チュンチュン、チュチュチュン。
すずめの鳴き声が、聞こえてくるすがすがしい休日の朝。
現在の時刻は、日も差し込んでこない、午前4時半。
倉成つぐみは、これから一世一代の大勝負に出る事にしていた。
「…よし!」
つぐみは、決意を固め道具を手に取る。
そして、2時間後……




チュドーーーーーーーーーーーーーン!!!!!




「わぁ?!!な、なんだ?!」
「…ママ…またやったんだね…」
「…いいかげんにしてよ…お母さん…」
何が起こったのか分からない父親をよそに、母へ怒りをぶつけたいと思いつつ恐怖に怯える兄妹が居た。





つぐみんのお料理教室???
                              チョコシュー






「つぐみーーーーーーーーーー!!!!!」
朝早くから、大声で怒鳴り散らす倉成武。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
そして、いつものクールビューティーつぐみの姿はどこへやら。
まるで、茜ヶ崎空のようにごめんなさいを連発し、頭を下げているつぐみの姿が台所にあった。
「お父さん、うるさすぎるよー」
眠そうに、父親に講義する倉成ホクトが台所に現れた。
「うるさい!これを怒らずにいられるか?!貴様は?!!」
武が、ある場所に指をさす。
ホクトは何気なくその場所を見た。が
本来そこには、あるはずの無い大穴が壁に開けられていた。
「…なんなんですかねぇ…これ」
ホクトは空いた口が塞がらなかった。
…まぁ、誰だって朝起きて大穴が開いてればこうなるものだが…
「つぐみが開けたそうだ。
何で料理するだけでこんな指向性爆薬使ったみたいに大穴開けられるんだ、ええ?!」
武がつぐみを睨みつけている。
その眼光に射抜かれそうなつぐみは、シュンと体を縮める。
「…たしかに、普通に料理してなんで大穴開けられるのかがものすごく不思議だねぇ」
息子にまで追い討ちをかけられ、つぐみはさらに体を縮める。
「家計が苦しいから、お小遣い減らすねって平気でいえるやつが
壁に大穴開けてよけいに苦しくしてどうすんじゃい!!」
武に、とどめの一撃と言わんばかりの言葉を投げつけられ
撃沈するつぐみ。
「…お母さん、材料何使ったの?」
「…たしか、お米に鶏肉に豚肉、牛肉にお塩にタバスコにブラックペッパーにetc.etc…」
つぐみがすらすらと使った材料を言っていく。
つぐみの使った材料を聞いて、武とホクトは頭を抱えはじめた。
材料の多さもそうだが、最後の方には料理の材料とは絶対に言えないものが出始めたからだ。
「…うまい棒にガンパウダーにニトログリセリン、あと最後にケミカルX」
「つ、つ、つつ、つ……」
「お母さん…ケミカルXって、○ワー○フガールズ…」
耳をふさぎつつも、芸人根性が許さなかったのか無意識にツッコんでいた。
そして、ホクトが突っ込み終わった瞬間…
「つぐみーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
本日二度目の武の叫び声が近所中に響いた。
と、そこに眠そうにした沙羅が台所に来た。
「ふわぁ〜〜〜、おはようお兄ちゃん。朝からここまでうるさいのはなんで?」
くいくい、とホクトが大穴を指でさす。
「…これまた派手にやったでござるな…」
「これでお父さんがものすごく怒ってね…普段のうさ晴らしとばかりに」
「そこぉ!それは断じて無いぞ!!」
「…地獄耳だね。お父さん」
「ガミガミガミガミ…!」
ホクトのツッコミを無視してつぐみに怒鳴り散らす武を見ながら、沙羅が危険な発言をした。
「そんなに料理がしたいなら、料理教室にでも行ってきたら?」
「「…………」」
その発言を聞いた武とホクトは黙り込み、
「…それはいいかも」
つぐみはかなりいい考えだと言う感じの顔をした。
そして数秒後…
「「ぜったいにだめ(だ)ーーーーーーー!!!!!!」」
二度ある事は三度ある。
本日三度目の叫び声が武の声とホクトの声のツープラントンとなって近所中に響いた。
「あのね沙羅。その発言がどれだけ危険か分かってる?!」
ホクトが沙羅に問い詰めより、沙羅がそれに合わせて後ずさりする。
「だ、だってお兄ちゃん。料理ができないなら誰かに習うのが一番良いと思って…」
「…料理教室の教室を爆破しそうだとは思わなかったの?」
「…ごめんなさい、前言撤回です…」
「とにかくつぐみ!今すぐここを片付けろ!俺は朝食を準備する。
ホクト、手伝ってくれ。一人だとかなり時間がかかる。」
武が台所に向かい朝食の準備を始める。
「分かったよ、お父さん。沙羅、お母さんを手伝って上げて」
「了解でござる」
ホクトは武の手伝いを。沙羅はつぐみの手伝いをする事になった。
そして、つぐみは涙で頬を濡らしながら
自分で開けた穴の、片付けを始めた。
『かならず、見返してやる…!』
この一言を胸に秘めて…



