注意:この文章は全て作者と沙羅の主観的な印象&記述によるものという設定ですので、他キャラの印象に少し違和感を覚えるかもしれません。 <沙羅による記述> 武 → 父上 つぐみ → 母上 ホクト → 兄上 優(秋)→ なっきゅ殿 沙羅 → 拙者 桑古木 → 桑古木殿 優(春)→ なっきゅ殿の母上、田中先生 一部例外あり |
マヨちゃんの忍者日記 雪だるま |
○月×日 拙者、本日より身辺の出来事を記録することに致した。これも忍の者として当然のことででござるなぁ。ニンニン ○月×日 本日は休日でござる!さっそく兄上を誘って兄妹デートと思ったでござるが、逃げられたでござる。無念であった。どうせなっきゅ殿の所へ行ったのでござろう。なっきゅ殿を我が家へ呼んで行き違いにさせてしまおうかとも思案したが、やめておいた。(←妬いてはおらんでござるよ)仕方なく自宅にてチャミ殿とたわむれることにして、チャミ殿を探していたら、母上は居間で父上とたわむれて?おいででござった。並んで座って父上と寄り添って…甘いささやきを…… 「武〜♪」 「ん〜どうしたつぐみ〜」 「ん〜ん、なんでもな〜い♪」 ってな感じでござった。アツアツの甘甘でござるよ。ニンニン。我が両親ながら少々拙者の方が恥ずかしくなってきたでござる。 「今日はやけに甘えてくるな〜」 「ん〜♪」 「可愛いなぁ、お前は…」 「♪♪♪」 いつものコトでござるが…にんともかんとも。そしてこれから起こるコトもいつものコトでござるよ… 「チャーミングだから“チャミ”……か」 「!」 「いい名前だな、チャミ!」 「…………武の、バカァー!」 拙者はすぐにまぶたを閉じ、耳をふさいで、続いてやってくる打撃音と苦悶の声から鼓膜を守ったでござる。そして母上が色々な理由で真っ赤になりながら部屋から出てきたので拙者もそそくさと立ち去ったでござる。拙者に見られていたと思うのは恥ずかしいであろうからな…。もっとも当人以外みんな知っていることでござるが…… 午後からは、買い物に出かけたでござる。ちなみに兄上は帰ってこなかったでござる。非通知設定で「昼食はいらない」と電話をかけてきたが、わざわざ“非通知”にしているという時点でなっきゅ殿のところにいることはバレバレでござる。これも本人は気づいていないようでござるよ…まったく!(←いや、妬いてはおらんでござるよ) 「なあ、今夜の晩飯何にする?」 「武…。“晩飯”は夜食べるに決まってるじゃない。バカね…」 「揚げ足をとるな!揚げ足を…」 などとくだらないやり取りを飽きもせずに続けながら商店街に向かったいたでござる。すると… 「なあ、沙羅もそう思うだろ?」 「沙羅は私の味方よね〜」 「あ、つぐみ卑怯だぞ」 拙者が巻き込まれたでござる。何と!これは誤算であった。拙者は… 「今夜は“マグロ”にするでござる」 と無理矢理に話をそらせる事に致した。 「「…………」」 “突然ののマグロ”に言葉を失った二人を魚屋の前に誘ったでござる。これぞ“忍法・マグロ固め”標的の思考を強制的にストップさせる忍法でござる、ニンニン♪ 「らっしゃーい」って魚屋のおじさんが威勢のいい声でむかえてくれたでござる。このおじさん、どうやらかなりの“女好き”。母上や拙者が買い物するとずいぶんとオマケしてくれるでござるよ。拙者も“くノ一”として成長したでござるなァ、ニンニン♪…と拙者が内心喜んでいると今日は少々面白いことが起こったでござる。 「マグロかい?マグロならいいのがあるよ。つぐみちゃんや沙羅ちゃんにならどど〜んとオマケしちゃうよ」 「……魚屋さん!もうつぐみちゃんはやめて!」 「おや、どうして?」 「私は“〜ちゃん”なんて子供じゃないし、二児の母親なのよ」 「またまた嘘ばっかり、どう大人ぶっても沙羅ちゃんの母親には見えないよ。ホントは姉妹なんだろ?」 といった会話でござった。おやおや…まあ当然でござるがな。母上は「本当なんだけど…」とまだ何かいいたそうでござったが、あまり騒ぎたてる程のことでもないしキュレイとして生きてゆく上では仕方のないコトとわきまえているのでそれ以上の抗議はやめたのでござる。うむ、その方がオマケしてもらえるから得でござるしな…そしてさらにこう言われたでござる。 「それに、つぐみちゃんは人妻にしちゃあ買い物に慣れてないじゃねェか」 それはそうでござるな。母上は実は拙者よりも忍の技に通じていて、サバイバル能力はかなりのものでござるが、平和な文明社会での生活にいまだとまっどているところがあるでござる。ずっと逃亡生活でござったからなぁ。しかし、世間慣れした母上というのも…… 『ちょっと〜何よ、この魚は?エラが黒くなってる上に、目玉も盛り上がってないし、お腹も弾力がないわよ〜冷凍もの?