『ホワイトデー小ネタ集』 
                              byおるけ


1・人助け料


「優、ホワイトデーのお返しなんだが・・・・これ」
 差し出されたのは一袋のクッキー。

「・・・・・そっか。これは倉成はもらえない、そうとっていいのかな?」
「すまん。助けてもらったのにな。・・・・けど、俺にはつぐみがいるんだ。裏切りたくないとかいうんじゃなくて、俺自身が一緒にいたいから・・・・・・すぐには無理かもしれないが、少しずつわかってくれたらと思う」
「・・・・・ふう。ん、まあ勝ち目がないってのは知ってたしね。倉成が気にすることじゃないよ」
「・・・・・・悪い。いつか何かのかたちで返す」
「だから、気にしなくていいわよ。・・・ま、今度夕食でもおごってもらおうかしら。つぐみが待ってるんでしょう?背筋を伸ばして帰りなさいな!」
 優、武の肩を叩く。その顔は今にも崩れそうな笑みを浮かべ、目元には涙がある。
「ああ、ありがとう。今日も寒いからな、風邪をひかないようにしろよ!」







「・・・・・武。それは何の冗談なのかしら?」
「え?・・・・・あ!?」
 武の背中にお約束の張り紙。実に達筆に『差し押さえ』。







2・老若男女


「まあ先生、今年のもすごい量ですねぇ」
 春香菜の机の上に山ほどのラッピングされた箱。
「ええ、いつものことなんだけどね。でもおかしいのよねぇ・・・・」
 首を傾げる春香菜。
「? 何か変なことでもあったんですか?」
「ええ。ここにあるプレゼントなんだけど・・・・私、チョコ送った覚えないのよね」
「・・・・・ま、まあいいじゃないですか好意の表れなんだと思えば」
「ええ。でもなぜか、女性からもたくさん送られてくるのよねぇ・・・」
「で、ですからそれも」
「指輪が」
「・・・・・・・」
「いつものことなんだけどね」





 余談。
「あれホクト、どうしたんだその包み?」
「・・・・・・サ、サッカー部のエースが・・・・」
「・・・・・・・は?」
「バスケ部になんて渡さない、お前は俺達のアイドルだって・・・」(震えだす)
「・・・・・・・・・・・」





3・財布のひも


「なあつぐみ、今月の小遣い少なすぎないか?これじゃ昼食もろくに取れないんだが・・・・」
「ええ、あげるわよ?いつ、どこで、何を、いくつ、どれくらいのものを、何のために使うのか言ってくれれば。ああそうそう、誰かのために使う場合は、
 @それが誰であるか、
 Aその人物の職場はどこか、
 Bその人物からバレンタインにチョコレートと呼ばれる物体をもらったか、
 Cその人物のことをあなたはどう思っているか、
 Dその人物はあなたをなんと呼ぶか、
 Eその人物をあなたはなんと呼ぶか、
まあ最低でもこれぐらいは報告してほしいわね。
ええもちろん誠意ある返答を期待するわ。あなたの来月の小遣いとあばら骨のためにも」




 武、ぶるぶる。






4・待たざる者


「う〜む、ぎりぎり足りるかってとこか・・・・?」
 金がなければ素材から作ればよい。倉成家の台所には甘い匂いが漂っている。
「よし、もうすぐ3回目のが焼きあがるな」
 完成したクッキーは武の後ろに並べられている。
 そこに上からマジックハンドがにゅい、と。
「・・・・沙羅。そこで何をしている?」
 天井に張り付いた娘に向かって半眼で問う。
「沙羅なんて知らないでござる。拙者通りすがりの伊賀忍者ゆえ」
「そうか。ちなみにそんなこったろうと思ってその天井にとりもちを仕掛けておいたんだが」
「!あ、取れない!?取れないでござるよ!?」
「そこでしばらく反省してなさい」
「・・・ふ、こっこれもひとつの修行でござる」
「おまえのいる前の辺りにくっついているのが何だかわかるか、伊賀忍者?」
「?ちっちゃい袋みたいだけど」
「ゴキブリホイホイの中に入ってるにおい袋だ。そのうちつられてくるんじゃないか?」
「いやぁっ!!パパは私を茶色い悪魔に差し出すのでござるかっ!?」
「やかましい。誰であろうと俺の聖域に入った奴は容赦せん」
「シャー」
 がぽがぽがぽ。
 騒ぐ武の前で食われるクッキー。
「ココ、何してんだっ!」
「あ、たけぴょん。たけぴょんもやる?ガ○ンアダーごっこ」
「やらんっ!!」
「そうなの?蛇だからいっぺんにたくさん飲み込めるのに」
 ぎょくぎょくぎょく。ココの頬とのどが愉快な変形をして最後のクッキーを胃袋に流し込む。
「はは・・・・・。あばら、4本か?」
「嫌なんかこっちきたでござるうぅうっ!!!」
 武遠い目、沙羅断末魔。






5・Iam You


「優!え、えーと・・・・・あの、これっ!」
「あ、ホワイトデーだものねえ。うん、ありがと」
「うん、喜んでもらえてよかったよ。・・・・・あれ、優そのクッキー誰からもらったの?」
「え?うん、武さんからもらったんだ〜(はーと)」
「ゆ、優?ちょ、ちょっと!」
「・・・・・・・・・・・・・」(ぽ〜〜)
「う、うわああああん!!お父さんなんて大っ嫌いだあああああぁぁぁ!!!」
 ホクトダッシュ。
 がんばれ不幸少年2。





6・usually or nothing


「あら、つぐみさん?どうしたんですかここにくるなんて。あ、先生に用事ですか?」
「いいえ、今日は空、あなたに用事があって来たのよ。まあいわば今回の私はキューピッドといったところね」
「?」
「今日はホワイトデーでしょう?武からバレンタインのお返しよ。本当はこんなことしたくないんだけどね、仕方ないわ。あ、心配しなくても武の作ったやつだから中身は保証するわよ」
「本当ですか?ありがとうございます!!あら、二つあるようですけど、片方は先生の分ですか?」
「いいえ、あなたが二つの中から選ぶのよ。
 片方はクッキーで『これからも変わらずによろしく』という内容のメッセージカードが入ってるわ。
 片方はネックレスだけど『あなたの思いにきっぱりと答えを出した』内容の手紙が入ってるわ。
本当、こんなことはしたくないんだけどね?
さあ・・・・・・・・・・どちらを選ぶの?」



「・・・・・・・・・・・・クッキー、のほうを・・・・・・・」(負け犬の表情)







 あとがき

 ホワイトデーは過ぎてますが。
 どなたもやってる様子がないので書いてしまったホワイトデーもの。
 私では小ネタにしかなりませんが。
 なんか弱いですねぇ。考えた時間も短いですし。
 ご覧になった方、ありがとうございました。


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