・・」
泣き崩れる優秋をホクトはしっかりと抱きかかえると田中家へと向かった・・・・。


田中家

「なんだったんだろうね、あれ」
今は優秋も落ち着きを取り戻し、二人でブラックコーヒーを飲んでいた。
「うん。・・・・あ、ホクト。数年前の事件は・・・・で何?」
「え?」
優秋はホクトの推理をきちんと聞いていたようだ。
「ああ。それで・・・・何だっけ?」
「はい!?何よそれぇ!!」
ホクトはぽりぽりと頬を掻いた。切り裂かれた所がじくじくと痛む。
「ごめん。覚えて―――――」
「そう・・・・。あの後じゃしかたないよね」
優秋は苦笑した。するとホクトは勢いよく立ち上がった。
「思い出したよ・・・・優美清秋香菜」
いきなりフルの名前をいわれたので優秋はビクッとした。
「数年前の事件は・・・・・トンネルで起こった」
優秋は怪訝な顔をする。
「そんな事知ってる!」
少し優秋は怒った。その情報は私が仕入れてきたのだ、と。
「トンネルって怖くない?」
「え?」
ホクトは唐突に切り出した。
「そんな事は・・・・・・・ある」
「だよね。なぜなら怪談話にはトンネルという場所で起ったものが多いからだ」
たしかに心霊番組などでよくでてくるのはトンネルである。
「それがこれと何の関係が・・・」
「トンネルは・・・・『向こう側』へ繋がることが多いんだ」
優秋から表情が消える。そしてホクトを睨みつけた。
「・・・・?」
ホクトはふぅ、とため息をついた。優秋の顔が少しずつ歪んでくる。
「数年前の事件は『向こう側』への架け橋となった為に起きた『事故』。事件では無く・・・・ね」
くすくすと笑うホクト。優秋が顔を歪めた訳は、
「・・・・・彼方、誰?」
はっきりとした敵意の現れだった。ホクトの顔をした誰かはまた、くすくすと笑った。
「・・・・・・まだ判らないの?優美清秋香菜」
優秋の顔から敵意は無くなった・・・・が、次は疑いの眼が彼を捕らえた。
「彼方―――――――」
優秋が言いかけたことを彼は話の続きで静止した。
「で、今回の『事件』はその時犠牲になった子供達が・・・・・これからは実物を見たほうがいいか」
ホクトは言葉を切る。無言。
「ちょ、ちょっと!中途半端なところで終わらせないでよ!」
優秋はホクトをがくがくと揺さぶる。ホクトは痛そうにしてその手を振り払った。
「い、痛いよ、優!」
「あ・・・・ホクトだったの」
優秋はごめん、と手を合わせて謝った。
「じゃあ、行こっか」
ホクトは優秋と手を引いて走り出す。もう外は真っ暗で春でも非常に肌寒い。
それは自然の警告だったのかもしれない。
これから始まる・・・・・悪夢の。


トンネル

「うそ・・・・」
優秋が連れてこられたのは数年前の事故現場のトンネルだった。
真っ暗でホクトの持つ明かりだけが光だった。
ホクトはずかずかと大股で歩く。そして中心部にたどり着いた。
ホクトが明かりを強くする。これでかなり視界が良くなった・・・・が、
「ひっ!」
優秋が仰け反る。彼女が見たものは、大量の『黒い染み』だった。
優秋は足を滑らせ逃げようとする。それをホクトがホールド、押さえつけた。
「ちゃんと見て!」
何がそんなに見て欲しいのだろうか、優秋に直視させる。
「さて、確信に迫ろうか。今回の『事件』はその時犠牲になった子供達が『向こう側』へ取り込まれた。
 そして・・・・・『半魂』となった」
ぽうっと、黒い染みの周りが緑色に光る。
「これ・・・・は」
光はだんだんと形を作った。子供の形が十数人。
これが数年前の事故の犠牲者だろうか・・・・。
「これが、『半魂』だ」
子供はぱくぱくと口を動かす。優秋は耳を近づける。
「何?なんていってるの?」
優秋は耳を傾けた。知らず知らずのうちに『黒い染み』にも近づいていた。
「優!!離れて!!」
ホクトが優秋を押し倒す。すると『黒い染み』から―――――――
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
あの黒い手が無数に出てきた。二人は必死でそれをよける。
「・・・・今回の、事件の、正体は!!」
ホクトの息は荒く、言葉も切れ切れである。