それとも古くなってるんじゃないの〜?十円にしなさい十円に!あ〜パックなんてしなくていいわ、その分値段引いて頂戴!』 ……くす♪想像してしまった。けっこう面白いかも……。 「はいよ、つ・ぐ・み・ちゃん♪マグロの他にもサービスしといたよ!」 「……ありがと」 母上は複雑な表情で魚を受け取り料金を払ったでござる。このおじさんにしてみれば“そういう表情もイイ”のであろう。さすが母上…“天然くノ一”はすごいでござるなあ。そして… 「つぐみ、俺が持つよ」 「うん」 「じゃあな、兄ちゃん」 魚屋のおじさんにとって父上はつぐみちゃんの“兄”か“いまのところの彼氏”程度にしか思ってないのでござろうな。そしてまた帰り道でこんなやりとりがあったでござる。 「武、どうする?このマグロ」 「タツタサンドは得意だけど食い飽きたしな〜」 「そうね、思い出深いモノではあるけど……他には…お刺身、マグロづけ丼、お寿司…」 「…う〜ん……“鍋”とか?」 「“マグロ鍋”?」 「せっかくのマグロを鍋にすることはないんじゃないの」 「言ってみただけだ、気にするな」 「いいかもよ。パパ、ママ」 「「え?」」 「おじさんが他にもお魚オマケしてくれたし“さかな鍋”ってことでさ」 「あのおっさんがくれたモノだろ?どっちかっつーと“闇鍋”だな…」 「“闇鍋”……面白そうね」 「ニンニン」 「…………………やるか?」 「「やりましょう」」 ……とこのときは拙者たちすごく“やる気”だったでござるが、我が家で“闇鍋”をやるには致命的な問題があったでござる。いやいや“土鍋”がなかったというわけではないでござるよ。父上いわく「鍋を囲まずして幸せな家庭などありえん」ということでござるゆえ……土鍋は立派ワザモノがあり申す。それで致命的な問題とは……さよう、我が家ではキュレイの関係上、みな赤外線視力をもっていたのでござる。“闇鍋”も“いろいろ鍋”も一緒だったでござる。そのことに気づいたのは、帰宅した兄上も参加して鍋の準備を終えてからだった。そしてマグロはお刺身になり、“闇鍋”はなんと“フグチリ”に!おじさんありがとう!ちゅっ♪結果オーライ!闇鍋にいれるには贅沢すぎるでござる。家族みんなで晩ごはん・お鍋の準備して……ああ幸せでござるなぁ。 『いただきまーす』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 『ごちそうさまー』 そしてまた家族みんなであとかたづけ。フグは一日でにおいが突くから雑炊も今日中に食べてしまわなくてはならないでござる。ああ、他の鍋なら明日の朝に味のしみた雑炊がいただけるのになあ。まあそれは贅沢すぎるというものでござろう。すでに兄上が土鍋を物置にしまいに行っている。父上いわく「土鍋とは常なる調理用具にあらず」ということで台所に常備するものではないらしい。しかし、フグとは拙者初めてでござった。美味美味♪…すると、どうやら拙者顔にでていたようで、父上に「嬉しそうだな、沙羅」といわれてしまったでござる。さらに… 「つぐみも……ごきげんそうだな」 「え?」 「表情が思いっきりゆるんでるぞ」 「!!!」 …と赤くなった(もちろん鍋の余熱のせいではない)母上に対して父上はさらに… 「幸せそうだな………その表情が一番可愛いぜ、つぐみ」 と言った。もっともっと赤くなった母上はしばらく停止したまま動かなくなった。そして父上が母上の頭ををポンポンと優しくなでると……(拙者はここで目と耳をふさいだ) ……(目を開いた)何があったのかはいうまでもなかろう。もうこの部屋に真っ赤になった(であろう)母上はいない。この部屋にいるのは拙者と一仕事終えた後のような満足感を浮かべつつ、(おそらく)ボディブローの痛みに耐えるという複雑極まる表情の父上が足元にうずくまっているでござる。拙者がが「パパ…こりないね」と言うと父上は「これだけはやめられん愛情表現だな」と言ったでござる。やれやれ。まったく父上は……(実をいうと気持ちはわかるでござる)母上も午前中に甘えて、からかわれて、逃げて……今度は直球投げかけられて、逃げて……ベタボレのくせに、今は正直に甘えておけばよかったのに……(まぁ、父上にとってはそこが可愛いのでござろう)どっちも素直になればいいのに……。どちらにしてもお二人とも幸せそうでござるなあ。本当に。何の悩みもなさそうで…特に母上は今までがつらい生活でござったゆえなおさらでござろう。ニンニン。 今日はすごく楽しかったゆえ、すごく長い日記になってしまったでござる。明日も続けられるか心配でござるなあ。ニンニン♪ 追記:日付が変わってしまったが理由あってここに書いてしまうでござる。 