『インフィニ肝試し』   
第7話『タイムリミット』
作:メンチカツ様


「どこだ・・・どこにあるんだよ!」
注射器を探しはじめて、10分が経っていた。
俺ははっきりいって、なめていた。20分もある。すぐに見付かるだろうと。
だが、例え暇つぶしに作られた部屋であろうと、いや、暇つぶしに作られた部屋だからこそ、それは難解を極めた。
そう、この部屋は遊びに隠れて作られたが為に広く、遊ぶ為に作られたが為に部屋は部屋の形をしていなかった。
そしてなによりも、ゲーム部屋の為に、部屋は雑然としていたのだった。
辺りにはゲーム機やゲームソフトが散乱し、攻略本や何らかの研究資料が放置され、その上を10年という歳月が堆積させた埃がおおっている。
その中から注射器を探すのには、あまりにも時間が無さ過ぎた。
沙紀の容体は悪化していた。
息が荒く、両腕の血管が浮き上がり、肌の色も黒ずんできている。
「くそ!このままじゃ沙紀が・・・・・」
焦っても時間は無情に過ぎていく。
焦りが苛立ちを生み、苛立ちが作業を遅らせ、一度調べた場所をまた調べるという無駄な作業を増やす。
作業にも正確さが失われていく。邪魔な物を放り、調べるべき場所を見失う。
「誠君!焦っても何も解決しないわ!」
「わかってる!わかってる・・・・・けど!」
「・・・・誠君・・・・!?危ない!!」
「・・・・えっ?」
俺は焦りと苛立ちで、全く気付いていなかった。
俺の背後に・・・・・ゾンビが迫っていた事を。
明鈴さんが俺を突き飛ばす。
そして・・・・・・
「・・・・・くぁッ!?」
ゾンビの爪が・・・・・・明鈴さんの身体を引き裂いた。
「明鈴さん!?」
まるでスローモーションのように倒れていく明鈴さん。
俺の頭の中で、何かが弾けた。
「てめぇーーーーー!!」
何のためらいも無く拳銃を抜き放ち、装填されていた銃弾を全てゾンビに撃ち込む。
カチッカチッカチッ・・・・
弾切れの音に、ようやく正気を取り戻した俺。
「明鈴さん!?」
倒れるゾンビに目もくれず、明鈴さんの元に駆け寄る。
「大丈夫ですか!?明鈴さん!!」
「・・・・・誠・・・君・・・」
衣服が破け、血が流れ出ている。
右肩から腰の左側までつけられた4本の爪痕が痛々しい。
「・・・・くそっ・・・・俺のせいで・・・」
「誠君・・・・・・そんなことよりも・・・・注射器を・・・・」
そうだ!注射器があれば・・・・ワクチンを射って、傷の処置をすれば明鈴さんだって助かるかも知れないんだ!!
「わかった。絶対に注射器は俺が探し出して見せる。・・・・・だけど、先に明鈴さんの手当てをさせてくれ」
俺は自分の着ていたTシャツを引き千切り、明鈴さんの傷痕に巻いていき、そしてジャケット服を明鈴さんにかぶせた。
「よし!それじゃ、探してくるけど・・・・・明鈴さんはどのくらい持ちそうなんだ?」
「・・・・・悪いけど・・・・・5分くらいかな・・・・」
「・・・・5分か・・・わかった!待っててくれ!」
そして俺は探し始めた。
俺のせいで明鈴さんに怪我をさせてしまった。
しかも傷口から毒素が回り、沙紀よりもその侵食は早い。
タイムリミットまで縮めてしまったのだ。
俺は努めて冷静に探し始めた。
もう、無駄に時間を費やす事は許されない。
ゾンビとの戦いで、部屋が更に乱れている。ゾンビの血が辺りに飛び散り、調べた場所も分からなくなっている。
しかし、注射器はすぐに見付かった。
それは全く完全の偶然だった。
ゾンビ倒れた際に、ゲーム棚の一つが倒れ、その上に乗っていた箱が落ちたのだ。
そして、その箱の中に注射器は入っていたのだ。
「明鈴さん!注射器があったよ!!」
「・・・・ほんと?・・・・やけに早くない?」
「ほら!これ!」
「・・・・・よかった・・・」
明鈴さんは自分にワクチンを射ち、そして沙紀にもワクチンを射った。
沙紀の息も、少しずつ安定してきている。
後は目を覚ますのを待つだけだ。
「・・・・ふぅ、よかったぁ・・・・・」
俺は安心し、その場にへたりこんだ。

「・・・・・これは・・・」
優夏達は、遙が指差した建物を見ていた。
「億彦君・・・・あれ・・・何か分かる?」
「・・・・・いえ・・・でもたぶん、研究所では無いかとおもうのですが・・・」
「あれが・・・・・・・研究所・・・・」
その巨大なシルエットに怯むみんな。
だが、
「あそこまでいけば出口分かるかもよ?」
くるみの根拠も何も無い意見を、みんなは採用した。
他に行く所も無かったからだ。
そしてみんなはその建物を目指して歩き出した。
幸い建物が大きく、この鬱蒼と生い茂る木々の中でもその姿は確認できた為、方向を間違える事は無かった。
だが、道が無い。ただただ生い茂った草の中をみんなで歩いていた。
目的の建物まであと半分ほどになった頃だろうか?
くるみが休憩をしようといいだした。
「ねぇねぇいいでしょぉ〜?休憩しようよぉ〜」
「う〜ん・・・・そうねぇ。そろそろ休憩しましょうか?」
いづみさんも同意を示した。みんなにも反論は無い。
そこで、しばしの休憩をとることになった。休憩といっても、明かりも何も無い。ただみんなで丸くなり、座って話しをするだけだった。だが、今のみんなにとって、それだけでも充分な休憩だった。
そしてみんなで話しをしている時だった。
グルルルルルルルル・・・・・・・・・・
辺りに低い唸り声が響き渡った・・・・・・・・・。




第7話 終了  次回に続く。



後書き
流れ星なんて一個も見ることなく続きを書いてしまいました。
つーかほんとうに思いつきだけで書いてるよおい。
どうするんだよこの後おい。
作者ちゃんと思いつくのかよおい!
次回、怒涛の展開があるかも知れない!・・・・・PCの前に座った時に思い付いたらね。








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