『インフィニ肝試し』 |
第6話『戦慄』 |
作:メンチカツ様 |
闇に包まれた地下室。 そこには二つの影が蠢いていた。 「・・・・・明鈴さん」 「何?」 「この部屋って・・・・・・まさか・・・・・」 「・・・・・ええ・・・そうみたい・・・」 闇に慣れた目で、穴から射しこむ月明かりを頼りに二人は部屋を調べていた。 いや、月明かりだけではない。部屋のあちこちで、壁自体が光を放っている。 非常に微力な光だが、闇に慣れた目には充分な明かりだった。 「・・・なんでこんな部屋があるんですか?」 「しらないわ・・・・・第一、私が知ってたら即潰させてるわよ」 「にしてもずいぶん広いですねぇ・・・・・」 「まったく・・・・・ゲーム部屋なんてつくる?地下に・・・」 「あはははは・・・・まぁ、息抜きも必要でしょうけど、・・・・・まさかゲーム部屋とはねぇ・・・」 そう、ここはゲーム部屋だったのだ。 調べた結果、TVが3台、ゲームのハードが、3種類が2個ずつ。さらにゲームソフトの棚までおいてある。棚にはソフトがびっしりだ。・・・・・そうとうなゲーム好きなのだろうか? 恐怖系のガンシューティングやシミュレーションRPGが多いのは、やはりそういう研究をしていたからなのか・・・・・ ガラガラガラッ!!・・・・・ドサッ! 唐突に大きな音が響く。 「・・・・・今の音は?」 「多分・・・・この部屋の扉が開いて、何かが落ちたんだと思うけど・・・・・」 「・・・・・何が落ちたんだろう?」 まさかゾンビがいちいち扉を開けるとは思わない。 となると? 「まさか・・・・私のほかにも生存者がいる・・・・・?」 「でも万が一と言う事もあります。慎重にいきましょう」 「そうね」 「・・・ただ物が落ちただけだったりして」 「それは無いと思うわ。・・・・まぁ、仮にそうだとしても、誰かが扉を開けて物を落としたっていうことになるし」 「・・・・・・・そうか・・・じゃぁいってみますか」 「ええ、いきましょ」 そして俺達は音のしたほうへと向かった。 結局、入り口まで何も無かった。 だが、入り口には気配があった。 人だろうか?敵意などは無く、闇の中横たわっている。 「誰だ!?」 俺は思いきって声を掛けた。だが、相手に反応は無い。 俺は意を決して、横たわる人影に近づいた。 「・・・・沙紀!?」 そこに横たわっていたのは沙紀だった。 「沙紀!!大丈夫か!?しっかりしろ!!」 「まって!!」 俺が沙紀の身体を抱き上げようとしたとき、明鈴さんが鋭い声で叫んだ。 「あ、明鈴さん?」 明鈴さんが沙紀に近づく。一体どうしたっていうんだ? 「・・・・・・毒素に汚染された液体を浴びてる・・・・」 「えぇ!?」 そ、そんな・・・・・沙紀はもう助からないのか・・・・・・・・ 「・・・・・沙紀は・・・・助からないんですか?」 「分からないわ・・・・・・直接毒素を浴びた訳じゃ無いから、毒素の侵食も遅いはず・・・・」 「じゃぁ、まだ助かる見込みはあるんですか!?」 俺は思わず明鈴さんの肩を力いっぱい掴んでいた。 「ちょ・・・・・痛い!!」 「あ!・・・・すいません!!」 俺は慌てて掴んでいた手を離した。 「・・・沙紀は・・・・ゾンビにならなくてすむんですか?」 「・・・・・・ワクチンさえあれば・・・・・・助かるわ・・・」 「・・・・・・ワクチン?」 ワクチン・・・・・そうか、毒素を中和出来れば助かるんだ! 「そのワクチンはどこにあるんですか!?」 「分からないわ・・・・鎮圧の際の爆発で無くなってるかもしれないし・・・・・」 「・・・・・そんな・・・・・・」 ここへ来てこの事実。一瞬目の前が暗くなった。