「それじゃあ、みなもはもう行きますね」
 にっこりと微笑んだ少女が立ち上がる。
 ここは、この街で最も空に近い場所。
 今まさに沈もうとする太陽が、少女を、少女が佇む墓地を、真っ赤に染め上げていた……
 少女は、ゆっくりと歩み去ってゆく。
 やがて……
バサバサバサバサッ!!!
「…………?」
 怪訝そうな表情の少女が振り返る。
 その少女の目の前を、真っ白い羽根と真紅の羽根が、勢いよく舞い飛んでいく……
 だが、少女は、その羽根に見向きもしようとはしない。
 まるで、その羽根が見えていないかのように……


Memories Off Nightmare
第十四章「雪ふる春の、夜想曲」
 Produced By コスモス



「日が……沈んじゃったね…」
窓際に立ち、太陽の沈んだ先を見つめたまま、私は静かに呟く。
西の地平は、かすかに未だその炎の残り香に包まれていた。
だが、それも後わずか。
花を全て手折られた花畑に、いつまでもその残り香があり続けることはない。
それが、どんなにかぐわかしい香りであろうとも……
やがて、世界は、夜に沈んでしまうだろう。
でも、それでも、今この時、この瞬間、この場所は夜ではない。
私の立つこの世界は、夜ではない……
私の世界、私の今いる世界、狭く小さな直方体の世界。
この世界の住人はわずかに2人。
私と、もう一人……
「ああ、後30分もしたらすっかり真っ暗だろうね……」
私の背後で、ゴンドラのシートに身体を預けている彼。
視線の向きは変えずに、その焦点だけをすぐ近くに合わせなおす。
そこには、窓に映った彼が居た……
私の鼻先15センチの所に彼が映っている。
たったの15センチ、無限の15センチ。
すぐそこにいるのに、彼はそこにはいない。
この距離が、この皮肉な距離が、私達の距離だった。
手を伸ばせば届くのに、手を伸ばしても届かない。
微笑んでくれているのが見えているのに、私の微笑みは彼には届かない。
私の微笑みは、窓の向こう、飛びゆくカラスへと向けられるばかり……
振り向けばいい。
振り向けば、私の手は彼に届くだろう。私の微笑みは、彼の瞳に映るだろう。
でも、私は振り向かなかった。
決して振り向こうとはしなかった……
「お、そろそろ頂上だよ」
だから、彼は気づかない。
気づくはずがない。
稲穂君に、気づけるはずがない。
稲穂君に。
信君に……
「そうだね、稲穂君」
その言葉とは裏腹に、私はそっと瞼を閉じてみる。
暮れなずむ眼下の景色の変わりに、私の脳裏に滑りこんできたのは見慣れた教室だった。
『かきこおろぎ〜〜? 智也、お前ホントにくだらないこと思いつくよなぁ〜〜♪』
智也とくだらないことを言いあって笑う、軽そうな信君。
『…………』
智也の棺を食い入るように見つめる、苦しげな信君。
『智也は、死にました』
今坂さんの目の前で小夜美さんに智也の死を告げた、無表情で冷徹に言い放つ信君。
『黙れ!!!』
『いらないんだよ、傘なんか!見たくもないんだ!!白い傘なんか!!!』
激情に我を忘れて怒り狂い、その狂気で目をぎらつかせる信君。
『…智也ぁ……智也ぁあ…還ってこいよぉ…智也ぁあ……!!』
全ての過去を、自らの内に閉ざし続けた想いを告白し、悲哀と後悔の海へと崩れ落ちる信君。
微笑む信君、おどけてみせる信君、真剣な眼差しの信君、信君、信君……
いろいろな信君が、次々と現れては消えていく。
それでも私の脳裏には、信君の姿が泉のように枯れることなく湧き上がり続ける。
いつからだろう?
いつから私は、彼のことが好きになってしまったんだろう?
どうして私は、稲穂君としか呼べなくなってしまうまで、自分の気持ちに気づくことができなったんだろう?
どうして私は、他人に教えてもらうまで自分の気持ちにすら気づけなかったんだろう?
私は、ゆっくりと振り返る。
振り返った先には、柔らかな表情をした信君がいた。
その後ろには、どこまでも続いていそうな深い群青の空。
何もかもを絡めとって溶かしこんでしまう夜の闇。
「音羽さん……どうかしたの?」
信君の底の見えない闇が怖かった?
あの、信君の奥底に潜むもう一人の信君、彼が恐ろしかったから?
それもあるかもしれない……
「うん……ちょっと、考えごとしてるの……」
確かに彼のことは、とても恐い。
東の空は、だんだんと夜の世界へと沈み込んでゆく。
夕陽の残り香は完全に吹き散らされ、薄闇の海が広がってゆく。
でも……
そこでは闇が輝いていた。
闇の中にこそある輝きもある。
そう、星々の煌めきが……
「考えごと?」
私は、この夜の闇にこそ惹かれたのだと思う。
あの狂った信君と出会ってしまったからこそ、私は彼に魅せられたのだと思う。
絶望に呑み込まれそうになりながらも、それでも健気に輝き続ける星々の煌めきに……
そして、私はまた信君に背を向ける。
「そう、なんかいろいろ考えちゃうの……」
きっと、私が振り向かなかったのは、私が振り向こうとしなかったから。
振り向くのを恐がり続けた、私のせい……
振り向けられるのに、振り向けないふりをし続けた、私のせい……
『砂の城』を恐がり続けた、私の……罪。



