「え?明日は一日中、外出してていいんですか?」
明日は風もなくて、いいお天気みたいだからね。
もちろん、無理は厳禁だよ?
「絵を描くぐらいなら、いいですよね?」
ああ、でも、身体は冷やさないように気をつけなさい。
それから、夕方は早めに帰ってくること。
「は〜い、わかりました〜♪」


「先生・・・・・よろしかったんですか?」
ああ・・・よろしかったのさ。
あの子の体は、あの子が一番良くわかっているからな。
「で、でも・・・」
久しぶりの外出だ。無理はするかもしれん。・・・いや、無理はするんだろうな。
「なら、やっぱり外出は・・・」
構わんよ。無理しても・・・それでもいいんだ。
薬で押さえ込めば良いだけだからな。
「先生!!!」
あの子の病気の前に我々は無力だ。軽い薬で様子をみるか、重い薬で押さえ込むか。
いずれにしろ、私達に出来ることは、たったそれだけだ。
「・・・・・先生・・・」
後は、見つかるはずもないドナーが現れるのを、ただ待つだけ。
そんな我々が、どうしてあの子にでかい口が利ける?
「・・・・・・・・・・」
なら、せめて、あの子に決めさせてやればいい。
少しでも長生きしたいのなら、大人しくしているだろうさ。
さっきも言ったが、あの子は自分の身体を良くわかっている。
「・・・・・・・・・・」
・・・・・・・なぁ?
「はい?」
自由のない飼い犬と・・・自由のある野良犬と・・・
本人にとっては、
どっちが、幸せなんだろうな・・・
「・・・・・・・・・・」



Memories Off Nightmare
第十一章「迷いと、惑いと、まどろみと・・・」
 Produced By コスモス



穏やかな風が吹き抜けてゆくこの場所に、穏やかな朝の陽射しが降り注ぐ。
もうここに、冬の名残は感じられない。

私は、ここで生まれ、ここで育ち、ここを見守ってきた。

私は、ここで風を受けては、この身を踊らせてきた。
大いなる風の恵みに、吹かれるままにこの身を任せてきた・・・

私は、ここで雨を受けては、この身をはぐくんできた。
大いなる大地の恵みに、慈しまれるままにこの身を任せてきた・・・

私は、ここで陽光を受けては、この身を輝かせてきた。
大いなる太陽の恵みに、祝福されるままにこの身を任せてきた・・・

私は、ここで生まれ、ここで育ち、ここを見守り、いつの頃からか、『神なる木』と、人間達に呼ばれるようになった。

そして、私は今日も見守る。
黙したまま、この場所を・・・


ここは、この街で最も空に近い場所。
この大地の鎖から解き放たれし者達の、かつての存在の証が立ち並ぶ場所。
この大地にいまだ繋ぎ止められし者達の、想い出の証が立ち並ぶ場所。
死者の眠るこの場所にも、わけ隔てなく季節は巡り、春が訪れていた・・・
「お久しぶりです。智也さん」
とある墓石の前に、1人の少女が腰をかがめてにこやかに話しかけている。
少女の笑顔は、少女の頬をなでる風のように柔らかく暖かなものだった。
墓石の下に眠る人間もまた、少女にとってはこの風のような存在だったのだろう。
墓石に語りかける少女には、悲しみではなく、懐かしさと喜びが満ちあふれていた。
少女は、楽しそうに、嬉しそうに、にこやかに、何やかやと話しかけている。
少女には、墓石にもたれかかって座る、誰かの姿が見えているのかもしれない。
盆正月でもないこの時期に、しかもこんな朝早くに、たった1人で訪れているのだ。
この笑顔溢れる少女の内にも、大きな哀しみが隠されているのは間違いないのだろう。
それでも、この少女は、笑っている。
穏やかで、暖かで・・・そんな、最高の笑顔を少女は浮かべている。
この少女は、自らに訪れた哀しみを、大切な想い出として、忘れてはならない記憶として、自ら整理をつけ、そして今日を生きているのだろう。
哀しみを、乗り越えることが出来たのだろう。
でなければ、こんな笑顔をできるはずがない・・・
小鳥達のさえずりに紛れて、心強き少女の語りかけは続いていた。
「それじゃあ、智也さん。みなもはもう行きますね?」
だが、それももう終わりのようだ。
少女は立ち上がり、最後に軽く右手を振ってから、笑顔と共に立ち去っていった・・・
少女がいなくなると、あたりは急に静かになってしまった。
あんなに賑やかだった小鳥達も、どこか張り合いがなくなってしまったかのように見えてしまう。
そして、穏やかな風と陽射しだけが、変わることなくこの場を満たし続けていた。
やがて、西に長く伸びていた私の影が、西と北の間を指し、影の長さもだいたい半分くらいになってきた頃に、静けさと穏やかに満ちたこの場所へ、本日2人目のお客様がやってきた・・・

