『インフィニ肝試し』   
第三話『遭遇』
作:メンチカツ様


この研究所の入り口の方から大きな爆発音が聞こえてくる。
遠く離れたここまでその衝撃が伝わり、廃屋が揺れる。
「うお!?・・・・明鈴さん、大丈夫ですか?」
「ええ、それよりもここを離れた方が良いわね。くずれるわよ」
「はい!」
揺れる室内を出口に向かって走る。
バタンッ!
何とか外に出る事が出来た。
ズ、ズズズズズズズズズズゥゥゥゥゥゥゥゥン・・・・・・・
廃屋は崩れてしまった。
その影響だろうか?木製ボックスが一つ壊れてそこにあった。武器が投げ出されてい
る。
「明鈴さん!あれ!」
「ええ!ラッキーね、勝手に壊れてくれて!」
俺は落ちている武器に近づいて行った。
どうやらバズーカ砲らしい。
っていうかいきなりバズーカ砲!?だいたい持てないよ、こんなの。
ふと俺は足を止めた。何かが動いた気がしたのだ。
武器の傍で。
「・・・・・・・なんだ?」
目を凝らして見ると・・・・・闇に人影が浮かび上がった。
皮膚は爛れ、髪はその8割が抜け落ち、服はぼろぼろだ。
目はくぼみ、その口から見える歯は鋭く尖っている。その姿にはもはや人間だった頃
の面影は無い。
ただ、人の形をしているだけの化け物だった。
だが、明鈴さんはこれでも生きていると言う。
研究を邪魔された恨みなのだろうか?それとも殺された恨みなのだろうか?
その手を前に伸ばし、俺達の方へと歩いてくる。
ゆっくりと。だが確実に。
その手は救いを求めているようにも見える。
しかし、そのくぼんだ瞳には色濃い殺意がはりついている。
俺はその場から飛び退り・・・・・・・いや、足が動かなかった。恐怖で動けない。
動かないのは足だけじゃない。身体中どこにも俺の言う事を聞く部分は無かった。
(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、死にたくない!!)
俺がそう、強く心に思った時!
ドギューン!
銃声が鳴り響いた。
まるで魔法が解けたかのように俺の体に自由が戻る。
「明鈴さん!?」
ゾンビが仰け反る。
「落ち付いて!ゾンビは動きが遅いわ!ちゃんと動きを見てれば対応出来るはずよ!
!」
「わ、わかりました!」
後ろに下がり、良く見てみる。
・・・・・・・気持ち悪い・・・吐くぞおい。
「ち、ちょっと!?こんな時にはかないでよね!」
だんだんしゃべり方に彼女の地が出てきた。
「っていってもぉ・・・・・!?」
そう言いながら彼女の方を向いた俺。
その目に映ったのは、彼女の背後に迫るもう一体のゾンビだった!
「明鈴さん!!後ろ!!」
「え?」
いちかばちかだ!!
「ええい!ままよぉ!!」
ズキュン!
明鈴さんに迫るゾンビめがけて発砲する。
だが、焦って片手で撃った為か、銃の反動で狙いがずれてしまった。
チュインチュインチュインッ!
墓石に当たって兆弾しまくっている。
・・・・・・ここって研究所だよな?なんで墓石が・・・・
チュイン!!
「うわぁ!!」
へたに考え込むと何がおこるかわからないな。
明鈴さんはしゃがみ込んでいる。
そして兆弾した弾がバズーカ砲の弾に当たる。
ドォォォン!!
砲弾はバズーカ砲ごと爆発した。
爆風にあおられるゾンビ。
バズーカ砲の近くにいたゾンビは燃え上がり、しばらくして崩れ落ちた。
明鈴さんがこっちへくる。
「ちょっと!あぶないじゃないの!」
「あ、す、すいません、あせっちゃって・・・・・」
「え?あ、・・・・うん、ごめんなさい。助けてくれたのにね」
「いえ、素人の俺がでしゃばったから・・・・ただ助けたかっただけなんです」
「うん・・・・・ありがと」
そう言って明鈴さんは俯いてしまった・・・・・・。

「うぅ〜ばかばかばかばか!おっくんのばかぁ!!」
くるみが叫ぶ。
これでもう13回目である。億彦の落ち込みようは相当なものだ。ここ2時間、1回
も顔を上げていない。
実はここに入る際に入り口を爆破したのだが、その振動により廃屋の一つが崩れ、道
を塞いでしまったのだ。
そして今みんなで来た道を引き返し、丁度入り口に戻ってきた所である。
「まぁまぁ、くるみちゃん抑えて抑えて・・・・」
みんなでくるみをなだめる。
ちなみに、優夏達はまだゾンビには会っていない。
そう、彼女達が行きあたった崩れた廃屋とは、誠と明鈴のいた場所だったのだ。
つまり、そこまでのゾンビ犬はすでに誠が倒してしまっているのである。
おかげでくるみは「期待外れ」だの「八百長だ!」だの「金返せ!」だのと、意味の
分からない暴言を吐きまくっているのである。
そう、このとき彼女達は、すぐ傍に危険が迫っていることに気付いていなかった・・
・・・・・。

第三話 終了








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