『遙の世界』   
作:メンチカツ様



ザザザァァーーー・・・・・・・・
「・・・・どぉ?・・・・誠は釣れてる?」
「・・・・さっぱり・・・・・」
今日は、遙と釣りに来ている。
・・・・・しかし、相変わらず俺は一匹も釣れていない。
遙はすでに15匹は釣っただろう。
釣っては逃がし、釣っては逃がし。その繰り返し。
そして、遙が19匹目を釣った時、俺はある事に気づいた。
「・・・・?・・・・遙、その魚・・・・」
「・・・・・なに?・・・・この魚が・・・どうかした?」
「その魚、口のところにたくさん傷が・・・・」
俺がそう言った時、遙の様子が少し変わった。
「この魚が、どうかした?」
「・・・・・い、いや、どうもしないよ・・・」
・・・・・どうやっているのかは分からないが、どうやら遙は同じ魚を釣りつづけているようだ。
・・・・・卑怯だぞ!!遙!!
どうりで、ヒットアンドウェイ・・・・いや、キャッチ&リリースばかりしていると思った。
遙はあの魚しか釣れないのだろう。
・・・・しかし、一体どうやってるんだろう。・・・・洗脳でもしたのか?
その時!
ググッ!
俺の釣り竿に当たりが来た!!
「おお!?苦節30年!とうとう俺の釣り竿にHITが!!」
「・・・・・誠・・・何歳なの?」
・・・・遙に突っ込まれてしまった。
「・・・・ふっ!なかなか良いツッコミじゃないか!」
「・・・・・誠・・・何歳なの?」
・・・・・聞いちゃいねぇ。
「・・・・・誠・・・何歳なの?」
「・・・・・20歳です・・・」
・・・・・遙には負けた。
しかし!この俺がツッコミで遙に負けるなど許されて良いものか!?
とゆうことで、俺は遙にツッコミの指導を試みることにした。
「・・・・遙、よく聞け」
「何?・・・誠」
「遙のツッコミもまあまあだが、まだ甘い!」
「・・・・・・?」
遙は、何がなんだか分からないという風な顔をしている。
「ツッコミとは、こうやるんだ!!」
ビシィィッ!!
俺は、今までの人生の中で、最高のツッコミをした。
そして・・・・・・
・・・・・・・カタカタカタカタ・・・・・・・・
遙が震え出した。
「・・・…遙?」
・・・・もしや、ツッコミと称して胸を触った事を怒っているのか?
でも、裏手だし・・・・そういう問題じゃないか・・・・
それともツッコミが強すぎたのか?
まさかツッコミの衝撃くらいで・・・・
ドックン!!
俺が考えてる途中で、妙な音が響き渡る。
ドックン?なんの音だ?
考えているうちに、どんどんその音は早くなる。
ドックン、ドックン、ドックンドックンドクドク・・・・・
そして、世界が紅く染まり、遙が叫ぶ。
「キョオオオオォォォォーーーー!!!」
「遙!?」
一体どうしたというのだろう。
気がつけば遙の顔は青白く、目は白目を剥き、物凄い形相になっている。
「アギャァッ!」
そして、その手に生み出された蒼き炎を俺に向かって放つ!
「うわああぁぁ!?」
無様に避けながら、俺はその場を逃げ出した。
途中、億彦に合う。
「億彦!遙は任せた!!」
「???・・・おお!!とうとうその気になったかぁ!案ずるな!遙ちゃんは俺が幸せにしてやる!!」
もちろん俺は億彦の言葉など聞いちゃいない。
「遙ちゃ〜ん、誠なんかほっといて、僕と・・・・って、うぎゃああああぁぁぁぁ!!!」
・・・・フッ!馬鹿め!現実を見据えぬものに未来などない!!
ようやくのことで俺は、ルナ・ビーチの中へと逃げ込む。
そこには残りのみんな、沙紀、優夏、いづみさん、くるみがいた。
「・・・・どうしたの?誠」
「誠君・・・どうかしたの?」
「ちょっと、誠君?騒々しいわよ?」
「お兄ちゃん、なんかあったの?」
それぞれ俺に問い詰めてくる。
「遙が、遙が・・・・壊れたんだ!!」
『ええええぇぇぇぇぇ!?』
急に店内が慌しくなる。
みんなも混乱しているようだ。
その時、遠くの方から声が聞こえてきた。
「助けてくれええぇぇぇぇ・・・・・・」
・・・・・億彦の声だ。
・・・・まだ生きていたのか。
「だれかああぁぁ!助け・…!!うわあぁぁ!!」