「おはよう、智也」
現れたのは、つぶらな瞳がどことなく猫を連想させるような少女だった。
「もう、すっかりあったかくなったね・・・」
少女は、先程訪れた少女と同じ墓碑の前で、少女がそうしたように腰をかがめた。
そして、ここを訪れる人間が皆そうするように、この少女も墓石に向かって手をあわせる。
しばしの沈黙の後、少女はその目を開く。
だが、その墓石に向けられた表情は、先程の少女のそれとはずいぶんと違ったものであった。
「ねぇ、智也・・・?」
少女の顔に浮かぶのは、憂いと・・・迷い。
「今坂さん、ずいぶん元気になってくれたよ。
学校にも来てくれるし、いつも、ただ笑ってくれてる。
もちろん、まだつらそうな時もあるけど、もう唯笑ちゃんは大丈夫だと思う。
智也のいないこの世界でも、笑って生きていけると思う」
そこまで話して、少女ははじめて微笑みを浮かべる。
「でも、智也はいっつも今坂さんを見てるんだから、そんなことはもう知ってるかな?」
少女の微笑みは、悪戯っぽく、そして、
儚かった・・・
「・・・・・・・」
そこまで話すと、少女はいったん言葉を切って、墓碑を見つめた。
沈黙を守る少女の頬と、その短かく柔らかな髪を、かすかな春風がなでてゆく。
その春風に溶けて消えてしまったのだろうか?
気づけば、少女の顔から微笑みは消えていた。
やがて、少女が再び話しだす。
「ねぇ、智也?
智也は、今坂さんのことを、
今坂さんのことだけを・・・見守ってたのかな?
・・・ごめん。
なんか私、やな言い方してるよね。
でも、そうじゃないよね?今坂さんのことも見守ってるけど、私達のことも、見守ってくれてるよね?
ねぇ、智也は知ってる?この前私が、稲穂君と公園で会ってたのを。
私、あの時はじめて稲穂君と話したよ。ホントの稲穂君と。
それで、智也のこと、桧月さんのこと、それから・・・
稲穂君のこと。
はじめて知ったよ。
全部、ぜ〜〜んぜん知らなかったことばっかりだった。
何1つ、分かってなんかいなかったんだね、私。
あれだけ何にも知らなかったんだもん、そりゃ、空回りもしちゃうよね・・・」
いったん消えてしまった少女の微笑みが、いつの間にか、その顔に戻っていた。
ただ、その微笑みには、自嘲という名の彩りがそえられてはいたけれど・・・
言葉を切った少女が、わずかな沈黙と共に、潤んだ瞳を上に向ける。
少女の視線は、私の身体を通り越して、もっと高くに、もっと遠くに向けられていた。
その少女の大きな瞳には、青い空と、その中をゆっくり流れていく白い雲達が映しだされていた。
ひょっとすると少女は、その青い海原で鯨達と戯れている、遥かなる高みへと旅立ってしまった大切だった誰かの姿を、そこに求めたのかもしれない。
少女は、しばらくの間、そうしてぼんやりと大空を見つめていた。
やがて少女は視線を戻し、ゆっくりと独白を再開する。
「ねぇ、智也?
智也は、稲穂君のこと・・・
恨んだりなんか、してないよね?
確かに、智也を最後に一押ししたのは稲穂君かもしれないけど、だからって、恨んだりなんか、してないよね?
だってそうじゃないと・・・あんまりだよ。
桧月さんのことも、智也のことも、全部独りで抱え込んで、自分だけを責めて、独りでボロボロになって・・・
それでも、あんなに強がってる。
あれじゃあ、稲穂君がかわいそうだよ。
かわいそすぎるよ・・・
あの時、私、何も知らなかったから、どうしても、全部を知りたかったから。
だから、すごい酷いことをしちゃったけど・・・
でも、あれで私にも全部わかった。
だから、あの時、稲穂君を抱きしめたの。
それで、大丈夫って、言ってあげた。
あの時の稲穂君、震えてた。
稲穂君の心が、泣いてた。
苦しくって、哀しくって、寂しいんだと思う。
だから、そばにいてあげたいって、ううん、そばにいたいって・・・そう思った。
ねぇ、智也?
私、稲穂君のことが好きになっちゃったのかな?
前に稲穂君に言われたの。
私は智也のことが好きだったって・・・
あの時は自分でも良くわからなかったけど、たぶんその通りだったんだと思う。
でも、智也には今坂さんがいたから、無意識に自分の気持ちをごまかしてたんだと思う。
また・・・壊れるのが恐かったし・・・ね。
・・・・・・・・・・
・・・けど、結局、智也はいなくなっちゃった。
だから、もうホントのところはわかんない。
でも、もし本当に智也のことを好きだったんだとしたら。
やっぱり今の私は、稲穂君のことが好きなのかな?
前、智也に思ったぐらい、ひょっとするとあの時以上かもしれないけど。
私、稲穂君のことを大切な仲間だと思ってる。
稲穂君の隣に立っていたいと思ってる。
やっぱり、私・・・稲穂君のことが好きなのかな?
好きっていう自分の気持ちを、ごまかしちゃってるのかな?
私、稲穂君を信頼してるの?それとも・・・恋・・してるの?
わかんないよ・・・私・・
私・・・恋、しちゃってるのかな・・・?
もう恋なんて・・・したくないのに・・・」
少女の憂いと迷いに満ちた声が、ただ日溜まりの中へと流れ去ってゆく・・・
少女は、いまだ悲しみに捕らわれていた。
その内に秘めた、大きすぎる哀しみを、いまだ想い出に変えることが出来ずにいた。
それは、少女の弱さのせいなのだろうか?
それとも、少女にとって、少女の周囲にとって、失われてしまった存在が、あまりに大きすぎたのだろうか?
そして、少女は、新たな問題にも直面しているようだった。
自分で自分の想いが、わからなくなってしまったようだった。
少女の抱きたい想いと、抱きたくない想い、そして抱いてしまった想い、それらが複雑に絡み合い、暗く奥深い迷宮の奥底へと少女はいざなわれようとしている。
少女は、この哀しみを、新たなる問題を、どのように乗り越えてゆくのだろうか?
それとも、乗り越えられないまま、時を過ごしてゆくのだろうか?
私にそれを知る術はない。
私にできるのは、ただ一つ。
見守ること。ただ、それだけ・・・