…………
……………………
ザザザァ〜〜〜、ザザザザァ〜〜〜。
寄せては返す波の囁きが、美しい旋律となって夕暮れの海岸に刻まれてゆく。
誰もいないオレンジ色の砂浜を、手を繋いで歩く一組の親子がいた……
「かおる、お城に壁と堀も作ったも〜ん」
新米お母さんと新米お父さんに両手を引かれた幼い少女が、波打ち際を歩きながら微笑む。
「そう、なら大丈夫ね」
その笑顔には、一点の曇りすらなかった。
「うん♪」
 そこにはあったのは、唯一つだけ。
 幸せだけ……


――かおる、明日ここを、引っ越しますからね?
「え?ちょっと、引越しってどういうこと?
お父さん! お母さん!! 私、そんな話全然聞いてないよ!!?」
――すまないな、かおる。だが、仕事の関係でな。どうしても引っ越さなきゃならんのだよ。わかってくれるな?かおる……
――かおる、ごめんね。本当はもっと早くに教えて上げたかったんだけど……
「本当だよ!どうして!?どうしてそんな大切なこと教えてくれなかったの!!?」
――……すまん。
――ご、ごめんね……でも、その……言い出しにくくて……ほら、かおるも最近大変みたいだったから。
「お、お母さん。知ってたの!?」
――ふふふ、当たり前でしょ?大事な娘のことなんだから♪
――……フン。あんな男のどこがいいのやら。
「お父さんまで!?」
――かおる、今話すのは、私達のことじゃないでしょ?
「…………」
――今回は、残念みたいだったけど……今度行く街でだって……ね?
「…………」
――か、かおる……?
「…………じゃ……ない……」
――……かお…る?
「残念じゃない!! まだ、まだ終わってない!! 私達は、終わってなんかいない!!私、行かないよ。私、引越しなんかしないから」
――…………
「いいでしょ? ねぇ、お父さん!!お母さん!!」
――…………
「ねぇ、お願い。私をこっちに残らせてよ。この家に残らせてよ!!
何とか言ってよ、お父さん!お母さん!!」
――ごめんね、かおる……
「いや。いやだよ、私。私、絶対行かないから。行くんなら、お父さんとお母さんの二人で引っ越してよ」
言い放った私は、さっと立ち上がってリビングの出口へと駆ける。
でも……
――かおるっ!!!!!
雷鳴のようなお父さんの声が轟く。
「…………」
その一声に、私の足は凍りつく。
――明日の朝、お前は母さんと先に行け。家のことは俺がする。
「どうして!!?どうしてなの!!? 
私、さよならもしてないんだよ?さよならも言えずに、いなくならなきゃいけないの?」
――ッ!!か、かおる? あなた、まだ……!?
「そうだよぉ!! 私、まださよならだって言ってないんだから!! 
ねぇ、お願い、1日、後1日でいいから待って。ねぇ、お父さん!!」
――……明日の朝は早い、お前はもう寝ろ、かおる。
「そんな!! さよならぐらい言わせてよ!! ねぇ、お父さん!!」
――お父さん、あと一日ぐらい……
――同じことだ。『言ってない』じゃなくて『言えない』なんだからな。違うか?
「そ、そんなこと……」
――かおる、お前があの男と最後に話したのはいつのことだ?
昨日か? 一昨日か?
「…………」
――出発は……明日の朝だ。かおる、わかったな?
「…………」
――わかったな!!!!!
「…………はい」
私はその夜、一晩中枕に顔を埋め、声を殺して枕を濡らし続けた。
それが、あの街の最後の想い出……


ザザザァ〜〜〜〜〜、ザザザザァ〜〜〜〜〜
「うわぁ〜〜〜ん、うわぁ〜〜〜ん……」
 波打ち際に、幼い少女の泣き声が響く。
ザザザァ〜〜〜〜〜、ザザザザァ〜〜〜〜〜、ザザザザザァ〜〜〜〜〜。
「うわぁ〜〜〜ん、うわぁ〜〜〜ん、うわぁ〜〜〜ん……」
 寄せては帰す、波の音。虚しく響く、幼き声。
 宵闇に沈む砂浜に、哀しいカノンの調べが満ちていた。
 そして、月が砂浜を照らした時、そこには小さな、塔のない、砂の城があった……


