infinitySSシリーズ、シリアス編var.1
『沙紀の想い』   
作:メンチカツ様


あの合宿から3年が経った。
あの後から、私は誠君と付き合うようになった。
大学には毎日一緒に行って、一緒にお昼ご飯を食べて、一緒に家に帰った。
・・・・・家は別だけどね♪
毎日が楽しかった。誠君と出合う前、とてもつまらなかった人生がまるで嘘の様で・・・…
「誠君、一緒に帰りましょ!」
「ああ、んじゃぁ帰るか」
「あ!最近あの小物屋さんの近くに新しいお店ができたのよ?誠君、知ってた?」
「へぇ〜、それは知らなかったなぁ。じゃぁ、帰りにでも寄るか?」
「うん!」
・・・・・毎日こんな風にして帰った。
何か話題のお店があれば寄って行ったり、お腹が空いてれば一緒にご飯を食べに行ったりもした。
もちろん休みの日にはデート。
二人っきりで、いろんな所に行った。
・・・・・でも・・・
最近の誠君は、少し冷たい。
別に無視されたりしているわけじゃないけど・・・
例えば、休みの日のデートの約束。
「誠君、今度の休みどぉ?」
「・・・・・悪い、ちょっと用事があってな」
例えば、一緒に帰ろうと誘った時。
「誠君、一緒に帰りましょ?」
「あ、悪い!他の奴と帰る約束してるんだ」
・・・・こんな感じで、もう2週間もたってる。
それで、友達に相談したりもした。
友達の答えはこうだった。
「・・・・う〜ん、沙紀、ちょっと石原君にベッタリしすぎなんじゃないの?石原君と付き合い始めてから毎日石原君と一緒でしょ?
石原君にだって、友達付き合いがあるんだし・・・・」
みんなの言う事にも一理あると思う。
こんな時、自分の性格がうらめしくなる。
誠君といつでも一緒にいたい。
誠君を見つめていたい。
誠君には、私だけを見ていて欲しい。
・・・・・確かに、我が侭かもしれない。
傲慢だといわれても、しかたないとも思う。
でも、それでも誠君は、唯一私の事を分かってくれた人だから、
私の事を信じてくれた人だから!
・・・・・だから、今度は私が誠君を信じるの。
例え、嫌われててもいい。だから、信じさせて・・・…
 