我輩は、猫である。
名前はぴょん吉。
ウサギみたいと言うなかれ。
母上様より受け継ぎし、
由緒正しきこの尊名。
侮辱せし者許すまじ。


うにゅ〜〜〜〜、ねむねむぅ〜〜〜
今日は、お日様ポッカポカニャ♪
我輩、こんな日はもう眠くて眠くて困っちゃうニャ・・・
ふわぁ〜〜〜
なんだか最近すんごく暖かくなったのニャ。
これが、かあちゃんの言ってた夏って奴なのかニャ?
でも、夏っていうのの前に、まだなんかあったようニャ・・・
ええと・・・さる?
ウッキィ〜〜♪って全然違うニャ。
じゃあ・・・るる?
って、それはご主人が飲んでた風邪薬ニャッ!!
う〜〜ん・・・ひる?
池とか川では気をつけましょう♪って、それは蛭ニャ〜〜〜〜!!

うみゅみゅみゅみゅ〜〜〜
なかなかに手ごわいニャ・・・
まぁいいニャ。
うちに帰ってから、かあちゃんに聞くニャ。
ええと、今日のスケジュールはどうなってるのかニャっと?
1起床
2二度寝
3朝ご飯
4昼寝
5シエスタ
6午睡
7夕ご飯
8就寝
え〜〜と?さっきまで昼寝をしてたのニャ・・・
じゃあ、今度は格調高く、シエスタニャ?
ふぅ、規則正しい生活も楽じゃないニャ、やれやれニャ〜〜
それでは、この我輩に相応しいベストシエスタポジションを探すニャ〜〜
にゅ〜〜〜〜
にゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
にゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
にゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
うにゅっ!? にゅにゅにゅにゅにゅ〜〜〜〜!!!!!
ビンゴニャ〜〜〜〜!!!
本日の我輩のシエスタポジションは、あの文化系ロリロリ美少女の膝に決定ニャ!!
さぁ、イカした太ももにGOGOGOニャ〜〜!!
さぁ!!ナイス美少女よ!!我輩の甘美な歌声に酔いしれるニャ、そしてその麗しの太ももを我輩に差し出すが良いニャ!!
喰らえ、必殺☆ハートブレイクボイス!!
「にゃぁ〜〜〜〜〜♪ うにゃぁ〜〜〜〜♪ にゃぉ〜〜〜〜〜〜ん♪」
「わ〜〜〜、猫ちゃんだ〜〜〜♪かっわいい〜〜♪」
フッ、かかったニャ!!
今がチャンスニャア!!!!
(タッタッタッタッタッ、シュタッ!!!)
「キャ!?」
第一関門突破ニャ!!
「え?え?猫ちゃんどうしたの?みなもの膝なんかに来てどうするのぉ〜〜?」
ここが勝負どころニャアアアアアアアアアア!!!!
我輩はぁぁああ、負けるわけにはいかんのニャアアアアアアアアアアアアアアア!!!
いざ、尋常に、勝負ニャア!!
「キャ!!猫ちゃんくすぐったいったらぁ〜〜♪」
いけるニャ!!だめ押しニャ!!!
ここで母性本能を微妙にくすぐりつつ、懐に入り込むニャ!!
「やん♪ね、猫ちゃん、そんなところまでなめちゃダメだって〜〜♪」
イケテル太ももゲットニャ〜〜♪
「あ〜〜〜、猫ちゃん、こんなところで寝ちゃダメだよぉ〜〜」
フッ!!もう遅いニャ!!貴様の負けニャ!!!
「あ〜〜〜ん、こんなところで寝られちゃったら、みなも絵が描けないじゃな〜〜い。
も〜〜、しょうがない猫ちゃんだなぁ〜〜
あ〜〜、でも可愛いいよぉ〜〜〜♪
みなも、なでなでしちゃおうっと♪」
フッ、この美少女もすっかり我輩の虜ニャ♪
我ながら、罪つくりな猫ニャ〜〜
でばでば、寝床も確保できたところで、お休みなさいニャ〜〜〜
ぐぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ニャ。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・
サッ、サ〜〜〜ッ、サッサッ、サ〜〜〜ッサッ・・・
(な、なんか聞こえるニャ、何の音ニャ?)
ササッ、サ〜〜〜〜〜ッ、サッサッ、ササササ〜〜〜〜〜ッ・・・
(嫌な音ではニャいけども・・・気になるニャ〜〜)
(ちょっと見てみるニャ〜〜)
「あ?猫ちゃん、起こしちゃった?」
うん、起こされたニャ・・・
「猫ちゃん、ごめんね? でも、みなも、普段は外で絵を描けないから・・・
描ける時には描いておきたいの。だから・・・猫ちゃん、ごめんね?」
