We ever cross, hello never world
                              作者:霜月 律

―Dead end―



――武視点 7:35

「おらー!全員起きろーー!!」
 朝っぱらから、俺の大声が家中に通る。
 なんだか、体中が痛い気がするが、気のせいだろう。
 嫌な夢を見たせいだろう。
「おはよー。」
 最初に起きてきたのは、息子のホクトだった。
「おう、いつもながらお前は素直に起きてくれるな。」
「・・・沙羅とお母さんはね。」
「何も言うな。」
「じゃ、沙羅を起こしてくるよ。」
「おう任せた。」
 俺はそう言って、つぐみの部屋へと向かう――

――沙羅視点

「ほら、沙羅〜。起きなって。」
「お兄ちゃん・・・あともうちょっと〜。」
「駄目!今日は家族皆で遊園地に行くんでしょ?」
「むにゃ〜わかったにゃ〜。」
 諦めて、起き上がる。お兄ちゃんの挨拶で起きるのも、悪くないかも・・・
「おはよう、沙羅。」
「おはようでござる・・・」
 寝ぼけ眼を擦って、洗面所に向かう――

――つぐみ視点

「つぐみ〜!起きろ〜〜!」
 まだ眠い・・・。武には悪いけど、まだ眠っていたかった。
「お前以外はもう、起きたぞ〜。」
 何も反応しない私を見て、武はふむ、と言う。
「ちょ、ちょっと武!?」
 突然、武が布団の中に潜り込んで来たから、びっくりして起き上がった。
「な?目覚めバッチリだろ?」
 やられた・・・。私は、顔を洗う為に部屋を出た――

――誠視点

 今俺は、田中優美清春香菜の自宅へ来ている。
 何故来たかって?それは、優に『至急、集まって!』と言われたからである。
 ・・・いづみさんとくるみを引き連れて。
「よぉ、石原。早かったな。」
「おう、桑古木か。」
 桑古木はリビングルームのソファに座って、本を読んでいた。
「お前が本を読んでいるなんて珍しいな。」
「俺だって読む時ぐらいあるさ。」
 俺は、桑古木の隣に座った――

――いづみ視点

「おはよう、優ちゃん。」
「おはよう、いづみさん。」
 朝の一声。当たり前の様な挨拶である。
「突然どうしたの?」
「ん、ちょっと。」
「そう。」
 くるみが、優ちゃんの部屋に入ってきた――

――くるみ視点

「おはよーございまーす!!」
 友達のココちゃんを連れて、くるみは田中先生の部屋に入った。
「なっきゅ、おはよ〜☆」
「おはよう。二人とも。」
 田中先生には、大学時代にいろいろとお世話になった。
「今日は何の用ですか?」
「今から話そうと思っていたところ。」
 田中先生はそう言って、口を開いた――

――優美清春香菜視点

「倉成家が今日、遊園地に遊びに行くのよ。」
「それで?」
 いづみさんが口を挟む。
「私達も乱入しようかと・・・。」
「つまり優ちゃんは、武君とつぐみちゃんが仲良くしているのが気に入らないと。」
「違いますっ!」
 言ったときには既に遅し、顔が真っ赤になっていた。
「ああ、ココ。」
 慌てて話を変える。
「桑古木の所に行ってあげて。きっと喜ぶわよ。」
 私はそう言って、ココを部屋から追い出した――

――ココ視点

「少ちゃ〜ん♪」
「おう、ココ。来てたのか。」
 少ちゃんには何度も危ない所を助けてくれた気がする。
 今度、お礼をしなきゃね。
「うん。ねぇ、少ちゃん何読んでるの?」
「ん?ああ――」

――涼権視点

「ん?ああ――」
 本の表紙を見せる。
「新約聖書。」
「こりゃまたマニアックだな。」
 隣の石原が呟く。
「失礼だな。お前も読んでみろ。心が洗われるぞ?」
 上の階から、空が降りてくるのが見えた――

――空視点

「皆さん、何のお話を?」
「えーと、こんにゃくひょうし――」
「違う、『新約聖書』だ。」
 ココちゃんのボケに、桑古木さんのツッコミ。
「今のは――57点ですね。」
 倉成さんに教わった採点基準。これでも控えめでしょう。
 私の一言に皆さんが笑った――

――優夏視点

「なぁ、優夏。ちょっと今から田中先生の所に来ないか?」
 彼の突然の誘い。
 私は喜びを噛み締めていた。
「いづみさんに誠は渡さないわよ!」
 誰もいない自宅で私は叫んでいた――

――遥視点

「なぁ、遥。ちょっと今から田中先生の所に来ないか?」
 彼の突然の誘い。
 私は断る理由がなかったので、行く事にした。
 今はお姉ちゃんとお付き合いをしている、誠。
 うまくいっているのだろうか。
 私は、家を出た――

――億彦視点

「おい、お前が言っていた遊園地に来い。メンバー全員集合だ。」
 僕は、後ろで朝ご飯を作ってくれてる沙紀ちゃんにそっくりそのままの言葉を言った。
「へぇ、誠君もいい事思いつくじゃない。」
 沙紀ちゃんも乗り気な様だった――

――沙紀視点

「じゃ、行こうよ。」
 私と億彦君は一緒に家を出た。
「我慢して待っているのよ。」
 足元に来た子犬に、そう話しかける。
 私はこの子の頭を撫でてあげた――

――優美清秋香菜視点

「いいの?私も行っちゃって。」
「勿論。皆喜ぶよ。」
「とかなんとか言っちゃって、本当はホクトが一番喜んでるんでしょ。
「あ、ばれちゃった?」
 そう言って、私たちは笑いあう。
「じゃ、僕ん家に行こう。」
 迎えに来てくれたホクトは、私の手を取った――

――ホクト視点

「――どういうこと?これ。」
 遊園地に来てから、唖然とした。
「それは俺も聞きたい。」
 お父さんも呟いた。
 メンバーが勢揃いである。合計16人。
「まぁまぁ、細かい事は気にしない。」
 田中先生がそう言う。
「優・・・貴方・・・」
 早速、お母さんと田中先生のバトルが始まった。
 チラリと、誠さんを見る。
「どうやら、出れたみたいだね・・・」
 僕は一人、呟いていた。

――あの世界に二度と訪れる事はない。

 あの世界は――死んで終わったのだから――




 あとがき
 やっと終わったぞこんちくしょー!!
 暇さえあればPCに向かっていたので短期間で書き終わりましたが。
 いかがでした?
 御感想いただければ幸いです。
 それではまた・・・


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