『マチョフィニティ』   
作:マイキー

合宿二日目


チュンチュン・・・・・
合宿2日目、爽やかな小鳥の囀りと共に俺は目を覚ました。
窓から差し込んでくる斜め45度の日差しはまさに俺の目覚めを
歓迎しているかのようにも思えた。
 
誠「今日もいい天気だな・・・・さて日課の早朝トレーニングだ!」
 「ウオオオオ!俺の魂が筋肉を動かせと轟き叫ぶぞ〜!」
 
と訳のわからんことをいいながら筋肉の目立つようピッチリのTシャツと
スパッツ(タイツ)を履き、下に降りた。
おっと、もちろんマッチョの美容のための
マッチョオイル「マチョセルモ」は塗っているぞ。
何?誰も聞いてない?
バカ者!これをしなくては真のマッチョではないのだ!
下に降りると遙が待っていた。
これはいつもの事だ。
なんといっても遙は俺のマネージャーだからな。
 
遙「おはよう、誠」
誠「ああ、今日も爽やかな朝のトレーニングの始まりだ」
 
そしてドアのノブをつかんだ時・・・・
 
?「ちょっと待ったー!」
 
と俺の爽やかな朝を汚す大声がした。
振り返ってみると予想通りデリカシーのない坊ちゃまこと億彦がいた。
 
億「師匠頼みがあります」
誠「師匠?はて、何の事だ?貴様のナンパの師匠か?
  それともあの寝言の師匠か?なんにせよここにはいないぞ」
億「石原・・・ふざけるな。君の事だ」
遙「億彦・・・・おかしくなったの?」
誠「どうもそのようだな。まだ寝てるんじゃないのか?」
 
億彦は激怒していた。
やれやれ、これだから短気な坊ちゃまはすぐに頭に血が昇るからいかんな。
 
億「あ〜!だから僕を君の弟子にしてくれー!」
誠「・・・・・クックック・・・」
 
俺は心で大きく笑っていた。(漏れているが・・・)
この貧弱な坊ちゃまの軟弱な肉体を鍛えたくてたまらなかったからだ。
見てくれ、諸君!
このボロ雑巾のような
肉体の華奢リン君(?)を!
ゲームの水着姿からもわかるように奴はヒョロイ!
そして男の称号ともいうべき腹筋が全く割れてない!
これはいかがしたことか・・・・そう!これは男の美が欠落している!
そう見た目はもちろん、なにより魂的に!
クックック・・・・いい機会だ。嫌がっても鍛えなおすつもりだったがね。
血を見せてくれるわ!
 
億「い、石原・・・・大丈夫か?不気味な笑いをしてるが・・・・」
誠「ああ、もちろん正気だ。よし!この合宿が終わる頃には
  腕を1.7倍、腹筋をクッキリ6つに割り、ダイトウ筋を2倍にし
今来ている服がはちきれる程にするぞ!」
遙「そうしたら億彦も「男」になれるね」
億「いやそこまでしなくても・・・・」
  (この肉塊の悪魔から遙ちゃんを救うためにはこうするしか・・・・)
誠「では只今、午前4時半より早朝10キロランニングを行う」
億「何!ま、待て、石原!」
誠「貧弱な弟子のレベルに合わせると思ったか?クックック・・・・
  甘いな。俺は世界を見据えているんだ。お前も世界を見据えろ!」
遙「誠・・・・最高だね」
億「どこが・・・・」
 
ギロリッ・・・・俺は億彦に凍てついた視線を爽やかに微笑みながらおくった。
 
億「いえっ!最高でございます、師匠!」
 
というわけで出来の悪い弟子を加えた早朝トレーニングが始まった。
そして走り始めて5キロ・・・・・もう億彦が死にかけている。
 
億「嗚呼ぁぁぁぁ・・・・太ももがぁぁ・・・さ・・・酸素をぉぉぉォ・・・・・・」
「ゼイゼイゼイゼイゼイ・・・・・・・」
 
貧弱だ・・・・・貧弱すぎる!!
俺は奴の肉体の軟弱さに恐れおののいていた。
坊ちゃまという属性はここまで軟弱だったとは・・・・!
しかし俺の辞書に「情け」という言葉はなかった。
 
誠「なに倒れて休憩してるんだ。まだ半分だぞ」
遙「・・・・・・・」
億「み・・・水・・・・ミ・・ズ・・・・ァァァ・・・ピクピク・・・ピ・・・ピク・・・・」
 
俺はあえて手を貸さない。ここで手を貸したら奴はこれからも一生軟弱坊やのままだ。
マッチョの法則「依存するな。信じるのは我が肉体のみ」に反する。
しかしホントに死にかけだな。そこで俺はここで恵みの雨を奴に与えてやろうと・・・・・
などとは当然思わなかった。
まあここで死んだらそれまでの男だったということだな。
外道だって?とんでもない・・・・俺は奴の望んだ事(?)をしているまでさ。
それでも外道だって?そう、俺は外道さ。(開き直り)
だがこのままでは殺人と?ならあの時の鈴のように海に捨てりゃあいいだろう。
罪は見つかって始めて罪となるのだ。
つまり・・・・・・。(とんでもない人です・・・・・・・)
などと思っている間に自転車に乗っていた遙が億彦の元に駆け寄った。
 
