--戻りし絆と違えぬ誓い--
獅子流

前編

 赤きピアスをした男女が阿久津駅におりたった。猫のような雰囲気のする少女が
うざったそうに連れの少年に話しかけた。
「恭介、クリスも人使い荒いよね、もう少し労わってくれてもいいのに。」
「梨香、気遣い彼に期待するのか?」
「いいや。」
「妥当な判断だな、早いことまがい物の『神兵』片つけて、高城市にもどりたいな。」
「じゃあ、分かれて探しましょう。」
少年の名は緋村恭介、少女の名は皆瀬梨香2人ともR2と呼ばれる特殊なウイルスに感染され、DNAを書き換えられた新人類レベリオンである。

一人の少女が懇願した顔つきで
「おにいちゃん、そばにいてよ。そうじゃなきゃれぅいやだよ。」
「でも、自分はみさおと行きたいんだ。」
彼はそういって遠くに歩いていってしまった。
「れういやだよ。いいこになるし、おにいちゃんのすきなことするから……」
そのとき地面が割れ少女は闇に飲まれた。そして、彼女は目をさました。
彼女が目をさましたのは木造の古い部屋、阿久津高校の阿見寮の中。
「おにいちゃんはみさおちゃんをえらんだ。れぅのことをきょうへいさんにでんわで、たんのでくれたかられぅはからだが、だいじょうぶだったけど、それでもれぅのからだがもつのはあとすこしだよ。でも、おにいちゃんしあわせそうだかられぅもしあわせなんだ、きっとそうだよ。」
そういってれぅは朝食を食べて寮を出て街にくりだした。

緋村恭介は風に身をゆだね、クリスマス商戦で込み合っている駅前のデパートの屋上にいいた、風が彼に音を運んでくれるので、こうするのが彼にとっては効率が高い人の探し方なのである。音でターゲット『神兵』ビル・C・アーカードをサーチしながら、キルンハウスでR2ウイスルの研究している香澄のことを考えていた、
「あいつ、一言も言わずにさっていったな……」
彼女は自分と姉の贖罪を終えるまで自分の幸せなんかに興味がないんだな、そのことを少しさびしく思う。そして彼女の贖罪が早く終わるように統合計画局のエージェントとして、神の姿似の影を払拭する道をえらんだ。そのために長期休暇を利用して学んだ小太刀をにぎりなおした。そのとき、普通じゃない音をさせている人影に気がついた。
「この音、壊れかけている。死にかけの音でないな。」
彼はその音の持ち主がきになって尾行始めた。そしてすぐ彼女が『人間』でないことに気がついた。
尾行すること数十分、彼女は寮と思われる建物にはいっていった。
「彼女が『神兵』の一味かもしれないな、気が進まないがすこし話を聞いて姉貴に頼るか。」
高校生の恭介は彼女と同じ寮の住人から情報を得て、姉貴に連絡をし、その場所を立ち去った。

数時間後、姉貴から電話があった、内容は
「久遠から直接話を聞け。」
と実があったものでなかったが、恭介は自分の感があったと思った、携帯で伝えれないほどやばいってことだな。自分のカンがあったなと思い、姉貴の手下になっている久遠さんを待つことにした。

緋村恭介が謎の少女を尾行しているのとほぼ同時刻、皆瀬梨香は街の中をあるいていた、
「香澄も意地はらずに恭介とくっ付けば良いのに不器用なのよね。」
一之瀬潤とあの事件後付き合いだした彼女には両思いなのに、一緒にならない彼らがもどかしくおもっていた。彼女は人を探しているのもかかわらず、人通りが少ない所を歩いていた。ちょうどその時反対方向から二人連れの学生らしき人が歩いてきた。少年は黒髪で、少女は青髪に紅いカチューシャをつけていた。梨香が髪をかき上げようとしたとき、少年がふらっと歩道から車道へ夢遊病者のように躍り出ていき、ちょうどタイミング合わすようにトラックが少年に突っ込んできた。間に合わないと梨香が判断した時、彼女の細胞は本来の姿を取り戻した。彼女は人の限界をはるかに超えた速度で走り、少年を抱えて飛び上がってトラックをかわした。その直後少年が居なければならなかった場所を、トラックが走り抜けた、抱えられた少年と連れの少女の驚愕を引き連れて。
 驚愕から立ち直ったのは少女の方がはやかった、警戒した猫のような目で梨香を睨み。
「レプリスがなんでこんな所にいるの? マスターはだれなの?」
レプリスという言葉を聞いて少年の方も正気を取り戻した。
梨香はレプリスという言葉の意味がすぐにわからずぽかんとしていたが、香澄が前に言っていたことを思い出した。
「渡良瀬・結城博士たちが作り出した、人の紛いもクローンよりもたちが悪い人形よ、レプリスなんて。ある意味レベリオンよりたちが悪いかもね。」
「残念、私はそんなたちが悪いではない。人でもないのは確かだけどね。」
「レプリスはたちが悪い存在じゃない、人のパートナーだ。」
それまで黙っていた少年が切実な言葉で叫んだ。
「人が創ったものが人と同等にパートナーになれるはずない、飽きたらペットのように捨てられるだけだ。レプリスを人のパートナーと言うこと自体人間の傲慢さの現われだよ。」
この言葉に少年・少女は反論できなかった。
「あと、名前聞かせてもらえる? 私は皆瀬梨香。」
「渡良瀬恭介でこっちが、結城みさおです。」
「レプリス研究者の親族ね、だからレプリスを肯定するのね。」
みさおが梨香を睨んで言い放った。
「レプリス、いやレゥちゃんにあったことが無いからそんなことがいえるんですよ。」
「まあ、いいけどね。ここであったことは秘密にしましょう、その方がお互いのためだからね。」
梨香がぶっきらぼうに言い放った、会話はこれで終わりって意図が見て取れる。恭介・みさおもそれには異論がなかったので、
「わかったわ」
と返事した。

