We ever cross, hello never world 作者:霜月 律 |
――ホクト視点 25:41 「・・・・・・。」 最初見た時、絶句した。 倒れている、お母さん、沙羅、ユウ、ココ。 そして立っている、いづみさんと、沙紀さん。 この状況は、まるで戦争が起きた後のように見えた。それぐらい、周囲の破損状況がひどかったのだ。 「ココ・・・」 ボクは呟いた。 「ユウ・・・」 僕は呟いた。 4人は霧になってしまった。 ――え? 「とうとう来たわね。」 何か違和感が残った。 「みたいですね。」 二人はボクの方を振り向いた。 僕は激情に任せて叫ぶ。 「手前ら・・・ぶっ殺してやる!」 「さあ、ラスト3人。ここで私達を殺せれば、後もう少しね。」 沙紀さんがいづみさんの前に進み出た。 「私から行かせてもらいます。」 「どうぞ。」 ボクの目の前で闇が動き出す。やがて形を持って『猟犬』になった。 10・・・30・・・ 数え切れない数に増えていく。僕はそれを冷ややかに見つめていた。 ――僕の頭の中で、スイッチが弾かれた音が聞こえた―― 猟犬がボクに襲い掛かる。 「邪魔だ。」 銃なんて玩具はいらない。 「死ね。」 こんなモノ・・・素手で十分だ。 視界が真っ赤になる。 空も、人も、何もかも。 そして、ビデオのスローモーションを見ている様に、全ての動きが緩慢。 ボクの右前方にいた犬を捕まえると、思いっきり、地面に叩きつける。 二度と再生する事はない。 ボクが作り出したこの世界で、再生する事は絶対不可能。 次に近くにいた犬に向かって、おもむろに腕を伸ばした。ただそれだけ。 それだけで、犬は霧になる。 こうなって来ると、もはや面倒くさいだけだった。 ボクは――ただただ、一方的な殺戮の宴を始めた―― 「はぁはぁはぁ・・・」 僕が気が付くと、もう『猟犬』の姿は無かった。 「貴方・・・一体何なのよ・・・?」 沙紀さんの動揺の声。 いづみさんの驚愕の顔。 「なぁに。」 ボクは丁寧に質問に答えてあげた。 「ちょっと『殺界』を張って、絶対的な死を、『猟犬』に与えただけだよ。」 大した事はしていない、と言うと、いづみさんの顔が、動揺から確信の顔へと変わった。 「貴方・・・第三視点『ブリックヴィンケル』ね。」 「御名答。」 ボクは笑って、沙紀さんに近づいた。 「目障りだ。消えろ。」 沙紀さんに手を突き刺す。嫌な音がした。 「が・・・は・・・」 簡単に・・・風に溶け込む様に体が崩れて逝った。 「こんな所に何の用?」 「ちょっと・・・『可能性』を消しに。」 いづみさんの指先から、ガラス球が垂れ落ちる。 姿を消し、凄まじいスピードでの攻撃。 「まだ、遅いな・・・。」 『素手』でガラス球を叩き落す。 そして未来を『視』る。 「え?」 トン、という軽い音。 「お休みなさい。」 ボクはその手を引き抜いた―― ――武視点 25:58 街のはずれにある、教会の扉のドアを押し開けた。 「神様にお祈りは済ませたか?」 「ああ。」 掲げられた十字架の前に立っていた男が答える。 教会の中はとても広かった。 「後は、俺一人だ。」 「そうか、そうか。これで終わりか。」 俺は包丁を構える。 「いや、『終わる』のはあんただ。倉成武。」 グサリ 右腕を見る。そこには・・・一枚のトランプが刺さっていた。 「え?」 何が起きたのか全く解らなかった。人一倍の反射神経を有する俺が、奴の動きについていく事が出来なかった。 「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 襲い掛かる痛みの奔流。 「あんたと俺じゃ、実力の差がありすぎる。諦めろ。」 トランプを引き抜き、腕を押さえる。 「はっ、何があっても諦めないってのが俺の主義でね。」 「まだ無駄口を叩くか。」 スカン! トランプが骨に突き刺さる。 「くっ!」 痛みで、包丁を取り落としてしまった。 「さようなら、いい夢を。」 目の前に迫る物凄い数のトランプが来た。 トランプの柄が視界に入る。 ――『JOKER』―― |
あとがき 一応、説明。 沙紀が操ってるのは『影』ではなく『空気中の水蒸気』です。 慌ててつけた設定ですが。 それと、ココと秋香菜の戦闘シーンは都合の為です。ファンの方、申し訳ありません。 最初、ココは念力、秋香菜は木刀にしようと思っていたのですが、念力が使えちゃうと、いづみさんの武器を止められることができてしまうし、木刀はつぐみとかぶるし・・・ 力不足な自分を許してくださいまし。 さて、We ever cross, hello never worldも大詰めとなって参りました。 教会にいた男が誰なのかは・・・大体想像がつきますよね。 Never7をやっていない方は誰なのかと、想像して下さい。 それでは。 |
/ TOP / BBS / |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||