少年は大空を舞う。
妹を撃った敵を倒すために…
しかし、戦いの前に少年は敵を撃つことを迷う。
自分の手で人を殺すことが何を意味するのか、
少年は知る由もなかった。



『 ソ ラ ノ カ ケ ラ 』
                              チョコシュー

PHASE 3 迷い…そして…







初めてこの艦に乗って、彼女たち…神凪 綾さんと安藤 玲名さんに会ってから数日が経過した。
戦場が近いらしく、みんなあわただしく動いていたが手伝う気にはなれなかった。
自分の手で人を殺す…
初めて綾さんと玲名さんに会って話した時に、ふと思った言葉だった。
しかし今では、耳からはなれない…
彼女たちは、人を殺したのだろうか…
さすがに、本人に聞く勇気はなかった。
初めてシュミレーターでの訓練戦闘の時、彼女たちの成績は優秀だった。
二人とも訓練戦闘で、敵機が20機中15機も落としたのだ。
彼女たちの話によると「空には勝てない。あの人だったら全機落とす」らしい。
ちなみに僕の結果は最悪だった。
カタパルトからの発進の時に、コントローラーの操作を誤り
カタパルトから射出後、錐揉み状態で墜落し、大破してしまった。
今は何とか戦闘までこぎつけ、一様見る事が出来るようになったくらいの成績だ。
シュミレーターでは、敵機を撃つことはできる。
沙羅にさんざんつき合わされ、一様ゲーム感覚で出来るからだ。
でも実戦では撃てるのだろうか…
お母さんにこの事を相談してみたら「敵と戦うのであれば考えないほうがいい」と言ってくれた。
でも考えないようにすればするほど考えてしまう…
僕はどうしたらいいか分からなくなってしまった。
「ホクトさん」
ふいに僕を呼ぶ声がした。
「綾さん…」
腰ぐらいまである長い髪を揺らしながら歩いてくる。
「こんなところにいたんですね。そろそろブリーフィングが始まりますよ?」
綾さんに言われて腕時計を見る。
ブリーフィング開始まで後五分を切っていた。
…そういえば、そろそろ実戦に出すだのどうのこうの田中先生が言っていた気がする…
「すみません、急ぎましょう」
僕はそう言うと、ブリーフィングルームに向かって走り始めた。




2034年 8月14日 午前 11時30分

ブリーフィングルームの中は、僕を含めた6人しかいない。
綾さん、玲名さん、お母さんにお父さん、そして空。
まさかこの人数だけで作戦を行うのだろうか…
プシュ 軽い音が室内に響く。エアロックドアの開いた音だ。
そして田中先生が入ってくる。
「全員、気をつけ!」
空の掛け声で僕も含む全員が田中先…艦長に敬礼をする。
「全員休め。って、堅い雰囲気はここまでにして全員座って」
艦長になったとはいえ、やっぱり田中先生は田中先生だった。
僕たちだけとはいえ、ブリーフィングの時でさえ軽いとは…
「それじゃ、作戦内容を伝えるわね。」
ブリーフィングルームのメインモニターに基地の画像が映し出される。
「今回の作戦は、このエコール基地の防衛よ。
情報部からの情報で敵が向かっているらしいんだけど…
連合軍の情報部ってあまり当てにならないことで有名なんだけどね…
でも、このエコール基地は前線に物資を送るための中継基地となっているわ。
ここを叩かれると、事実上補給線が断たれる事になるから放って置くわけにも行かないの。
まあ、戦闘になれてないあなたたちにうってつけの任務ってわけ。
それじゃ、各員出撃準備。
完了後、即出撃」
「了解!」
お母さん、お父さんそして僕を除いた3人が敬礼をする。
あわてて僕たちも敬礼をする。
そして僕たちは、格納庫へ走り始めた。
僕は…敵を撃つ覚悟がないままに…