夜中に目が覚めると父上と母上が居間でヒソヒソと話しているのが聞こえたので、こっそりと聞いてみることに下でござる。あいや、わかっておる!悪気はなかったのでござる。お許しくだされ。そしてそれは…こんな内容でござった。 「眠れないのか?つぐみ」 「……ええ」 「どうして?」 「幸せすぎて……かな?」 「そうか……それならいいが、本当にそれだけか?」 「どういうこと?」 「ちょっとだけ難しい顔してるから……かな」 「かなわないわね、武には…」 「魚屋に言われた事だろう…?」 「…………そうよ、どうしてわかったの」 「俺も同じこと考えてたから……」 「そう……」 「なあ、つぐみ、ホクトと沙羅はともかく俺たちは20年も同じ地にとどまれば、いくら優に公文書を偽造してもらたって、誰かに気づかれる。“どうして奴らは老いない”“どうして奴らは若いままなんだ”ってな」 「……うん」 「確かに今は好意的な魚屋のおっさんもいつかは奇異の目で俺達を見るようになるだろう…だけどな、おまえはもう一人じゃないんだぜ。俺がいる。いつかは独立するだろうが今はホクトも沙羅もいる。どっかに引っ越したって俺たちがいる。いつまでも俺がいる!それじゃ不服か?」 「ううん…そうね。充分よ私には…充分すぎるくらいよ」 ということであった。そうでござったな。父上と母上は悩みがなさそうに振る舞っているけど誰よりも深い悩みをずうぅーーーーーっと背負ってゆかねばならんのでござった。なやみがないなどと大きな誤解でござったな。せめて拙者は父上と母上に余計な心配をかけないように“幸せに”なろうとここに誓うでござるよ。父上と母上はまだまだお話しているようでござるが拙者はこの辺りで、戻ってきたでござるよ。きっと今頃は…… 『ううん…そうね。充分よ私には…充分すぎるくらいよ』 『つぐみ…』←母上を優しく抱きしめる父上 『武…ううん、あなた…』←涙目で上目遣いになる母上 そして、母上の髪をそっとなでる父上… 『いい気持ち…このまま眠ってしまいそう』←目を閉じて父上に甘える母上 『じゃあ、もう寝よう。今夜はずっと抱いていてやるから』←優しく微笑む父上 …ってなことをやってるのでござろう。おぉっと、拙者にはこれ以上は年齢制限がかかるかもしれないでござるよ。拙者、素直に甘える母上と、それを受け止める父上はなぜか見たくないような気がするでござる。ひねくれているのは両方の遺伝でござるな。 さてさて、今度こそもう休むでござるよ。おやすみ。ニンニン♪ ○月×日 今日は学校帰りになっきゅ殿の家に遊びに行った。本当は兄上と遊びに行こうとしたのでござるが、途中でまかれてしまったでござる。気づかれずに尾行するのは得意でござるが、単純な速さでは兄上にはかなわないでござる。目的地がわからない以上先回りは不可能でござった。ならばお目当ての娘を捕捉しておこうと田中家に行ったらこちらも出かけた後でござった。不覚でござるニンニン。よって本日はなっきゅ殿の母上とおしゃべりすることになったでござるよ… 「あら、マヨちゃんいらっしゃい」 「なっきゅ先輩はいますか?」 「ついさっき出かけて行ったわよ。ホクトがどうのとか言ってたけど…」 「無念、遅かったでござるぅ〜…」 疲れ果てた拙者になっきゅ殿の母上はつめたい飲み物をいれてくれたでござる。ん、かたじけない。 「逃げられたのね?」 「む!なんと?」 「お兄ちゃん…ホクトくんに逃げられたんでしょう?」 「うぐ…」 「図星ね」 「いや、拙者は…」 「仕方ないわよ、あのコたち“恋人同士”ってヤツなんだから」 「……………」 「秋香菜には幸せになってもらいたいっていう母親としての立場もあるけど、マヨちゃんとホクトくんは兄妹なのよ」 「わかっているけど…」 「そうね……つらいわね」 「……うん」 拙者は頷いた。正直ちょっと泣いていたかも知れないでござるよ。わかっていたけど兄妹だって事実を他人から指摘されると…うぅ〜ヘコむでござるぅ… 「あの二人今は“お互いしか目に入らない”っていう時期なのよ…きっと」 「……………」 「でも、“何とかして自分を見て欲しい”ってそう思ってるでしょ?」 「!!!」 「隠してもダメよ、自分でも“認めようとしてるけれど認められない”って顔してるわよ」 それはどんな顔でござるか?気にはなったが訪ねることはできなかったでござる。なぜならその通りだったから…というより拙者の心の中のモヤモヤが形になったような気がしたからでござる。