〜母の日の贈り物〜
                              裕(ゆう)


〜つぐみ視点〜


 あのLeMUの出来事から一週間、私はあまりの幸せに戸惑っている。武は本当に生きて私の側にいてくれるし、二人の子供達はとても甘えてきてくれる。でも、いつも朝は不安になる。起きたらすべては夢だったのではないかとビクビクしてしまう。
 いつも、いつも、逃げてばかりいた私がこんな幸せでいいのか?ついそんなことを考えてしまう。いつかこの幸せも壊れてしまうのではないかとも・・・・・・・・。
つ「だめね、こんなことばかり考えていては。」
武「ん?どうしたつぐみ、悩み事か?」
つ「違うの、武。何か幸せすぎて怖いなって!」
武「お前も心配性なやっちゃな〜、そんなことばかり考えてるとハゲるぞ?いつも俺が言ってるだろ。」
つ「『大丈夫』って・・・・・・・ふふっ。」
そう、武も子供達もいてくれる。でも、だからこそ不安になる事もある。
ホ「ただいま〜。」
沙「帰ったでござるよ〜〜〜♪」
武「お、帰ってきたな!ってなんなんだその手に持ってるものは。」
つ「そんなに一杯、何を買ってきたの?」
二人は紙袋を抱えきれないくらい持っていた。たぶん、服なのが入っているのだろうが。
沙「ふふ〜ん♪良くぞ聞いてくれました。これはプレゼントだよ!!ね、お兄ちゃん。」
ホ「うん、これ全部母の日のプレゼントなんだ。貰ってくれるよね?お母さん。」
沙「ママったら、服なんて全然持ってないからこの際だから一杯買ってきちゃった♪」
つ「え!?母の日?そう、そんなものもあったわね・・・・・・・でも、こんなに?」
沙「もちろん!!全部ママのだよ〜♪」
ホ「だって、僕達お母さんにまだ一度もプレゼントしたことないじゃないか。だから、今までの分も含めて買ってきたんだよ!!」
なんで、なんで私はこんなに幸せなのだろう。
つ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
沙「え!?ママ?」
ホ「なんで泣いているの、もしかして気に入らなかったの?」
武「それは違うぞ、沙羅・ホクト。つぐみは嬉しくて泣いているんだ。」
そう、武の言うとおり。私はあまりの嬉しさに泣いていた。
 嬉しくても涙が出ると言うことはつい最近知ったのに、これでもう三度目になる。でも私は・・・・・・・。
つ「私には・・・・・・・私にはそんな資格ないのよ!!」
武「つぐみ〜〜〜お前な〜〜〜!!・・・・・・・つぐみ、俺のこと愛してるか?」
つ「え!?た、武?突然何を・・・・・・・。」
 私には、武が何を言いたいのかわからなかった。
武「いいから。俺のことを愛してるか?」
 武はもう一度同じことを聞いてきた。私が答えなければ何度でも聞いてくるだろう。
つ「それは、もちろん・・・・・・・愛してる。」
武「つぐみ、良く聞こえんぞ?」
つ「ええ!!愛してるわ。私は、倉成 武を愛してる!!」
武「そうか。なら、沙羅やホクトの事は?」
つ「もちろん、愛しているわ・・・・・・・武、何が言いたいの?」
武「ん?まあ、待てよ。俺の話はまだ終わってない。沙羅、ホクト、お前達はどうだ?俺やつぐみの事を愛しているか?」
沙「愛しているでござるよ〜♪それに、お兄ちゃんの事も。」
ホ「うん、そうだね!!僕もお父さんお母さん沙羅の事も愛してるよ。」
武「そうか、そうか。もちろん俺も三人の事を愛しているぞ!!」
つ「武、だから何が言いたいの?」
武「まだわからんか?つまり俺が言いたいことは、家族の資格なんてそんなもので良いって事なんだが。」
つ「そんなもの?」
武「たがいがたがいを愛し、大事に思っていればそれでいいって事だ。お前は、自分で何でも背負いすぎだ!!自分一人がみんなのことを愛していると勘違いしてないか?お前が俺達を愛しているように、俺達もお前の事を愛してるんだぞ!!」
つ「勘違いなんてしてない!!私にだってわかってる!!」
武「いや、わかってないね。わかっていれば資格なんて言い出すはずがない。それにもう一つ。お前は俺達のことを守ろう、守ろうとしてるけど俺達だってお前の事を守ってやれるんだぞ!!それとも俺達じゃ不安か?」
つ「そんな事ない!!・・・・・・・でも、私は今まで逃げているだけだった。優や桑古木が17年間必死にあなたやココを助ける努力をしていたのに、私はただ逃げているだけ・・・・・・・そんな私がこんなに幸せでいいの?ねえ、武?私は怖いのよ!!突然振って沸いた幸せが怖いの。この幸せが壊れてしまったらって考えると・・・・・・・。」
 もうそれ以上言葉が続かなかった。涙が後から後から出てきてとても話せる状態ではない。
武「すまなかった。だいぶ待たせちまったな!!これからは、ずっと側にいるから。沙羅やホクトだっている。それに、優達だって。つぐみはもう一人じゃないんだ。だから、もうそんなにすべてを一人で抱え込まないでくれ。」
 武は、私の後ろから包み込むように抱いてくれた。そう、私はこの17年間このぬくもりが欲しかった。・・・・・・・いや、生まれてからずっとこのぬくもりにあこがれていたのかもしれない。
武「沙羅、ホクト。お前達もこっちに来い!!」
沙「ママ〜、パパ〜!!」
ホ「う、うん。」
 沙羅もホクトも泣いていた。この子達も不安だったに違いない。ずっと一人だったのだから。
武「お前達にも言っておく。すべてを一人で抱え込むな。俺達には家族がいる。仲間がいる。そうだろ?一人で守りきれない幸せもみんなでなら守っていけるさ。」
 武も沙羅もホクトも、そして私も・・・・・・・今、四人は一つだった。
つ「ええ、そうね。・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう。」
 私には、武がいる。子供達がいる。優達だって・・・・・・・何を恐れる事があるのだろう。幸せは、一人だけでは感じられない。家族が、仲間がいてはじめて幸せになれるのに。それを一人で守ろうなんて・・・・・・・
 私は今、幸せだ。それは紛れもない事実。この幸せを壊さないためにみんなで努力すればいい。







私はもう、一人ではないのだから。









あとがき
 書いている途中に泣きそうになった大バカ野郎です。
 読んでくださった一人でも感動してくれる人がいたらもうそれだけで嬉しいです。感動した、しなかったの一言でも感想をいただけたら幸いです。
 次回はもう一人の母親視点でおおくりしますのでそちらの方も読んでいただければと思います。それでは、ここまで呼んでくださってありがとうございました。


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