――音羽か? 先生だが、今から言うことを落ち着いて聞いてほしい……
突然の電話。
「あれ〜? 先生? いったいこんな時間にどうしたの〜?」
 深夜とは言わないまでも、それなりに遅い時間にかかってきた電話だった。
――…………
 少なくとも、教師が生徒に電話をかけるような時間ではなかった。
「あ、ひょっとして愛の告白〜〜〜?」
 その事実を、私はもっと早くに気づくべきだったのか。
――…………その……
 それとも、永遠に気づけなければ良かったのか……
「せ、先生?」
 今となっては、わからない。
――落ち着いて……聞いてくれ。
 ただ、言えるのは……この時。
「……………………」
 私は既に……
――亡くなった。
「…………?」
――三上が……亡くなった。事故で、な……
 悪夢の中にいた。
「…う……そ……」
その夜、悲哀の神が、私の元に降り立った……


ザザザァ〜〜〜、ザザザザァ〜〜〜。
ザザザァ〜〜〜〜〜、ザザザザァ〜〜〜〜〜、ザザザザザァ〜〜〜〜〜。
朝日に照らされた砂浜に、小さな足跡があった。
つけられたばかりの足跡だけが、砂浜には残されていた。
ただ、足跡だけが……
他には何一つ無かった。
昨夕作られた砂の城も。
昨晩作られた砂の城も。
そして、今朝は、もう……
 ただ、小さな泣き声だけが、遠くから聞こえてきたような気がした……
ザザザァ〜〜〜〜〜、ザザザザァ〜〜〜〜〜、ザザザザザァ〜〜〜〜〜。
いつもと変わらない風景が、そこにはあった。
ザザザァ〜〜〜、ザザザザァ〜〜〜。
いつもと変わらない波の音だけが、砂浜を満たしていた……


私の作る、砂の城。
波に呑まれる、砂の城。
なんで、作っているんだろう?
どうせ、波に呑まれてしまうのに。
私の前から、消えて無くなってしまうのに……
……………………
…………



ずいぶん前に、私は砂の城を作った。
そして、作りそこなった塔を、次の機会に作ろうとした。
でも、結局それが完成することはなかった。
私は納得した振りをする。
塔まで作ろうなんて、欲張りすぎたのがいけなかったんだと……
そう納得して、塔を作るのを諦めることにした。
そうすれば、城が無くなることはない。そう信じて……
そう思い込んで……
でも、城は無くなってしまった。
そう、亡くなってしまった……
だから、私は決めた。
もう、何も作りはしないと。
何もなければ、何も失うことはないのだからと……
そして、気づいた時には、城の作り方自体を忘れていた。
今度こそは、今度こそは完成させたい。
城だけなんかじゃなくて、塔まで作って、塔の頂上には旗までつけたい。
そう思った時には、もう、城壁の一つも作れなくなっていた。
私は思う。
私はバカだ。どうしようもないバカだ。
本当に、泣きたくなるほどの……
「大バカだ……ホントに、バカだよ……」
「……音羽…さん?」
私の呟きに、信君が心配そうな声を掛けてくれる。
気づけば観覧車はずいぶんと廻り、私達の乗ったゴンドラも、あと少しでその短い旅路を終わろうとしていた。
目の端にたまった涙を、信君にはばれないようにさりげなく拭う。
そして視線を、まだ多少の距離がある観覧車乗り場に向ける。
当然、そこに今坂さんと双海さんの姿はない。
(ごめんね。せっかく気を使ってくれたのに。応援してくれたのに……)
私のことを私以上に良く観てくれていた素晴らしい友人に、声には出さずに許しを乞う。
きっと2人は、笑顔で許してくれるだろう。
でも、その穏やかな笑顔が……何よりもつらいのだろう。
私には、そう思えた……
ガタッ、ガタガタタッ……
「は〜〜い、どうぞこちらからお降りくださ〜〜〜い♪」
 朗らかな係員の声に迎えられ、短い空の散歩は終わりとなった。
そして、私達はそこで別れた……




