沙紀様の華麗なる午後(?)   
作:メンチカツ様
カランカラン・・・・・
「いらっしゃいませ〜〜♪」
ただいま昼の1:00。
俺は腹が減ったので、ルナ・ビーチへとやってきた。
「あ!お兄ちゃんいらっしゃい☆」
いつものように、いづみさんとくるみが温かく迎えてくれる。
俺はいつもの様にテラスのテーブルの一つに着席する。
「誠君、今日はどうしたの?」
「今日は自由行動なんですよ」
そう、今日の予定は自由行動。優夏は桜を見に行くといって灯台方面へとむかった。
遙は釣りへ。億彦は「フナ虫に慣れる!」とかなんとか訳の分からない言葉を残しつつ姫ヶ浜へとむかった。
そして俺は、得にやることも無く、今まで寝ていた。
起きたら腹が減っていたので、ルナ・ビーチへとやってきたわけだ。
「いづみさ〜ん、注文良いですか?」
「いいわよ、・・・・くるみ、誠君の注文とって来てくれる?」
「うん!わかった!」
元気良く応えると、俺の方へパタパタと走り寄って来る。
「お兄ちゃん、ご注文は?」
「う〜ん、そうだなぁ、今日のお勧めは何かある?」
「うん!今日はねぇ、新鮮な魚があるよ♪」
うむ。いづみさんの料理はなかなか凝ったものが多いが、たまにはシンプルなのも良いかもしれない。
「じゃぁ、魚の塩焼き作ってくれるかな?」
「わかった!魚の塩焼きだね♪」
そういうと、いづみさんのほうへと走っていく。
・・・・・・・・・・ふぅ。
いつもあわただしくしているせいか、とても静かに感じる。
たまには1人でのんびりするのも良いかもしれない。
カランカラン・・・・・
そんなことを考えたせいか、お客さんが入ってきてしまった。
・・・・・いや、お店にしてみれば良い事なんだけどさ。
とおもったら、入って来たのは沙紀だった。
「席、御一緒して良いかしら?」
「ああ、どうぞ」
こうして、二人で昼飯を食べる事になった。
「沙紀さんは何にする?」
くるみが注文を取りに来る。
「そうねぇ。なにか、パスタ系のものを作ってくれる?」
「了解しました♪」
注文を聞くと、明るく去っていくくるみ。
そんなくるみをボーっと眺めていると、
「今日はずいぶんのんびりとしているのね」
といわれてしまった。
沙紀と軽く話をしているうちに、料理が運ばれてくる。
「へぇ、誠君、そういうのも好きなんだ」
俺の魚の塩焼きを見て、沙紀が言う。
「ああ、たまにはこういうのも悪くないかなって思ってね」
そういうと、クスリと沙紀が微笑む。
・・・・・・こうしてみると、やはり沙紀も可愛い・・・なんて思ったりする。
二人でゆっくりと食事を楽しんでいると、
カランカラン・・・・
またまたお客さんだ。どうせ、俺達に関係した客だろう。
案の定姿をあらわしたのは、遙、優夏、億彦だった。
つまり、いつものメンバーが全員このルナ・ビーチに集まっただけのことだ。
「あー、誠も来てたんだぁ」
「おや?沙紀ちゃんも一緒か」
そんなことをいいながら俺達の隣の席につくみんな。
もちろん他の客など居ない。
くるみが再び注文を取りに来る。
「あ!わたしスープ系がいい〜!!」
「ふむ、じゃぁ、僕も優夏ちゃんと同じものを」
優夏と億彦がそれぞれ注文を頼む。
「遙さんはぁ〜?」
くるみが遙に注文を聞く。
「・・・・私・・・・フナ虫が食べたい・・・・」
ブッ!!
いきなりの発言に、沙紀が吹き出してしまう。
そして、惨劇が始まった。
「あんたねぇ!人が食事してる時になんて事言うのよ!
あんたが何を食べようが関係無いけどねぇ!そういう事は一人の時にしてもらえる!?」
「・・・・だって・・・私・・・・」
「だってもなにもないの!おかげで私の食事が台無しよ!あんた責任とってくれるの!?」
「ま、まあまあ、沙紀ちゃん・・・落ちついて・・・」
「あんたは黙ってて!」
「な、なに!?いくら沙紀ちゃんだって言っていい事と悪い事が・・・」
「私が良いって言うまでしゃべらないで!!」
「・・・・はい・・」
・・・・・・・同じ男として情けないぞ!億彦!!
「ちょっと!どう責任とってくれんの!?」
「沙紀、いい加減にやめたらどうだ?」
「私が良いって言うまでしゃべらないで!」
そういえばしゃべらないとでも思ってるのだろうが、俺は億彦とは違う。
「くるみが怯えてるだろう!!」
「・・・・・えっ!?」
俺のその言葉に、沙紀が正気を取り戻す。
「ご、ごめんなさい、くるみちゃん」
「う、うん、いいけど・・・・」
・・・・・?くるみの様子が変だ。
「どうしたんだ?くるみ」
「う、うん・・・・あの・・・」
くるみが何かを言おうとした瞬間、
バシバシッ!!
沙紀が往復ビンタを食らった!
・・・・攻撃したのは・・・・遙だった。
・・・・・?・・・・・遙?
「・・・・ゥ・・ゥゥゥ・・・」