朝食を食べ終わったあと、武は買い物に、沙羅とホクトは遊びに行った。
そしてつぐみは、見返してやるためにある助っ人を呼ぶ事にし、電話をしていた。
「…というわけなの。おねがい!私に料理を教えて!!」
「…別に良いですよ」
「ありがとう!それじゃ、今から来れる?」
「ええ、それでは今から行きますね。それでは」
「ええ、じゃあ」
ピ つぐみは電話を置き、さっそく準備を始めた。

         10分後

ピーンポーン
チャイムの音が倉成家に響く。
「はーい」
つぐみが、エプロン姿で玄関に小走りで向かいドアを開けた。
「こんにちは、小町さん。おじゃましますね」
ドアの向こうにいたのは、茜ヶ崎 空であった。
そう、助っ人とは空の事だったのだ。
「ごめんね、空。せっかくの休日なのに…それに恋敵の手伝いなんかさせて…」
リビングに案内しながら、つぐみは悪そうに言った。
「そう思っているなら私ではなくてホクト君に頼んだらどうですか?」
空は、つぐみの言った事を気にもせず笑いながら言った。
「ホクト、口軽そうだし」
「あー、そうかもしれませんね。」
つぐみの言った事に、空が笑いながら同意する。
「でも本当にいいの?嫌だったら今すぐ帰ってもいいのよ?」
「あまり気にしないでください、私はなんとも思っていませんから。
それに私はただ、倉成さんの喜ぶ顔が見たい ただそれだけですから」
空が、自愛に満ちた微笑みをしながらつぐみに言った。
「空…それじゃ、早速お願いします先生」
「それでは、台所に行って何を作るのか考えましょう」
空は、持ってきたエプロンを着てつぐみと一緒に台所へ行った。