 2人と別れた梨香が恭介との待ち合わせ場所に久遠ちゃんがいた。
「久遠ちゃんが何でここに?」
「姫のお使いでちょっとね。」
恭介は数枚の写真を見ていた。
「何みているの?」
「ちょっと気になることがあってね、姉貴に調べてもらっていた。」
梨香が写真を見るとそこには数人の人がうつっていた。そして、よくよく見ると彼女が見知った顔があった。
「渡良瀬恭介に結城みさおじゃない、なんで彼らの写真が必要なの?」
この言葉を聞いて恭介がびっくりした。
「梨香、いつの間に彼らと知りあったんだ?」
そこで梨香はさっきの出来事を話すと恭介は機嫌がみるみる悪くなった。
「渡良瀬恭介、お前と同じ名前ってだけで、胸糞が悪くなる。お前にはレプリスが人のパートナーっていう資格などないのに、自分がしたことの責任すらとらんつもりか。」
その様子に梨香があわててなだめに入った。
「一般人にレベリオンの能力使っちゃだめだよ。」
「わかっている、香澄を悲しませるような事はしないって、誓うよ。」
「あら、お熱いことで。」
「ひがむなよ、お前だって潤とはいちゃついているくせに、ちと出かけて来る。」
そういって恭介は歩いて人ごみに消えた。

そうして緋村恭介が人ごみに消えた時に、渡良瀬恭介とみさおがどうしていたかというと、阿見寮の中でレゥ、緋村恭介が後をつけた少女と談笑していた。
「レゥちゃんの料理おいしいね。」
「うんそうだね。」
「おにいちゃん、みさおちゃんほめてくれてありがとうね。」
「れぅまいにちりょうりつくる♪」
「まいにちはいやだな。」
「おにいちゃん、てれてる。かわいいよ。」
レゥの言葉に過剰反応してちょっと叩こうする恭介の行動を、先読みしてみさおが恭介の手をにぎった。
「すまん、ちと熱くなったな。」
言葉無くてもわかりあえる二人の間に自分の居場所が無いように思えて、レゥは悲しくなった。
「れぅ、ちょっと散歩してくる。」
かなしみを偽りの笑顔で隠してレゥは立ち去った。
「レゥ、いきなり散歩ってどういうことだ?」
驚いた恭介が呼び止めようとしたときには、もうレゥは見えなくなっていた。

 寮を飛び出したはいいかが、行く場所が無いレゥが森の中を歩いていると、近くに人のけはいを感じた。
「だれかいるの?」
レゥの言葉に反応して赤いピアスをした男が出てきた。
「俺は緋村恭介って言うんだ、ちょっと話さないか?」
「きょうすけっていうんだ、おにいちゃんといっしょだね。」
話しているうちに渡良瀬恭介と同じ名前ってだけで、レゥは緋村恭介になついていった。
一時間くらい話したあと、レゥはもう時間が遅いってことに気づいた。
「れぅ、もうおうちにかえらないと。」
「もうそんな時間か、明日も同じ時間・場所で話さないか?」
「うん!」
レゥはものすごく元気な返事をして森の中に消えていった。



あとがき:このあとレゥと渡良瀬恭介はどうなるのか?神兵とは?数々の謎を残して
     話は続きます。
BF40万Hitお祝いように書かせてもらった自分のデビューSSです。
MMMbeやったときにMMMからの繋ぎ方がこうじゃだめだろと思い
渡良瀬恭介は業・罪を背負って生きるべきだと思い書き始めました。
レベリオンの5巻の後かつMMMのみさおアナザーエンド後のお話です。
意外に長くなりそうなので3つに分割して投稿します。
それでは中編であいましょう。

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