『インフィニ肝試し』 |
第8話『目覚め・ゾンビ犬再来』 |
作:メンチカツ様 |
あれからどれくらいの時間が経っただろう。 明鈴さんは寝ている。少しでも体を休めなくてはいけない。 沙紀も目を覚ます気配は無い。 手持ち無さたになった俺は、ゲームをしていた。そう、驚くことに電力はいまだに供給されていたのだ。 部屋の中には無数にゲームソフトが散乱していたが、その中からガンシューティングを探しだし、銃の練習替わりにプレイしていたのだ。 実際の拳銃とは、やはり違う。重さ、恐怖、装填する手間。そして何よりも、拳銃の発砲の際の反動。 それらがゲームではほとんど感じられない。だが、照準のポイントの練習にはなっていた。 「あと1ステージでクリアだ」 「・・・うぅ・・・・」 「沙紀!?」 沙紀の声がした。 「沙紀!大丈夫か!?」 しかし、このときの俺は、次の瞬間に起こるアクシデントを知るよしも無かった。 「・・・・・みんなどこよぉ・・」 辺りは暗闇に包まれている。 一寸先も見えないその闇の中を、沙紀は一人で歩いていた。 普段強気な沙紀。 しかしそれは天邪鬼なだけで、信頼出来る相手といる時、または一人でいる時はその素顔をみせる。 今の沙紀は、心の中の不安をそのまま口から出していた。 「それにここは一体・・・・・?」 沙紀は襲いくる不安、恐怖を必死に耐えていた。 ・・・・・だが、次の瞬間それは訪れた。 ポンッ・・・・・ 沙紀の肩に何かが触れる。いや、掴んだ。 「ヒッ!」 沙紀は短い悲鳴を上げながらも、ゆっくりと振り向いた。 そこには・・・・・・・ゾンビがいた。 先は悲鳴を上げながら右手を握り締め・・・・・・・・ 「キャアアアアアアアアアアア!!!!」 「うえ!?」 バキィッ!! 沙紀が悲鳴声を上げたかと思った瞬間、俺の右頬に沙紀の右フックが炸裂した。 「・・・・・ぐ・・・・はぁ・・・・・」 ドシャ・・・・・ 俺は力なく倒れこんだ。 「・・・・・・・はぁ・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・・・あれ?」 沙紀が荒い息を静めながらあたりを見回す。 先ほどまでの闇ではない。確かに暗いが、状況を把握出来るくらいには明かりがあった。 隣の机に人が寝ていた。 「!?」 良く観察してみる。 胸が上下している。どうやら死んでいる訳では無いようだ。 ほかにも床に倒れている男がいた。 「・・・・・誠君!?」 そこに倒れていたのは俺だった。 右の頬が腫れ上がっている。 沙紀はじぶんの右手を見る。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 どうやら、先ほどまでの夢の中に現れたゾンビを殴ったつもりが、現実では俺を殴ってしまったらしい。 「!!・・・・・ま、誠君!大丈夫!?」 「・・・・うぁ・・・」 沙紀が俺を揺さぶっている。俺は軽くうめいた。 右の頬が痛い。熱い。腫れているのだろうか? 俺は頭を振り、起き上がった。 「・・・いってぇ〜・・・・」 「あ、誠君!」 「・・・・沙紀!?目が覚めたのか!?」 目の前に沙紀がいた。 「え!?え、ええ。目は覚めたけど・・・」 「ふぅ・・・・・」 俺は安心して机の上に座った。 「あの・・・・私何がなんだかわかんないんだけど?」 すでに沙紀は、いつもの沙紀に戻りつつあった。 「実はな、あれから・・・・・・・・・」 そして明鈴さんが目を覚ますまでの間、俺は沙紀に今まであったことをしゃべって聞かせた・・・・・・・・。 「・・・・・ねぇ、何?今の低い唸り声は・・・」 優夏が不安そうに呟く。 それに対して億彦は、つとめて冷静に、明るく言った。 「犬かなんかじゃないかい?きっと迷い込んだんだろう」 「え?ワンちゃん?ワンちゃんなのぉ?」 くるみが立上がり、唸り声のしたほうへと走りよる。 が、ふと、くるみの足が止まった。 「?どうしたんだい?くるみちゃん」 億彦が呼びかける。 それに対してくるみは、後ずさりながらこう言った。 「・・・・・・犬だけど・・・・・・頭が無いよぉ・・・・」 『!!??』 皆の間に動揺と戦慄が走りぬける。億彦はもう吹っ切れたのか、震えながらもショットガンを手に取る。 いづみさんはとっさに優夏の目をその手で覆い、その光景から優夏を隔離する。 遙はくるみのもとに駆け寄る。 そして・・・・・・ ガアアァァァァアアアァッ!! 草叢からゾンビ犬が飛び出し、くるみに襲いかかる! 「キャアアアアアァァァァァァ!!」 「くるみ!」 くるみをかばうべく、遙がくるみに飛び付き、地面に伏せた。 そこへ億彦のショットガンが弾丸を撃ち放つ。 ズガァァァァァンッ!! 弾丸は数十発の弾となり、ゾンビ犬を吹き飛ばす。 だが、ゾンビ犬は一匹では無かった。 続いてもう一匹のゾンビ犬がいづみさんに飛びかかった! だが、そこにはすでにいづみさんと優夏の姿は無かった。 ゾンビ犬は特に戸惑う様子も無く、そのまま次の標的に飛びかかる。 億彦だ。億彦に向かって飛びかかった。 「・・・・クッ!」 装填が間に合わない。 (殺られる!) 億彦がそう覚悟したときだった。 ズギューンズギューンズギューン! 3発の銃弾がゾンビ犬を吹き飛ばした。 億彦が振り返る。そこには、拳銃を手にしたいづみさんと優夏がいた。 「・・・・・ありがとう、助かりました」 とりあえず礼を言う億彦。 だが、億彦の頭に疑問がかすめる。億彦はその疑問をそのまま口にだした。 「でも、良く避けれましたね。さすがは澄空のラプラスって所ですか?」 「いえ・・・・その・・・・・・」 億彦の冗談まじりの質問にいいよどむいづみさん。 くるみと遙もこちらへ戻ってきて、いづみさんと億彦の会話を聞いている。 「・・・・・・・転んじゃった♪てへ♪」 いづみさんが舌を出してはにかむ。 みんなといづみさんの間を冷たい風が吹き抜けていった。 長い所では腰まで草が成長しているような場所だ。転んでしまえばその辺りの様子など闇に紛れて何も無いように見えるだろう。 そして・・・・・優夏はまだうつ伏せになっていた・・・・・・・・。 第8話 終了 次回へ続く |
後書き むむぅ・・・・・むずかしいねぇ。盛り上がりがいまいちかな? とりあえず沙紀も目を覚まし、くるみたちもまた一つの困難をクリアした。 さてさて、どうなることやら。 はたして誠達はどうするのか? 優夏達はどうする・・・・っていうか優夏はいつまでうつ伏せなんだ!? 次回へ続く!! |
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