------それから更に2週間後--------
 
ピンポ〜ン♪
「は〜い、ちょっと待っててください!」
一体誰だろう?
そんなことを思いながら、玄関に向かう。
「どちら様ですか?」
玄関のドアを開ける。そこには・・・
「よ!久しぶり!」
「・・・・・誠君!?」
そこには誠君がいた。
会いたくても会えなかったこの2週間。
それは他の人にとってはただの2週間かもしれない。
でも、私にとっては何年も何十年も、いや、永遠にも感じられる時間だった。
「上がってもいいか?」
「え、ええ、もちろん・・・・」
会いたかった誠君に会えて、本当に嬉しい。
それも、誠君から会いに来てくれたんだから。
・・・・・・・でも・・・
「どうしたんだ?やっぱ、上がっちゃまずいのか?」
「ううん、そんなことは無いけど・・・・」
やっぱり不安。誠君が会ってくれなかった理由。
それが分からないから。
それを誠君の口から聞くまでは、この不安は消えない。
いつもの私には戻れない。
「誠君」
「ん?なんだ?」
「最近、・・・・・どうして会ってくれなかったの?」
「・・・・・・え?」
「私心配したのよ?誠君に嫌われたんじゃないかって!ずっとずっと・・・・・・心配してたんだからぁ・・・」
私は、込み上げる感情を抑える事ができず、泣き出してしまった。
「・・・・・ごめん、心配させちまったみたいだな」
「・・・・ヒック・・・ヒック・・・ううん、もういいの」
「え?」
「誠君、私に会いに来てくれたから・・・・」
「・・・・ごめんな、本当に。」
「・・・・でも一つだけ聞かせて欲しいの。なんで私に会ってくれなかったの?なんで私に隠し事してたの?」
どうしても聞きたかった、誠君の理由。
一体なぜ私に会ってくれなかったのか。
「・・・・それは・・・」
「・・・・・それは?」
少し緊張してしまう。とうとう私に会ってくれなかった理由が聞ける。
「・・・・今日って、11月7日だろ?」
「・・・うん、それがどうかしたの?」
「ってことは、お前の・・・・沙紀の誕生日だろ?」
「・・・あ!」
すっかり忘れていた。自分の誕生日を忘れてしまうなんて・・・・。
よほどショックだったんだなと、いまさらながらに思う。
でも、私の誕生日が関係してるのなら・・・・
「もしかして、プレゼントでもあるの?」
「・・・・それを先に言うか・・・」
「あ、ごめんなさい・・・つい、嬉しくて・・・」
しかし、ふと、気になる事があった。
「でも、どうして会ってくれなかったの?別に誕生日のためならそんなことしなくても・・・・」
そこまでいうと、誠君が話に割って入ってきた。
「・・・・バイトしてたんだよ」
「・・・え?プレゼントって、そんなに高価な物なの?」
「ああ!これ買うのに苦労したんだぜ!」
「・・・・・・どういうこと?・・・・」
「・・・・・え?」
「どういう事って聞いてんのよ!
なんで誕生日プレゼントなんかに高価な物をプレゼントするのよ!
それじゃぁ、私に言い寄ってくる他の男共とかわらないじゃない!!」
私は、正直言ってとてもショックだった。
・・・・誠君だけは信じていたのに・・・・
しかし、誠君の答えは、私の想像を超えたところにあった。
「こればっかりはな、手を抜きたくなかったんだよ」
「・・・・どう言う意味よ」
私も少し冷静になって、誠君の話を聞くことにした。
「ほら、これ・・・・」
「・・・・・・え?」
誠君が差し出したのは・・・・・綺麗にラッピングされた、小さな包みだった。
そして、誠君は言った。
「俺達、あの合宿から付き合ってるよな」
「え、ええ・・・・」
「・・・・まぁ、二人して留年何ぞもしちまったけどさ」
「そ、それはいわないでよ!・・・・私の一生の恥だわ!」
「あれからずっと一緒にいるだろ?だから・・・・・」
「・・・・・・だから?」
「俺と結婚してくれ!!」
「・・・・・ええ!?」
え?え?え?ええぇぇーーーー???
い、今誠君が、け、けけけ結婚って・・・・
「ちょっと、そんな、いきなり・・・・」
「いきなりじゃないよ。ずっと考えてたことだ」
「・・・・え?かん・・・がえてた?」
「ああ。あの合宿で沙紀と知り合って、付き合いだして。この3年間で、いろいろな沙紀を発見して」
「・・・・・・・・・・・・・」
「そして、決心したんだ。沙紀と幸せになろうって」
「・・・・・・・・・・・・・」
「沙紀と一緒になりたいって。死ぬまで沙紀を愛そうって!」
「・・・…嬉しい」
誠君が、私に会ってくれなかった理由。結婚指輪を買うため。
とても嬉しかった。わざわざ誕生日に合わせるなんて、昔の誠君じゃ、思いもしなかったでしょうに・・・・
「・・・・・駄目か?・・・沙紀・・・・」
「・・・・・ふふ・・・うふふふふ!」
「・・・・・・沙紀?」
「もう!誠君ったら!いつのまにこんな事する人になったの!?」
私はおかしかった。今まで悩んでいた事が。
とても馬鹿らしく思えた。
「誠君!!」
「お、おい、沙紀!?」
私は嬉しくて、誠君に抱きついてしまった。
「好き好き、だぁ〜〜い好き!!もう一生離さないんだからぁ!!」
 
 
こうして、私達は結婚した。
次に幸せになるのは、誰かしら?
 
 
THIS IS ONLY THE BEGINNING!!
 
終幕






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