くるみの力   
作:メンチカツ様



ザザァァーーーー・・・・・・
姫ヶ浜の潮風が涼しい。
今日はくるみと姫ヶ浜で遊ぶ約束をしていた。
「くるみ遅いなぁ・・・・」
約束の時間をかなり過ぎている。
もう2時間は経つだろうか・・・・。
一体何時まで待ってれば良いんだろう・・・・
って、探しに行けば良いじゃないか!!
「なんでこんな事に気がつかなかったんだ!!」
勢い良く立ち上がり、俺は脱兎のごとく駆け出した。
まずはルナ・ビーチだろう。
やがてルナ・ビーチが視界にはいる。
「・・・・くるみいるかなぁ・・・・」
そんなことを考えていると・・・・なにやら風にのって声が聞こえてくる。
・・・・・・我、久遠の絆断たんと欲すれば、言の葉は降魔の剣と化し汝を討つだろう  ファイナルチェリオ!!
その瞬間!俺は目を疑った!!
突然空が暗くなり、空になにかのエネルギーのような物が集まっていく!!
そしてそれは一つの巨大な槍になり、なんと俺の方に落ちてくる!!
ヒュゴォオオオオ!!
「うわあああああぁぁぁぁ!!!」
その場から全身の力を振り絞って逃げる俺。
ジャドガアアア!!
・・・・・何とか逃げ切れた・・・・・
一体なんなんだ!?何が起きたんだ!?
槍が落ちたところを見てみるが、そこには槍はなく、ただ巨大な深い穴が出来ていた。
小さなクレーターと言っても良いだろう。
いつのまにか灯台まで来ている。よほど混乱していたらしい。
混乱したままの頭で考えていると、
「お兄ちゃんごめーーん!大丈夫だったぁぁぁ?」
というくるみの声が聞こえてきた。
・・・・・・まさか今のはくるみがやったのか!?
「・・・・く、くるみ、まさかいまのは・・・・」
「うん!くるみがやったんだ!すっごいでしょ!?」
確かに凄い。だがいったい・・・・!?
「た、確かに凄いが、なにをしたんだ?」
「うん!くるみねぇ、いま、魔法を勉強してたの!」
・・・・・・まほう?まほうって、あの魔法か!?
「・・・・へ、へぇ〜〜、そりゃすごいやぁ・・・・」
声が裏返ってしまうのは仕方ないだろう。
いきなりそんな事言われても信じられるわけが無い。
・・・・信じられるわけが無いのだが、いまのは・・・・・
「な、なぁ、くるみ。他にもできるのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「く、くるみ?」
「やっぱりお兄ちゃんは最高だね!」
「・・・・・・へ?」
「みんな止める事しか考えて無いんだもん。お兄ちゃんだけだよ。他にも使えるの?って聞いてくれたの」
・・・・・・もしかして俺は言っちゃいけない事を言ってしまったのか?
「もちろん使えるよ!どんなのが良い?」
「・・・・ああ、なるべく被害が出ないようなので・・・・」
思わず本音が出てしまう。
「・・・・・しくしく、酷いよお兄ちゃん・・・」
「ああ!そ、そうだなあ、すっごいのがいいなぁ!はでなの!」
「うん!わかった!派手なのだね!!」
・・・・しまった!!くるみお得意の嘘泣きか!?
「じゃぁいっくよぉ〜♪」
そういうとくるみは、灯台の先端に立ち、海を背にして呪を紡ぎ出す。
・・・・・・海を背にして!?
「ま、まてくる・・・」
「我焦がれ、誘うは焦熱への儀式、其に捧げるは炎帝の抱擁  
イフリートキャレス!!」
「まてええええぇぇぇぇ!!!!」
しかし止めるのは遅すぎた。
そして、灯台へと続く桜並木の中心に炎が現れ更にその炎を中心に大きな炎の輪が生まれる。
炎の輪が狭まり、中心の炎と重なったかとおもった瞬間、それは激しい大爆発を起こした!!
「・・・・・・・・・・・・」
俺は声も出なかった。
「・・・・・・・・・・・・」
隣では、くるみも呆然としている。
もちろん桜並木は燃え盛っている。今現在燃えていない木は無いだろう。それほどの広範囲にわたる爆発だった。
「・・・・・ぅぅ・・・・・・・」
くるみが顔を伏せ、声を漏らす。
まさかここまでなるとは思っても見なかったのだろう。
まだ勉強中だといっていたし、・・・・俺も一緒に謝ってやるか。
…・謝って済まされる問題じゃぁ無いけどな。
なんて事を考えていたのだが、さきほどから頑張って無視していたのだが、さすがに無視できなくなって来ていた。
HAhaHAHAHAハ!!」
・・・・・・くるみが壊れている。
しょうがなく見てみると、くるみは走り出していて、桜並木を駆け抜け、階段の前で止まり、また呪を紡ぎだした!!
さすがに止めなくてはやばい!!
おれは、ありったけの声で叫んだ!!
「やめろおおぉくるみ・・・ごほげぇほぐほごほごほ!!」
煙でむせてしまった。
そのうちにくるみは魔法を唱えてしまう!!
「我招く無音の衝裂に慈悲は無く、汝に普く厄を逃れる術も無し  
メテオスウォーム!!」
・・・・なにやら唱え方にも慣れてきているようだ。
そんなことを考えている場合ではなかった!!
一体今度は何が起きるんだ!?
遠くの方で空に異変が起きている。
「・・・・・・ん?」
・・・・・・あれは・・・・
「俺達のロッジの方角!?」
ロッジだけでは無い。ロッジを含む山全体の空が・・・・裂けた!?
ギジギヂギヂバリイイィィン!!
嫌な音が響き、空の破片が溶けて消える。
そして、そこから無数の隕石が降り注いできた。
「・・・・・・・・・」
もうなにも言えなかった。
ロッジが、山が破壊されている様子をみていると、
またなにやら聞こえてくる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺は力無く振り返った。
そこには嬉々として呪を紡ぐくるみがいた。
「汝、其の諷意なる封印の中で安息を得るだろう、永遠に儚く  
セレスティアルスター!!」
・・・・・とうとうしゃべり方を物にしたようだ。
もう一度、ロッジのあった方を振り返る。
・・・・・・・・・・そこに山はなかった。
俺は虚ろな瞳でくるみの方を振り返った。
空高くから光が何本も打ち出され、その光は月屋ホテル、姫ヶ浜、そしてルナ・ビーチを跡形も無く破壊していた。
今この島に居るのは、俺とくるみだけなのかもしれない。
そして俺にはくるみを止める事も出来ず、ただただくるみの放つ魔法を眺めていた。
くるみはずっと笑っていた。
いつまでも、いつまでも。
「あははははははははは!!!」
楽しそうに、楽しそうに笑っていた。
どこで間違えたのだろう?
何が悪かったのだろう?
早く探しに行かなかったから?
くるみに魔法をすすめたから?
・・・・・・それか・・・・・
しかし、いまさら何を考えても後の祭り。
俺は考えるのを止めた。
 
 
 
 
そして世界は核の炎に包まれた!!
 
 
終幕







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