うにゅ〜、なにやらわけありチックな様子ニャから、まぁいいニャ・・・
ふわぁ〜〜〜〜〜
「ふふっ、やっぱり猫ちゃん眠そうだね♪」
ニャにを言うニャ、誰のせいだと思ってるニャ。
「ねぇ、猫ちゃん?みなもの絵。猫ちゃんはどう思う?ちゃんと上手く描けてるかな?」
絵ニャ? この紙のことかニャ?
どれどれニャ〜?
上の方が青と白ニャ。
真ん中辺は、ちょっと濃い青と、糸みたいな白い線ニャ〜
下の方は、なんだか硬そうニャ灰色ニャ。
上の方のは・・・なんだか暖かそうなちょっとぼやけた青ニャ〜。白はほわほわしてて、眠くなりそうニャ・・・
これは・・・空ニャ?
とゆ〜ことは?
この冷たそうニャ濃い青はおっきな池かニャ?それでこの白い線は、池が揺れる時の模様ニャ?
で、最後は・・・
ああ、これはここのこちこち床ニャ!
な〜〜んニャ。
こんなもの、ここの風景と全く同じじゃないニャ〜〜
確か、海辺の公園だったかニャ?
前にご主人がそう呼んでた気がするニャ。
こんなのを描いてどうするニャ?我輩には理解不能ニャ。
つまらんのニャ。つまらなくって、あくびが出るニャ〜〜
ふわぁ〜〜〜〜〜♪
「むぅ〜〜〜、猫ちゃん?みなもの絵、ちゃんと見てくれてる?」
見たニャ。見た上で判断したニャ。
太ももはナイスニャ。けど絵はダメニャ。センスないニャ。才能なき者は早めにあきらめるが吉ニャ。
猫まっし〇らの缶詰の絵の足元にも及ばんニャ。
これなら、まだワン公用ペティグ〇ー・チャムの絵の方がまだそそるニャ。
「むぅ〜〜、なんだか、猫ちゃんにバカにされてる気がする・・・」
む?機嫌を損ねるのはまずいニャ。厄介なことになる前に手を打っておくべきかニャ?
「あれ?あの人、確か・・・稲穂・・先輩?」
うニャ?気が逸れたみたいニャ。ラッキーニャ♪
ところで・・・稲穂ニャ?どっかで聞いたことがあるようニャ、ニャいようニャ・・・
「なんか・・・深刻そう・・」
人間のことニャ、どうせくだらないことで悩んでるに違いニャいニャ〜〜
「あ、何か言ってるみたい・・・」
うにゅ?何かって・・・あ、そうだったニャ。人間は耳が遠いんだったニャ。
なんとも不便な種族ニャ〜〜。
仕方がないニャ。ここは我輩が代わって聞いてやるニャ。
うみゅうみゅ、我輩、なんて立派なジェントルマンニャ。
我ながら、ほれぼれとしてしまうニャ〜〜
さてさて、あの人間のオスはニャにを言ってるのかニャ〜〜?
・・・・・・・
・・・
「・・・なんで、俺は・・・
あんなこと・・許されるはずがないのに。
俺は、もっと苦しまなきゃいけないのに・・・
もっともっと・・・苦しんで・・
苦しみ続けなきゃいけないのに・・・」
はぁ?何を言ってるニャ?あの人間のオスは?
いわゆる、マゾっていうヤツかニャ?
人間のいかれた趣味は理解できんニャ〜〜
「どんなに苦しんだって・・・
俺のやっちまったことは、絶対に許されることじゃないのに。
なのに・・・あの時俺は逃げちまった。
音羽さんの優しさに、すがりついちまった・・・
音羽さんに、逃げこんじまった・・・
どうしてだ?どうして、俺はあの時・・・?
俺に他人を巻き込む資格なんて・・・心を開く資格なんて・・・
あるはずがないって・・
そんなこと、わかってたのに・・・わかりきったことだったのに・・・
なのに、俺は・・・」
みゅう〜〜。なんだか戸惑ってるみたいニャ〜〜
でも、戸惑いたいのはこっちの方なんだニャ。
さっぱり意味不明ニャ!!
「くそ・・・すまない・・・
すまない・・・智也・・
許してくれ、なんて言わないけど・・・ほんとに・・すまない・・・」
智也ニャ・・・?
なんで、あやつがご主人の名を・・・?
うみゅ〜〜〜、良くわからんニャ〜。全く持ってミステリーニャ〜〜
まぁ、いいニャ。
そんなことはどうでもいいことニャ。
それじゃあ、シエスタの続きに戻るニャ〜〜
お休みニャ〜〜〜〜♪
ぐぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ニャ。
(そう言えば・・・)
(ご主人、最近・・・帰ってこニャいけども・・・)
(あのオス・・・ご主人どこにいるか・・・知らニャいかニャ・・・)
(ご主人・・・たまには・・ぴょん吉とも・・・遊んで・・ニャ・・・・・)
(母・・ちゃんも・・・会いたが・・・てる・・ニャ・・・)
(・・・・・・・・・・)




