今俺の目の前ではおかしなことが展開されている・・
「それ!それあたしのよ!!」
「何いってるのあたしのにきまってるでしょ!!」
・・何を矛盾したことを言っているのだろうか・・
そしてその中に妻であるつぐみと娘である沙羅がいる・・
「そのワンピースもらったー!」
つぐみがキュレイの力を存分に使って、持っているワンピースに群がるおばさんたちを引き剥がす。
「おばさん!それ私がもらうのー!!」
沙羅がよほど気に入ったのか、服の引っ張り合いをしてる。
女たちの壮絶な戦いが俺の目の前で展開されていて、ここはアフガニスタンなどの戦場とほぼ変わりない殺気を感じる。
女・・いや、主婦の戦いの場それは・・


『デパート 女たちの戦い?』
                              チョコシュー


倉成武の休日はつぐみに起こされることから始まる。休日ぐらいこのまま寝ていたい・・
「武、朝だよ。ご飯出来たから起きて」
エプロン姿のつぐみがいつものごとく朝食を作り終えて起こしに来る。手には何故かおたまじゃくしが握られている。
「うーん、後五分・・・Zzzz」
「んもう!・・キュピーン!!」
つぐみの目が精神に直接聞こえるような音を発した時さっさと起きればよかったのだ・・
「・・えい!!」
ドゴン!!
「ぐはぁ!!!」
つぐみ必殺のフルパワーボディーブローを朝から受けることになってしまったのだ。
これで何人ライプリヒの人間を沈めたのだろうか・・・ちょっと気になる・・がそれにしても痛い。
「つ、つぐみさん。お願いだから朝からボディーブローは・・・」
血を吐きながら、懇願するかのような顔をしてつぐみに言った。
「だったら、さっさと起きてよね。それよりご飯出来たよ。」
「おう」
キュレイご自慢の超回復によって、すでに立ち直った俺は着替えて下に下りていった。

食事を終え、テレビでも見ようとしたとき
「お母さん!お母さん!大変だよ!!」
新聞を取りに行った沙羅が、足音を廊下に響かせながら走ってくる。
「どうしたの沙羅?」
台所で食器を片付けていたつぐみが、驚きながら答える。
「このチラシをみればわかるよ!」
沙羅の手には一枚のチラシがあった。それは何の変哲もないチラシなのだが、
どうやら主婦たちにとっては戦場への招待状だと認識した頃には後の祭りだった・・
「!!」
チラシを見てつぐみの表情が一瞬にして変わった。
「ね?わかったお母さん?w」
「沙羅、今すぐ支度をしなさい」
「さすがお母さん、そう言うと思ってすでに支度は終わってるよw」
「さすが我が娘、抜かりはないわねw」
「フフフ、くのいちをなめないでほしいでござるよ・・」
「ふふふ、そうだったわね・・」
母と娘がお互いを見て、なにやら感心し合っている。
そして二人の後ろにはなにやら黒いオーラが見える。
『やばい、何かいやな予感がしまくる』
そう思って逃げようとしたがすでに遅かった。
「まって武、どこへいくの?」
倉成家最強の称号を持つ倉成つぐみが俺の肩に手をかける。
「い、いや、ちょっと買い物に・・」
俺はとっさに答えたが、このセリフが完全に裏目に出てしまった。
「ならちょうどよかった、今からデパートに行くけど付き合ってくれるわよね?」
「付き合ってくれるよね?お父さん・・」
沙羅とつぐみの顔は笑っているのだが、目が怖い。
「す、すまん。間違えた、これから桑古木とちょっと用事が・・」
「へぇー、妻と娘と出かけることより桑古木なんかの用事を取るんだ・・?」
「取るんだ・・?」
完全に拒否権が俺にないことだけは明白である。しかも退路を沙羅によって塞がれてしまった。
もう逃げ場はない。
「そ、そうだ。ホクト!ホクトを誘えばいいじゃないか!」
「さっき見てきたけどお兄ちゃんはすでに逃げてたよ」
沙羅が「お兄ちゃんめ・・」と怨みながら答える。ホクト、俺からも怨むぞ・・?
「さぁ、どうするの武?」
「さぁ、どうするのお父さん?」
二人の目が「行かないなら、どうなるかはわかってるよね」と殺意を持ちながら俺をにらむ。
もちろん、つぐみのフルパワーボディーブローを連打で食らうだろう・・
「わ、わかった。い、行けばいいんだろ・・」
「さすがはお父さん、分かってるーw」
「さすがは武w」
二人の表情が緩み、俺に対する殺意は消えたようだが何か意志を感じる。
1時間後、俺が荷物持ちのためだけにデパートへ借り出されたのは言うまでもないだろう・・・・





