「あ・・・・う」
武はさんさんと光る太陽で目を覚ました。
「夢か」
いいか悪いか分からない夢を武は視た。それは、
「何だったっけ・・・・・」
思い出せない夢だった。しかし頭の中で響くのは、

「つぐみ・・・・おはよう」

この言葉だった。

過去は静かに詠い、未来は高らかに詠う。
どちらも綺麗なモノであり、どちらも良いモノである。




















Like Ever Life
                              七桃 りお

-after world's-

そして武達は遊園地にいた。それはつぐみが起きた時の第一声で、妙に張り切っていた。
その計画は、二人の寝室のドアに耳を当てていた沙羅とホクトにも伝わった。
いつの間にか遊園地行きは決定事項となり、それならいっその事、と皆を誘うことになった。
「なんか引っ掛かるんだよなぁ・・・・」
「どうしたの?」
つぐみが武の顔を覗き込む。つぐみはバニラアイスクリームを食べていた。
「いや、なんでも・・・・」
一瞬その以外に子供っぽい仕草ドキリとするが、近くに優春が忍び寄っていたことで気を取り直す。
「何してんだよ、優」
                                           '   '  '  '  '  '  '
優春はクマのヌイグルミを被り、風船配りのフリをしていた。
「あ、バレた?」
「バレたも何もない。観察に熱中しすぎて風船を配らなかったり、それどころか視界に入った子供がいたら蹴り飛ばしていただろ。泣いてるぞ?」
今、クマもとい優春の周りには訝しげに見る母親や、泣いている子供がいる。そんな風船配りがどこにいるか。
「それでカマかけてみたら大当たり」
「あ、騙したのね!」
クマのヌイグルミを脱ぎ捨てる。クマと頭部が子供にぶつかり・・・・あ、泣いた。
「やばっ!!」
アクションを起こす優春。母親に呼ばれて現れた本物の従業員が現れたのである。
彼女は一目散に逃げていった。

「なんなんだ?全く」
武は場所を変え、コーヒーカップに乗ることになった。
「ってつぐみ、止めろ!!」
それはつぐみの進めだったが、今はその訳が判るような気がする。
「ふふふふふっ」
思いっきりまわす。コーヒーカップが悲鳴を上げる。しかしつぐみは止まらない。
「やーめーろー・・・・・・うえぇぇぇ」
武には災難だが、つぐみは楽しそうだった。
(・・・・・こんなに笑うつぐみは、久しぶりだな)
武はそう思い、納得するようにした。
「っわあ!」
そんな思いも一気に吹き飛んだ。武が、飛んだのである。
「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉ!!」

遊園地内の芝生広場に武はいた。ここはお昼をピクニック感で食べられる場所なのである。
それぞれ買ってきた食べもをシートの上で食べる。
「ま、楽しいからいいんだけど」
武はシートの上で寝る。周りには、
「お母さん!子供泣かせて何してるの!」
優秋が優春に詰め寄っていた。
「私、お母さんに間違えられちゃったじゃない!危うく警察行きになる所だった」
しかし優春は優秋の背後にあるものに注目した。
「で、やっちゃったわけだ」
人が数人倒れている。従業員の服から警官まで。
「殺ってないわよ。気絶させただけ」
「いや、そういう問題じゃなくて・・・」
優春は言いかけると逃げた。しかし優秋は逃がさない。
「まちなさーい!おかーさーん!」
ふと、隣のシートを見るとホクトが息をしていなかった。
「ほ、ホクト!大丈夫か!?」
「み・・・水・・・・」
ホクトは食べ物が喉に詰まったらしい。その理由はそのホクトの隣に沙羅が座っていることから大体想像がついた。
芝生の上にはココが桑古木とひよこごっこをしている。
しかし空が桑古木の隣にやって来て、耳打ちする。すると桑古木は泣いて何処かへ・・・・あ、そっち池。
「ぎゃー!」
また空が毒でも吐いたのだろう。
「つぐみ、行こうか」
「何処へ?」
武はつぐみの手を引くと大きな観覧車へ向かった。