拙者が本当に何年もずーーーっと待ってたのは、白馬に乗った王子様ではなく、お兄ちゃん……だったから…助けに来てくれると思っていたから…お兄ちゃんが好きだったから…私だけのお兄ちゃんだと思っていたから… 「わかるのよ、他の人にはわからなくても…同じ気持ちの人にはわかっちゃうのよ…」 その声は後半は消え入りそうな大きさだったが、拙者の耳に確かに聞こえたでござる…そうだった、なっきゅ殿の母上はきっとまだ父上のことを… 「あの…まだ、パパのことを…」 言ってから「しまった!」と思ったでござる。母上にとっては恋敵にもなるお人にいったい何を言うつもりだったのか?拙者は自分のうかつさを呪い申した。 「そうね、私にマヨちゃんの気持ちがわかるように、マヨちゃんにもごまかしはきかないわね」 なっきゅ殿の母上、いや田中先生はそう自嘲ぎみにつぶやかれた。つぶやかれたというのは、独り言のようで拙者に向けてはなった言葉ではないように聞こえたからでござる。そしてため息をひとつついた後、「本人を前にして言うのもなんだけど…」と前置きして田中先生は話し始めたでござる。 「正直言うと…マヨちゃんのパパ…倉成のことは好き。今も愛してる。あのね、人を愛することはキレイなだけじゃないのよ。人を愛すると同時にドロドロした醜い感情も同時に持つことになる…。私はみんな大切な“仲間”だと思ってる。これは変わらない。だけど…だけどね……たまに、優(秋)が、マヨちゃんが、ホクトくんがいなくなっちゃえば…私は堂々と倉成を奪いにいけるのに…って考えちゃったりすることがあるの…」 拙者は何も言えなかった。田中先生は大人の女の人で、クールで、え〜とえ〜と…とにかくそんなことを考える人じゃなかったのだ。少なくとも、それまで、拙者の中では… 「以外?」 「………………」 なおも沈黙を続ける拙者を見やって、肯定ととったのか(肯定だけど…)田中先生は続けたでござる… 「それでね、でも実際は私には秋香菜がいるし、あの娘の幸せを奪うようなことは私にはできない…もちろんつぐみも倉な…いえ武も、ホクトくんも、マヨちゃんも大好きだから……マヨちゃんたちの幸せを奪う気はない、奪えない。そして今が私のこれ以上無い、これ以上考えられない幸せだと思っているわ!」 正直、すごい人だと思った。自分の行き場の無い気持ちも、嫌なところも全て認めたうえで“今がこれ以上ない幸せ”って言えるなんて…やっぱり田中先生は大人だと思った。かなわない… 「ま、かっこいいようなコトいったけど、裏を返せば秋香菜やマヨちゃんたちがいなけりゃ私、ホント突っ走っっちゃって何するかわかんないのよ…ほら、私、“あの”娘の母親だし……ね?」 田中先生は頭をグシャグシャとかきながらそんなことをいった。きっとこの人なりの照れ隠しなんだろう。そして… 「ほら、つまんないコトしゃべっちゃったけど、マヨちゃんはまだまだ若いし可愛いしピチピチなんだから!いまにイイ男がよりどりみどりだよ?」 「もう!」 もう、くだらないコトを考えるのはよそう。そう、わたしにとってお兄ちゃんもなっきゅ先輩も大事な人だから…幸せを祝福してあげよう…。今すぐには無理かもしれないけど、いつかきっと… 「ありがとうございました」 「いえいえ…つまらぬことを申しました…っと」 拙者の目から鱗を落としてくれた恩人に頭を下げた。そしておどけて答えた先生が先ほどの様子と違ってあまりにも普通だったので、拙者に少々いたずら心が芽生えてしまったでござるよ。 「先生?わたしは若いけど先生はどうするんですか?」 「え?」 ニヤリ、驚いたな… 「ほら…“彼氏”」 「わたしはもういいの、キュレイのわたしにはもう…」 「桑古木さんは?」 「彼は、そういう対象じゃないのよ」 「じゃあキライなの?」 「…………………………」 あれ、返事が無い…しかも田中先生の表情がなんか複雑に…その、歪んできている? 「マヨちゃん」 「は、はひ!」 つ、つい変な返事をしてしまった。…っていうか、なに?このプレッシャー? 「いいモノをみせてあげるわ!いらっしゃい」 拙者は声も出せず、脳ミソがあわせ味噌になるほど上下に頭を振りまくった。 田中先生連れられて…着いた場所は…資料室? 「このファイルのこの写真みてごらんなさい」 見た………可愛い!誰?この男の子!ちょっと華奢な感じだけど、そこがこう…母性本能をくすぐるっていうか…とにかく可愛い!抱きしめて頭を撫でてやりたいって感じ! 「かっわい〜い♪誰ですか?この子」 「でっしょ〜♪この大好きな飼い主を待ってる子犬みたいな表情がまた♪」 「うんうん!…で、どこの男の子なんです?私に紹介してください」 「桑古木よ!」 「え゛?」 凍りつく、確かに時が止まった… 「だ〜か〜ら!17年前の桑古木涼権!つまり2017年Ver.の“少年”」 「うそ…」 「ホント!嘘だと思いたい気持ちはわかるけど…」 「だってこんなに可愛いのに…」 「でしょ?