・・・遙がうなっている。
どうやらくるみが怯えていたのは遙だったらしい。
「UUUUURRRYYYYYYY!!!」
・・・・・遙が奇妙な雄たけびを上げる。
それに対し、いつまでもやられたままで沙紀が終わるはずもない。
「私の顔をぶったわね!?それも2度も!!
親父にもぶたれた事ないのにいいいいぃぃぃ!!!」
・・・・・・もはや訳分からん。
優夏は死んだ様に呆けている。
いづみさんは・・・・・皿を洗っている。
億彦は・・・・気絶している。
くるみは・・・・・・・・・折り紙折ってる。
・・・・・さっきまで怯えてたのに・・・…。
とりあえず、この状況を止めたいと思ってるのは俺だけで、止められるのも俺だけのようだ。
そうおもい、二人を振り返ってみると、
「オゥラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!」
沙紀が物凄いパンチを連打していて、
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!!」
遙がそれに応じている。
・・・・・止められるのか?・・・俺に・・・…。
そんなことを考えながら二人の勝負(?)を見ていると、
不意に遙が
「貴様!!見ているな!?」
などと言いながらこっちに突進してくる!!
「うわわわわわ!?」
俺がパニくっていると、余所見をした遙に対し沙紀が
「いくぜおぃ!!」
と、ドスの聞いた声で叫び、遙を殴り飛ばす!!
「オラァッ!!」
ガシャガシャバリジャラァァン!!!
激しい音と共に、いづみさんの洗っていた皿が粉々に砕け散る。
・・・・・・・・・・俺知らね・・・・・
沙紀と遙の動きが止まる。
今の音で正気に戻り、正確な状況判断が出来るようになったようだ。
スッ・・・・・
いづみさんが無言でルナ・ビーチを出ていく。
「・・・・どうしよう・・・」
「誠君、私達どうしたら・・・・」
遙と沙紀がうろたえている。
・・・しかし、まずは謝らなくてはなにも始まらないだろう。
「とりあえず、いづみさんに謝らなきゃ」
そう言い、3人でいづみさんの後を追う。
店を出ると、いづみさんが少し離れたところでこちらを向き、立っていた。
「ああ、よかった、いづみさん、この二人も別に悪気があったわけじゃ・・・・」
そこまで言い、いづみさんの異変に気づく。
いづみさんの周りをなにか紅いものが取り巻いている。
そして風にのって聞こえてくる声。
「黄昏よりも昏き存在、血の流れより紅き存在・・・・」
・・・・・やばい。とにかくやばい。
俺の中の本能とも言うべきものが危険信号を掻き鳴らしている。
「時の流れに埋もれし偉大なる汝の名において、我闇に誓わん!」
体中の血液が沸騰するように熱い。
心臓がバクバクいっている。
「我等が前に立ち塞がりし、全ての愚かなるものに!」
「沙紀!遙!逃げろオオオオォォォ!!!」
「我と汝が力以て、等しく滅びを与えん事を!!!」
その場を急いで逃げる俺達。
そしていづみさんは最後の言葉を発した。
「竜破斬(ドラグ・スレイブ)!!!」
・・・ィーーーーン・・・・・
紅い光がルナ・ビーチに向かって飛んでいく。
そして、
ズドドォグガガガガアアアアァァァァァァン!!!!
・・・・・ルナ・ビーチと尊い3名の命が散った・・・・・
「・・・うわああぁぁぁ・・・・すっごおおおい!」
「すっごいわねぇぇぇ」
「・…確かに、圧巻だね」
・・・・・?
こいつら、いつの間に脱出したんだろうか?
とりあえず、みんな無事だったようだ。
あまりよくはないが、めでたしめでたし、といったところか?
・・・・・いや、まだ終わっていなかった。
いづみさん1人だけ、暴走したままだ。
そして、いづみさんはまた呪文を唱えていた。
「悪夢の王の一欠けよ
空間の戒め解き放たれし
凍れる黒き虚ろの刃よ!
我が身、我が力となりて
共に滅びの道を歩まん!
神々の魂すらも打ち滅ぼし!!」
そんなまさか!!
いづみさんがこんな魔法まで!?
「神滅斬(ラグナ・ブレード)!!」
「みんな逃げろオオオォォォ!!!」
俺達は思い思いの方向へと逃げていった。
その後ろを、いづみさんが嬉々として追いかけていた事は言うまでもない・・・・。
ああ、俺達の幸せの日々は一体どこに?
ああ、俺達の青春の日々は一体どこに?
熱く、切なくなるような俺達の日々を返せ!!
「あ〜〜っはっはっはっはっは!!」
叫ぶ俺達の後ろで、いつまでもいつまでもいづみさんが笑いつづけていた・・・・・・・・・。
 
 
 
 
 
 
「なんでこ〜〜なるの!!」
 
 
終劇!!







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