流れ行く時の中で……
                              豆腐 





  カラーン

 カウベルの音と共に、喫茶店の中へ。
 最も奥の席に優美清春香菜の姿を見つけ、倉成武は軽く手を挙げた。
 ほほ笑みひとつ。同じように軽い挨拶が返ってくる。
「久しぶり、倉成」
「おう。しかし変わらんなあ、お前は」
「あんただって五年経ってからは変化してないわよ」
「まーな」
 言って白い歯を見せる。
 相変わらずの魅力的な笑顔に、優美清春香菜は少しだけ寂しそうな顔をした。
「――ところで、つぐみは? 一緒じゃなかったの?」
「いや。先に行く、だとさ」
「……ふうん。まあ、今日は日が強いしね」

  カラーン

「久しぶりっ。たけぴょん、なっきゅ」
「おうっ」
「久しぶり。元気だった?」
 少しだけ背が伸びて、少しだけ落ち着いた女性だった。
 髪を後ろで束ねた少女は、やはり相変わらずの笑顔でうなずく。
「ちょー、元気だったよ。二人は?」
「そらもう元気だ」
「健康ではあったわ」
 優美清春香菜の微妙な言い回しに、武が眉根を寄せた。
「なんかあったんか?」
「なんもないのが理由かなあ」
「なっきゅ、いつも何してるの?」
「んー。家でごろごろしたり、テレビ見たり、家でごろごろしたり」
「不健康だぞー、優。かつての研究欲はどーした」
「論文も発表できないのに、やる気なんで出ないわよぉ。
 私なんかの事より、ココはどうなのよ? 倉成はラブラブしてるだけだろうけど」
「誰がラブラブ一直線か。んで、どうしてるんだ、ココ?」
 問われ、ココは静かな笑みを浮かべる。
 かつては決して見せなかった表情。
 成長とかいうやつが、それを作ったのだ。
 と――。

  カラーン

「やあ、武」
「うわ自分を取り戻してやがるこいつ」
「自分捜しの旅に出るとか言って失踪したけど……まさかこんな事になってるとは」
「久しぶりー、涼ちゃん」
 ボロ布で首から下を覆った桑古木涼権であった。
 はっきりと店員が嫌悪的な視線を送っているが、本人、気づいてない。
「優、ココ……久しぶり」
「つーか臭いわよ、あんた」
「臭ぇぞー、桑古木ー」
「涼ちゃん臭ーい」
「…………」
 桑古木はちょっと傷ついた。

  カラーン

「皆さん、お久しぶりです!」
「おお。やっぱり空はかわいいなあ」
「あっ、く、くくくく、倉成さんっ! そ、そんな……駄目です……」
 武に頬をつつかれ、空が朱に染まる。
「空で遊ぶ趣味、相変わらず変わらないわねー」
「あったりまえじゃい。だって空だもんなー」
「あっ、あああああっ! 倉成さん、どうかっ、後生ですからーっ!」
「空さん真っ赤」
「オーバーヒートで死ぬんじゃないかしら」
「……見てないで助けてあげればいいのに」
 それから十七分ほど談笑が続いて。
 腕時計を確認した武が言った。
「――さて。行くか?」
 他の四人がうなずく。
 彼らは席を立った。

 光の中に、彼らの姿が消えていく。

  カラーン





   to...






 とある街に、不思議な一家がいる。
 笑顔の素敵な青年。
 どこか寂しそうな、滅多に外出しない少女。
 妙に理知的な女性。
 少しだけ背が伸びて、少しだけ落ち着いた女性。
 やたら薄幸そうな青年。
 家政婦らしき24歳。

 果たして本当の家族ではあるまいが、
 ご近所付き合いは極めて良好……だそうだ。




  おわり





 あとがき

「家族●画」の新展開があるそうです。
 ひゃほー。
 そういう気持ちを今回の作品に込めてみました。(何
 いつになく短いです。ゆえに薄い! ぎゃお。
 でもまあ、前作から方向転換です。
 あーゆうのは封印しようと思います。やっぱ駄目だろうと思ふし。
 ネタがないのが本音ですが。てへ。(死

 しかし自分の未熟さを知りましたねえ。
 とりあえず皆様で適当に解釈してください…。
 機会があったら続編がひょっこり出てくるやも。
 何気に豆腐初登場の空が気に入ってしまったし。(照
 そして最後に。
 斗貴子さんが萌え過ぎます。武装錬金、超推薦。(えー

 ではでは、ご指摘等、頂けたら嬉しいです。


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