結局、なんだったんだろう……?
ぼんやりと白く光る街灯の下で、俺はぼんやりと夜空を眺めていた。
観覧車を降りてすぐに音羽さんと別れた俺は、手近なベンチに腰掛けて今日一日を振り返る。
今日は、4人みんなで遊園地に来た。
4人みんなで、ジェットコースターに乗った。
4人みんなで、お化け屋敷に入った。
4人みんなで、昼ご飯を食べた。
4人みんなで、いろいろなアトラクションに挑戦した。
ハプニングもあったけど、とても楽しかった。
でも、気づけば俺は、今こうしてここにいる。1人で……
唯笑ちゃんは?双海さんは?音羽さんは?
そもそも、俺は何のためにここに来たんだっけ?
唯笑ちゃん。
そう、唯笑ちゃんのため……
俺は唯笑ちゃんの支えにならなければいけなかった。
唯笑ちゃんに唯だ笑っていてもらうために、そのために俺はここに来たはずだった。
なのに……俺のいるここは、唯笑ちゃんを見守れる場所じゃない。
なんでだ?
唯笑ちゃんが、俺から離れようとしたからだ。
俺を、音羽さんと二人っきりにしようとしたから……
「つまり……こういうことか?」
双海さんと唯笑ちゃんにはこう見えた。
俺は音羽さんが好き。あるいは、音羽さんは俺が好き。
「ま、どっちにしても、あそこまで露骨に演出するぐらいだ。
俺達を両想いと踏んでて、背中さえ押してやれば大丈夫♪くらいに思ってたんだろうな……」
「さすがにそこまでは……」
「うおっ!!」
唯笑ちゃんと先に帰っているはずの双海さんが、サラッと独り言に割り込んでくる。
「こんばんは、稲穂さん。お隣りよろしいですか?」
「……お、親父さんが危篤だったんじゃなかったっけ?」
「ええ、でもよくよく考えてみましたら、お父様のいらっしゃるフィンランドは遠すぎます。
そんなわけで、感動の父娘再会シーンは次回のお楽しみということで……」
「どんなわけだよ……」
あまりと言えばあまりな双海さんの発言に、苦笑と共に軽い突っこみを入れる。
が……
「私のことはとりあえず置いておきましょう。
そのご様子ですと、特に進展があったとも思えませんが……結局どうなったのですか?」
俺の突っこみにはまるで取り合わず、双海さんはいきなり剛速球を投げてくる。
「真正面から来るね……」
「ええ、これでも私、真剣ですから」
そう言って俺を見つめるその瞳には、微塵の揺らぎすらも感じることはできなかった。
少々納得のいかない部分も感じたが、隠す気力も湧いてこなかった俺は、素直に口を割ることにする。
「……わからなかった。
なにがどうなったのか、さっぱりわからないよ。
双海さん達と別れた後、俺達はほとんど何もしゃべっちゃいない。
ゴンドラに乗ってる間、音羽さんはず〜〜っと外の景色を眺めてたよ……
1回だけこっちを向いてくれたけど、その時も会話らしい会話なんてなかった。
音羽さんが何を考えているのか、俺にはわからなかったよ……」
「本当ですか?
稲穂さん、稲穂さんは本当に何もわからなかったのですか?」
「ああ、本当さ。
本当にわからなかったんだよ、俺は。
ただ……」
「ただ?」
「何か、自分の中での何かを、整理してたように見えた。
その何かが何なのかまでは、わからなかったけどね……」
「ご自分の中で何かを整理されていた、ですか……」
嘆息交じりに吐き出された俺の言葉を、反芻するようにゆっくりと呟く双海さん。
「……音羽さんは、ご自分の中で考えを整理され、稲穂さんには何もおっしゃられなかったのですね?」
わずかな沈黙を挟んで、確認するかのように双海さんは再び質問をする。
「ああ」
「稲穂さん。その状況が何を意味しているか……
本当にわからなかったのですか?」
こちらを見る双海さんが、やや困ったような表情を浮かべる。
「どういう……ことだい?」
「音羽さんも音羽さんですが……なんと言えばいいのでしょうね?
やはり、仮面は早々に取り去ってもらわないといけないようですね……」
「…………」
俺は、この話の続きを聞いてはならないような気がした。
でも、俺は双海さんとの話を打ち切ることができなかった。
ベンチから立ち上がり、この場を後にすることができなかった。
根でもはえてしまったかのように、俺の両足は動かなくなっていた。
俺の中のもう一人の俺が、この話の続きを聞きたいと言ってきかない。
三人目の俺が、力の限りに警鐘を鳴らす。
『この話を聞いちゃいけない!!』『お前の使命を忘れたのか?』『今すぐにこの場を立ち去るんだ!!』
それでも俺は、結局その場を離れることはできなかった。
これから語られる双海さんの話に、俺はある種の予感を感じていた。
いや、むしろそれは、確信だった……

「あの日から、もうすぐ2ヶ月です。
三上さんのいなくなってしまったあの日から……
私は、あの日から今坂さんを見守って来ました。
見守ることしかできずにいました。
遠くもなければ近くもないところから、ただ見守っていました。
だから、今坂さんが徐々に立ち直っていかれるのがよくわかりました。
とても嬉しかったです。
稲穂さん、あなたのおかげです。
あなたのおかげで、今坂さんは元気になっていかれました。
今坂さんが元気になられて、みんなが喜んで、みんながあなたに感謝をしているはずです。
私が、今坂さんが、今坂さんのご両親が、クラスの皆さんが、そして誰より、三上さんが……
でも、その代償は決して小さなものではなかったのですよね?
私は、見守ってきました。
だからわかりました。
あなたが、苦しみに苛まれていることが。
音羽さんがその苦しみを共有されて、あなたの支えになろうと頑張っていらっしゃることが。
あなたは、あの頃の三上さんと同じです。
過去の想いと罪悪感に縛られて、今坂さんを拒まれ続けた三上さんと……
稲穂さん?
あなたは、三上さんの大切な親友。
でも、それだけではないのですよね?
あなたには、あなたの事情があるのですよね?
私は、それが何なのかは知りませんし、そのことを詮索しようなどとも思いません。
けれど、一つだけ。
私から、一つだけ忠告させて頂きます。
ご存知の通り、私は以前仮面を被っていました。
仮面を被り、自らの世界に閉じこもっていました。
そこは、痛みの無い世界。
荒々しい風に吹きつけられることもなく、冷たい雨に震えることもない。
でもそこは、どこまでも哀しい世界。
空は灰色で、空気は淀み、笑顔は枯れ果てていました。
稲穂さん。仮面を外してください。
過去を忘れろとは言いません。
でも、現在(いま)にも目を向けてください。
あなたが今坂さんを大切に想うように、今坂さんも、私達も、稲穂さんのことを大切に想っているんです……
自分の想いのためだけに生きないでください。
それでは、単なる自己満足です。
本当に今坂さんに『唯だ笑って』欲しいのなら、幸せになって欲しいのなら。
あなたも『唯だ笑って』ください。心からの幸せな笑顔を浮かべていてください。
今坂さんだけじゃなくて、稲穂さんも、音羽さんも、私も……
みんなで、みんなが笑えなければ意味がないんですよ!!」
「…………」
「稲穂さん、私、何か間違っていますか?」

