『インフィニ肝試し』 |
第一話『肝試し?』 |
作:メンチカツ様 |
「ねぇみんなぁ、これから肝だめしやらない?」 くるみのこの一言で、俺達は肝だめしをやることになった。 場所はこの島にある墓地。 俺達は今、その墓地へと続く道を歩いていた。 (誠・・・・誠ってば!) 優夏が俺を呼んでる。怖いんだろうか? 「なんだ?優夏」 (大きい声出さないでェェ!) (なんなんだよ・・・・・・) (いいから・・・・ちょっとこっち来て) しぶしぶ優夏のもとへいく。 「なんだよ・・・・なんかようか?」 「あの・・・・あのね?・・・ちょっとした相談なんだけどぉ」 「相談?」 「うん・・・・肝だめしって言ったらチーム分けがあるじゃない?」 「あるだろうなぁ」 「それで・・・・そのときずっとグーを出して欲しいんだよぉ」 ・・・・・なるほどな。そういうことか。 「もちろん私もグーを出し続けるから・・・・ね?お願い!」 「まぁ別に断る理由もないしな。いいよ」 「ほんと!?ありがとう!さすが誠だね!」 何がさすがなのかは分からないが、これで必ず女性と組めることになった訳だ。億彦 なんかと組んだ日にゃぁ目も当てられないからな。 「ほら、みんな先にいっちゃったぜ?早く俺達も行こうぜ」 「うん♪」 優夏はもう御機嫌だ。 俺達は皆の後を追いかけた。 そして墓地に到着。 「さぁ〜皆さん、とうとう会場に到着したよぉ〜!心の準備はい〜い〜?」 くるみが一人はしゃいでいる。 「それでは今回のルールを発表します!」 ルールも何も二人一組になって目的地まで行ってくるだけだろうに・・・・・・・ 「今回は特別ルールを適用しまぁ〜す♪」 ・・・・・・特別ルール? 「今回はぁ、なんとぉ!みんなに一人ずつ行ってもらいま〜す♪」 『えぇ〜〜〜〜!?』 みんなから非難の声が上がる。 そりゃそうだ。あやうく俺も声を上げそうになったほどだ。 もちろん一番声が大きかったのは優夏だった。 ・・・・・・その次に大きかったのは億彦だった。 「みんなだらしないなぁ〜。お兄ちゃんをみなよぉ。余裕しゃくしゃくって感じだ よぉ?」 皆の視線がいっせいに俺に突き刺さる。 もちろんその視線が意味するものは「なんで声上げないの!?」である。 「じゃぁ、俺が一番手って事で良いだろ?」 「さっすがお兄ちゃん!勇気あるねぇ〜!漢だねぇ〜!!」 っていうか、たかが肝だめしだろぉ?何をそんなに怖がってるんだか・・・・・ 「ちなみに今回は特別ルールということで、スリル満点だからね♪」 「よーし!やってやろうじゃないか!」 この時俺は、道を誤っていた・・・・・・・ 「お兄ちゃん、この墓地のどこかに古い井戸があるから、井戸に名前書いてきてね♪ 井戸にチョークが置いてあるから」 「ああ、わかった」 今俺は、あんな返事をした事をめちゃめちゃ後悔していた。 そう、この墓地はゲームユーザーが知っているようなものではなかったのだ。 もちろん一人なのでいちゃいちゃイベントも無い。 ここにあるのは、ただただ恐怖のみだった・・・・・・ 〜〜回想〜〜 「じゃぁいってくるよ」 『いってらっしゃ〜〜い!』 そして俺が進もうとした時、 「あ!お兄ちゃんちょっと待って!」 くるみが呼び止める。 「ん?なんだ?」 「はい、これ」 そういってくるみが差し出したのは、一丁の拳銃だった。 「・・・・・・・・・・・・・・・これは?」 「拳銃だよ?」 「・・・・・・あ、モデルガンかぁ・・・あ、アハハハハハ・・・」 俺は空笑いしながらそれを受け取った。 ズシッ・・・・ 重い。あきらかにモデルガンではない。 「よ、良く出来たモデルガンだなぁ・・・」 そういう俺の顔は真っ青だった。 優夏や億彦は道の端っこで震えていた。 沙紀はいづみさんの目を必死にその手で隠していた。 遙はまるで事の成り行きを理解していないかのように突っ立っている。 「じゃぁお兄ちゃん、いってらっしゃ〜〜い♪」 そういってくるみは俺を墓地の入り口へと突き飛ばした。 「いたたたた・・・・・」 くるみに突き飛ばされた俺は、拳銃の重さにバランスを崩し、転んでいた。 ゆっくりと起き上がる俺。 辺りを見回してみる。 これといってなにも・・・・・・・・ 変った所だらけだった。 まず、なぜ墓地に大きな木のボックスがあるのか。 そして、なぜこんなにも広いのか。 その広さと言うと・・・・・・・ 墓地に数棟の木造の廃屋がある事から推測してもらえれば分かるだろう。 だいたいなぜ墓地に廃屋がそんなにたくさんあるんだ? おまけに遠くの方に伸びている鉄塔はいったいなんなんだ? ちょっと後ろを振り向いてみる。 ・・・・・・・・誰もいねぇ。 それどころか入り口が閉じられている。 ・・・・・まぁ、入り口閉じてんだから誰もいないのは当たり前だなどという反論は 闇の彼方へと葬り去って、これからどうするかだ。 とりあえず前に進むしか無いだろう。 くるみから受け取った拳銃を右手で握り、俺は歩き出した。 グルルルルル・・・・・・ 「・・・・・・?」 犬の鳴き声だろうか? 俺以外の生き物の声を聞けて、少しだけ安心する。そして声の主を探してみる。 「お〜〜い、犬っころ〜」 やがて目の前にわだかまる闇の中から一匹の犬が顔を出す。 ・・・・・顔を・・・・・・・出す・・・・? 「・・・・・?( ̄□ ̄;)!? 」 顔が無い!? くわしくいうと、口だけが残っていた。 目や耳、頭の部分がそっくり削げ落ちていた。 「うぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 おもわず右手に握った拳銃をぶっ放してしまう。 ドギュンドギュンドギュン!!! 犬は派手にぶっ飛び、木製ボックスを壊して横たわった。 次第にその姿は溶けて消えていった。 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・はぁ〜〜・・・・・」 俺は深い溜息を付き、しばしボーっとする。 「いったいなんだったんだ?いまのは・・・・・・」 犬の消えた場所を呆然としながら見つめていると、ある物が落ちていた。 さっきまで無かったはずの物だ。 「・・・・あれはなんだ?」 近づいて拾ってみる。 長方形の箱だった。 「・・・・・・・・銃弾パック?」 俺の持っているオートマティックタイプの拳銃の弾のようだ。 「・・・・・まさか・・・・・こうやって銃弾を補充しながら行けと?」 どうやらゾンビ系のガンシューティングゲームのように進めていくらしい。 「・・・・・・くるみ・・・・これは肝だめしじゃないと思うぞ・・・・」 俺は一人呟き、途方にくれていた・・・・・・ 第一話 終了 |
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