「誕生日おめでとう。唯笑」
「と・も・ちゃん」
ま、まずい。この展開は・・・まだ学校の傍だというのに、このままだと・・・。
そう思った瞬間、唯笑が智也の胸に飛び込んできた。
「わっ!こら!唯笑。抱きつくな、みんなが見ているだろ」
満面の笑み・・・嬉しさを身体いっぱいに表現している。
俺は、そんな唯笑を見ていたら恥ずかしさなんか気にならなくなった。
「だって・・・嬉しいんだもん。智ちゃんがプレゼントくれたんだもん」
少しだけ大きな瞳に涙を浮かべる・・・。
俺は、そんな唯笑を見たら想わず・・・公衆の面前で有ることを忘れて唯笑を抱きしめていた。
「智ちゃんありがとう♪」
「たまには良いだろ?」
「たまにだけ?・・・・智ちゃんの意地悪・・・でも、大好き♪♪」
「あははははっ、俺も・・・・だよ」
「え?何?聞こえなかったよ」
「そうか?ま、気にするな」
「ブゥ〜」
ふくれっ面で智也を見上げる唯笑。
(えへへ・・・ホントはちゃんと聞こえているよ。智ちゃん♪)
「さて、帰りに何処かによって行こうぜ。今日は好きなもの奢ってやるよ」
「え?ホント?嘘じゃないよね。じゃあね、じゃあね・・・・」
あれこれ考え始める唯笑。
「だからって、少しは遠慮しろよ?財布には限度があるんだから」
「分かってるもん。智ちゃんより智ちゃんの経済状況知ってるもん」
微笑み返しながら応える。
「あはははっ・・・・」
冷めた笑いで応える智也。
・・・・・。
智也からそっと体を離すと智也と腕を組んで歩き出した。
片手には、智也から貰ったプレゼントが大事そうに握られていた・・・。

--end--



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