答えられなかった。
答えられるはずがなかった。
あの日から俺は、唯笑ちゃんのためだけに、今は亡き親友への償いをするためだけに生きなければならないと思っていた。
償いの為にこそ、生きることを誓った……
だが、目の前にいるこの少女は、俺の誓いを自己満足だと断罪する。
しばらく前の俺なら、双海さんのこんな言葉に耳を傾けようなどとはしなかっただろう。
だが、今は違う。
現に俺の視界の中心に、唯笑ちゃんの姿はない。
唯だ、笑っている唯笑ちゃんは、いない。
代わりに、怒ったような、哀しむような、憐れむような、そんな瞳をした双海さんがいた。
本来俺がいなければならない場所、唯笑ちゃんを見守り導くことのできる場所。
今そこにいるのは、俺ではなく双海さんだろう。
それどころか、俺に守り導かれるべき対象が、双海さんの助けを得たとはいえ、逆に俺を導こうとさえしている。
違ってしまっているのはそれだけじゃない。
俺自身、話すべきでないことを、絶対に開いてはいけない心の扉を、音羽さんに開いてみせてしまっている。
こんなはずじゃなかった……
こんなはずじゃなかったんだ!
こんな展開は、俺のシナリオにはなかったんだ!!
どうしてだ?
どうしてこんなことになってるんだ!?
俺の書いたシナリオが、いつの間にか書き換わってしまっている……
密かに、巧妙に。
しかも、修正の施しようもないほどに……
現実を再確認した俺は、頭を金属バットか何かでぶん殴られでもしたかのような衝撃を受けた。
どうする?
どうすればいい?
俺は、俺は……
どうすればいいんだ……
なぁ、智也……?
『信!!!』
 ッ!!!!!
 い、今の声は!!?
 聞き覚えがあった、忘れるはずがなかった、聞き間違えるはずなんかなかった!!
でも、でも……!!!
 驚愕と共に顔をあげた俺の目の前にはっ!!
「稲穂さん!!!」
 厳しい表情の双海さんがいた。
え? ま、幻……か?
『お前は俺に、何を言ったぁああああ!!!』
 ッ!!! また!!?
「あなたは三上さんに、何とおっしゃったんですか!!?」
 ち、違う……違う!!
 これは智也の声なんかじゃない!!
『信君!!信君は唯笑に、智ちゃんの声を聞かせてくれたんじゃなかったの!!?』
ッ!!! 黙れ!! やめろ!!! 
「あなたは今坂さんを、何と言って励ましたの!!?」
 やめてくれ!!! やめてくれぇ!!!!
もう……
『信!!!』『信君!!!』「稲穂さん!!!」
 やめてくれええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!! 