そこでさっきの話にもどるのよ」 「???」 わけがわからない。 「さっきマヨちゃんは私が桑古木のことキライかってきいたでしょ?」 「はい」 「それよ!キライなわけないでしょ!こんなに可愛くて、中途半端に記憶喪失だったから余計な事も覚えていない。これはもう“あなたの好きな色に僕を染めて…”ってなモンでしょうが?」 「……え、え〜と」 「わたしは思ったわ。染めてやろうじゃない。BW計画?ふふふ…これぞ大義名分、いやいや“飛んで火にいる…”でもなくて“渡りに船”…愛らしい少年くんをこの“私の…”どうしようもなく惚れている“倉成武”に育て上げちゃってイイのよ!コレ萌えるでしょ?」 「じゃ、じゃあ………」 拙者は背筋にいいしれない“何か”を感じて後ずさった。なにやら話が妙な方向へ… 「じゃあ…桑古木さんのこと好きなんですね?」 「そう思う?」 「違うんですか?」 「違わないわ……彼のことは好きよ………でもね…」 あれれ?でもね?なにやらまた話が妙な方向へ… 「今の桑古木をみて、どう思う?」 「!!!………え〜と、パパとはとはやっぱり違いますね」 「そうでしょ?でもわたしだって倉成武の外見だけに惚れたわけじゃないのよ!桑古木少年には桑古木少年のいいところがあるわ、純粋で…愛らしくて…ちょ〜っとやんちゃなトコが萌え萌え♪だったのよ…ところが、今の桑古木ときたら…」 「随分とひねくれちゃってますね…」 「そうなのよ………私の“育て方”に間違いはないはずだから、桑古木が“育ち方”を間違えたとしか思えないのよね…まあ、しっかりと倉成武の演技はできたわけだけど、これは私の演技指導がよかったおかげね」 「何、勝手なことぬかしてやがる!」 あ!桑古木殿…。桑古木殿がドアから資料室に入ってきた。研究中だったのか田中先生と同じ白衣を着ている。結構似合うでござるな 「あの、桑古木さん…いつから?」 「ついさっき“いまの桑古木ときたら…”のとこからだ!自分の名前が出てきたと思ったら…俺の育ち方がわるくて、優の育て方がよかっただと?よく言うぜ!」 あ、よかった“好き”だの“嫌い”だの…………あと“萌え♪”だののトコロは聞いてなかったでござるか。 「そ、そんな、ごめんなさい、桑古木…私、ほんの冗談のつもりで…」 「え?……あ、いや」 あれ?急にしおらしくなってうつむく先生に今度は桑古木さんが慌て始めたでござるよ。 「ごめん、俺、言い過ぎたよ」 “言い過ぎた”って先生の言ったことを繰り返しただけでござるぞ貴殿は… 「ありがとう…やっぱり優しいわね涼権は…」 「え?えっと…俺は…いや僕は優に育ててもらえてよかったと思ってるよ。憧れの武にちょっとでも近づけたと思ってるし…さ。あの…これからも……僕の親…じゃなくて姉っていうか…その、側にいて欲しいとは思ってるんだ。僕はこれでも…」 なみだ目になっている先生に桑古木殿がやさしく語りかけていた… 少し鼻をすすり先生がなみだを指で吹いて顔を上げたでござる。 「ほら!」 笑顔で田中先生が桑古木殿のえりもとに両手を伸ばした… 「え?」 「覚えてる?わたしがこうやってネクタイの結び方とか教えてあげたコト…」 「あ、ああ…」 「あなた…私があなたを“倉成武”にしようって言ったから…優しくて責任感のあるあなたは“倉成武”になろうとして…がんばって、がんばって……ふふふ、それ以外のことは全然だった…男の子が大人の真似をして覚えるはずの、もしくは年上の男性に教えてもらうはずのネクタイの結び方まで女の私に尋ねてきたのよ…あなたは大人になろうとしてたんじゃなくて“倉成武”になろうとしてたのね…本当に……」 「そう…だったけな…」 「そうよ…私はあなたの質問には全て答えられるようにしようと思ったわ。わからないことはすぐに調べて!ネクタイの結び方も練習したわ!あなたの信頼を裏切らないように…」 「あ、あの…ありがとう。いまさらだけど…」 あ〜、なにやらいい雰囲気でござるな〜。拙者おじゃまでござるか?…ん?あれ?先生の靴が… 「ううんいいのよ…そうそう、あなたはネクタイの結び方を覚えても下手くそだったから…よく曲がってるを直してあげたわね」 「…覚えてるよ」 「タイが、曲がっていてよ…なんてね♪」 あれ?どっかで聞いたようなセリフでござるな… 「うん、あの時はちょっと恥ずかしかった…優の顔がすぐ近くにあってさ…」 「…………………」 「どうした?優」 またうつむいてしまった田中先生を気遣う桑古木殿… 「優…?」 「………でも…でも、もうあなたに私は必要ないのね。立派になったもんね!」 なんて寂しそうな声。拙者がが生まれる前から運命をともにしてきた絆が終わるというのはきっとすごく悲しいことでござろうな。 「そんなことないよ!