「え〜〜〜〜っと、唯笑ちゃんはどこかな・・・?」
お久しぶりです〜〜 みなもですよ〜〜〜♪
短い春休みも今日でおしまいです。
明日から、みなもも上級生の仲間入りです。
今日は久しぶりに外出許可をもらいました。
みなもは、身体が丈夫ではないので・・・あまり外出はできません。
ホントは、今日も外出を許可してもらえるほどは、調子よくなかったです。
でも、病院で大人しくしてたからって・・・みなもの病気は治るわけじゃないんです。
みなもの病気は、簡単には・・・治らないんです。
だからだと思います。先生も、みなもが本当に外出したいなぁ〜〜って思う時は、だいたい許可を出してくれるんです。
今日は、本当に楽しい日です。
朝、彩花ちゃんとも、久しぶりにお話ししました。
それから、海辺の公園の展望台で、絵を描きました。
かわいい猫ちゃんとも会いました。
2人で一緒にお昼ご飯も食べました。
猫ちゃんも、きゅうちゃんを気に入ってくれたみたいでした。
それから午後からは、今からは・・・唯笑ちゃんと買い物をする約束をしてるんです。
それで、今、待ち合わせ場所の、海辺の公園の噴水前にみなもは来ています。
同じ公園の展望台で絵を描いたので、来ている、というのはちょっと変かもしれませんけど。
ともかくそういうわけで、今、唯笑ちゃんを探しているわけなんです。
なんですが・・・
「ぐ〜〜〜〜〜〜〜」
どうも唯笑ちゃん、みなもを待ってる間に寝ちゃったみたいなんです。
でも、みなも、時間ピッタリに来たんだけどな〜〜
「・・・にゅふ、にゅふっふふ〜〜〜♪」
唯笑ちゃん、いつから来てたんだろう?
みなも、もうちょっと早く来れば良かったのかな?
「・・・うん・・・・・わかってるよ〜〜・・・」
唯笑ちゃん気持ちよさそう♪
どんな夢、みてるのかな?
「・・・いつだって・・・一緒だよ・・・・・」
え?
「・・・一緒だよね・・智ちゃん・・・」
・・・・・唯笑ちゃん・・・