――さぁ、この道を真っ直ぐだからな……
「……???」
 気づけば俺は、闇の中にいた。
 改めて見回してみれば、そこは澄空高校近くの噴水のある公園への入り口だった。
どこをどう歩いてきたのか、まるで見当が付かない。
 智也と唯笑ちゃんから断罪の宣告を受けた後、気づいた時には俺はここにいた。
 俺にはもう、何がなんだかさっぱりわからなくなっていた。
まるで夢の中を漂っているような気分だった。
いや、そもそも、これは本当に現実なのか?
やたらとリアルな夢。
そう言われた方が、よほど納得のいくことばかりだった。
でも、これは現実。
頭のどこかから、そんな囁きが聞こえた気がする。
実際、桧月さんとだって、ありえないようなことが起こっているんだ。
今回のようなことが起こるはずはない、とも言い切れるはずもない。
それに、あの言葉は、きっと……
…………
 この公園では、本当にいろいろとあったな……
智也がまだ過去の呪縛に捕らわれていた頃、俺が唯笑ちゃんに告白したのがここだった。
 智也が桧月さんに告白したのも、確かここのはずだった。
 最近で言えば、俺が音羽さんを説得しようとして逆に説得されてしまって、これまでのことを残らず白状させられた挙げ句、泣きついちまったのもここだった。
 やっぱ、ここには何か縁でもあるのかもしれないな……
 夜の闇に包まれた公園の奥へと視線を向けてみる。
 時間が時間だからだろうか?公園の奥に人影はなく、噴水からこぼれ落ちる水音だけがかすかに聞こえてくる。
 無意識の内に、俺は一歩二歩と公園内の噴水広場へと続く道に足を踏み出す。
 その時、頭上から、はらはらと何か白い欠片が舞い降りてくる。
「……雪?」
 俺はその季節はずれの雪の一片を、そっと手の平で受ける。
 だが、俺の手の平に舞い降りた雪片は、冷たくもなければ、溶けて消えてしまうこともなかった。
「桜か……」
 俺の頭上に広がっていたのは、寒々とした冬の雪雲ではなかった。
 公園の街灯の白い光りに照らされた、満開の夜桜だったのだ……
「…………」
俺はしばらくの間、夜の闇に映える真っ白な桜を、言葉もなくただ見上げていた。
 いつの間にか、冬は終わっていたんだな……
 俺は今更ながら、改めて春の到来を感じていた。
 正直、桜なんてまるで目に入ってはいなかった。
こんなに綺麗だったんだな、桜は……こんなに……
 季節の移ろいに目をやる余裕なんて、まるでなかった。
 毎朝、いつもの悪夢にうなされて、桧月さんのことを考える。
 朝のHR前の教室で双海さんを見つけ、唯笑ちゃんのことを考える。
 昼休みに、購買で音羽さんを見掛けて、また唯笑ちゃんのことを考える
 午後の授業で、唯笑ちゃんの背中を見て、智也のことを考える。
 そして放課後、智也と桧月さんの墓前で、まだのうのうと生きている自分を呪う。
 そんな日常を過ごしていた俺に、季節は、世界の移ろいは、全くの無意味だった。
「…………ッ!!!」
 突如、風が吹き抜けた。
 長い冬を耐え忍び、人々に待ち望まれていたはずの桜の花が、悪戯好きの春風に吹き散らされてゆく。
 大量の桜の花びらが、吹雪の中を舞う粉雪のように、遥か彼方へと飛ばされてゆく。
 風が止んだ後も、はらはらと数枚の花びらが舞い降りてくる。
 街灯の白い光を照り返すかのように、白く、まぶしいほどに白く輝く花びらの中を、一枚だけ、たったの一枚だけ、まぶしいほどに紅く輝く花びらがあったような気がした。
 思わずそれを手に伸ばすが、その真紅の花弁は、するりと俺の手から逃げてゆく。
 それから、その紅い蝶々は、羽根のような花弁は、俺を招き入れようとするかのように、噴水広場の方へと舞い飛んでいった。
 そして俺は噴水前へと歩を進める。
舞い飛んでいったその花弁に、導かれ往くそのままに……