俺、優にはすごく感謝してるし、まだまだいっぱい教えてもらわなきゃいけないことがいっぱいあるんだからさ…」 「そう?……本当?本当にそう思う?」 「ああ、ホントにそう思う。当たり前だろ!」 「………そう」 先生の声のトーンが変わった。 「……そうよね!当・た・り・前よね〜!」 「え?ゆ。優?」 「あたり前じゃないの!…なのにさっきの言い草はなんだァ!?」 「ぐ、ぐえぇ…」 先生の両手が桑古木殿のネクタイを締め上げる。ネクタイは首に巻いてあるわけで…つまり…… 「育ての親に対して…いまのアンタは“性根”が曲がっていてよ〜!」 「ぐ、ぐる、ぐるじ…」 「しっかりと調教し直してあげるわ!素直にね〜」 わーキレイ♪人間の吹く泡って初めてみたかも……でござる。 え〜それからでござるな……桑古木殿は資料室に放置しておいた…キュレイだし大丈夫だろう。田中先生も「(一応)手加減しておいた」って言ってたでござるし。 「どう?マヨちゃん!これでわかったでしょ?」 「え?何がですか?」 「だ〜か〜ら〜、私が桑古木のことキライかどうかよ、最後まで見てたじゃないの」 「先生が床を靴で踏みつける音でモールス信号を送ってきましたからね“そのまま見てろ”って」 そう、先生は桑古木殿に話しかけながら拙者に暗号を送ってきたのでござる。靴の先で床を少し叩いく小さな音で……う〜ん、このお人はいったい他にどんなことができるんだろう? 「そう!それで…わかった?」 「えっと……確か…“好き”って言ってましたね?」 「ええ♪」 「でも、さっきのは…愛情表現?(暴力的だったけど)」 「ん〜…ちょっと違うかな」 田中先生が複雑な表情になった。どういうことでござろうか? 「まあ、愛情表現っていえば、愛情表現なんだけどね」 「でも…あれじゃ、先生の愛は伝わらないんじゃあ……」 「だから!伝わらなくていいのよ!」 「はあぁ?」 何を言っているのか理解できなかった。田中先生は桑古木殿のことが好きで、でもその愛情は伝わらなくてもいいと言う。ますますどういうことでござろうか? 「むしろ!伝わったらマズイいのよ!」 「???……どうして?」 「伝わったら、イジメ甲斐がなくなるじゃないの!」 さも当然に言い放つ先生の言葉に二の句が継げなかった。驚いたでござるよ。 「桑古木って目つきは少々悪くなったけど根っからの単純でね。さっきみたいに何度も何度も同じ手に引っかかるのよ…それに純情だから瞳うるませて上目遣いでお願いしたらなんでも言うこと聞いてくれちゃうのよ〜♪ね!すっごく便利でしょ?もう彼の存在自体がこの私のために存在するってくらいに」 「確かに…それは便利ですね…」 もう、拙者には先生の言葉を肯定するしかできることはなかったでござるよ… “田中優美清春香菜”やはり…底知れぬお方でござる。 「あの…わたし、そろそろ失礼します」 本当は「アンタだけ好きな娘と幸せにはさせないわ」とか考えているような気もしてきたでござる。しかしそれを確かめるには拙者はまだまだ経験値がたりないでござるよ。結局、拙者は何をしに行ったのでござるかなあ…はぐらかされたでござるか? 父上が(母上ではない)晩ばんごはんを作って待っているであろう我が家へ向かいながら、拙者は“愛とは何ぞや?”などと思いを巡らせていたでござる…… 少なくとも田中先生の“愛”は父上と母上のような“愛”とは確実に違っているものであることは確かでござるな。ニンニン。 ○月×日 えー本日は晴天なり。なんということか!兄上が朝からシャワーを浴びて、鏡のまえで「右、OK!左、OK!振り向きざま、OK!」という様子で表情を作っていた。他人が見ると滑稽なことこの上ない。拙者、物陰から観察し、なっきゅ殿とデートと判断。中継録音マイクを携帯し、後を付け…いやいや、兄上が道をあやまらぬよう、いち忍者として陰ながら見守ることは妹のつとめ!気づかれないように拙者も装備をととのえスキップしながら出かけてゆく兄上を追いかけたでござる。しゅたたたた ほほう、やはりデートでござったか、拙者に断りもなく。おっと、誤解してくださるな、拙者べつに妬いてはおらんでござるよ。兄上もなっきゅ殿も拙者の大事なお人ゆえ…。しかし、兄上が時間15分前から待っていたにもかかわらず、なっきゅ殿は15分の遅刻でござる。兄上を待たせるとはけしからんでござるな。ふふ、集合時間など“駅前10時”などとキリのよい時間と相場が決まっておるのだよ。さぁ七つ道具のひとつ集音機の出番でござる。ぬ!兄上「僕も今来たところさ」などと申しておられる。なんとお優しい兄上でござろうか…。しかし兄上、ヘラヘラしすぎでござる!今朝、鏡の前で作っていたキリッとした表情はどうしたでござるか?