遙「・・・・・・・・」
億「嗚呼嗚呼・・・・・マイ・・・エン・・・ジェ・・・ル・・・遙・・ちゃ・・ん」
 
・・・訳のわからないことをいっている奴はもう魂が抜けようとしている。
貧弱な者とは脆く儚いモノだな。
 
遙「億彦・・・・」
億「ピ・・・ピク・・・ピ・・ク・・・・グフゥゥゥ・・・」
 
遙は俺が行く前につけた億彦の両手両足の2.5キロの重りを外した。
甘いと思いながらも俺は無言で見守った。
 
億「ウウゥゥゥ・・・・ありがとう遙ちゃん・・・・でもまだ立てないんだ
・・・手を・・・・・」
遙「それじゃ、さようなら億彦」
億「え・・・ちょ、ちょっと!助けるような素振りして・・・・!!」
 
元気じゃないか億彦くん。
サボりっていたね・・・・いい度胸だ。
クックック・・・・。
 
遙「私、助ける気なんてなかったよ。
  もうすぐ亡き者になる人から重りを取っといただけ・・・・」
億「!!!!!!!!」
 
ウムムムムム・・・・・遙、さすが俺のマネージャーだな。
というか億彦が危ない。あ、白目むいてピクピクしてる。
顔面蒼白で生気も無くなりそうだ。
と至って冷静に瀕死の坊ちゃまを観察している俺。
 
誠「遙、坊ちゃんに水をぶっかけてくれ」
遙「いいの?ここで死んだらそれまでなんじゃなかったの?」
誠「奴にはもっと苦しんでもらわないといかんさ」
遙「なるほど、そうだね」
 
と黒い(?)会話をする俺達。(ホントに黒い・・・)
だが坊ちゃんはおかげで一命を取り留めた。
 
?「ウフフフフフフフ♪」
 
ビクウゥゥゥゥゥゥ!!
いつか聞いたそのドス黒すぎる笑い声に俺達の背筋は凍りかけた。
誰だ?・・・・・いや見当はついているが・・・・・。
 
い「見たわよ〜♪億彦君を殺しかけてたわね〜」
 
案の定、ニコニコと場に不釣合いな笑顔浮かべるいづみさんが
漆黒の黒き不気味な雰囲気を漂わせ立っていた。
そう、これは危険信号といっても良いだろう。
 
誠「いえ、とんでもないですよ」
い「そして今後もっと苦しめようと、今は生かしておいたんでしょ〜」
誠「今はって・・・・・」
 
図星だ・・・・つくづく恐ろしい人だ。
 
い「殺してたら訴えてあげようかと思ってたけど、まあ
  続きも気になるし見逃してあげるわ」
 
とやはりニコニコしていういづみさん。
狂悪なその雰囲気に俺はあの鈴を始めてみたとき異常の恐怖を感じていたかもしれない。
そう、俺はこの人だけは怖いんです。
 
遙「ところでこんなトコでどうしたの?」
 
相変わらずポーカーフェイスの遙。
俺は動揺しない遙を心の底から賞賛した。
 
い「私はね・・・・あなた達と違って完全犯罪を犯せるよう
暗殺術の稽古をしていたのよ〜」
 「もちろん指紋なんか残さないし400メートル先でもこの食事用ナイフが
  相手の喉を「ドスッ♪」と100発100中えぐるの♪すごいでしょ〜♪」
 「そしてあの時の「ドスッ♪」という音といったらたまらないわ〜」
 
・・・・・・この人の機嫌は損なわないどこう。
いくら俺でも殺される・・・・・。
しかし遠距離からとは卑怯だぞ、いづみさん!
男なら正面対決だろ!
あ・・・・男じゃない・・・・・・・・・
けどこの人は天使(女神)の笑顔をした悪魔だ。
これは確実だ。
 
誠「素晴らしいですね。いづみさん。けど遠距離からは卑怯だ!」
い「卑怯?最高の褒め言葉ね。これからももっと言われるようがんばるわ」
 
そうきたか・・・・・さすが大物!
 
?「聞きましたよ。いづみさん」
 
なんとそこには沙紀がいた。
むむむ・・・・いつの間に・・・・。
だが核が違うのは歴然・・・・。
まあご本人はそれすら気付いてないでしょうがね。
その時、俺は画期的なアイディアが浮かんだ。
沙紀を敵に回し、いづみさんと結託する・・・・うむ、これしかない!
 