目の前で苦しんでいる友達を助ける事ができないなんて・・・・・・・くそ! 「・・・・・・明鈴さん・・・」 「なに?」 「ワクチンは・・・・・どんなものなんですか?」 「・・・・え?」 俺は決意した。どんな状況だろうと、どんなに可能性が低くても、最後まであきらめない。 何もせずにあきらめたりしたら、寝覚めが悪くなる。それに・・・・・・優夏に怒られるよな。 「ワクチンはどんなものなんですか?俺、探します。絶対に見つけてみせます!」 「誠君・・・・・・」 「教えて下さい!ワクチンはどんなものなんですか!?」 「わかった。・・・・ワクチンは、小型の瓶に入ってるわ。栄養ドリンクみたいなやつ。それと、ワクチンは保存が利くように埃を寄せ付けにくいようにしてあるの」 ・・・・・・え? 「・・・・・あの・・・も、もしかして・・・・これ?」 そう言いながら俺はさっきこの部屋で見つけた瓶をポケットから取り出す。 「・・・・・なんでもってるのよ!?」 「い、いや!さっきそこの机の上で見つけたんです!」 「まぁ、それはいいとして・・・・・で、注射器は?」 「・・・・・・え?」 「注射器よ・・・・・まさか・・・・」 「・・・・・持ってないです」 「・・・・早くしないと、この娘ゾンビになっちゃうわよ!?」 ・・・・・・そんな・・・・せっかくワクチンも持ってたのに・・・・・・ いや、まだ時間はあるはずだ。探そう!! 「注射器探しましょう!あとどのくらい時間あるんですか?」 「・・・・そうね・・・まだ侵食もほとんど始まってないし・・・・・あと20分位かしら」 たったの・・・・20分・・・・・・・ 「・・・・どこにあるかは分かりますか?」 「・・・・・・わからないけど・・・・でも、この部屋にワクチンがあったのなら注射器もあるはずよ。ワクチンだけあったって使えないし」 「ほんとですか!?じゃぁ、すぐに探しましょう!」 「ええ」 俺達は沙紀を机の上に寝かし、注射器を探し始めた。 「・・・・・・沙紀・・・・いないねぇ・・・・」 その頃、優夏達は沙紀が誠達に地下で発見されているとも知らずに、沙紀を探しつづけていた。 「やっぱりさっきのところを右に行った方が良かったんじゃないのぉ?」 「僕は左だと思うんだけどなぁ」 みんな意見がばらばらだ。 「ちょっとみんな、いい?」 いづみさんが困った顔をしながら呟いた。 「みんな・・・・ここまでの道、覚えてる?」 その言葉を聞いたみんなはちょっと考えた後、一様に首を横に振った。 「・・・・・・で、これからどうするの?もし沙紀ちゃんを見つけたとしても、戻れ 無くちゃ本末転倒だわ」 辺りに沈黙が降りた。 しばらくののち、沈黙を破ったのはくるみだった。 「じゃぁさ、先に出口を見つけようよ。もちろん沙紀さんを探しながら」 もはや来た方向すら分からなくなってしまったみんなに他に意見などあるはずもな い。 くるみの意見を採用し、前に進む事になった。 そしてしばらく進んだ時だった。ふと、遙が呟いた。 「・・・・みんな・・・・あれ・・・なに?」 遙の指差した方向には、巨大な建物のシルエットが浮かび上がっていた・・・・・・ ・。 第6話 終わり 次回に続く。 |
後書き ・・・・・・・・・・・・・・・・・続きを待って下さい。 果たして沙紀は助かるのか。 優夏達の前に現れた建物はやはり? だんだんと意気消沈して来た作者。 次回、書くのか作者?流れ星を10個見れたら続きを書こうと誓いながら永遠の眠り につこう!! |
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