2034年 8月14日 午後 12時14分

…SYSTEM LADY  ENTER PASSWORD_
僕の目の前にホログラムモニターが現れ、パスワードを要求してくる。
******
…COMPLETE_

「システム起動。
所属、名前をお答えください。」
この機体に標準装備されている戦闘用AI「AIR」の無機質な声が聞こえる。
「第45義勇飛行隊 倉成ホクト」
僕は「AIR」の質問にそのまま答えた。
「…本人と確認。
おはようございます。マスター」
「AIR」が言ったと同時に、全てのモニター、計器に明かりがともる。
「ENSI(エンジー)システム起動。
マスターとのCONNECT(コネクト)スタート」
そう「AIR」が言うと、僕の意識は薄れていった。
そして気がつくと戦闘機と感覚がつながっている。
これは、Electro-Neuron-Synapse-Interface System 
略してENSIシステムと呼ばれている。
パイロットとの神経結合を行うことによって、
普通に操縦している状態よりも、より素早く、的確で繊細な操作が可能になる。
そしてパイロットの意識は戦闘機内に形成された電脳空間 Electrosphere(エレクトロスフィア)
に移され、戦闘機と同化する。
これにより、自分が思うだけで全ての操作を行うことが出来る。
神経結合をするためパイロットは寝て操縦する事になり、
コクピットは密室状態になる。
そのため、ENSIシステムを使っている戦闘機は
別名「Coffin(コフィン  日本語訳 棺)」と呼ばれている。
正確には Connection-For-Fight-Interfaceというらしい。
「マスター、ブリッジから通信が入っています」
「繋いでくれ」
そういうと、僕の目の前に現れたモニターにオペレーターの顔が映るはずだった。
「やっほー!ホクたん!!」
…いきなりだけど、頭痛い…
モニターに映ったのはココだった。
「な、何でココが…?」
「AIR」は確かブリッジからの通信といったはず…
「ココはねー、これでもオペレーターなのだー。えっへん!」
モニターの中でココがふんぞり返っている。
…ちゃんと出来るの?
「出来るよー!失礼しちゃうな!!」
…さすが自称太陽星人…僕の心を読むとは…
「それより、ホクたん。発進シークエンス始めてもいい?もう皆始めちゃってるよ??」
ココの電波で忘れてた。そう言えば今から戦場に行くんだった…
「…おねがい」
「りょーかーい!Rシリーズ4号機、発進シークエンススタート!」
「発進シークエンススタートを確認。
拘束装置解除、カタパルトデッキへの移動開始」
「AIR」のいった通りに機体を固定するための拘束装置が外れ、
カタパルトデッキへ移動していく。
「Rシリーズ4号機。2番デッキへ進んでください」
ココが移動先を伝えてくる。「AIR」はその通りに勝手に動いてくれる。
そして、機体はカタパルトデッキに着いた。
「最終安全装置解除、エンジンスタート」
キイィィィィィン!!!!
エンジンが点火され、機内にも音が聞こえてくる。
そして僕は発進の最終段階を終わらせた。
「進路クリア、オールグリーン」
「AIR」が全ての準備が終わった事を告げた。
そして、僕はココに発進許可を求めた。
「発進許可を求めます」
「Rシリーズ4号機、発進を許可します。
がんばってね、ホクたん!」
僕は画面のココに向かって頷いた。
「Rシリーズ4号機「グローランサー」、発進します!!」
僕はそういった瞬間に、カタパルトを作動させた。
ゴゴゴゴゴ!!
ものすごいGが、自分の体にかかり目の前の視界が歪む。
視界にまぶしい日の光が差し込んだ瞬間
機体は艦から離れ、青く澄んだ空へと飛び出した。

数秒後高度2000メートル到達した。
今、僕は空を飛んでいる事を実感している。
青く、そして澄み切った空。
鳥たちだけに許された、空を飛ぶ事。
幻ではなく、本物の空を飛ぶ事に僕は興奮を覚えた。
とても…これから、戦いに行くとは思えない気分だった。
「メ…ウス…1…」
気分がいいのか悪いのか自分でも分からない。
「メビ…ス…1」
人を殺す。いまだに頭から離れない言葉だった。
こんな調子で戦闘などできるのだろうか…
「メビウス1!!」
「わぁ!?」
いきなり、耳に大音量の声が入ったためびっくりしてしまった。
気づいたら、自分の目の前にモニターが現れリーダーである綾さんが映っていた。
作戦前にコードネームをもらったのだが、いまだにしっくり来ない。
前にBWの器にされた時、BWが「ホクトと呼ぶな、自分じゃない気がする」と言ったらしいが
こんな感じだったのだろうか…
「…そんなに驚かなくても…大丈夫ですか?そろそろ、作戦空域に入りますよ」
「もう…ついたのか…」
ついさっき、艦を離れたばかりだとばかり思っていた僕はすこしあっけにとられてしまった。
「もうって…本当に大丈夫ですか?」
「え、ああ。はい。大丈夫です。戦えます。」
「そろそろコンバットシステムを起動させておいてくださいね」
「了解です。「AIR」、コンバットシステム起動。パワーをミリタリーへ」
「了解。コンバットシステム起動。パワー、3 2 1、パワー、ミリタリーへ移行完了」
機体のコントロールが急に軽くなったのを感じる。
これで、いつでも戦闘が出来る常態になった。
「こちらナイトレーベン。
ラグナロク、長距離レーダーに敵影を確認。どうします?」
ラグナロク。綾さんのコードネームで、ナイトレーベンは玲名さんだ。
大抵はコードネームの後に数字がつくのだが、綾さんと玲名さんは特別で
ミッション成功率が85%という異常なまでの成功率を誇っていて
その実力を認めた上層部が新たにコードネームを与えたらしい。
「ナイトレーベン、敵影の位置は?」
「…ちょうどエコール基地まで後100kmってところです。」
「全機、最高速で目標地点まで移動。
敵機の速度からすると到着後即戦闘になりそうなので最終確認を忘れずに」
「了解!」
「了解!」
僕らは、スロットルを全開にしてエコール基地を目差した。



わけの分からないあとがき

・・・戦闘入りたかったんですけどねぇ
気分が「早く戦闘シーン書きてぇ!!」みたいなかんじで暴走してしまいまして・・
話がまったくつながらないという由々しき事態に・・
まぁ、もっとも書いたところでまたわけの分からない戦闘シーンになりそうなのは見え見えですが・・・

えっと、戦闘機の名前ですが恐ろしくネーミングセンスが無い自分にとって出来る事は
ゲームや漫画、アニメからパクってパクってパクリまくることでした(オイ!
ホクトの機体である「グローランサー」ですが、一様日本語訳としては「光の救世主」らしいです・・
まぁ・・知っている人にとっては「やめようよこれ・・」って名前なのですが許してくださいTT

それでは、また・・


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