「さて、材料がいっぱいありますね。小町さん、倉成さんは何がお好きなんですか?」
目の前に詰まれた、食材の山を前にしながら空はつぐみにたずねる。
「武は好き嫌いは無いわ、ただしいて上げるなら肉類が好きかな」
「そうですか…肉類で誰でも作れそうなものは…うん、豚肉の生姜焼きにしましょう。
まずは簡単なものからです。料理ネタの定番である肉じゃがは実は初心者には向いていないんです」
「はい、先生!」
つぐみの似合わない元気な声とともに、調理は始まった。
「まず、材料は4人分ですから…
豚ロース薄切り 400g
ごま油 大さじ1杯
キャベツの千切りは…お好みで
で、たれの材料ですが
おろししょうが 1かけ分
おしょうゆ 大さじ2杯
お酒、みりん ともに大さじ1杯
いり白ゴマ 大さじ1〜2これはお好みで
ごま油 少々
と言うところですね」
「先生、準備できました」
「は、早いですね。それでは早速調理しましょう。
まず、たれの材料を小さいボールにいれ混ぜ合わせます。
次に、フライパンを熱してごま油を引き、豚肉を広げて入れ、中火くらいで焼きます」
空の指示通りに、つぐみはたれの材料を混ぜ合わせ、フライパンで豚肉を焼く。
「豚肉にいい焼き色がついたら、ひっくり返して裏面も焼きます。
焼けたら、たれを加えて豚肉にからめ少し焼いて、
お皿にキャベツの千切りと生姜焼きをのせれば出来上がりです」
つぐみが生姜焼きを皿にのせた時、そこにはつぐみが作ったとは思えないおいしそうな料理があった。
「先生!ありがとうございます、おいしそうな料理が出来ました!!」
つぐみが、泣きながら空に感謝の言葉を伝えた。
「いいえ、小町さん。まだ喜ぶのは早いです。」
空が、油断は禁物と言う顔をしながらつぐみに言う。
「主婦たる者、おかずが一品だけという恥をかいてはならないのです。
それに、お味噌汁もない食事はきっと倉成さんは許さないと思いますよ」
「う…そ、それでは先生次は何を作るのですか?」
「よろしい。次は日本人の食事には欠かせないお味噌汁を作りましょう。
材料は
とうふ 小一丁
塩蔵わかめ 1/2カップ
だしは…倉成さんはだしは何を使っているのですか?」
「えっと、たしかかつおぶしだった気が…」
「でしたら、だしの材料は
削りがつお 2つかみ
水 6カップ 
みそ 大さじ4杯
ですね」
「定番のとうふとわかめのお味噌汁ね」
「その通りです。作りかたは
とうふは2pの正方形に切って、わかめは水で洗って塩分を抜きざく切りにします。
次に、鍋に水をはり沸騰させてから削りがつおを入れて2〜3分弱火で煮出し、
網じゃくで削りがつおをすくい取って菜箸で押さえ、よーく絞り取ります。
そして、味を見ながらとうふとわかめを入れてさっと火を通せば出来上がりです」
「これで、武たちを見返せる…」
お味噌汁のできを見て、つぐみがつぶやく。
「まぁ、最初はこんなところでしょう。
それでは、食べて見ましょうか。」
空とつぐみが、料理をテーブルへ運ぶ。
「「いただきます」」
テーブルに並べた…つぐみが調理した料理を空が口の中に運んだのを
じっとつぐみが見つめる。
「ごくっ、ど、どう?」
空は、答えず代わりにニコッと笑った。
その表情を見たつぐみがあわてて料理を食べる。
「…お、おいしい…空、今日は本当にありがとう…」
「いえいえ、この料理を作ったのは誰でもない小町さん本人ですから、
あまり気にする事ではありませんよ」
「空…」
この後、二人は話に花を咲かせながら食事を楽しんだ。



「「「……………」」」
その日の夜、つぐみの作った料理を口にした武、ホクト、沙羅は
あの壁に大穴を開けたつぐみが作った料理とは思えない料理のおいしさに言葉を失っていた。
「…ど、どう」
つぐみがその沈黙を不安に思い三人に聞く。
「あ、ああ。おいしいぞ、つぐみ…」
「うん…おいしいね…」
「お母さん…こんなわずかな時間でここまで出来ちゃうなんて…」
三人の言った事を聞き、つぐみは空に感謝しつつ後ろでブイサインをしていた。






後がきで戯言

どうも、チョコシューです。
タイトルの通りに、最初の方はギャグを書こうと思ったのですが
書いているうちにギャグにするのは無理だと判断しほのぼの系で締めくくって見ました。
なんか、ネタを思いついてもそれを面白くかけないのが痛いですねぇ…
えっと、生姜焼き、とうふとわかめのお味噌汁のレシピは本物ですのでお暇な方は作って見てください。
それでは、感想、意見をお待ちしております。
チョコシューでした。


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