沙「今の話から判断すると、いづみさん。あなたは人を殺してますね?
それも大勢!そして誠くんもその可能性がありうる」
誠「いづみさんはともかくなにを証拠に言っているんだね、沙紀くん?」
 
なんという時の運・・・・これは俺の望む展開になろうとしている。
ありがとう、沙紀。俺は君という鈍感なクソお嬢様を忘れないだろう。
 
沙「あなたの億彦くんへの対応から容易に想像がつくわ」
い「あら?私は練習でやっているだけよ。
  父からもらったある実験台でね」
 
・・・ある実験台?・・・・いや考えないどこう。
これ以上は危険(?)だ。それはデッドラインに足を踏み入れることになりかねない。
だがこの人ならやりかねんな・・・・。
 
沙「とにかくあなた達のようなドス黒いケダモノの考えをした人間が
いてはこの世に安息はないわ!よって死んでもらうわ!」
誠「おやおや、証拠もなく殺しにかかるか?
  クックック・・・・・返り討ちにしてやるわ!」
い「ウフフフフフ♪
あなたが〇〇〇人目の犠牲者(?)よ」
遙「自白したね・・・・」
沙「いきなさい。GOチャッピー!」
 
全ては俺の目論み通りだ。策士は戦に負けぬものだ。
迫り来るのはワンちゃん一匹のみ。
ワンちゃん一匹でなにができるのですかね、朝倉さん。
俺は肩の力を抜き軽く構えその後男の肉鉄塊を烈火の速度で
嵐の乱舞をワンちゃんに叩き込んだ。
アブマッスル秘儀「肉鉄塊嘗打乱舞」(にくてっかいしょうだらんぶ)
 
誠「ドラドラドラドラドラドラドラ!!!」
 
ビシッガスッゲシッゴキッメキッボキッ・・・・!
 
チ「キャンキャンキャンキャンキャン・・・・・・!!!」
誠「ドラー!!」
チ「キャイーーン!!!!」
 
最後の裏拳でチャッピーは40メートルぶっ飛んだ。
クックック・・・・哀れなワンちゃんよ。
しかし何故か硬かったような・・・・
と思っていたら50メートル先のチャッピーが炎上し、そして爆発した。
 
沙「チャッピー!よくもあなた達チャッピーを・・・!」
遙「ロボットだったんだ・・・」(また・・・・・たな〜・・・)←好きな言葉をどうぞ
い「そうみたいね。ボロッチかったわね〜」
い「まあマスターがアレだからムシケラなのも納得いくけど」
誠「クックック・・・・雑魚では相手になるまい・・・さあどうする?」
沙「ううううううう・・・・・・」
?「誠―!」
?「お兄ちゃーん!お姉ちゃーん!」(ああぁ〜、またやってるぅ〜)
 
声の方を振り返ると優夏とくるみが走ってきた。
 
く(お姉ちゃん・・・もうやらないって言ったでしょ!)
い(ウフフフ♪・・・ごめんね、つい・・・)
 
俺にはその会話が断片ながらも聞こえていた。
想像は容易についた。
 
誠「どうしたんだ?」
優「大変よ、誠!」
誠「だからなにが?」
く「近日中にインフィニティシリーズの新作のEver17が発売しちゃうんだよー!」
億「落ち着いてくるみちゃん。
この爽やか好青年な飯田億彦こと僕に詳しく教えてくれないかい」
 
どっからか億彦が沸いて出てきた。
 
誠「貴様どこから沸いて出た?!」
億「細かいことを気にしちゃあいけないさ。
敢えて言うならこれもレイディジェニィのNTドリンクのおかげかな」
 
俺には奴の言葉が理解できなかった。
どうやらいってしまったようだ。
 
く「だーかーらー、最近でさえくるみ達BBSでさえ名前すらほとんど出ないのに
  新作なんか出たらファンに忘れ去られちゃうじゃないのー!」
一同「なにいぃぃぃぃぃぃ!!」(遙除く)
 
こうしてロッジで緊急会議が開かれた。
一同はそれぞれの物思いにふけ黙りこんでいる。
 
誠「では緊急会議を始める」
 「まず全員の意見を聞こう」
優「ウゥゥゥ・・・・私メインヒロインだったのに
最後まで人気なく終わるのね・・・ウウゥ・・・・・・」
誠「おい・・・」
優「うるさいわね!どうせ私はただの酔っ払いよ!」
 「今回だってほとんど出番ないし・・・ウウゥ・・・ヒドイィィィ・・・・
  くそー!今日は飲んでやるー!」
 