なっきゅ殿も遅れてきたわりには反省が足りんのではござらんか?しかもそれほど準備に時間がかかったとは思えぬ服装でござるぞ。いやいや、妬いてなどおらぬよ。本当に。 うむうむ、まずは映画でござるか、基本でござるな。さよう、ラブロマンスで恋人同士うっとり…ホラー映画で兄上にしがみつく…、なんと羨まし…いやふしだらな!む、まずはチケット購入でござるか、七つ道具の遠眼鏡で……。な!なんと『忍者アクション』でござるか!しかもあれは、先日に拙者が兄上をさそった映画ではないか!おのれ兄上…断ったのはそういうことでござったか…「もう友達と観ちゃった、ゴメン」というのは嘘でござったな!……ま、まあ、よい(怒)、その映画のチケットなら“問答無用回数券”を常備してござるゆえ、拙者のチケット購入の手間も省けるというもの…逃がさんでござるよ、お二方! ふ、不覚でござった。あの映画は17回目だというのについそっちのけで見入ってしまったでござる。いかんいかん!余韻に浸ってる暇はないでござる。はやく後を追わねば、見失っては一大事でござる。いや、どうせそろそろなっきゅ殿の胃の腑がひるげを欲する頃でござろう。ズバリ映画館を出て始めによい香りのしてきた店に直行でござろうな。単純なおなごよ、ふふふ… ぎゅ、牛丼でござるか?デートで牛丼屋とはなんと色気のない…。まあよかろう、色気がないに越したことはない。え?妬いておるわけではないぞ。しかしなっきゅ殿、ケモノのような食いっぷりでござるな。とても彼氏と食事をしているとは思えぬ様子でござる。アクション映画で狂犬の血が騒いだのでござろうか……?そういえばなっきゅ殿がラブロマンスやホラー映画を観るわけもないでござるな…。それにしてもなっきゅ殿は“特盛(つゆだく)+牛皿特+玉2個+味噌汁”兄上は“並+サラダ”でござるか。う〜む何といってよいやら… ひるげの後はカラオケでござるか基本でござるな。しかし、困ったでござるな。これ以上の追跡は不可能でござろうか…いや、忍者たるもの常に危険と隣り合わせ。いざ! ふう、都合よく隣の部屋が空いていてよかったでござるなあ。天も拙者に味方したでござる。「後から友達が来るんです」といえば不自然ではないし、出るときは「予定が変わった」と言えばよい…ふふふ拙者、自分の頭脳が恐ろしいでござる。さて、ここで七つ道具の聴診器の出番でござる。これを耳に装着しもう一方を壁にあてて… 「はーい、アイスミルクとちくわお待ちって、ええ!」←店員が部屋に入ってきて驚く。 「あ、テーブルに置いといてください」←沙羅そのまま素で応じる。 うむ、ワンドリンク制でござった。拙者はひるげを食しておらぬゆえ、何かエネルギーを摂取しておかねばならん。店員がなにやらいぶかしげな表情でござったが、いつの世も忍とはそういう目で見られるものよ……ふっ。 おっと、そうこうしているうちに聴診器からなっきゅ殿の歌声が、こ、これは……『青のり』?う〜むデート中の娘が彼氏とふたりきりでチョイスする歌ではないと思うのでござるが……蛙の子は蛙、まだまだ底知れんお人でござる。 兄上は……当たりさわりのないポップスでござるか…無難でござるな。む、今度はなっきゅ殿…ゴ『合コン哀歌』でござるか?なんと、デートでまたもや彼氏に受け狙いに走るとは…兄上のコメントに困った顔が目に浮かぶようでござる。む、今度は兄上…え?デュ、デュエットとな?なんと大胆な。あっ!なっきゅ殿“困る”なら断ってくだされ………くっ、結局歌うのでござるか。……おのれ、拙者にあてつけおって!………なに?妬いてはおらぬというのに! ふう三時間でござるか。ふたりでよく歌ったでござるな。お!お次は?…ゲームセンターでござるか、これは以外!ま、どうせなっきゅ殿がパンチンぐマシーンやモグラ叩きなどをなさるのであろう。まったく…兄上にとっては“天使”や“女神”らしいが、実際は“荒神”のようなお人よのう。……ん?他意はないでござるよ。妬いておらぬと申しているであろう! あれ?パンチングマシーンやモグラ叩き、バイクレーシングでもない?これはゆゆしき事態!どういうことでござるか?……ぬ!プリントシール。なるほど王道でござるな。……うーむ、機体に入られては様子がわからんでござるな。騒音がうるさいが七つ道具を用いずとも声が聞き取れるだけカラオケよりはマシでござるが……。むむむ、少々くっつき過ぎではござらんか?これこれなっきゅ殿!おなごの方からそんなに抱き寄せてはならんでござるよ。ぬぬぬ、兄上!抵抗するならもっとしっかり抵抗するでござるよ。ん?妬いてなどおらぬと言っておろうが!(…う〜む……もしやハート型のフレームなど選んではおるまいな…) さてさてお次はいずこへ?