「かごめ かごめという噂に近づきすぎたために『異界』へと誘われた人の消失事件だったんだ!!」

ホクトは息を整え、話した。
「数日前からかごめ かごめという噂が流行した。そしてかごめ かごめの謎を解き明かそうとする者が現れた。
 そして・・・・『感染』した。かごめ かごめの中には、誰そ彼を歌ったものが混じっていた。
 それが、数年前の事故と結びついた。もともとあちら側・・・『異界』へ近かったこの場所は
 感染源となり、感染した者を集めた」
ホクトはおもむろにトンネルを歩み始めた。すると、そこには、
「沙羅!」
沙羅と数人の学生が横たわっていた。
「そういうことだ」
優秋はホクトを見る。
「あんたの目的は、何?ブリックヴィンケル!?」
ホクト・・・・もといBWはくすりと笑う。あの笑い方。
「目的なんかないさ。ただ・・・・・実現したいだけ。まあ、君の知るとこじゃないね。じゃ」
ふっと、ホクトの気配が変わる。ホクトに戻ったようだ。
「・・・・なにをしたいんだろう、BWは」
「ホクト!どうする?」
二人の目の前にはうねうねと動く手。沙羅たちはなんとか連れて行けるが、このまま手をほうっておくワケにはいかない。
すると、手が収束、ずるずると染みから這い出てきた。
それはホクトたちを掴もうと――――――

「あとはまかせてもらうよ」

ホクトは耳に軽い痛みを覚えた。大きな銃声だったからだ。
声のもとは二つの影。片方が銃を撃ったらしい。
「あの時・・・の?」
ホクトは頬を触る。もう傷は癒えていた。
「ホクト!!早く!」
沙羅と学生を担ぎトンネルの外へと出ようする。しかし大きな手が逃がさないよう掴みかかる。
「詠うは戒め 聖歌は絆」
流れるような歌声がトンネル内に響く。
「紡ぐは狩り手 出るは灯!」
詠う影にちろちろと灯火が舞う。もう一つの影が両手を突き出す。両手には銃。
「good bay」
銃声の嵐。耳が痛い。ホクトが後ろを振り向くと、さくら色の長い髪が暗がりの中で揺れていた。
(あの影、誰だっけ・・・・?)
「ホクト!!」
優秋とともに、トンネルを抜け出した。


倉成家

○呪いの童歌を聴くと連れ去られてしまう       ●『感染』して取り込まれる
○呪いの童歌とは『かごめかごめ』のことである    ●かごめ かごめと『異界』が同調したものが呪いの童歌
○数日間幽霊に付きまとわれる            ●『感染』したため取り込まれるまでの手段
○見えないものが『視え』てくる           ●『異界』のモノが見える現象
○近辺に出没している                ●近辺で『感染』しそうな噂が流行しているため
○一度でも会ってしまうと取り付かれる        ●会う時点でもう『感染』しているから

「ねぇ、見えないものが『視え』てくる、ってどういう意味?」
沙羅が言う。今、ホクト・優秋・沙羅は事件を整理していた。
あれからかごめ かごめの噂はめっきり途絶えてしまった。なんらかの形で終わりを迎えたのだろう。
「それは・・・・『感染』したために『異界』のモノ、つまり幽霊とかが視えるってことだと」
「少女の霊がついて来るってのは?」
「事故の犠牲者の霊が『異界』に操られ、連れ去る作業をするから」
「ねぇ、感染とか異界とか、何なの?」
優秋が心底疑問そうに言う。
「あー、それが僕も分からないんだよ。ブリックヴィンケルと同調した時に流れ込んできた知識らしい」
うーん、と三人とも頭を抱える。
「「「ブリックヴィンケルは何がしたかったんだろう・・・・」」」


「やあ。例の件、片付いたみたいだよ」
ブリックヴィンケル。
「そうですか・・・・。まあ、必要な条件はあの少年・・・・ホクト君に叩き込んだのでしょう」
謎の男。
男は宙に向かって話している。ブリックヴィンケルには実体が無いからである。
「私、ライプリヒ側としても彼方の協力は有意義に使わせていただきますよ」
「ふふっ。ボクは約束を守ってくれればそれでいいから。じゃ」
男は宙に軽くお辞儀をすると立ち上がった。
「さて・・・・どうなるかな?」
男の笑い声が暗い部屋の中によく響いた・・・・。


全てが終わり、三日後

「あ〜、今日も退屈!」
沙羅は仰向けに寝転がった。屋上で風を受けている。
「いや、結構エキサイティングだったよ?」
「私、何にも覚えてないんだよねぇ・・・。連れ去られた時の事」
もちきりだった噂もとうに果て、ホクトたちは学園生活を満喫していた。
「非現実的だったなぁ・・・」
「そう?」
答えたのは響だった。長めの髪がサラサラと風で踊る。
「たまにはいいんじゃない?」
さくらも手を伸ばして風に当たっている。
「「そうかなぁ?」」
沙羅とホクトの声が重なる。
「「そうだよ〜」」
さくらと響の声が重なる。
四人はくすくすと笑った・・・。
「ん・・・・・」
ホクトがふと、さくらを見ると何か感じた。
「何〜?」
ふざけて笑うさくら。
「いや、気のせいさ・・・」
風に流されるさくらの髪。それは綺麗なさくら色をしたいた―――――。








あとがき

後編終了です。
なんだか路線変更でmissingとリンクしました。
異界やら感染はちょっと難しかったかな・・・・・。
なにやらワケの分からないSSになったような気がする。申し訳ありません!!
解決がかなりいまいち。
ですが、次はバトルで六〜八ぐらいの長さでやってくSS製作中!

てなワケで七桃 りおでした〜。


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