と酒を飲みまくる優夏。もう止まりそうにないな。
 
遙・い「私は人気あったけどね」
優「うるしゃい!」
く「はあ〜今作のくるみに似ているキャラのココちゃん
はなんで封印シナリオなんだろう?空さんとばっかり思ってたのに・・・
ハゥゥ・・・・これって不平等ってモンでしょ!」
く「こんなんならN7の時もくるみのシナリオを封印シナリオにしてくれたら
よかったのにー!だいたいくるみの赤ん坊の時の神社での謎解けてないし!」
億「確かに謎のまんまだね。いろんな説は出てるんだけど」
 
億「クウゥゥ・・・僕だって今作の設定なら祝・主人公だったのに・・・・そして僕視点でプレイヤーは僕のオックマンの世界を更に知ることができたであろうに・・・・・」
 「それに何故なんだ・・・くそ・・・なんかやられてばっかりで哀れな役だったし
・・・それに今作は僕のような面白い寝言がなさそうだからギャグの精度に
欠けるのでは・・・」
沙「私なんか優夏よりもっと人気なかったし・・・挙句の果てには
私だけ誠君とのキスシーンないし!これは明らかに差別だわ!」
「今作の私に似た感じの沙羅ちゃんにはがんばって欲しいわね・・・
 とにかく人気最下位だけは避けて!!」
遙「私に似た感じらしいつぐみって私を攻撃的にした感じって言うけど別に似てる気あんまりしないな〜。似てるのは単独行動が多いのと協調性がないとこぐらいだし・・・・シナリオは私のほうが上になると思うな〜」
誠「今回の主人公はサブキャラ出演もあるおかげでサブキャラ時は
  声もあるし姿もプレイヤーにわかるんだな・・・・・くそっ!
  俺の美声と普通であろう姿をプレイヤーに拝んでもらいたかったのに!」
億「今の姿を見たいという人はそうそういないだろうね。あと美声じゃないぞ」
誠「なに!今の姿が最高なんだろう!見よ、この肉体美を!
これを芸術といわんでなんという!この男の・・・・・・」
 
沙「はいはい。話からそれてるわよ。 
それにこんな汚らわしい肉の塊、永遠に見たくないわ」
誠「なにぃぃぃぃ!キッスヮマ―!!」(貴っ様―!!)」
い「どうやらみんな不満たらたらのようね」
誠「いづみさんはないんですか?」
い「う〜ん本編(?)の私に似た感じらしい空さんは
私のように黒くなれそうにないわね〜。」
誠「いや・・・関係ないですよ」
い「あと一学者としてもこの壮大かつミステリアスなシナリオに興味があるわね」
誠「一番危険人物なのに一番大人な意見ですね」
い「そこが私の魅力(?)よ」
く「けど嫌だな〜。E17のせいで私達が忘れ去られるのは・・・
メモ〇フは前作のキャラも2ndのキャラに負けないくらい人気あるのに〜」
い「あら、くるみ。E17のキャラが妬ましい?」
く「え?う〜ん、妬ましいっていうわけじゃないけど
それでくるみ達が忘れ去られるのは・・・」
い「ウフフフフフフ♪」
 
ゾクッ・・・・・またこの人の目が怪しく輝き始めたぞ・・・・。
 
い「ならね・・・・今からE17のキャラを殺しに行きましょう♪」
一同「ナニイィィィィィィィ!!」(遙除く)
誠「けど現実の世界で売られるんですからそれは不可能でしょう」
 「彼らも俺達もゲームのキャラなんですから互いに干渉は不可能ですよ。
  というか売られなかったら作者を含めファンの方々が大いに怒りますよ」
い「このSSの中なら可能よ。
さあ行くわよ、いざLeMUへ!」
遙「けどN7の世界は2019年・・・・E17の世界は2017年・・・・
  もうここでは過ぎたことだからLeMUにいってもE17のキャラはいないよ。
  ていうかLeMU自体ないんじゃないのかな」
い「・・・・たしかに・・・」
 「こうなったらみんな、キュレイシンドローム第三の法則を思い出して!」
「強固な思念が新たな現実を生み出す」。そう!「妄想が新たな現実を生み出す」のよ!」「さあ妄想するのよ!2017年のLEMUに
タイムスリップしてE17のキャラを抹殺している自分自身を!!」
 
それから先のことはよく覚えてない・・・・俺達は2017年のLeMUに行けたのか、
それとも神はこの愚かな俺達に制裁なる罰を与えたのか、それとも・・・・
 
漆黒の何も見えぬ暗闇の中、俺は意識を失った。
 

<補足>
これはEver17が発売する前に書いたSSです。
それにより皆さんがおかしいと思うことや不服な点も
があると思いますが発売前に書いたということで
大目に見て細かい追求はしないでください。
あくまでこれは「ブラックユーモア」というジャンルのギャグですので。
 

END






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