あいや、またれよ、“映画館”(暗闇・密着系)→“カラオケ”(暗闇・二人きり系)→“プリントシール”(超密着系)→???(???系) も、も、もしや…い、いかん!それだけは阻止せねば…。しかし、どうやって?ああっ、こうしている間にも兄上となっきゅ殿は???へ向かっているのかも……。もうよい力技でござるぅ…… 「おやおや、兄上に、なっきゅ殿、今日は逢い引きでござったか…」 「あ!沙羅」 「あ!マヨ」 今思うと、少々ワザとらしかったかもしれぬなあ。つい忍び言葉で呼び止めたゆえ二人ともひるんでおったし… そして拙者、「どこか出かけてたの?」と当然の質問を受けたでござるよ。しかし、拙者は 「うむうむ、先ほど桑古木殿らしき人を見かけて声をかけたでござるが、気づかれなかったので追いかけていた次第でござる」 と答えたでござる。バッチリでござるな。(田中先生、桑古木殿ってやっぱり便利ですね♪)そして… 「「ふ〜ん」」 「ところでお二人はこれからいずこへ?」 「え?もう帰るトコロ、私明日提出のレポートがあるの」 「そうでござるか、これであんし…いや、大変でござるな」 ふうぅ、そうだったでござるか、よかったよかった。気が抜けてつい本音を口走りそうになったでござるよ。危ない危ない。 「じゃあ、私はもう帰るね、ばいばい、ホクト!マヨ!」 「うん、またね!優」 「さよなら、なっきゅ先輩」 なっきゅ先輩は帰っていったでござる。 「お兄ちゃん、送っていかなくていいの?」 「空が迎えにくるんだってさ」 「そうだったんだ」 「沙羅はこれからどうするの?桑古木さがすの?」 「ううん、暇だったから追いかけてただけだし、帰ろっか?」 「そうだね」 こうして拙者の尾行は終了したのでござるよ。ニンニン。 「ねえ、お兄ちゃん」 「何?沙羅」 「今日はなっきゅ先輩とどこいってたの?」 わかりきったことだった。何か話さなくてはと思ったのか拙者はそんなことを聞いていた。拙者に秘密で出かけたことに対するささやかな仕返しのつもりでござった。「あれ?じゃあゲーセンにいたのはお兄ちゃんたちじゃなかったんだ」とかいってやるつもりだったのに… 「え〜と今日はね、映画を見て、ご飯食べて、カラオケ行って、ゲーセン行って…」 「………………」 拙者、正直あきれてしまったでござるよ。素直というか、嘘がつけないというか…何もかも包み隠さず話してくれる兄上の話を聞きながら、拙者今回は少々反省したでござる。拙者が全て見ていたとも知らずに…やはり拙者は嫉妬していたのでござるなあ。認めるでござる。拙者は後ろめたい気持ちを隠しつつ、適当にあいづちをうっていたでござる。 「あ!それとゴメン、沙羅」 「え?」 「映画!前に沙羅に誘われたけど、ホントはまだ見てなかったんだ」 「………あ!」 「優と観に来たくってさ。適当なコト言っちゃたね。ホントごめん」 「ううん。いいよ、もう」 「そう、ありがとう。沙羅」 嘘がつけないわけではなかったでござるな。しかし隠し通せない辺りが兄上らしいでござる。ふふふ♪ 「わたし、回数券もってるからまた一緒に見に行こう♪」 「か、回数券…そんなのあるんだ」 「ふふふ、上忍のみに与えられるでござるよ」 「そ、そうなんだ……」 たわいない会話をしながら帰路につく… 「ねえ、お兄ちゃん?」 「何?」 「愛の形ってさ、いろんな形があるんだねぇ…」 「?」 拙者が欲しかった“愛”とはちょっと違うでござるが兄上が拙者に抱いているものは“愛”には違いない。“兄妹愛”でござる。今日家に帰ってから長々と書くであろう日記を思い。ふと悟ったようなことを言ってみたくなった拙者であった。ちょっと(照)。 さてさて、またしても長い日記になってしまった。拙者の周りには色々な形の愛が存在するでござるが、拙者には拙者と“同じ愛情”をくれる殿方がいまだ現れないでござる。にんともかんとも……。しかし、拙者の想い人となるお方が現れたとき、この日記はどれほどの長さになるのでござろうか? とりあえずは、拙者の“忍者日記”壱ノ巻はこれにておしまいでござる。ニンニン♪ |
あとがき またまた長くなりました。 あれもこれもと付け加えているうちにこの長さに… 実際こんな長い日記つけられないですよね。 っていうか途中から日記じゃなくなってる(汗) 大きく分けて三日分ありますが一番力を入れたのが 一日目、そして二日目、三日目となっておりますので だんだんお粗末になっていきましたね。すみません。 最後まで読んでくださった方。ありがとうございます。 感想とかいただけるとうれしいです。 雪だるま |
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