〜母の日の贈り物〜
                              裕(ゆう)


〜優美清春香菜視点〜


春「ふ〜、疲れたわね」
  LeMUの出来事から一週間。まだまだ、やることは一杯ある。空と涼権にも、だいぶ無理させているけど、今はがんばってもらわないと。そういえば、今日、久しぶりに涼権に休みをあげたんだっけ。本当は、そんな暇ないのだけど・・・・・・・『ココとデートの約束できたんだ!!』ってあんな嬉しそうな顔で言われちゃねぇ〜。あんな、嬉しそうな涼権、初めて見たかも。17年間、一緒にいた私でも出せない笑顔・・・・・・・そうね、彼は、そのためにがんばったのだから。
空「田中先生、コーヒーをお持ちしました。少し、休憩でもなさってください」
春「あ、空、ありがとう」
  空には、今、家に泊まってもらって、私のサポートをしてもらっている。彼女が身体を手に入れたことによって私も助かっているし、彼女自身も嬉しそうだ。ただ、もう不眠不休の無理は効かないらしい。空は、『人間』になったと言っても過言ではないだろう。そんな彼女だからこそ、休みをあげないと・・・・・・・彼女の時間は彼女のためにあるのだから。
春「うちの不良娘はまだ帰ってない?」
空「田中さんですか?はい、まだ帰ってきていませんが」
春「そう」
  まったく、いつまでほっつき歩いてるつもりかしら。まぁ、私とも完全に和解したわけではないし、もう少し時間も必要なのかな。
秋「ただいま〜、お母さんいる?」
  噂をすれば・・・・・・・でも、帰ってきてすぐに私に用事なんて何かしら?いつもならすぐに自分の部屋にいくのに。
春「優、こっちよ」
  私が声をかけるとこちらに向かう足音が聞こえてくる。
秋「まだ仕事してるの?体、壊すよ。あ、空もただいま」
  顔をあわせての第一声がそれ?でもそれは優なりの私に対する思いやりなのよね。ぶっきらぼうだけど・・・・・・・私も昔はそうだったのかな。
空「はい、お帰りなさい。田中さん」
春「それで、何か用事?」
秋「あ、うん。用事って言うか・・・・・・・はい、これ」
  優は徐に紙袋を渡してきた。私はそれを受け取って、中のものを取り出す。
春「なに?これは・・・・・・・服?私にくれるの?」
  優のほうを見ると、そっぽを向いている。
秋「母の日のプレゼント。言っとくけど、ホクトや沙羅が買ってたから私もついでに買っただけだからね。ついでなの、ついで!!じゃあ、私、もう寝るから。空、お休み」
空「お休みなさい。田中さん」
  明らかに優は照れていた。口では、ああ言ってるけど、真剣にこの服を選んでくれたのが私にはわかる。
春「ねぇ、空、この服着るから手伝ってくれる?」
空「はい、田中先生。きっと似合いますよ」
  この服を着て優に見せてあげなきゃ。お礼も言ってないし。ふふ、この服で優と買い物とか行きたいかな。







春「優、まだ起きてる?」
秋「う、うん」
  部屋に入ると、優は机に座って何か考え事をしていた。私の方に振り向く気配さえない。
春「優、ありがとう。着てみたんだけど見てくれないかな?」
  優を後ろから抱きしめ、やさしく声をかける。
秋「お、お母さん?・・・・・・・うん、わかったからもう放してくれないかな?」
  優は照れた笑いを浮かべながらゆっくりとこちらに振り向く。
秋「うん、やっぱりその服、お母さんに似合う」
春「ふふ、そう?嬉しいわ。優、ありがとう。今度この服で、あなたと一緒に買い物にでも行きたいわ」
  自分で選んできたものがとても満足がいくものだったのか、優は凄く嬉しそうな顔をしている。
秋「そう言えば、今日、桑古木とココに会ったよ」
春「そう、今日は、涼権に休みをあげたのよ。彼、楽しそうだったでしょう?」
秋「う〜ん、楽しそうというか、私達に見つかって焦ってたわよ。なんか、やましいことでも考えてたんじゃない?ピピレンジャーがどうのとか言ってたし」
春「ピピレンジャー?あのバカ何考えてるんだか。優、ちょっと涼権に電話するから待っててね」
  私が涼権に電話して、何コールかした後に、向こうから弾んだ声が聞こえる。
桑『はい、もしもし?』
春「涼権、私だけど」
桑『優か?今日はありがとな、楽しい一日を過ごさしてもらったよ』
春「ピピレンジャーって何?あんた、ココに変なことしなかったでしょうね!!」
桑『な!?何でお前がその事を。そうか、娘に聞いたんだな・・・・・・・BWに誓って俺はココに手を出してないぞ!!ただ、ちょっと俺好みの服を着てもらっただけなんだ』
春「そう・・・・・・・まぁ、いいわ。明日、私と空、休み貰うから。あなた一人でがんばりなさい。いいわよね?」
桑『ちょっ、一人って何だよ!!せめてどっちか』
春「つべこべ言わない。もう、決定事項だから、また明後日会いましょう♪」
  言いたいことだけ言って電話を切った。こう言うのは言いたいことだけ言って切るのが一番。あれで、涼権も優秀だから一日くらい何とかなるでしょう。
春「優、明日、休みになったから買い物にでも行きましょう。空も誘って。この服に似合うアクセサリーも欲しいし、あなたにも服を買ってあげるわ」
秋「お母さん、本当!!私、空に伝えてくる」
春「ええ、空に明日、休みになったことも伝えておいて」
  本当に優、嬉しそうね。そうか、優と買い物なんて、もしかしたら始めてかしら。ふふ、私も明日楽しみだわ。たまには、こういうのがあってもバチはあたらないでしょう。私も空もがんばったのだから。これは自分へのご褒美ね♪本当に早く明日にならないかしら。




あとがき
  ま、桑古木の幸せも一日だけという事で。この後また、今まで以上にこき使われるんだろうな。ご愁傷様です。
  みなさんも、母の日に何かプレゼントをあげてみてはどうでしょうか?私は高校生の時はじめて自分のお金で買ってあげたものは、一本のカーネーションでした。だけど、メチャメチャ喜んでくれた。プレゼントをあげた人が喜んでくれると、こっちも、本当に嬉しいものです。
  このSSを読んで、何かあげようかな?と考えてくれる人がいたら、今回の私の野望は、達成されるというものです。
  それでは、ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。


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