ズザザァァァ・・・・
・・・・・転んだ。
更にその後ろから、凶悪な声が聞こえてくる。
「ぐあぁぁああああああああ!!!!」
遙だ。遙が、地を滑るようにして億彦へ突っ込んでいく。
ズシャ!グシャ!ドギャ!グジャグジャ!!
それを俺の横で見ていた優夏が一言呟いた。
「・・・・億彦君を・・・喰ってる!!」(リツコ風)
・・・・・・お前は誰だ?
まぁ、それは置いといて、・・・・あれ?くるみがいないぞ?
「くるみは・・・・いた」
くるみは外にいた。ラジコンを操り、遙の方へと近づいていく。
「くるみぃぃ!危険だぁぁ!戻ってこぉぉい!!」
しかし、くるみはそのまま前進を続け・・・・
「準備完了!」
などといって見せる。
・・・・もしや何か策があるのか?
「撃てェ!!」
ラジコンの戦車から砲弾が発射される。
一体くるみはBB弾で何をしようというのか。
しかし!
ドゴォォォン!!
まて!なにかの間違いだ!!BB弾が爆発するなんて俺は聞いた事がない!!
何かが違う、何かが違う!!
俺は一生懸命考えていた。
俺の後ろから声が聞こえてくる。
いづみさんと沙紀だ。
みればいづみさんが椅子に座り、テーブルに肘をつき、両の手を組み、その手で口元を隠すようにしている。
その隣では、沙紀が後ろで手を組みながらつったっている。
「・・・・ATフィールドか・・・」
「・・・・ああ・・・・」
「なかなか敵も厄介だな」
「・・・・フッ、使徒を相手に通常攻撃では役に立たんよ」
・・・・使徒って・・・・遙の事か?
「では・・・使うのか?・・・いづみ・・・・」
「・・・・・ああ。・・・・出動だ」
そして掻き鳴らされる警報。
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!
・・・・・この店のどこにそんなもんが!?
しかし、よく聞いてみれば、2階のいづみさんの部屋から聞こえてくる目覚まし時計の音だった。
・・・・そうだよなぁ、漫画じゃあるまいし。
ガキョンッ!!
!?・・・・一体なんだ!?
突然すぐ近くで妙な音がする。
振り返れば、優夏が口から煙をはき、直立不動の体勢でたっている。
・・・・・・一体どうしたんだ?
遙はまだわかる。俺が突っ込んだから、どうにかなってしまったのかもしれない。
しかしみんなは・・・・・・あまりのショックで?壊れた!?
そして、いつのまにか戻っていたくるみが叫ぶ。
「シンクロ率正常。システムオールグリーン!!優夏、起動します!!」
優夏がゆっくりと歩み出し、やがて駆け出す!!
《遙!もうやめて!!億彦君が死んじゃうわ!!!》
機械を通して優夏の声が聞こえてくる。
・・・・・機械を通す?・・・・まぁ・・・いいや・・・・・
ってゆうか、まだ億彦死んでなかったのか・・・・・
「ウウウゥゥゥガアァァ!!」
しかし遙は、止めるそぶりを見せない。
しかたなく、優夏が手を出す!
《必殺!!トリーシャチョップ!!》
右45度の角度から、綺麗なチョップが決まる。
そして、遙がもとに戻った。・・・・多分。
億彦も何事も無かったかのように走り寄ってくる。
・・・・・・・・血だらけの笑顔で。
他のみんなも、普通に戻っているようだ。
「さぁて、なんか少し疲れちゃったから、ご飯にしましょっか♪」
いづみさんが何事も無かったかのように料理を始める。
本当にみんな普通に戻ったようだ。
・・・・・・やれやれだぜ。
そして、いづみさんの料理が運ばれ、みんなで食べようとした時、俺は誤って遙の箸を落としてしまった。
「あ、悪い、遙」
 
 
 
「うぐぅ、・・・・ひどいよ、誠くん!!」
・・・・・・・・・・へっ、ちっともびっくりしないぜ・・・・
・・・・・・・・・・・・・慣れって怖いな・・・・・・・
もう何が起きても動じないぜ!!ちくしょう!!
・・・・・・・・涙が出てくるのはなぜだろう・・・…
 
 
終わり♪







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