唯笑ちゃんの頬を、一筋の涙が伝っていきました。
みなもは、それを拭いてあげることもできませんでした。
ただ、唯笑ちゃんの目覚めを、待っていることしかできませんでした。
・・・もう、本当にいなくなっちゃったんですね。
本当に、逝っちゃったんですね。
・・・智也さん・・・


>>十二章へ



あとがき

 皆さん、こんにちは〜〜〜。第11章「迷いと、惑いと、まどろみと・・・」いかがだったでしょうか?本章の特徴としては、視点のめまぐるしい交代が上げられます。以前に、視点をある程度まとめてみたら?というアドバイスを受けたことがあるのですが、今回は、そのアドバイスを下に逆の発想でいってみました。これまで話に全く絡んでいない第3者という共通項で選ばれた、全くタイプの違う三者三様の視点。(誰が誰だったかは、あえて言いませんが、2番目のぴょん吉の正体についてはぜひぜひ看破して頂きたいところですね♪)これはなかなかに珍しく面白い手法ではないかと思います。ただ、その分難しい部分もあり、テクに走って中身がお粗末、なんて本末転倒なことになってないかがかなりに心配です。正直、第3視点の部分は、自分でも、ちょっと・・・ってところがあったりなかったり・・・(苦笑)あ、あと、もう一つのポイント(?)としては、ついに登場したみなもちゃんがあげられますね。これで、一応、メモオフ主要キャラは全員登場させることができました。なんやかんやで、とりあえず全員登場させることができてホッと一安心です。まぁ、「主要でない」キャラが若干残っている気もしますが、まぁ、主要ではないキャラなのでどうでもいいでしょう。(苦笑)
続いて全体についてですが、この章自体が次章以降の第3部(?)新学期編のプロローグみたいな位置付けに来るわけですから、展開的にはどうしても盛り上がりに欠ける部分があります。なんですが・・・それを考慮に入れたにしても、やっぱりどうもしっくりきませんね。ブランクってやつかもしれません。一気にまとまった時間かけて書けないからかもしれません。いいわけだったらいろいろと出てきます。でも、結論としては、いまひとつ、この一言に集約されてしまうわけで・・・やっぱり、難しいものですね。モノ書きって・・・
次章から、いよいよ本格的に物語が動きはじめますので、これからも気長にお付き合いください。それでは、次は、第12章のあとがきでお会いしましょう!!
ちょこっと真面目モードな、コスモスでした〜〜♪



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