「「ふー、いい買い物をしたw」」
二人が声を合わせて言う。もちろん買い物の荷物は俺が持っている。
「おまえら・・」
「何?武」
「もう少し、遠慮というものを知ったらどうだ・・?」
俺の両手には、普通の人間では持つことの出来ない量の荷物が持たれている。
「「だって・・・」」
「武なら持てるだろうと思って」
「お父さんなら持てるだろうと思って」
「あのな・・・」
そう言いながらも持っている俺。はぁ、悲しい運命・・
空ならこんなことはないだろうな・・と絶対に聞こえないような声で愚痴をこぼした。はずだったのだが・・
「何か言った?」
つぐみイヤーは地獄耳。普通の人間では聞こえないはずの声まで拾ってしまった。
「イイエ、ナンデモナイデス」
「そう、じゃあはいこれ」
そういうとつぐみは俺に更なる荷物を手渡す。口は災いの元だということがよく分かった瞬間でもあった。
「さて、そろそろ帰りましょうか」
「そうだね」
家の女たちが帰り支度を始める。やっと開放されると思ったのもつかの間・・
「あ!お母さん、あそこで化粧品の半額セールやってる!!」
「ナイス沙羅!行くわよ!!」
「了解でござる!!」
と、また何処かへと行ってしまった。
沙羅の目はまるで千里眼かと突っ込みたくなってくる、今日この頃。
家に帰ったのは今から4時間後のことだった・・



「「ただいまーw」」
「た、ただいまー・・」
両手に手が千切れてしまいそうなほど荷物を持たされ、
疲れきった俺ともう満足げな笑顔をするつぐみと沙羅を出迎えたのは裏切り者のホクトだった。
「おか・・お父さんどうしたの?」
「・・お前のせいだ・・」
「は?」
「いや・・なんでもない・」
「はい、これお兄ちゃんのね」
沙羅が袋から出したTシャツをホクトに渡す。
「あ、ありがとうさ・・」
ホクトが手渡されたTシャツを見た瞬間凍りついた。
「どうした、ホク・・」
ホクトが凍りついた理由が、Tシャツを見た瞬間分かった。
Tシャツには、某ネズミのキャラクターが印刷されていた。沙羅、朝の恨みを今ここで返すつもりで買ってきたな・・
「武にはこれね」
「お、おう・・」
おそるおそるTシャツを見てみた。そして俺は凍りついてしまった。
Tシャツには、某ネズミのキャラクターよりもひどいLemuのみゅみゅーんがかなり可愛く印刷されていた。
あ、あのつぐみさん?わ、わたしに何か恨みでも・・?
「さて、ご飯作らなきゃ」
「わたし、宿題あるから部屋にいるね」
凍りついた二人をほおって置いて、二人は家の奥へといってしまった。
とりあえず、ホクトのことを恨むのは後回しにするしかなかった俺だった・・





あとがきのようでそうでないもの

どうも、チョコシューです。
「恋愛成就?」に続くギャク第二作目は、どうだったでしょうか?
1時間半で仕上げたのでかなりふらふらです・・・しかも、学校風邪で休んでいる最中に書きました!(何?!
今回は前回のようにセリフの横に名前をつけないようにがんばってみました。
そのため、かなり読みにくくなっていて日本語になっていない場所もあるかと思います。
意見、感想、指摘大歓迎のチョコシューですので、もうびしばし言っちゃってくださいな!
では、またw


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