ザ〜〜〜、ザ〜〜〜〜〜。
 噴水の水音だけが、広場には響き渡っていた。
 特にどうするわけでもなく、俺はその水柱に背を向けると、噴水台の端に腰を下ろす。
 視線は夜桜に預け、耳は水音に傾け、俺はぼんやりと今日の出来事を反芻していた。
 ふと、自分の胸で泣きじゃくる音羽さんが思い出される。
『どうして!?
どうして、こんなことになっちゃうの!!?
もう、嫌……
嫌なの……
こんなの、嫌だよ〜〜〜〜〜!!!!』
俺もだよ……音羽さん……
俺も、こんなのは嫌だよ……
もう……うんざりだよ……
音羽さん?
音羽さんでも、あんな風に泣くんだね。
瞳には、涙がいっぱいにたまって潤んでたよね……
それから、俺の背中に回された手は、とっても温かかった……
俺の胸に押し付けられた柔らかな体は、思ってたよりもずっと華奢で……ずっと壊れやすそうで……
短めのその髪からは、シャンプーの香りがかすかに漂ってきた……
全身を覆う体の震えは、ひどく頼りなげだった……
遊園地での彼女に続いて、今度は墓地での音羽さんが頭の中に浮かんでくる。
あの時音羽さんは、今まで誰にも看破されることのなかった真実に辿り着いた。
脅迫という手段でもって……
嘲い、騙し、脅し、服従を迫る俺を、反対に完膚なきまでに叩き潰した。
でも、同時に音羽さんは、敗れ、傷つき、打ち震える俺に、安らぎの手を差しのべてもくれた。
俺を優しく抱き締めて、
『だいじょうぶだから……泣かないで……? だいじょうぶだから……』
 そう囁いて、俺の頭を撫でてくれていた。
 俺はその時、音羽さんの表情を見てはいない。
でも、見る必要なんてなかった。
 愛しそうに俺を抱き締めてくれる音羽さんの姿を、俺は脳裏にくっきりと浮かび上がらせることができたから……
次々と音羽さんの記憶が蘇ってくる。
雨の降る墓地で、俺の豹変に恐怖し、水溜りの中で怯え立ちすくむ音羽さん。
もう既に、俺のシナリオは狂い始めていたのかもしれない。あの時から……
今更な話ではあるけれど……
小夜美さんに智也の死を告げた時、俺に平手をかました音羽さん。
的外れな怒りではあったけれど、彼女の怒りは、とても純真で、とても優しくて……
ある意味心地の良いものだったっけ……
この時、俺は確信したんだ。
音羽さんも、智也の親友だったってことを……
転校してきた最初の時に、ニコリと笑って挨拶する音羽さん。
あの時には、音羽さんとこんなややこしい関係になるだなんて、夢にも思わなかった。
自分の記憶袋をまさぐりながら思う。
やっぱり俺は、音羽さんを……
俺達は、もっと早くに、もっと素直になるべきだったのかもしれない……
「…………?」
俺の思考が、一つの問題に対する解答を導き出そうとしたその瞬間だった。
ザ〜〜〜〜〜、ザ〜〜〜〜〜〜。
ザ〜〜〜、ザ〜〜〜。
ザ〜〜。
絶え間なく続いていた噴水の音が、唐突に小さくなっていく。
噴水の終了時刻だ……
この公園の噴水は、節電の為深夜は運転停止となる。
その事に思い至った時、俺は一つのあり得ないはずの可能性に気が付いた。
ガバッ!!
即座に俺は身体を翻し、背後の勢いを弱めつつある大噴水を凝視した。
「……………………」
ありえないこと、そう、普通は有り得ないことだ。
彼女は、とっくの昔に自宅に帰っているはずなのだから……
だが、そんなことはもう、小さな、些細な問題でしかなかった。
ありえなくても、それが奇跡的なことであっても。
そんなことはもう、俺達には何の関係もなかったから……
やがて、水のベールが、徐々に薄くなってゆく。
そして、その向こうに、俺は一つの、シルエットを探し求める!!
次の……瞬間ッ!!!
「う、嘘だろ……?」
俺の虚ろな呟きが、静寂で満たされた広場に霧散し消えてゆく……
そこには、噴水を挟んだその向こう、俺の目の前には……
誰もいなかったのだ!!!
「そ、そんな……そんな、バカな……」
有り得ない筈のことが、確率どおりに、何も起こらなかっただけだ。
 ただ、それだけのこと……
 そう、たったそれだけのことでしかない筈だった。
 でも、俺には絶対的な確信があった。
 理由なんて何一つない。
でも、今日、今夜、この場所で、この噴水の前で、この桜舞う場所で……
 音羽さんに会えると思った。思ったんだ!!
 噴水の止まる瞬間、確かにそう思えたんだ!!!
 俺は、そう信じたんだ!!!
 でも、止まった噴水の向こう側には、誰もいはしなかった。
 ただ、さっき歩いてきた道と同じように、はらはら、はらはらと、白い欠片が降りしきるばかりだった……
 違うんだろうか?
 やはり、俺は音羽さんのことを好きになんか、なってはいないのだろうか?
 ただ単に、泣きついたり泣きつかれたりして、お互いの距離が近づき過ぎてしまっただけなのだろうか?
 それとも、俺には最初からそんな資格はなかったのか?
 自分の罪悪から目を背け、俺が俺自身のために笑おうだなんて、やっぱり虫の良すぎる話なんだろうか?
 わからない、わからないよ。
 やっぱり俺には、わからないよ……
 俺は呆然と立ち尽くしていた。
 他に、どうすることもできずに、ただひたすらに、水の流れない噴水を凝視し続けていた……
 そして、それからいくらかの時が流れ去ったような気がした。
 実際のところはわからない。
 気の遠くなるような時が流れ去ったのだろうか?
 それとも、瞬きするほどの時間でしかなかったのだろうか?
 結局俺には、それすらわからなかった。
 わかる必要もなかった。
 だが……
 わかったことが、一つだけあった。
俺の耳元に、小さな囁きが届いたのだ……
――そんなこと、ないんだよ……
 聞き覚えのある、柔らかな声だった。
 その声の言葉が何を指したものなのかは、これまたわからない。
 時間がそれ程過ぎ去ってはいないということだろうか?
 あるいはその逆か?
 それとも、俺が俺自身の為に笑おうとするのを、許してくれると言うのだろうか?
 はたまた、俺が音羽さんのことを好いているということを、肯定しようと言うのだろうか?
 俺には、まるでわからなかった。
 だが、そんなことを考えることは、すぐにできなくなってしまった。
 そんなことは、どうでも良くなってしまったから……
 信じた瞬間が、やっと訪れてくれたから……
「え……? う、嘘………」
 聞き覚えのある声が、戸惑いの色をのせて、俺の耳をくすぐる。
 俺は、今度こそ自信を持って噴水台に背を向けると、ゆっくりと振り返る……
 その振り返った俺の正面には、果たして……
 柔らかな春の微風が、俺の頬を撫でてゆく。
 俺の身体が、翻って噴水に背が向けられた、その時に……
「…………キャッ!!!」
 春嵐とでも呼ぶべき代物だろうか?
突如として一陣の強風が、噴水広場を疾しり抜けて往く。
だが、そんな風の悪戯にも、俺が揺らぐことは微塵もなかった。
そして……