「幸せだな」
「うん」
二人は観覧車から外を眺めていた。青空が眩しいぐらいである。
つぐみはさり気なく武に体を傾ける。すると武はそっとつぐみの肩に手を置いてくれた。
「つぐみ・・・・・」
「・・・・・ん・・・・・」

観覧車から降りた武とつぐみを待っていたのは、ニヤニヤと笑ういつものメンバーだった。

ひとときの幸せを皆で共有することは、共通した想いを持つことになる。
Like Ever Life artificial after world's
『かつての好きな生活』をボク達は望む。『造られたもの』では無く、『その後の世界』まで続くモノを。



薄暗いこの場所は彼女の為にあるような場所。そこに乱入者が現れる。
「華音さん・・・いえ、『神』と言った方がいいですか?」
黒髪に閉じられた瞳、紅である。その隣には同じく黒髪に右が紅、左が蒼の色をした瞳の蒼。
「いいえ、その必要は無いわ。・・・心眼のお姫様に紅蒼の騎士さん」
華音ははあ、とため息をつく。                      '   '  '  '  '  '  '  '  '  '  '  '  '  '
「ふう、あなたは人を動かすのが上手ですね。私に戦い方を教えさせるなんて。
                                      '   '                '   '  '  '   '  '  '  '  '  '
それにこんな無意味なこと、依頼は失敗し、自分の分身を操り消す。
いい演出ですね。彼らに勝ったと思わせ依頼人が自分で動くように仕向ける」
紅は怖いほどの気迫で話す。
「感動的に終わらすためにクワコギさん・・でしたっけ?・・・を瀕死の状態で助ける。
あなたは最初から負けを望んでいたんですね。わざと私達をあんな世界に呼び込んで」
「・・・ふふ、私は楽しみたかったの。だから依頼はどうでも良かった。
          '  '  '  '   '  '  '          
ネロに最も弱いお人形を選んでもらってけしかけたの。スペルというパワーアップアイテムを与えて。
で、彼らをおびき寄せ戦わせる。私が誘惑した者はキチンとシナリオ通りに動いてくれた」
ふふ、と華音が笑う。すると蒼が大太刀を突きつける。
「彼らはまだ生きている。あなたといえど遊戯に使っていい者達ではない!」
「・・・・そうね。今回はやり過ぎたかも。奏にも怒られたし」
「にしても何がスペルよ。あんなものあなたがタイミングよく操った力でしょう。ホンモノのスペルは、
紅が口を開いた。

籠の鳥、籠の鳥。鉄の格子に包まれふ
籠の鳥の名は唄の鳥
飛びたければ格子を破りぬ、空へ羽ばたけ唄の鳥
童は唄の鳥で啼く自由鳥
縛られねぬぞ、籠の中
断つ立つ羽ばたふ籠の鳥
飛びたければ鉄断たん
切もつ力は皆断つ力

グレルリン・フリーダムフェザー
―移り気のある自由羽―

風が一陣、蒼の大太刀に集まる。それはは白く輝く羽のような刃となり、一閃。
一振りから無数の刃が生まれた。周りの風を食らいながら何十、何百へと変貌する。
しかし華音は平然と立っている。そして刃がたどり着くまでわずか、刹那。
暗闇をも断ち切りながら華音を包む。しかし
「ふふふ・・・」
華音は宙へと浮いている。背には黒く、しかし赤の掛かった黒翼。
実態の無いその翼は向こう側が透けて見える。
「っち。当たらなかったか」
蒼が舌打ちをする。大太刀を一振り、そして消滅させる。
「私には今、奏がいないから戦いは御免だわ」
そう言うと華音は羽ばたき、消えた。
「全く。・・・・でも面白かったわ」
紅と蒼も誰もいなくなったこの場を去る。
二人が去った瞬間、その場所は無数に細切れになり、場所そのものが消滅したという。



彼女らが何者なのかは独自で判断するといい
しかし彼女らは我々の知り得ない、知る事のできない範疇に
いる存在だということを、忘れないで貰いたい
彼女らは、『異能者』なのだから

this is a real world's.




TOP / BBS /  








SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送