雪が、舞っていた……
白い雪が、まぶしいほどに白い羽根のような雪が、煌めきながら舞い踊っていた。
純白のカーテンのその向こうには、俺が待ち望んでいた少女が佇んでいた。
俺は、俺の幸せを求めていいのだろうか?
唯だ、償うために。
彼女に、唯だ、笑ってもらうために。
そのためにこそ、俺は生きなければならない。
かつて、俺はそう誓った……
残された俺にできる、それが唯一の贖罪だと考えて……
俺には、敢えて目を逸らし続けてきたことがある。
だが、その行為を間違いだと言うヒトがいる。
そのヒトの言葉を信じようとする俺が、信じたいと思う俺がいる。
俺は、また同じ過ちを犯そうとしているのかもしれない。
この軽率な判断が、目の前のこの少女までをも失わせてしまうかもしれない。
けれど……
想いは、止まらなかった。
俺の想いは、もう踏みとどまろうとはしなかった……
だから、俺は少女に告げる……
「さぁ、こっちにおいで……」
潤んだ瞳の少女に、言葉はなかった。
ただ、俺の言うままに、ふらふらと俺の方へと歩み寄る。
俺は、そっと少女を抱き寄せる。
腕の中の少女は、温かく、柔らかだった。
この少女に優しく抱き締められた時のことが、思い出される。
俺は、あの時この少女がしてくれたように、優しく、温かく、この少女を抱き締めてやれているのだろうか?
それだけが、少しばかり心配だった……
少女を抱き締めたまま、俺はその耳元で囁く。
「好きだよ。音羽さん……」
少女は、何も応えようとはしなかった。
唯だ、俺の胸に顔を埋めたまま、俺から離れようとはしなかった……
少女は、何も応えようとはしなかった。
唯だ、その可憐な頬に、一粒の雫を伝わらせていた……
俺の心は、微笑みながら、泣いていた。喜びながら、哀しみに暮れていた。
どこにでも、この広い世界のどこにでもあるような……
あり過ぎるほどありふれた。
桜舞う夜の、小さな出来事だった……
小さな……小さな……
出来事だった……




>>十五章へ



あとがき

一人はみんなのために!!みんなは一人のために!!!
我々はここに誓う。
死が我らの友情を分かつその時まで、友が困難に直面したら共に立ち向かい、
それを打ち破ることを。
例え天地が逆になろうとも、この誓いを守ることを。
我が剣と誇りにかけて!!!

〜アレクサンドル=デュマ(『三銃士』より)〜


皆さん、こんにちは〜〜。コスモスでっす♪(^O^) メモオフナイトメア第十四章「雪ふる春の夜想曲(ノクターン)」いかがだったでしょうか?
さて、いきなりですが、あとがき冒頭の三銃士ネタはなんだ!!と、思われた方が多いのではないかと予想します。そんなわけで、ちゃっちゃと説明にいっちゃいますね〜〜。
これ、実は今回の没ネタだったりします。ま、要するに、今回はあとがきで制作秘話(?)みたいなのを書こうかと画策したわけでっす♪
当初の予定ではこれを冒頭部分に放り込んで、詩音が「仮面を外せ」と信を説得するシーンでリンクさせたかったんですよ〜〜。
「稲穂さん? 稲穂さんは、三銃士という物語を、『One For All!! All For One!!』という言葉をご存知ですか?」
みたいな展開でね〜〜。で、何故、哀しくも没ネタとなってしまったのかと言えば!!?
『死が我らの友情を分かつその時まで、』
これっす!!このフレーズがダメだったんです〜〜(T-T)
だって、死が我らの友情を分かつその時までって、貴方、このナイトメアじゃあ、話が始まった瞬間から死に分かたれちゃってるじゃないですか!!(^^;
と、ゆ〜わけで、ダメだこりゃ♪ と、お蔵入りになってしまったんですね〜〜。
は〜〜、世の中、なかなか思うようにはいきませんのぉ〜〜♪
それはそうと、この他所の文章を引っ張り込んできて、ちゃっかり流用しまくるって手法それ自体は、とある方の作品で似たような手法が使われてるのを見て、「いつかこの私が、パクって見せる!!!」とかなんとか、朝日に誓ったとか誓わなかったとか……(^^;
では、皆さん、今回はこの辺で♪ 
次は、メモオフナイトメア第十五章「The Marionette Carnival」(仮題)のあとがきでお会いしましょう!!それでは、アディオ〜〜ス♪(^o^/~~~~~



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